インプラント治療を受けるかどうかを迷っていらっしゃる方のなかには、インプラントに関する網羅的な情報を身につけておきたいとお考えの方もいらっしゃるでしょう。
治療を受ける際は、ご自身の健康状態や治療におけるリスクを考慮することが大切です。

そこで本記事では、インプラントに関するさまざまな情報を徹底的に紹介いたします。
インプラント治療に関する情報を知っておきたいとお考えの方は、ぜひ参考になさってください。

目次

インプラント治療とは

インプラント治療とは、失った歯を取り戻すことができる治療方法の一つです。
具体的には、顎の骨に穴を開けてインプラント体とよばれる人工歯根を埋め込み、そのうえに人工歯を取りつけることで、患者の噛む力を取り戻します。

インプラント治療は入れ歯やブリッジに比べて耐久性や審美性に優れた治療方法であり、しっかりとメンテナンスを行えば10~15年は使用できます。
使い心地も自分の歯と変わらないため、使用中のストレスもほとんどありません。

このように多くのメリットがある一方、インプラント治療は入れ歯やブリッジとは異なり、健康保険が適用されないという難点があります。
また、外科手術が必要な治療方法でもあるため、通常の歯科治療よりも体への負担とリスクが大きく、治療期間も長くかかります。

インプラント治療の歴史

インプラント治療は、紀元前のインカ文明やエジプト文明、マヤ文明においてすでに使われていた治療方法であることがわかっています。
なぜなら、これらの遺跡から発見された当時の遺体の顎の骨に、サファイアや象牙、貝殻などが埋められているものが多数見つかったためです。
しかし、これらの素材は骨との結合性が悪く、あまり一般には普及しませんでした。

ところが1960年代、チタンと骨の結合性が極めてよいことが発見され、一般的な治療方法として世界中に普及しました。
このチタンの特性を発見した人物は、スウェーデンのP.Iブローネマルク博士(1929年5月3日~2014年12月20日)です。
ブローネマルク博士は、チタンと骨が結合した状態のことを「オッセオインテグレーション」とよび、これを1965年に人間の歯科治療に応用することに成功したのです。

彼の「ブローネマルク・システム」とよばれる方法は進化を続け、現在ではインプラントを簡単に装着できる技術や、より審美性に優れたインプラントも開発されています。

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どんな悩みを持った人がインプラントにするのか

基本的に、インプラント治療は事故や歯周病で歯を失った方や、生まれつき歯がない方が受ける治療です。
失った歯を取り戻す治療方法として入れ歯やブリッジを使うこともできますが、自然な使い心地や審美性を求める方には、インプラント治療がおすすめです。

また、先天性の病気により歯が連続して生えていないという方もインプラント治療を受けることができます。
入れ歯やブリッジは周りの歯を支えにして人工歯を装着する治療方法であるため、インプラントでなければ治療が難しい場合があるのです。

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インプラント治療のメリット

ここからは、インプラント治療を受ける3つのメリットを紹介します。

メリット①自分の歯と変わらずに使える

1つ目のメリットは、自分の歯とほとんど変わらず、ストレスのない使い心地で噛むことができるという点です。

インプラントは、入れ歯やブリッジに比べると噛む力が天然の歯とあまり変わらないため、ストレスなく食事をとることができます。
また、日ごろのセルフケアを行う際も、ほかの歯と一緒に歯ブラシやフロスを使うだけで済みます。

メリット②口内の健康を維持できる

2つ目のメリットは、口内の健康を維持できるという点です。

入れ歯やブリッジは、周りの歯に金具を引っ掛けたり、削ったりする必要があるため、健康な歯まで傷つけてしまいます。
しかし、インプラント治療は顎の骨にインプラント体を埋め込み、それを土台にするので周りの健康な歯を傷つける心配がありません。

また、入れ歯やブリッジは物を噛んだ際の衝撃が骨に伝わりづらく、骨が痩せてしまう傾向があります。
一方、インプラントは物を噛んだときの刺激が骨に伝わりやすいため、骨が痩せる心配もありません。

さらに、インプラントは治療完了後もセルフケアと定期検診を続ける必要があるため、インプラントをケアすることにより、ほかの歯の健康も守ることができます。

メリット③審美性に優れている

審美性に優れているという点も、インプラント治療の大きなメリットです。

インプラントは口を開けた際に、入れ歯のように器具が見えてしまうことがありません。
また、人工歯の素材にこだわることで、天然の歯と見分けがつかない状態に近づけることも可能です。

インプラント治療のデメリット

つづいて、インプラント治療を受けることによる3つのデメリットも紹介します。

デメリット①高額な治療費がかかる

1つ目のインプラント治療のデメリットは、高額な治療費かかかるという点です。

基本的には、インプラント治療には健康保険が適用されません。
その理由は、健康保険は「健康に必要な最低限の治療にのみ適用される」という条件があるためです。
失った歯を取り戻す治療方法には、すでに入れ歯やブリッジを使った安価な治療方法があるので、使い心地のよさや審美性を高めるためのインプラント治療は、保険適用外なのです。

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デメリット②外科手術を受ける必要がある

外科手術を受ける必要があるという点も、インプラント治療のデメリットの一つといえるでしょう。

インプラント治療は、顎の骨に穴を開けるという外科手術が必要であるため、通常の歯科治療よりも心身ともに負担がかかります。
また、手術中は麻酔を使うため痛みはそこまで感じませんが、治療後に麻酔が切れたときの痛みや、歯肉の腫れをともなう場合もあります。

デメリット③感染症にかかるリスクがある

最後に紹介するインプラント治療のデメリットは、感染症のリスクがあるという点です。

インプラントは天然の歯に比べて細菌に感染しやすいという特徴があります。
なぜなら、インプラントには歯根膜(しこんまく)がないためです。
なお歯根膜とは、天然の歯根と歯肉のあいだにある組織で、細菌の侵入を防ぐ役割があります。

インプラントにはこの歯根膜がないため、「インプラント周囲炎」とよばれる疾患にかかりやすく、悪化するとインプラントが脱落する場合があります。

ただし、日ごろのセルフケアを欠かさず行い、3か月に1回ほどの定期検診を受けていればインプラント周囲炎は防ぐことができるので、過度に心配する必要はないでしょう。

インプラントのメリット・デメリットについては、以下の記事でも詳しく紹介しております。
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ブリッジ・入れ歯・差し歯との違い

インプラント治療のほかにも、失われた歯を取り戻す治療方法としてブリッジや入れ歯、差し歯などを使う方法もあります。
それぞれの違いが分からず、治療方法の選択を迷われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで、下記にてインプラント治療がブリッジや入れ歯、差し歯と異なる点を一覧表にまとめました。
さまざまな点で違いがみられるため、治療において優先したいことを考えながら選ぶとよいでしょう。

インプラント・ブリッジ・入れ歯・差し歯の違い

インプラント ブリッジ 入れ歯 差し歯
噛む力 自分の歯の約8~9割 自分の歯の約6~7割 自分の歯の約2割~4割 自分の歯の約6~7割
周囲の歯への影響 なし 両隣の歯を削る 両隣の歯に留め具を引っ掛ける なし
審美性 優れている 普通 劣る 普通
保険適用 適用不可 適用可 適用可 適用可
手術 必要 不要 不要 不要
治療期間 6~12か月ほど 1~3か月ほど 1~3か月ほど 1~3か月ほど
寿命 10~15年ほど 7~8年ほど 4~5年ほど 5~10年ほど

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インプラントの主なメーカー

日本で使われているインプラントには30種類以上あり、なかでも主要なメーカーは下記のとおりです。

主要なインプラントメーカー

  • ストローマン・ジャパン株式会社
  • ノーベル・バイオケア・ジャパン株式会社
  • 京セラメディカル株式会社
  • バイオメット3iジャパン株式会社
  • 株式会社ジーシー
  • バイコンジャパン株式会社
  • 株式会社プラトンジャパン
  • 株式会社ブレーンベース

特にストローマン社やノーベル・バイオケア社は、世界でも人気があるインプラントメーカーです。
いずれも10年以上の長期的な臨床実績があり、高品質で安全なインプラントを製造しています。
これらの主要なインプラントメーカーのインプラントを使うことにより、引っ越しや転勤があった際も別のクリニックで治療を受けられるというメリットがあります。

クリニックで取り扱っているインプラントのメーカーは、ホームページやお問い合わせフォーム、カウンセリングなどで確認してみましょう。

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【きぬた院長のメッセージ】

現在きぬた歯科では、ストローマン社のインプラントを使っています。

当初、別のメーカーのインプラントを採用していましたが、実は10人に1人の割合で、インプラントを埋入してから7~8年くらい経ってから、急に抜けてしまうことがありました。

やはり人間の体に入れるものなので、このようなトラブルがないようなインプラントを使いたいという思いから、ストローマン社に切り替えました。

ストローマン社に決めたのは、骨との結合度合いの高さからです。

また、インプラントを埋入してから40数年問題なく使えている方がいる点や、インプラント周囲炎が発症しにくい形状をしているのも採用した理由の1つです。

当院で使い始めて40数年になりますね。

長期的な予後や治療後のケアの観点から、非常に優れたインプラントだと思います。

私たちが過去に見て、使ってきたメーカーのなかでも、10年後の状態が圧倒的に良いです。

実際に私だけでなく、クリニックに務めている歯科医師のご家族も、ストローマン社のインプラントを入れています。

年間で3,000本ものインプラントを埋入してきた実績を持つきぬた歯科としての経験則から見ても、非常におすすめできるメーカーです。

インプラントの主な素材

インプラントに使用されている主な素材は下記のとおりです。

インプラントの主な素材

  • 純チタン
  • チタン合金
  • チタン・ニッケル合金

もっとも骨との結合性に優れている素材は、純チタンとチタン合金です。
骨が拒絶反応を起こす心配が少ないため安定性がよく、途中でインプラントが外れてしまうといったトラブルも起こりにくい傾向があります。

もう一つのチタン・ニッケル合金は、先の2種類に比べると結合性は劣りますが、歯に合わせて形状を変えることができ、その形状を記憶するという特性があります。

【きぬた院長のメッセージ】

当院では、「セラミック」、プラスチックとセラミックを混ぜた「ハイブリッドセラミック」、金属の「メタル」を3つの種類のインプラントをご用意しております。

このなかで、一番値段が高いのはセラミックですが、どの患者様にもおすすめできるわけではありません。

セラミックは、硬さがある一方でもろいので、コツンとぶつけたらそれだけで欠けてしまうことがあります。

一方で、汚れが一番つきにくいので、歯磨きでは届きにくい部分をインプラントにされる方や、歯磨きがあまり得意ではない方にはおすすめです。

患者様によって、噛む力や嚙み合わせは異なるので、患者様に合わせたベストなものを提案させていただきます。

インプラントの構造と種類

インプラントは、歯根部である「インプラント体」と最上部に取りつける「人工歯」、この2つのパーツを繋ぐ支台部である「アバットメント」の3つのパーツからできています。
この3つのパーツを総称してインプラントとよび、さらに「1ピースタイプ」と「2ピースタイプ」の2種類に分かれています。

1ピースタイプは、インプラント体とアバットメントが一体化しているタイプです。
インプラントの2つのパーツを1度に取りつけることができるため、治療の工程が少なく済みます。
ただし、顎の骨に十分な厚みがある方でなければ取りつけることができません。

また、万が一アバットメントに問題が発生した場合は、インプラント体ごと取り除く必要があります。

もう一つの2ピースタイプは、インプラント体とアバットメントをネジで連結させるタイプのインプラントです。
各パーツを一つひとつ取りつける必要があるため、治療の回数が1ピースタイプに比べると1回分多く、またパーツが多い分、費用も高い傾向にあります。

このタイプのメリットは、万が一ネジが折れてしまっても、プラント体とアバットメントにダメージが加わる可能性が低く、安全な構造であるという点です。

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【きぬた院長のメッセージ】

きぬた歯科では、2ピースタイプのインプラントを使っています。

1ピースタイプは、その形状からおのずと1回法になるので、治療期間が短く済むというメリットがありますが、感染症のリスクが高まります。

また、2ピースタイプと比べると、治療できる症例も少ないです。

その材料費の安さから採用しているクリニックもありますが、クリニック側にとって、1ピースタイプを採用するメリットは正直コスト以外にはないと思います。

また少し話は変わりますが、インプラントを埋め込みたい箇所によっては、あえて角度をずらしたほうが噛み合わせの力を均一に保てるケースがあります。

1ピースタイプのインプラントだと、骨と同じ角度に入れて歯茎から出ている状態に、人工歯を取りつけていくので、角度の調整ができません。

一方、2ピースタイプは、まずインプラント体を歯茎に埋め込んでしまって、そのあとアバットメントと人工歯を取りつける2回法になります。

そのため、インプラント体の埋入と、アバットメントと人工歯を取りつける手術を分けて行うことで、アバットメントの向きを変えられるわけです。

患者様にとって、手術の回数は増えてしまいますが、より天然歯と同じような噛む力を実現することで、違和感なく過ごせるのは中長期的に見て大きなメリットではないでしょうか。

このような理由から、きぬた歯科では1ピースタイプではなく、2ピースタイプを使用しています。

インプラント治療の期間

インプラントの治療期間は最短で6か月、最長で1年はかかります。
具体的には、各工程でかかる日数は以下のとおりです。

インプラント治療にかかる日数

  • 精密検査~治療方針の決定:2日~2週間ほど
  • 手術:1日
  • 骨とインプラント体の定着:3~7か月ほど
  • 人工歯のセット:1日

なお、上記は1ピースタイプのインプラントを使用した場合の治療期間であり、2ピースタイプを使用する場合は手術を2回行う分、治療期間も延びます。

また、もし精密検査の段階で歯周病や虫歯が見つかった場合は、インプラント治療の前にそちらを先に治療します。
顎の骨の厚みが足りない方は、先に顎の骨の厚みを増やすための骨造成手術を受ける必要があるため、さらに治療期間が延びるということを覚えておきましょう。

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インプラント治療の費用・内訳・支払い方法

ここからは、インプラント治療にかかる費用の相場や、費用が決定する仕組み、また治療費を削減する方法などを紹介します。

費用の相場

歯1本あたりのインプラント治療費の相場は、さまざまな条件によって値段が変動するため一概にはいえませんが、診察料やインプラント代などを含めて30万~40万円ほどです。

ただし、すべての歯を治療する場合は、4本のインプラントで10~20本の歯を支える「All-on-4(オールオンフォー)」とよばれる治療方法があるため、1本あたりでは計算しません。
All-on-4は上顎か下顎のどちらか一方で、およそ200万~250万円ほどが相場です。

また、人工歯の素材別の費用の相場は、下記のとおりです。

人工歯の素材別の費用相場

素材 費用
ジルコニア 10万~20万円ほど
オールセラミック 7万~15万円ほど
ハイブリッドセラミック 5万~10万円ほど
メタルボンド 7万~15万円ほど
ゴールド 7万~12万円ほど
オーバーデンチャー 16万~25万円ほど

費用が決定する仕組み

インプラント治療にかかる費用は、下記の内訳から算出されます。
ただし、治療費の内訳に含まれる項目はクリニックによって異なるため、下記はあくまでも一般的な例です。

インプラント治療にかかる費用の内訳

  • 精密検査・診断料
  • インプラント代(インプラント体・アバットメント・人工歯)
  • 手術代(材料・器具・設備・麻酔代など含む)
  • 手術後の消毒・抜糸・健診代

これらの項目に加えて、下記のようなインプラント治療に付随する各種治療を受けると、さらに費用が加算されます。

インプラント治療に付随する各種治療費の内訳

  • 治療期間中の仮歯代
  • 抜歯代
  • 骨造成手術代

また、治療後の定期健診は基本的には無料で受けることができますが、別途費用がかかるクリニックもあります。
きぬた歯科のインプラント治療費用についてはこちら

医療費控除は使えるのか

結論から申し上げますと、インプラント治療は医療費控除の対象です。

医療費控除とは、その年の1月1日から12月31日までのあいだに、同一世帯で支払った医療費の合計金額が一定額を超えた場合に、所得控除を受けられるという制度です。
一般的には10万円を超えた場合はこの制度の対象となるため、その年にインプラント治療を受けた方は医療費控除を受けることができます。

医療費控除額の計算式は「1年間に支払った医療費の総額-生命保険会社から受けた保険金の受給額―10万円または総所得金額の5%=医療費控除額(最高200万円)」です。

なお、医療費控除を受けるためには、翌年に確定申告を行う必要があります。

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デンタルローンは組めるのか

デンタルローンを取り扱っているクリニックであれば、インプラント治療でローンを組むことが可能です。
デンタルローンとは、ローン会社が治療費を立て替えて支払ってくれる仕組みで、治療を受けた方は毎月分割払いで治療費を返済します。
金利はおよそ5~8%で、支払い回数は最大84回から選ぶことが可能です。

ただし、デンタルローンは原則20歳以上の安定した収入がある方が対象です。
また、申し込み時に審査が必要であるため、利用を検討している場合は必要条件を満たせるかどうかをあらかじめ確認しましょう。

インプラント手術の種類

インプラント治療における手術には、大きく分けて1回法と2回法の2種類の方法があります。
下記にて、それぞれの方法を紹介します。

1回法

インプラント手術の1回法とは、外科手術を1回のみで終わらせる方法です。
歯肉を切開してから顎の骨に穴を開け、そこにインプラント体を埋め込むまでは、1回法と2回法どちらも同じです。
1回法の特徴としては、切開した歯肉を縫合せずに、アバットメントを取りつけた状態で手術を終わらせるという点が挙げられます。

なお、1回法では、インプラント体とアバットメントが一体になった1ピースタイプと、それぞれをネジで結合する2ピースタイプどちらも使用可能です。

手術の回数が少ないため治療期間も短く済みますが、歯肉を縫合しないため細菌に感染するリスクが高く、衛生管理を徹底する必要があります。
また、歯肉を縫合しないのでインプラントが動きやすく、まだ骨と結合していない段階で刺激を加えると、結合が遅くなる可能性もあるため注意が必要です。

2回法

インプラント手術の2回法は、その名のとおり外科手術を2回行う方法です。
まず1回目の手術で歯肉を切開してから顎の骨に穴を開け、そこにインプラント体を埋め込み、歯肉を一度縫合します。
3~6か月後に骨とインプラント体が結合したことを確認したら、2回目の手術でふたたび歯肉を切開し、インプラント体にアバットメントを取りつけます。

手術を2回行うメリットは、1回目の手術で切開した歯肉を縫合するため、インプラント体の周囲の歯肉が細菌に感染するリスクを抑えることができるという点です。
また、縫合することにより骨とインプラント体が定着しやすくなります。

【きぬた院長のメッセージ】

当院で対応している治療の割合としては、全体のおよそ99%が2回法です。

患者様の口腔内の状況によって、1回法を選ぶこともありますが、その数はごくわずかです。

やはり、1回法は感染症のリスクが高まってしまうので、あまり積極的には勧めていません。

治療期間がほとんど変わらないという点も考慮して、リスクの少ない2回法を選択する場合がほとんどです。

インプラント治療によって新たなトラブルを避けるならば、2回法が良いと思います。

なかには、1回法しか対応していないクリニックもあるので、治療前のカウンセリングの段階で確認しておくとよいですよ。

インプラント手術の流れ

ここからは、インプラント治療における手術の流れを紹介します。
インプラント治療を受けてみたいものの、外科手術の工程を不安に思っていらっしゃる方は、参考にしてみてください。

手術前の流れ

インプラント治療は外科手術をともなうため、必ず事前に精密検査を行い、治療計画を立てます。
下記では、それぞれの工程を一つひとつ紹介します。

カウンセリング

まずは医師のカウンセリングを受けて、現在の歯の状態を確認してもらいます。
このときに、普段の生活で困っていることや、治療に対する不安なども伝えておくと、より自分に合った治療方法を提案してもらうことができるでしょう。

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CT検査

カウンセリングを終えたら、歯科用CTを使って顎の骨や歯の状態、血管や神経の位置などを確認し、問題なくインプラント治療を受けることができるかどうかを確認します。
通常のレントゲンでは細部まで見ることができないため、必ず歯科用CTを使った精密検査を受けることをおすすめします。

血液検査、心電図検査

精密検査を行い、問題がないことを確認したら、血液検査や心電図検査を受けます。
なぜなら、インプラント治療の手術では麻酔を注入して、歯肉を切開する必要があるためです。

もし血液が止まりにくい状態であったり、基礎疾患があったりすると、手術中にトラブルが起こる危険性があります。
そのため、基本的な健康診断も受ける必要があるのです。

虫歯や歯周病の検査

インプラント治療を受ける前に、お口の状態もチェックします。

虫歯や歯周病が見つかった場合は、手術の前に治療する必要があります。
なぜなら、インプラント治療の手術では歯肉を切開し、インプラント体を埋め込む必要があるため、口内の衛生状態を整える必要があるのです。

治療計画の立案

すべての検査を終えたら、インプラント治療の計画を立てます。
歯や顎の骨の状態は個人差があるため、検査結果をもとに、自分にもっとも合った治療方法を考えてもらいます。
また、日程や費用などもこの段階で話し合うので、ご自身の予定や予算をあらかじめ確認しておきましょう。

なお、この段階でそのクリニックの治療方法に納得できない場合は、治療を断ってほかのクリニックにかかることも可能です。
その際は、医師にセカンドオピニオンを受けたいという旨を伝えてみましょう。

手術当日の流れ

続いて、インプラント治療の手術中の流れを紹介します。
手術の種類は、一般的な2回法の場合です。

麻酔を注入する

手術を行う前に、歯ぐきに部分麻酔を注入し、手術中に痛みを感じないように患部を麻痺させます。
また、意識のある状態で手術を行うことに不安のある方は、静脈内鎮静法とよばれる方法により、半分眠ったような状態で治療を受けることが可能です。
静脈内鎮静法は、点滴で腕から注入する方法と、笑気ガスを口から吸入する方法が一般的です。

なお、インプラント治療において全身麻酔を使用することはほとんどありません。
なぜなら、手術時間が短いことと、全身麻酔は体への負担が大きいためです。

歯肉を切開する

麻酔を注入したら、まずはインプラントを埋め込みたい箇所の歯肉を切開します。
歯1本あたり、およそ1.5センチ程度の深さまでメスを入れます。

ドリルで顎の骨に穴を開ける

歯肉を切開したら、そこから顎の骨にドリルを用いて穴を開けます。
ドリルと聞くと怖いイメージを持たれるかと思いますが、医療用の安全なドリルを使用するため心配する必要はありません。

インプラント体を埋める

顎の骨に穴を開けたら、そこにインプラント体を埋め込みます。
このインプラント体が自分の骨と結合すると、強い土台となって、人工歯をしっかりと支えてくれます。

切開した歯肉を縫合する

インプラント体を埋め込んだら、先ほど切開した歯肉を縫合します。
縫合することにより、歯肉が細菌に感染にしにくくなるほか、インプラント体と骨が結合しやすくなります。

縫合してから1~2週間後に抜糸を行い、その後はインプラント体と骨が結合するまで待ちましょう。
なお待機期間の目安は、下顎がおよそ3~6か月、上顎がおよそ6か月です。

歯肉を切開してアバットメントを取りつける

インプラント体と骨が結合した頃にふたたび歯肉を切開し、埋め込んだインプラント体を露出させ、そこにアバットメントを取りつけます。
アバットメントを取りつけたら、歯肉の傷が治るまで1週間ほど待ちます。

型を取って人工歯を製作・装着する

アバットメントが定着したら、人工歯を作製するために歯の型を取り、出来上がりまで2週間ほど待ちます。

その後、人工歯をアバットメントに装着し、噛み合わせに問題がないかを確認したら、インプラント治療は完了します。

インプラント手術による痛みの有無

続いては、インプラント治療における手術中の痛みの有無を紹介します。
インプラント手術による痛みを心配さなっている方は、参考にしてみてください。

手術中に痛みを感じることは少ない

結論から申し上げますと、インプラント手術中に痛みはほとんど感じません。
なぜなら、必ず歯肉に局部麻酔を行い、患部を麻痺させた状態で手術するためです。

局部麻酔を打っても不安であるという場合は、静脈内鎮静法を用いてリラックスした状態で手術を受けることも可能です。

以上のことから、手術中の痛みを過度に心配する必要はないといえるでしょう。

手術後は鎮痛薬により次第に痛みは治まる

インプラント手術後に麻酔が切れると、痛みが発生する場合があります。
しかし、クリニックで処方される鎮痛剤を2~3日飲みつづければ痛みは治まるため、そこまで心配する必要はないでしょう。

もし1週間以上痛みが続く場合は、細菌に感染している可能性があるため、すぐにクリニックを受診する必要があります。

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インプラント手術による歯ぐきの腫れ

インプラント手術では歯肉を切開して縫合するため、一時的に歯肉が腫れる可能性があります。
しかし、クリニックで処方された薬を飲みつづけていれば、3日~1週間ほどで腫れは治まります。
もし腫れや痛みが長引くようでしたら、早めにクリニックを受診しましょう。

インプラント手術後の注意点

ここからは、インプラント手術を受けた直後の数時間から、2週間ほどは注意したい点を紹介します。

注意点①麻酔が効いているあいだは食事を控える

インプラント手術の直後は、まだ部分麻酔が効いており、口内が麻痺している状態です。
そのため、誤って口内を強く噛まないように注意しましょう。
食事は、麻酔が切れるまでの数時間はとらないことをおすすめします。

また、麻酔が効いているあいだは熱さも感じにくい状態になっているため、火傷しないように十分に注意する必要があります。

注意点②飲酒・喫煙を控える

インプラント手術後1~2週間は、飲酒と喫煙を控えましょう。

なぜなら、アルコールは血流を促進する作用があるので、歯肉の出血や痛みの原因になる場合があるためです。
また、タバコに含まれるニコチンという成分は、血管を収縮させてしまいます。
その結果、骨に十分な酸素と栄養が行き渡らず、骨が痩せてしまい、インプラントが定着しづらい状態になる可能性もあるのです。

また、喫煙はインプラント歯周炎の原因にもなるため、日常的に喫煙されている方はこの機会に禁煙を考えてみましょう。

注意点③激しい運動や入浴を控える

インプラント手術後の1週間は、激しい運動や、熱いお風呂に入ることも避けましょう。
どちらも血流を促進してしまい、歯肉の出血や痛みに繋がる場合があります。
運動は、たとえウォーキングのように軽い運動であったとしても、なるべく控えて安静に過ごすことをおすすめします。

なお、お風呂は適温のシャワーで済ませる程度であれば問題ありません。

注意点④食事の際は柔らかいものを食べる

手術から1週間程度は、なるべく柔らかいものを食べましょう。
なぜなら、まだ傷口が治りきっていない状態で固いものを食べると、歯肉が傷つき、ふたたび傷口が開いてしまう可能性があるためです。

具体的には、おかゆやスープ、豆腐、うどんなどがおすすめです。
また食べる際は、少量ずつを口に入れて、手術を受けたほうとは反対の歯でゆっくりと噛みましょう。

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注意点⑤歯磨きの際は毛先の柔らかい歯ブラシを使う

インプラント手術から1週間程度は、傷口に直接歯ブラシを当てないように注意が必要です。
刺激を加えると、傷口が開いて出血してしまう可能性があります。

ただし、ほかの歯はしっかりと歯ブラシで磨く必要があるため、なるべく柔らかい歯ブラシを使い、患部に当たらないように優しく磨きましょう。
フロスを使用する際も、手術後1週間程度は患部に当たらないように注意が必要です。

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インプラント治療が完了したあとの過ごし方

ここからは、インプラント治療が完了したあとの過ごし方も紹介します。

定期健診を受ける

インプラント治療を受けたら、初めての検診は1か月後、次に3か月後と、定期健診を受ける必要があります。
なぜなら、治療後のインプラントは、天然の歯よりも細菌に弱い性質を持つためです。

細菌に感染してインプラント周囲炎になると、歯ぐきの腫れや出血をともなうほか、骨が溶けてしまい、インプラントが取れてしまう原因にもなります。
たとえセルフケアを行っていても汚れを完全に取り除くことは難しいため、専用の掃除器具を使って歯のクリーニングを行ってもらいましょう。

また、インプラントによる痛みの有無や噛み合わせの確認、歯ぐきの状態なども一緒にチェックしてもらい、問題なく使い続けられるかどうかを確認する必要もあります。

定期健診を受けることで、ほかの歯の虫歯や歯周病を防ぐことにも繋がるため、その後も3~4か月に1回は定期健診を受けることが望ましいです。

日ごろのセルフケアを行う

インプラント治療後は日ごろのセルフケアも重要です。
なぜなら、インプラントの周りの歯肉が細菌に感染することを防ぐためには、毎日の歯ブラシで食べ物のカスを取り除くことが大切だからです。

このとき、歯ブラシだけではなく、必ずフロスも使いましょう。
歯ブラシだけでは、口内の汚れは半分程度しか落とせないといわれています。
そのため、フロスを使って歯と歯のあいだや、歯ぐきと歯の隙間を掃除するように心がけましょう。

インプラントの寿命や長持ちさせる方法

ここからは、インプラントの寿命と、なるべく寿命を延ばすための方法を紹介します。
インプラント治療をするからには、なるべく長く使用したいとお考えの方は、参考にしてみてください。

インプラントの寿命

インプラントの寿命は、インプラント体が脱落するまでの年数を指し、一般的には10~15年ほどといわれています。

日本口腔インプラント学会が、インプラント装着後20 年以上経過した患者 1,168 人を対象としてアンケート調査を行い、回答が得られた 509人のうち78%が「特に問題なく食生活ができている」と答えています。

参照:日本口腔インプラント学会「20 年以上経過したインプラント患者のアンケート調査」

ただし、日ごろのセルフケアや定期健診を行わなければ、寿命に届く前に脱落してしまう場合もあります。

なお、インプラントの最上部の人工歯の欠損や、アバットメントのネジが外れただけであれば、新たに作り直すか、修理を行えばふたたび使用可能です。

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インプラントの寿命はどれくらいなのでしょうか?

インプラントの寿命を延ばすための方法

インプラントの寿命を延ばすためには、日ごろのセルフケアと定期健診が大切です。
口内を清潔に保つことにより、インプラント周囲炎によるインプラント体の脱落を防ぐことができます。

また、長く喫煙している方の場合は、インプラント体と骨の結合が悪くなり、すぐにインプラント体が脱落してしまう可能性があります。
なるべくインプラントの寿命を延ばしたいとお考えの喫煙者の方は、この機会に禁煙を考えてみましょう。

さらにもう一点補足すると、歯ぎしりもインプラントに悪影響である場合があります。
なぜなら、歯を食いしばることで骨とインプラント体に直接負担がかかるためです。
歯ぎしりする癖がある方は、睡眠中に使用するマウスピースを作ったり、ボトックス注射で筋肉をゆるめたりするといった対策方法をおすすめします。

インプラント治療を受けられない方・向いていない方

続いては、インプラント治療を受けられない方や、向いていない方の特徴を紹介します。

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特徴①顎の骨量と密度が少ない

インプラント治療は顎の骨に穴を開ける必要があるため、顎に十分な骨量と密度が必要です。
そのため、年齢により骨密度が低下している方や、骨粗鬆症の方は、インプラント治療を受けることが難しい場合があります。

ただし、骨造成手術により顎の骨を増やすことも可能であるので、医師に相談して精密検査を受けてみましょう。

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【きぬた院長のメッセージ】

骨が薄い方でも、骨造成手術を行えば治療できます。

この骨造成手術は、インプラント治療ができるクリニックすべてが対応しているわけではありません。

当院でも、キャリアの違いから骨造成手術をマスターしていない歯科医師がおり、私や副院長が教えて技術を習得しています。

骨造成手術が必要になったとき、単に「うちではできません」と断るだけならよいですが、なかには「これはどこのクリニックに行っても無理だから、こっちの入れ歯にしましょう」と、必要のないお金を請求するクリニックもあります。

骨の密度が低い方が骨造成手術を受けて、インプラント治療が可能になるケースは往々にしてあるので、治療を検討しているクリニックで断られたら別のところを探しましょう。

その点きぬた歯科は、年間3,000本ものインプラントを埋入しており、骨造成手術の症例数も国内トップクラスです。

他院で骨造成手術を断られた方や、「インプラントを埋め込める顎ではない」とインプラント治療を否定された方も、まずはお問い合わせください。

特徴②金属アレルギーがある

インプラント治療に使用される金属はチタン製であるため、金属アレルギーを起こす可能性は極めて低いといわれています。

しかし、純チタン製であっても化合物がまったくないインプラントを作ることは難しいため、アレルギー反応が出ないとはいいきれません。
万が一アレルギー反応が出てしまった場合は、インプラントを取り外す必要があります。

金属アレルギーが不安な方は、皮膚科でパッチテストを受けてみましょう。

【きぬた院長のメッセージ】

現在世に出回っているインプラントのほとんどは、チタン製なので、金属アレルギーを発症する可能性は非常に少ないと思います。

当院でも、まれにチタンアレルギーの方がいらっしゃいますが、やはり治療は難しいです。

最近では、インプラントのなかでもチタンではない素材のものも少しずつ出てきてはいます。

しかし、まだまだ試作段階で、メーカーも強く押しているわけではないので、チタン製のインプラントのほうが安全性の保証がされているのかもしれません。

これらを考慮しても、現段階においてはチタンアレルギーの方のインプラント治療は難しいといえます。

特徴③ヘビースモーカーである

ヘビースモーカーの方は、インプラント治療を受けても成功しない可能性があります。
なぜなら、タバコに含まれるニコチンが血管を収縮させ、骨に十分な酸素と栄養が届いていない状態が続いているためです。
そのような状態の骨にインプラント体を埋め込んでも、骨とうまく結合しない可能性があるのです。

また、もし手術が成功したとしても、タバコによる影響でインプラント周囲炎が起きやすいリスクがあります。
インプラント周囲炎はインプラントを脱落させる原因となるため、インプラントが寿命を迎える前に外れてしまう可能性があるのです。

そのため、インプラント治療を受ける前に必ず精密検査を行い、治療後は禁煙を考えることをおすすめします。

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特徴④歯周病がある

歯周病がある方も、インプラント治療を受けることが難しいでしょう。
理由としては、インプラントは天然の歯に比べると細菌に感染にしやすいためです。

すでに口内に細菌がある状態ではリスクが高いので、まずは歯周病を完治させる必要があります。

特徴⑤未成年である

顎の骨がまだ発達しきっていない未成年の方は、インプラント治療を受けることができません。
なぜなら、まだ成長段階の顎の骨にインプラント体を埋め込むと、成長とともにインプラント体が動いてしまうためです。
たとえ18歳になっても、身長が伸び続けているあいだはインプラント治療を控えたほうがよいでしょう。

なお、インプラント治療を受けられないからといって、歯が抜けた状態を放置すると、ほかの歯が正常な位置に生えることを阻害してしまいます。
その結果、将来的にインプラント治療を受けることが難しくなってしまうため、歯が抜けている場合は義歯や保隙装置とよばれる器具を取りつける治療を受けましょう。

特徴⑥持病がある

糖尿病や腎臓病などの基礎疾患をお持ちの方も、インプラント治療を受けることが難しい場合があります。
なぜなら、基礎疾患によって免疫力が低下している場合が多く、手術によってできた傷口の治りが遅い場合があるためです。
傷口の治りが遅いほど、インプラント周囲炎とよばれる感染症にかかるリスクが高く、結果としてインプラントが脱落する原因となります。

そのため、インプラント治療を受けるかどうかを決める際は、主治医とよく相談する必要があります。

【きぬた院長のメッセージ】

インプラント治療の難易度は、ケースごとに千差万別です。

当院は、これまでの症例数によって、蓄積された技術と、経験豊富な歯科医師が揃っているので、インプラント治療をお断りするケースは非常に少ないです。

しかし、内科的な疾患で治療が安定していない方は、服用する薬も変わりますし、体調も安定していません。

そこに外科手術をくわえるのは、身体的な負担がかなり大きくなるので、インプラント治療をすぐには行えません。

その場合は、疾患の担当医と連携のうえ、疾患が落ち着いてからインプラントの治療に取り掛かるようにしています。

インプラントは、今すぐやらないと死に直結するものではありませんので、やはり患者様の体調を優先していただきたいです。

安心できるインプラント治療のクリニックの選び方

ここからは、インプラント治療を安心して任せられるクリニックを選ぶ際に押さえておきたい、8つのポイントを紹介します。

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ポイント①インプラント治療の症例数が多い

安心できるクリニックを選ぶ1つ目のポイントとして、ある程度の経験年数と実績があるかどうかという点が挙げられます。
なぜなら、インプラント治療には専門的な知識や技術を要する外科手術が含まれることから、ある程度の経験がなければ精巧な治療を行うことができないためです。

実績があるかどうかの判断基準としては、インプラント治療の年間症例数が10件以上あり、10年間のあいだに埋入したインプラントの本数が、合計300本以上であることが目安です。
担当医が上記の条件を満たしているかどうかをホームページや問い合わせフォームから確認してみましょう。

きぬた歯科のインプラント症例数はこちら

【きぬた院長のメッセージ】

インプラント治療ができるその治療に対する症例数は最低条件だと思います。

やはり私がそうであるように、まだ駆け出しの頃の症例と数年経ってからの症例では、技術的な部分は大きく違ってきます。

これまでの症例数を確認すれば、どのくらいの数をこなしているのかも一目瞭然ですし、それ相応の技術が身についているといえますからね。

ポイント②インプラントの素材にこだわっている

インプラントには非常に多くの種類があり、それぞれ素材や品質、値段が異なります。
そのため、より人体に適応しやすい素材で、悪影響を与えない品質のインプラントを使用しているクリニックを選ぶことも大切です。

高品質なインプラントは値段も高い傾向がありますが、治療後のトラブルを避けるためにも、品質を重視することをおすすめします。

なお、1本10万~20万円で治療ができると宣伝しているクリニックの場合は、インプラント自体の質があまりよくないものを使用している場合があるため、避けましょう。

ポイント③インプラント以外の治療にも取り組んでいる

安心できるクリニックを選ぶポイントとして、インプラント以外の治療にも取り組んでいるという点も挙げられます。
なぜなら、インプラント治療には総合的な歯科治療の経験が必要であるためです。
具体的には、現在の歯の状態をしっかりと把握できる能力や、歯周病の治療経験、噛み合わせを調整する能力などが挙げられます。

また、ブリッジや入れ歯の治療にも力を入れて取り組んでいるクリニックを選ぶことをおすすめします。
その理由は、検査の結果インプラント治療を受けられないとわかったときに、同じクリニックで治療を受けることができるためです。

ポイント④設備が整っている

安心できるクリニックを選ぶポイントとして、設備が整っているという点も挙げられます。
なぜなら、インプラント治療には精密検査と外科手術が必要であるためです。
精密検査には一般的なレントゲンではなく、歯科用CTを用いて見えない部分までチェックする必要があります。

また外科手術を受ける際も、衛生的な環境のオペ室で、精巧な治療が行える器具が揃っているクリニックのほうが安心して治療を受けることができます。

【きぬた院長のメッセージ】

クリニックのなかには、虫歯治療や親知らずの治療などで使う、一般的な診療台をきれいに清掃して、インプラント治療を実施しているところがあります。

しかし、たとえば歯を削るとなったときに、目に見えないレベルの粉塵が飛んできて、口腔内に入り込んで感染症を引き起こすケースは考えられなくはないですよね。

そのようなクリニックを完全否定するわけではありませんが、「トラブルが起こったときにそれでいいのか?」とは思います。

きぬた歯科には、クリーンルームとよばれる無菌状態の治療室を3部屋完備しています。

医療ドラマの手術シーンでよく見る設備と、同じようなものとお考えいただければ問題ございません。

インプラント治療は外科手術をともないますから、患者様の痛みや腫れを少しでも軽減させるだけでなく、感染症のリスクも極力ゼロに近づけたいと、設備にもこだわっています。

きぬた歯科の院内設備についてはこちら

ポイント⑤インプラント治療前にカウンセリングと精密検査を行っている

インプラント治療の前に、丁寧にカウンセリングと精密検査を行ってくれるかどうかという点も、クリニックを選ぶうえで大切なポイントです。

インプラント治療を受けるためには、さまざまな健康上の条件をクリアしなければならなりません。
そのため、精密検査は必ず行う必要があります。

また、インプラント治療は基本的に6か月~1年間かかることから、自分と相性のよい医師に治療してもらうことが大切です。
もしカウンセリングの時点で違和感があった場合は、別の病院でもカウンセリングを受けることをおすすめします。

ポイント⑥デメリット・リスク・治療費について事前に説明してくれる

インプラント治療を受ける前に、必ずデメリットやリスク、治療費まで説明してくれるかどうかも、クリニックを選ぶ際に押さえておきたいポイントです。

インプラント治療は外科手術をともなう規模の大きな治療であり、また治療期間も長いため、あらかじめデメリットやリスクを説明してくれるクリニックであれば安心です。

また、インプラント治療は保険適用外なので、費用がクリニックにより異なります。
さらに、費用の支払い方法や保証年数もクリニックにより異なるため、これらを事前に説明してもらう必要があります。
これらの説明をせず、一方的に治療を進めようとするクリニックは、避けたほうがよいでしょう。

【きぬた院長のメッセージ】

当院は、口コミで来ていただく方が多くいらっしゃいます。

「インプラントを入れている」という事実は、意外と他人に話すのに勇気がいることだと

そんななか、いろいろな方がご友人やお知り合いにきぬた歯科のインプラント治療を勧めてくださっています。

やはり知っている人から紹介された、という部分は一定の信頼にもつながりますよね。

また、よく聞かれる質問もある程度把握できているので、患者様から質問される前に、予防面や治療期間、費用などはすべてお話しさせていただきます。

皆さんが不安や疑問に思っていることは聞かれてから答えるのではなく、洗いざらい伝えてしまうイメージですね。

「あと3日くらいは痛む」「この歯はあまり長くもたないかもしれないが、この歯はまだまだ大丈夫」など、お話したことが合っていると信頼していただけるんです。

小さいことかもしれませんが、信頼を得るというのは、このように正しいことをしっかり伝えつづけることの積み重ねですよね。

私が言うのも何ですが、きぬた歯科は看板の知名度が高い一方で、胡散臭いと思われている事実もあります。

ただ、一度来院していただくと、「想像していたよりもしっかりしている」「安心して任せられる」と言っていただけることが多いですね。

最初にこちらからお話することで、自然に信頼していただいて良好な関係を築けていると思います。

インプラント治療の前にカウンセリングや精密検査を行い自分にあった治療方法を見つけてくれるクリニックを選ぼう

いかがでしたでしょうか?
本記事では、インプラント治療に関するさまざまな情報を徹底的に紹介しました。

インプラント治療を考えるうえでもっとも重要なポイントは、安心して治療を受けることができるクリニックであるかどうかという点です。
あらゆるリスクやトラブルを想定して、患者の健康状態を第一に考えてくれる医師であれば、安心してインプラント治療を任せることができるでしょう。

きぬた歯科のインプラント治療

当院の患者様アンケートでは、95%以上の方に満足お答えいただいております。

術後は定期健診で様子をしっかり見ていきます。当の定期健診は術後10年間無料です。また、きぬた歯科では、一般的には破壊してしまう作成した歯型をすべて保存しているため、10年後の治療でも当時の歯型を見ることができます。
このような患者様に寄り添った治療方針に加えて、年間3,000本以上のインプラント埋入実績を誇り、必ず患者様の健康と安全を確保したうえで治療を行っております。
インプラント治療をお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

監修者情報

日本歯科大学新潟生命歯学部を卒業後、インプラント治療に従事。現在では年間3000本以上のインプラント治療の実績がある。

日本でインプラント治療が黎明期だったころからパイオニアとして活躍し、インプラントメーカーのストローマン社やノーベルバイオケア社から公認インストラクターの資格を得た。

本の執筆やTV・雑誌などのメディア出演、自身のYouTubeチャンネルなどで情報発信を積極的に行っている。

<主な著書>
インプラント治療は史上最強のストローマンにしなさい!!
歯医者が受けたい!インプラント治療
あっそのインプラント、危険です!!

<YouTubeチャンネル>
八王子きぬた歯科