オールオン4治療とは?
オールオン4治療とは、4〜6本のインプラントを一度に埋め込んで、連結した人工歯を最大12本被せる治療方法です。
通常のインプラント治療は1本の歯を埋め込んでメンテナンスを行いますが、失った歯の本数が1本以上の場合は、1本ずつインプラントにするとトータルの治療費が高額になってしまいます。
そこで、オールオン4では歯を被せるために4ヶ所にインプラントを埋め込み、そのインプラントを固定源として、連結した歯を入れていきます。
総入れ歯では歯が安定しない、元の歯の噛み心地が得られないといった場合に適しており、1本ずつ歯を埋め込む必要がありません。
「オールオン4治療を受けると口臭がキツくなる」は本当なのか?
オールオン4治療で口臭がキツくなってしまう原因としては、口内環境の悪化が考えられます。
治療に使う材料は歯科用金属のような安全性と堅牢性の高い素材に限られており、材料そのものが口臭を悪化させるわけではありません。
口臭は胃腸やお口の中の状況によって発生するもので、歯の治療が直接的な原因になることはありません。しかし、治療後にお口の中を不衛生にして口内環境を悪化させると、歯垢や歯周病菌の増加により口臭に繋がる場合があります。
オールオン4治療後に口臭が発生するのはなぜなのでしょうか。次の項目で詳しく紹介します。
オールオン4治療後に口臭が発生する原因
オールオン4治療の後で口臭が発生するのは、歯周病などの炎症性疾患が原因となっている可能性があります。5つの原因についてみていきましょう。
ブラッシングなどのメンテナンスが不足している
オールオン4によって埋め込んだ人工歯は、人工歯そのものが虫歯にならないからといってブラッシングなどのメンテナンスを怠ってしまうと、歯垢や歯石が付着・蓄積し、人工歯の周囲にある組織が歯周病にかかりやすくなります。
ブラッシングや歯石取りといったメンテナンスをこまめに行い、定期検診で細かい汚れを除去する口腔ケアの積み重ねが大切です。
インプラント周囲炎を発症している
インプラント周囲炎とは、インプラントを埋め込んだ後のメンテナンスが不十分なために、炎症が歯肉から歯槽骨へと広がる症状です。
インプラント治療を行った部分に限らず、お口の中が不衛生になっていると歯周病菌が増殖しやすくなります。
特にインプラント治療を行った部分はケアが行き届きにくくなるため、周囲炎にかかりやすく炎症によって歯肉の腫れや膿、口臭といった症状をきたすおそれがあります。
歯周病を発症している
歯周病は歯周病菌の感染によって起きる炎症性の疾患です。
歯周病菌は嫌気性で、酸素のある場所を嫌う性質があるため、歯と歯茎のすき間を好んで入り込みます。まさに歯の周囲に広がる病気であり、細菌が増殖するほど歯茎の奥深くへ入り込んで炎症を起こし、骨を溶かしていきます。
インプラント周囲炎はインプラントを埋め込んだ部分に起きる炎症ですが、歯周病は歯の場所を問わず発生するものです。普段からブラッシングを心掛け、歯間ブラシやフロスを活用して、お口の中を清潔に保ちましょう。
インプラントが歯周病になる原因については「インプラントでも歯周病になりますか?」をご覧ください。
ポケットに歯周病菌が繁殖している
炎症が起きていない場合でも、歯周ポケット内に歯周病菌が繁殖していると口臭の原因になります。
これは、歯周病菌の塊である歯垢(プラーク)の中でどんどん歯周病菌が繁殖し、お口の中の糖分を分解して、揮発性硫黄化合物を放出するためです。
オールオン4治療自体に問題がある
オールオン4治療に不具合があり、歯垢が溜まりやすくなっている可能性もあります。
ただしオールオン4の埋め込みに問題があるかどうかは、患者さんご自身では確認しにくいため、必ずかかりつけの歯科医院を受診してください。
小さな不具合でもそのままにせず、治療自体に問題がある場合は再治療も含めて検討しましょう。
オールオン4治療後の口臭を防ぐには?
オールオン4治療後に口臭が発生しないよう、予防策についても確認していきましょう。
歯科検診を定期的に受ける
歯科検診は1〜2ヶ月に一度の割合で、定期的に受けるようにしましょう。
歯と歯のすき間に溜まった歯垢や歯石はきれいに取り除き、ブラッシングの指導を受けたり、インプラントにした歯に合う歯ブラシを選んだりといったメンテナンスを行ってください。
正しい方法と頻度でブラッシングする
歯磨きは一日に数回、食後から時間をおかずに行うのが理想です。力を入れると歯茎を傷つけてしまいますので、歯ブラシの毛を寝かせないように優しい力でブラッシングをかけてください。
インプラント周囲炎や歯周病を治療する
歯周病菌が増殖すると、歯茎が腫れて歯周組織を攻撃し、骨にまで到達して骨を溶かしていきます。
インプラントを埋め込んだ部分が歯周病菌に侵食されると骨の土台が不安定化し、歯茎を支えられなくなってしまいます。
インプラント周囲炎や歯周病にかかった場合は、それ以上悪化しないように早期発見・早期治療が大切です。
お口の中のメンテナンスで歯周病を予防
今回は、オールオン4治療によって口臭が発生する可能性や原因について紹介しました。
インプラントを埋め込む治療は、埋め込んで終わりではなく人工歯も含めて汚れがつかないようにケアをしなければなりません。
目につきやすい歯の表面が清潔でも、歯周ポケットや歯と歯のすき間といった部分は不衛生になりやすく、その部分から歯周病が発生・増殖します。
オールオン4治療後に万が一トラブルが起きたときは放置せず、普段からのセルフケアと定期検診を組み合わせて、常にお口の中を清潔に保ちましょう。
きぬた歯科では、25年の施術経験と年間3,000本を超える埋入実績があります。
幅広い症例に対応可能ですので、インプラント治療を検討されている方は、お気軽にお問い合わせください。
この記事の監修者
日本歯科大学新潟生命歯学部を卒業後、インプラント治療に従事。現在では年間3000本以上のインプラント治療の実績がある。
日本でインプラント治療が黎明期だったころからパイオニアとして活躍し、インプラントメーカーのストローマン社やノーベルバイオケア社から公認インストラクターの資格を得た。
本の執筆やTV・雑誌などのメディア出演、自身のYouTubeチャンネルなどで情報発信を積極的に行っている。
<主な著書>
インプラント治療は史上最強のストローマンにしなさい!!
歯医者が受けたい!インプラント治療
あっそのインプラント、危険です!!
<YouTubeチャンネル>
八王子きぬた歯科
<外部サイト>
きぬた 泰和 Wikipedia