オールオン4について

オールオン4(All-on-4)治療は、連続した歯を一度に固定するインプラント治療です。

インプラントとは?メリット・デメリットや他の治療との違い

 

顎の骨に4〜6本のインプラントを埋め込み、その上に上部構造を固定します。4本のインプラントのみで、最大12本の義歯を支えられるため、1本ずつインプラントを埋め込む必要がありません。

治療にかかる身体的負担・コスト・治療期間のいずれも短縮・削減でき、失った歯が多くてもしっかりとした噛み心地の人工歯を揃えられます。

12本の歯が4本のインプラントで支えられるのは、顎の骨にインプラントを埋め込んで骨と結合させ、しっかりと固定できるためです。インプラントが体の一部として機能するので、最小の本数で10本以上の歯をお口の中に再建できるのです。

オールオン4治療を受けられる年齢

オールオン4治療は、顎の骨がしっかりと作られている16〜20歳ごろが目安です(発達には個人差があるため精密検査による判断が必要です)。

高校生になる16歳ごろからは、大人と同じように顎の骨が発達します。乳歯がなくなりすべて永久歯に生え変わっていますので、インプラント治療に必要な条件は満たしていると考えられます。

しかし、学生さんの場合は学業や生活に与える影響、治療期間が長くなることなどを考え、20歳まで待ったほうが良いという意見もあります。

まだ発達の途中である未成年の方や小さなお子さんは、顎の骨ができあがるのを待ってからオールオン4治療を受けましょう。

年齢の下限は16〜20歳が目安ですが、上限は決まっているのでしょうか。詳しく確認していきましょう。

治療を受けられる年齢に上限はあるのか?

成人に達すると、ほとんどの方が顎の骨の成長を終えているため、明確に年齢の上限は設けられていません。

しかし、骨量は年齢とともに減少するため、十分な骨の量が確保できなければ成人でも治療が難しくなります。

60代で可能だった方でも、10年後には検査の結果骨量が十分ではない、あるいは歯周組織やその他の既往症の関係で、インプラント治療に適していないと判断される可能性があるのです。

60代以上でも入れ歯やブリッジからオールオン4に変更し、人工歯を手に入れられたケースはみられますが、骨量には個人差があるため、年齢だけが治療の判断基準になるわけではありません。

骨量が不足している方は「骨造成」や「骨移植」といった治療で顎の骨を確保できますが、移植や造成には高額な費用がかかります。オールオン4治療が受けられるかどうかは、年齢以外の要素も加味して判断されるのです。

オールオン4治療を受けられる年齢でも避けたほうがよいケース

オールオン4治療は16歳以上で受けられるようになりますが、治療可能な年齢に入っても避けたほうがよいケースがあります。5つの例外について確認していきましょう。

金属アレルギーがある

詰め物や被せ物と同じように、インプラント治療でも歯科用金属と呼ばれる材料を使用します。

特に歯茎から骨へと埋め込むインプラント体と、支台(アバットメント)には金属が使われるため、金属アレルギーが心配な方は人体に親和性の高い材料を選びましょう。

または、入れ歯のように金属アレルギーの心配がない人工歯を使用するなど、インプラント以外の治療方法を検討してください。

喫煙習慣がある

インプラント治療では、正しく傷口が治癒し、埋め込んだインプラントと骨組織が結合しなければなりません。

しかし、喫煙の習慣があると毛細血管の収縮が起きるため血流が悪くなり、白血球の活動が妨げられます。本来であれば一定の期間で治る傷がいつまでも治らず、インプラント治療が進められない可能性もあるのです。

傷の治り以外にも、喫煙によって骨とインプラントが不十分なまま結合してしまい、インプラントのぐらつきや脱落が発生するリスクもあります。

インプラント治療にあわせて喫煙習慣を止めようとしても完全な禁煙に至らず、インプラント治療中でもタバコを吸い続けてしまうかもしれません。

禁煙ができなかった結果、十分な治療結果が得られないおそれもあるため、喫煙習慣がある方はインプラント治療以外の方法を選ぶことをおすすめします。

糖尿病を患っている

糖尿病とは、体内で分泌されるインスリンの作用が不十分なために、血液中に糖が増えてしまう病気です。

糖尿病に罹患していると、糖分が血液中に増えるため血流障害が起きやすくなり、白血球などの免疫機能が十分に働きにくくなります。喫煙とは理由が異なりますが、血流が低下して免疫が作用しにくくなるという点では共通しています。

オールオン4治療は外科手術が必要になるため、傷の治りが遅くなく免疫機能が正常に働かなければなりません。

持病で糖尿病を抱えている、あるいは糖尿病に近い状態にある患者さんは、感染症のリスクも鑑みてインプラント治療が難しい可能性があります。

骨粗しょう症である

骨粗しょう症とは、骨の中のカルシウムが減って骨がもろくなる病気です。

主な原因は女性ホルモンの減少とされていますが、高齢になるほど骨粗しょう症のリスクは男女共に上がっていきます。

骨粗しょう症と診断され、専用の治療薬を服用している方については、骨の強度や密度によってはオールオン4治療に適していないと診断される可能性があります。

また、オールオン4中に何らかの原因で感染症にかかると、服用している薬剤の影響で顎の骨が壊死する「薬剤性顎骨壊死」の危険があります。

感染症に注意して治療を受ければ問題ないとする意見もありますが、オールオン4治療に加えて骨粗しょう症の治療も並行しなければならず、ハイリスクな治療になることを考えると、インプラント以外の治療方法を検討したいところです。

治療後に定期的なメンテナンスを受けることが困難である

引っ越しや入院、その他の理由で治療後にメンテナンスを受けられない場合も、オールオン4治療の延期が推奨されます。

オールオン4治療は外科手術を伴うため、執刀医でなければ手術の状況や術後の経過が確認しにくいという特徴があります。

医師によって外科手術の技術力が異なることからも、かかりつけ医で定期的にメンテナンスを受けられる状況が理想的です。

オールオン4治療に適した状態を確認する

今回は、オールオン4治療を受けられる年齢や条件、治療を見送るべき5つのケースについて紹介しました。

顎の骨量が十分でもメンテナンスが受けられない、あるいは既往症や喫煙習慣があるような方は、オールオン4がかえってハイリスクになるかもしれません。

患者さんご自身の体調に問題がなく安全が確保されていれば、オールオン4が検討できます。治療が可能かどうか詳しく知りたい場合は、ぜひ信頼のできるオールオン4専門医にご相談ください。

 

きぬた歯科では、25年の施術経験と年間3,000本を超える埋入実績があります。

幅広い症例に対応可能ですので、インプラント治療を検討されている方は、お気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

日本歯科大学新潟生命歯学部を卒業後、インプラント治療に従事。現在では年間3000本以上のインプラント治療の実績がある。

日本でインプラント治療が黎明期だったころからパイオニアとして活躍し、インプラントメーカーのストローマン社やノーベルバイオケア社から公認インストラクターの資格を得た。

本の執筆やTV・雑誌などのメディア出演、自身のYouTubeチャンネルなどで情報発信を積極的に行っている。

<主な著書>
インプラント治療は史上最強のストローマンにしなさい!!
歯医者が受けたい!インプラント治療
あっそのインプラント、危険です!!

<YouTubeチャンネル>
八王子きぬた歯科

<外部サイト>
きぬた 泰和 Wikipedia