インプラント治療とは?
インプラント治療とは、歯を失った部分に人工の歯根を埋め込み、その上に被せ物を連結させて、1本の歯を作る治療方法です。
歯を上に被せる治療では人工歯が脱落するおそれがありますが、インプラントは歯を支えている骨に人工歯根を埋め込むため、より強固に歯を再建します。
世界では約50年前に治療が始まり、日本国内では1990年代から取り入れられたため、まだ比較的新しい治療といえるでしょう。
ブリッジや差し歯は、歯を完全に失ってしまうと治療ができません。天然歯が一切残っていない部分には部分入れ歯という限られた選択肢しかありませんでしたが、インプラントであれば入れ歯よりも強い、元の歯に近い噛みごたえの歯が手に入ります。
インプラント治療の概要については「インプラントとは?メリット・デメリットや他の治療との違い」をご覧ください。
インプラント治療が高額である理由
インプラント治療は自費診療であり、高額な点が特徴の一つです。治療費が高額である3つの理由を詳しく確認していきましょう。
医師やスタッフの治療技術が求められるため
インプラント治療は外科手術によって人工歯を再建します。精密検査によって得られた情報をもとに、患者さん一人ひとりに対して正確性の高い治療を実施します。
外科治療に関する高い技術力が求められ、加えて患者さんごとの噛み心地にも配慮しなければならないため、高度な専門性を必要とする治療なのです。
通常、インプラント治療は2度の手術を経て歯を再建します(2回法)。近年では1回法と呼ばれるスピーディな治療法も実施されていますが、どちらもインプラント治療の高い技術力を必要としています。
インプラント自体の希少性が高いため
インプラント治療では、さまざまな素材が使用されています。インプラント体と呼ばれる人工歯根には、歯科用金属として純チタンや・チタン合金・ジルコニアが使われています。
チタン・ジルコニアのいずれも希少性が高く、堅牢な金属素材のため費用は高くなります。
一般の歯科診療でも、銀歯の価格は時期によって高騰することがありますが、希少性の高い金属は1年を通して価値が高いため、治療に用いる場合は費用がかかるおそれがあります。
保険が適用されないため
インプラント治療は保険適用外の治療となっており、理由としては以下のとおりです。
【インプラントが保険適用外の理由】
- 保険適用治療が選択できるため
- 外科手術を伴う治療のため
- 一般の治療よりもコストがかかる
- 使用素材そのものが高コストである
入れ歯・ブリッジといった治療は保険適用の対象です。歯を失った場合でもインプラント以外の治療が検討できるために、インプラント治療は保険適用外の選択肢となっています。
インプラント治療は外科手術を伴う治療です。執刀できる医師が限られており、治療をすべて終えるために期間やコストがかかります。
手術に加えて、感染症対策のために器具や機器を除菌しなければならず、無菌に近い環境を整える必要もあることから、一般的な歯科治療よりも高コストです。
元の歯と遜色のない、高い完成度を目指すためには、治療前の準備・治療方法・使用する素材のいずれもコストがかかってしまいます。そのため、上記のような理由からインプラント治療は保険適用の対象外となっているのです。
安いインプラントを選んでもよいのか?
インプラント治療は高額になりやすい治療ですが、安く治療が受けられる歯科医院も増えています。
治療費や材料費がかからなければ一見魅力的に感じられますが、安いインプラントには安い理由があることも押さえておきましょう。
一般的に、格安のインプラントには以下のような特徴がみられます。
【格安インプラントの理由】
- 材料費のみ提示している
- 美容整形用の治療である
- 承認されていない材料である
- 安全性が保証されていない
- メンテナンス料が含まれていない
「1本10万円」と提示されている場合、インプラント治療全体ではなく材料費のみの可能性があります。また、歯科医院ではなく美容整形外科の審美歯科治療として提示されており、本格的な歯の治療ではない可能性もあります。
日本で未認可のインプラント製品を使用し、費用を抑えているケースもみられます。未認可の製品は国から安全性のチェックを十分に受けていないため、治療後の安全が保証されていません。
歯科医院の設備や内部が不衛生である、歯科医が選べない(経験の浅い歯科医が執刀を担当する)といった問題も、患者さんの安全に関わる部分のため、不安な場合は避けたほうが無難です。
歯科医院によっては、格安の金額を提示する一方でメンテナンス料金などを別に設けている場合もあります。
格安の広告が目に留まったときは、その歯科医院のホームページや患者さんの口コミをチェックして、メンテナンス代金やその他の治療費が別になっているかどうかを確認してください。
安いインプラント治療を受けるにあたり確認しておくこと
自費診療は高額になりやすく、少しでも安い治療を希望する方が少なくありません。しかし、トラブルに発展してからでは対応が難しくなる場合もあるため、事前にいくつかのポイントをチェックしてから診療を検討しましょう。
ここからは、安いインプラント治療を受けるにあたって、確認すべき6つのポイントを紹介します。
インプラントの材質に問題がないか
使用するインプラントの材質に問題がないかを確認しましょう。歯科医院のホームページで確認できなければ、カウンセリングで尋ねてみてください。
純チタンやジルコニアといった堅牢な素材が選べるか、金属は安心のできる歯科用素材を使用しているかについても尋ねておきたいポイントです。
歯科医院の治療実績や知識は豊富か
歯科医院の治療実績、医師の経歴や知識が豊富かどうかといったポイントを確認しましょう。一般歯科診療が中心の歯科医院では、難易度の高い症例に対応できない可能性があります。
保証内容が充実しているか
インプラント治療では外科手術を伴うため、万が一の事態が起きた場合は適切に対応をとらなくてはなりません。
ホームページまたはカウンセリングで、インプラント治療中・治療後・メンテナンス期間の保証をきちんと受けられるか確認しましょう。
口腔外科のある中規模以上の病院と提携しているか、万が一の際の対応が即座にとれるかといった、安全に関わる部分を確認してください。
トータルの治療費が記載されているか
治療費は部分的にではなく、トータルで記載されていることを確認しましょう。
「インプラント10万円」のように格安をうたい、料金の内訳がわからないプランについては、手術や術後のメンテナンスも含めたすべての治療にかかる治療費が把握できません。
導入設備や衛生面に問題がないか
歯科医院が衛生的な環境を整えているか、インプラント治療にふさわしい設備を導入しているかといった部分も、忘れずに確認したいポイントです。
滅菌用の機器や無菌に近い個室、器具を丁寧に洗浄消毒するといった対策のほか、スリッパなど院内で使う物品も消毒されていることを確認してください。
メンテナンス費用は適切か
インプラントは人工歯のため、埋め込んだ後もメンテナンスや確認が必要になります。治療自体が実費のため、埋入後のメンテナンスも自費診療になります。
1回あたりの一般的なメンテナンス費用のほかにも、歯茎にトラブルがありグラグラする、あるいは埋め込んだ位置が適切ではないといったトラブルが発生したときにかかる費用をチェックしてください。
インプラント経験の豊富なクリニックを選ぶ
今回は、インプラント治療の概要と安いインプラントを選ぶリスクやチェックポイントについて紹介しました。
インプラント治療は難易度の高い手術を実施しなければなりません。そのため、一般的な歯科治療ではなく口腔外科の技術が必要になります。
医師の技術力や経験に加えて、インプラントの素材・材料が安全であるかといった点も確認すべき部分です。
本記事で紹介したポイントを踏まえて確認し、さらに詳しい内容はカウンセリングで質問して、信頼のできる歯科医院を選んでください。
きぬた歯科では、25年の施術経験と年間3,000本を超える埋入実績があります。
幅広い症例に対応可能ですので、インプラント治療を検討されている方は、お気軽にお問い合わせください。
この記事の監修者

日本歯科大学新潟生命歯学部を卒業後、インプラント治療に従事。現在では年間3000本以上のインプラント治療の実績がある。
日本でインプラント治療が黎明期だったころからパイオニアとして活躍し、インプラントメーカーのストローマン社やノーベルバイオケア社から公認インストラクターの資格を得た。
本の執筆やTV・雑誌などのメディア出演、自身のYouTubeチャンネルなどで情報発信を積極的に行っている。
<主な著書>
インプラント治療は史上最強のストローマンにしなさい!!
歯医者が受けたい!インプラント治療
あっそのインプラント、危険です!!
<YouTubeチャンネル>
八王子きぬた歯科
<外部サイト>
きぬた 泰和 Wikipedia