そもそもオールオン4とは?

オールオン4とは、口の中に4〜6本のインプラントを埋入し、そのインプラントを中心に連結した歯を固定する治療です。

通常のインプラント治療とどのような違いがあり、メリットが期待できるのかを確認していきましょう。

インプラント治療の概要については「インプラントとは?メリット・デメリットや他の治療との違い」をご覧ください。

オールオン4の特徴

オールオン4とは、入れ歯やブリッジのように脱着・脱落がなく歯根から人工歯に置き換えることができる治療方法です。

歯根があった場所のさらに奥へインプラント体を埋め込み、患者さん自身の骨と結合させてから上に支台や上部構造を被せます。

インプラントが体の一部になるため、他の治療法のようにグラグラ・ガタガタといった動揺がなく、強い力で自然にものが噛めるようになります。

 

入れ歯の場合は長期間の使用によって咀嚼機能が衰えてくるおそれがありますが、骨と結合して強固な歯を再建できるオールオン4ならしっかりとものを噛めるため、筋肉が衰える心配がありません。

また、1本ずつ人工歯を埋め込んでいくと、すべての欠損部分を補うために何年もかかってしまいます。オールオン4は6ヶ月程度の治療期間で元の歯に近い歯が揃えられます。

インプラント治療は1本ずつ欠損した部分に再建していきますが、失った歯が多い場合は1本ずつ再建すると多額の治療費がかかってしまうため、一度に10本以上の歯を固定できるオールオン4がおすすめです。

オールオン4治療で失敗するケースとは?

オールオン4治療で失敗するケースとしては、炎症の発生や噛み合わせの問題が挙げられます。治療に伴って発生し得るリスクについて、詳しく確認していきましょう。

インプラント治療を受ける際に起こりうる失敗例については「インプラント治療で失敗することはありますか?」をご覧ください。

インプラントとあごの骨が結合しない

インプラントは歯槽骨と呼ばれるあごの骨に埋め込み、骨組織と結合させます。しかし、埋め込み位置やその他の問題でうまく骨と結合しなければ、アバットメントや上部構造を取り付けることができません。

インプラントと骨が結合しない理由としては手術前の診断や計画に問題がある・固定が十分ではない・骨質など患者さんの体質的な問題・喫煙や服用薬の影響が考えられます。

埋め込みから3ヶ月程度が経過しても結合しなければ、新たに検査を行って治療計画を立て直すなどの対策が必要になります。

血管や神経が損傷した

インプラント治療では、埋め込み位置が不適切であると血管や神経を傷つけるため、慎重に治療を進めなければなりません。

万が一神経や血管に損傷が起きると、ピリピリとした痛みや感覚の麻痺、疼痛が現れてくるため、治療前にはなかった不快感に悩む可能性があります。

組織の損傷はオールオン4を含め、インプラント治療で後悔するケースの一つに数えられており、執刀医や病院の実績をよく確認してから治療を検討してください。

インプラント周囲炎を発症した

インプラント周囲炎とは、インプラントを埋め込んだ歯の周囲に炎症が発生するトラブルです。

炎症が軽いうちに治療を始めれば悪化する心配はありませんが、中程度以上に周囲炎が進行してくると歯茎の奥へと歯周病菌が入り込み、重度になるとインプラントのぐらつきが起きてきます。

お口のトラブルは放置すべきではありませんが、進行度が重いほど歯科医院への通院回数が増えるため、治療を後悔する可能性があります。

噛み合わない

インプラントを埋め込んだ位置がずれており、反対側の歯と噛み合わないトラブルにも注意が必要です。

インプラントは天然歯のように矯正治療が行えないため、慎重に埋め込まなくてはなりません。

噛み合わせが悪い場合はマウスガードの装着または調整が必要になりますが、いずれの場合も通院治療が必要になるため、予想以上に通院期間や治療費がかかってしまいます。

人工歯の形や色に違和感がある

インプラント体とアバットメントの上に被せる上部構造は、元の歯と遜色のない色・形で作るため、通常であれば違和感はありません。

しかし、骨への埋め込みが足りていないと歯と歯茎の境目が黒ずんで見えたり、歯茎にアバットメントが透けたときに不自然な色味が出現したりします。

アバットメントを金属ではなく白いセラミックにすると違和感がありませんが、そうした予防策が提案されていなければ、術後に違和感を覚えるかもしれません。

 

歯の形は元の歯と同じように作るのが一般的ですが、埋め込みの角度がずれると他の歯と一列に揃って見えず、おかしな形に見えるおそれがあります。

インプラントは埋め込みの位置だけではなく、角度にも違和感が出ないように注意しなければなりません。きれいな見た目に仕上がるようにアドバイスや提案を受けられるかどうかも、治療の結果を左右するポイントです。

術後に後悔しないためには、十分な検査と技術をもつ歯科医院・医師のもとで治療を受けることが大切です。

オールオン4治療の失敗を避けるために意識しておきたいこと

オールオン4治療の失敗を避けるためには、十分な情報収集が必要です。

治療費の安さだけをみるのではなく、いくつかのポイントに沿って歯科医院を比較し、カウンセリングを経て納得できた病院に治療を依頼してください。

ここからは、オールオン4治療の失敗を避けるために意識したい5つのポイントをみていきましょう。

歯周病を治療した後に手術を受ける

インプラントの埋入は骨に穴を開けるため、お口の中は清潔でなくてはなりません。

虫歯や歯周病がある場合は、インプラントよりも先に治療を行います。インプラント治療が決まった後は、お口の中を検査して歯周病や虫歯の有無を調べます。

インプラント治療は完了まで時間がかかるため、歯周病を残したままにしていると、インプラント治療中に症状が悪化する可能性があります。

 

歯周病がある状態というのは歯周病菌に侵食されている状態ですから、患部を放置してインプラント治療に取り掛かると、歯周病菌がインプラントの埋入部分に入り込むおそれもあるのです。

歯科医院の実績や評判を確認する

治療後に後悔しないためには、医師の手腕や経歴、歯科医院の実績と評判を必ず確認しましょう。

特に、オールオン4やインプラント治療に豊富な実績をもっている歯科医院を選び、その中から費用や通いやすさといった点で比較すると良いでしょう。

 

オールオン4は一度に何本もの歯を固定する治療です。1本ずつ埋入するインプラントよりも大掛かりな治療になりますので、患者さん目線で安全性と審美性を考慮してくれるクリニックを選ぶ必要があります。

インプラント治療のみではなくオールオン4の施術実績があるかどうかも重視してください。

ブラッシングを入念に行う

インプラント治療の後は、「インプラント周囲炎」と呼ばれる歯周病に注意が必要です。

インプラント周囲炎は骨を溶かすおそれがあり、普段からこまめなブラッシング・歯周ケアによって予防しましょう。

歯が入って安心し、ケアを怠ってしまうと歯周病菌が増殖を始めます。歯肉炎の症状が重篤化し、最終的には埋め込んだインプラントを歯茎が支えきれなくなり、脱落してしまいます。

人工歯は虫歯にならないため、油断しやすいものです。しかし歯茎や骨は患者さんご自身の組織ですから、歯周病菌が侵食しないようにお口の中は常に清潔に保ちましょう。

手術後には安静にする

インプラント治療は1回法・2回法という2種類の方法によって、人工歯の埋入を行います。どちらも外科手術を伴うもので、術後は患部に腫れや痛みが出るため、刺激しないように安静に過ごしてください。

患部が気になるからといって指で触ったり、何度も刺激したりすると傷口が開いて感染症にかかるおそれがあります。傷口から細菌が侵入すると、インプラント治療の妨げになってしまうため、予後を安静に過ごすことが重要です。

インプラント治療を実施する前に医師や歯科衛生士から説明を受けますので、説明にしたがって安静に過ごすようにしてください。

禁煙する

喫煙によってタバコの中に含まれる化学物質を直接体に取り込むと、血管が収縮して酸素や栄養が毛細血管に行き渡りづらくなります。

インプラント治療は1回から2回の手術を経て、傷口が治癒してからアバットメントや上部構造を取り付けていきます。

喫煙を続けていると治癒が遅れるばかりか、骨との結合がうまくいかないおそれもあるため、できるかぎり喫煙をしないように心掛けましょう。

インプラント治療の数ヶ月前から1本ずつ喫煙本数を減らしていき、治療前に禁煙に入れていると理想的です。

 

タバコに含まれる化学物質は、血液中の免疫である白血球の活動を妨げるという働きもあります。手術に限らず、治療を行っている間は炎症のリスクを抑えるためにも白血球の活動が書かせません。

お口の中のバランスを保つためには、その場限りの禁煙ではなく、インプラント治療を契機に喫煙本数を減らし、継続的にタバコを断つことが大切です。

信頼のできる医院に相談し治療を計画しよう

今回は、インプラント治療の一種であるオールオン4治療で失敗する可能性と予防方法について紹介しました。

埋入位置の間違い、血管や神経の損傷リスクについては、歯科医師や歯科医院をよく比較して見極めることで予防できます。

インプラント歯周炎は治療後のケアが予防に役立ちます。歯の大きさに合う歯ブラシを使い、正しくブラッシングを行いましょう。

少しでも治療に関して不安があれば、インプラント治療実績が豊富で信頼のできる歯科医院へご相談ください。

 

きぬた歯科では、25年の施術経験と年間3,000本を超える埋入実績があります。

幅広い症例に対応可能ですので、インプラント治療を検討されている方は、お気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

日本歯科大学新潟生命歯学部を卒業後、インプラント治療に従事。現在では年間3000本以上のインプラント治療の実績がある。

日本でインプラント治療が黎明期だったころからパイオニアとして活躍し、インプラントメーカーのストローマン社やノーベルバイオケア社から公認インストラクターの資格を得た。

本の執筆やTV・雑誌などのメディア出演、自身のYouTubeチャンネルなどで情報発信を積極的に行っている。

<主な著書>
インプラント治療は史上最強のストローマンにしなさい!!
歯医者が受けたい!インプラント治療
あっそのインプラント、危険です!!

<YouTubeチャンネル>
八王子きぬた歯科

<外部サイト>
きぬた 泰和 Wikipedia