海外でインプラント治療を受けた際にクリニックに確認しておきたいこと
日本でも基本的なメンテナンスは受けられますが、インプラント本体が抜けてしまった場合や破損した場合などのトラブルには、対応できない可能性があります。
では、そのようなトラブルが起こった際はどのように対応するべきなのでしょうか。
重要なことは、ご使用のインプラントの情報を知っておくことです。
インプラントには実に100以上の種類が存在し、それにともなって扱う器具や部品の規格が異なっています。
したがって、トラブルが起きてしまった際は、日本のクリニックを受診する前にインプラント治療を受けたクリニックに必要な情報を確認することが大切です。
ここからは、海外でインプラント治療を受けた際に、担当医に確認しておいたほうがよい情報を紹介します。
日本のクリニックを受診する予定のある方は、参考にしてみてください。
インプラントに関する情報
インプラントについて確認しておいたほうがよい情報は、メーカー名と種類(型番)、そしてサイズの3点です。
特にサイズは、メーカーや種類が同じであっても異なる可能性があるため注意しましょう。
サイズは直径のことを指し、通常3.0㎜から5.5㎜までの大きさです。
また、複数の箇所をインプラント治療されている方は、それぞれの箇所で異なった種類やサイズのインプラントが使用されている場合もあるので、その点も確認しましょう。
インプラントのメンテナンス方法
トラブルに備える目的以外でも確認事項があります。
海外でインプラント治療を受けた場合は、帰国前に定期メンテナンスを今後どのようにしていくかを、担当医に相談しておくことが大切です。
インプラント治療後は、天然の歯と人工物であるインプラントのあいだに汚れが溜まりやすく、トラブルにつながることもあります。
したがって、まずは大がかりな治療を避けるために、帰国後のクリニックでメンテナンスすべき項目について担当医に確認しましょう。
帰国後も定期的なメンテナンスを行っていれば、大きなトラブルはほとんど避けられます。
インプラントの保証の有無や内容
お使いのインプラントに対して保証が付与されている場合があるため、保証についても確認しておきましょう。
インプラントの保証は、インプラント体(ボルト状の人工歯根)が折損または脱落した場合や、人工歯が損傷した場合に、その治療費を保証会社が補填するといった制度です。
ただし、保証にあたって条件が付与されている場合や、ほかのクリニックで治療を受けた際に保証の対象外となり、保証を受けられない場合があるため注意してください。
保証内容や保証の有無はクリニックによって異なるので、あらためて確認しましょう。
トラブルが起きた際の対応方法
インプラント本体の破損などの定期メンテナンスで対応できないトラブルが起きた際に、どのように対応するかについても担当医と話し合っておきましょう。
メンテナンスで対応できない具体的なトラブルには、インプラント本体が抜けた場合や、割れた場合などが挙げられます。
くわえて、提携している日本のクリニックの有無も確認するとよいでしょう。
提携しているクリニックであれば、同じ種類のインプラントを取り扱っている可能性が高く、治療がスムーズになるからです。
インプラントのメンテナンスはなぜ必要なのか
インプラント治療においては、普段のメンテナンスこそが重要です。
スケジュールの合間を縫ってクリニックに通うことは大変ですが、メンテナンスが継続して求められることには理由があります。
定期メンテナンスを受ける理由には、インプラント周囲炎を予防することや、天然歯を守ること、そしてメーカー保証を受けられる条件を満たすことなどが挙げられます。
3つの理由について、もう少し詳しく見ていきましょう。
理由①インプラント周囲炎を予防できるため
メンテナンスをしっかりと行っておくことで、インプラント周囲炎を予防できます。
インプラント周囲炎とは、インプラントの歯周病ともいわれ、プラークや細菌が原因となって、インプラントの周辺組織に炎症が起きる疾患のことです。
主な症状は歯茎の膿や出血、インプラントのぐらつきや脱落で、インプラント治療を行ううえで非常に気をつけたい疾患の一つです。
インプラントを入れた人の約30%がこの疾患になっているとの報告もあり、誰でもこの病気になる可能性があります。
せっかく入れたインプラントが抜けてしまう可能性のある疾患と聞くと、とても恐ろしく感じるかもしれません。
しかし、インプラント周囲炎は定期的に歯科医によるクリーニングを受け、プラークを除去することで予防できます。
もし病気になって再治療になるとメンテナンスを受けるよりも苦労してしまうため、定期受診を怠らないようにしましょう。
参照元:北海道医療大学学術リポジトリ インプラント周囲炎への外科的対応(https://core.ac.uk/download/pdf/268116449.pdf )
理由②インプラント以外の天然歯の寿命が延ばせるため
定期メンテナンスを受けることで、インプラントではないほかの天然歯を守ることにつながります。
なぜなら、日本人が歯を失う主な原因である歯周病や虫歯といった疾患を予防できるからです。
歯周病は、日本人の3人に1人が患っているうえに、進行すると最終的に歯が抜け落ちてしまうこともある疾患です。
自覚症状がない場合でも定期的に歯科医に診てもらうことで、初期段階で歯周病を発見し速やかに治療に移ることができます。
また、歯周病になっていない場合も定期的にクリニックで歯をクリーニングしてもらうことで、原因となるプラークを除去し歯周病の予防にもつながります。
虫歯も初期段階で発見することで、治療の時間とお金の節約が可能です。
実は大人の虫歯は痛みが少なく気づきにくいのが特徴であるため、知らず知らずのうちに悪化してしまうことも多いです。
そのため、定期メンテナンスは虫歯発見のよい機会になるでしょう。
参照元:特定非営利活動法人 日本歯周病学会(https://www.perio.jp/qa/cause/ )
理由③メーカー保証を受けられるため
インプラントに保証が付与されている場合、定期メンテナンスを受けていることが保証の条件に指定されていることがあります。
万が一のときに、きちんと保証制度の対象となるように定期メンテナンスを受診しましょう。
ただし、保証内容はクリニックによって異なるので事前に確認してください。
海外のインプラントは日本でもメンテナンスできる
いかがでしたでしょうか?
海外でインプラント治療を行った場合でも、日本でメンテナンスを受けることができます。
ただし、定期メンテナンスで対応できないトラブルの際は、日本のクリニックが同じインプラントを扱っておらず、速やかに治療できない場合もあるので注意が必要です。
そして、インプラント本体に不具合が起こった際は、インプラントのメーカーと、種類、そしてサイズを確認してから受診していただくとスムーズに治療が進みます。
きぬた歯科は、インプラント治療において国内最多の実績を持っています。
海外のインプラントを日本でメンテナンスしたいと考えていらっしゃる方は、まずはご相談ください。
この記事の監修者
日本歯科大学新潟生命歯学部を卒業後、インプラント治療に従事。現在では年間3000本以上のインプラント治療の実績がある。
日本でインプラント治療が黎明期だったころからパイオニアとして活躍し、インプラントメーカーのストローマン社やノーベルバイオケア社から公認インストラクターの資格を得た。
本の執筆やTV・雑誌などのメディア出演、自身のYouTubeチャンネルなどで情報発信を積極的に行っている。
<主な著書>
インプラント治療は史上最強のストローマンにしなさい!!
歯医者が受けたい!インプラント治療
あっそのインプラント、危険です!!
<YouTubeチャンネル>
八王子きぬた歯科
<外部サイト>
きぬた 泰和 Wikipedia