歯が抜けてしまった場合の応急処置の方法

不慮の事故や転倒などにより、歯が抜けてしまった場合は、下記で紹介する処置を行ってください。
また、歯が抜けた状態を放置すると重大なトラブルに発展することがあるため、速やかにクリニックを受診しましょう。

方法①ガーゼやティッシュを噛んで止血する

歯が抜けた部分から出血している場合は、清潔なガーゼやティッシュなどを強く噛み、歯茎を圧迫して止血を試みましょう。
歯が抜けた部分を圧迫することにより、ほとんどの場合は15~20分ほどで血は止まります。
それでも出血が止まらないという場合は、血管を収縮させるために、氷をくるんだタオルや冷たいタオルを頬にあててください。

また、強くうがいをすると再び出血することがあるので、口内に血が溜まって気持ち悪い場合であっても、軽くすすぐ程度にとどめましょう。

方法②抜けた歯を生理食塩水や冷たい牛乳に浸す

抜けた歯は、生理食塩水や冷たい牛乳に浸して保存しましょう。
実は、抜けた歯には「歯根膜(しこんまく)」といわれる、歯の再生にかかせない組織が残っています。
この歯根膜は時間の経過とともに劣化しますが、生理食塩水や牛乳などに浸すと劣化しにくくなるという特質があります。

ただし、特殊な方法で加熱が行われているロングライフミルクや、一般的な牛乳よりも含まれている成分が少ない低脂肪乳などは、歯の保存に向いていないので注意が必要です。
もし、生理食塩水や牛乳などを用意できない場合は、自分の口の中に歯を入れても問題ありません。

歯が抜けたときにやってはいけないこと

歯が抜けた際に、誤った処置を行ってしまうと、歯が元に戻らなくなることがあります。
ここからは、歯が抜けたときにやってはいけない注意点を紹介しますので、応急処置の方法とあわせて確認してみてください。

注意点①歯を乾燥させない

歯に付着した唾液をとるために、歯は乾燥させたほうがよいと考えられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、抜けた歯は乾燥に弱いという性質があるため、乾燥した場所に30分以上放置すると、歯が元に戻せなくなることがあります。
抜けた歯が元に戻る可能性を高めるためにも、歯は適切な方法で保存し、速やかにクリニックに行くことを心がけましょう。

注意点②歯を洗浄しない

石鹸や消毒液などを使って、抜けた歯を念入りに洗うことも避けましょう。
なぜなら、歯を洗うことにより、歯と骨をくっつける歯根膜を剥がしてしまう可能性があるからです。
歯に付着した砂やホコリなどを軽く水道水で洗い流す程度であれば大丈夫ですが、ゴシゴシこすらないようにしましょう。

注意点③歯の根っこに触らない

抜けた歯の根っこに素手で触れてしまうと、歯根膜が細菌感染を起こす可能性があります。
歯根膜が細菌感染を起こした状態で、抜けた歯を歯茎に埋入させると炎症を起こし、歯が元に戻らなくなることがあるため、注意が必要です。
抜けた歯を持つときは、お箸やゴム手袋などを使い、なるべく歯の根っこを触らないようにしましょう。

歯を抜けたままにするリスク

歯を失った状態を放置すると、口内だけではなく、全身の健康状態が悪化する可能性があるので、速やかにクリニックを受診してください。
歯が抜けた状態を放置することにより、以下のようなリスクが生じることがあるため、注意しましょう。

リスク①顎の痛みや肩こり

歯が抜けた状態を放置すると、両側の歯がそのスペースに倒れるように移動します。
隙間が空いた歯と歯のあいだには汚れが溜まりやすく、虫歯や歯周病の原因となります。

さらに放置すると奥の歯まで倒れてきて、噛み合わせも悪くなるでしょう。
噛み合わせが悪いと顎の痛みや肩こり、頭痛など全身に痛みが生じるようになってしまいます。

リスク②老化

歯が抜けることは、見た目の印象が悪くなってしまうだけではなく、老化にも繋がります。
歯がない状態では噛む力が弱くなることにより顔の筋肉が衰えるため、たるみやシワができやすくなります。
結果として、老化の進行が早まる可能性が高まるため、注意が必要です。

リスク③認知症

歯が抜けた状態で生活をしていると、認知症になるリスクも高まります。
脳はものを噛むことによって刺激されるので、歯がなくなると咀嚼の回数が減り、脳への刺激も減ってしまいます。
その結果、記憶力や学習能力が低下し、認知症に繋がる恐れがあるのです。

歯が抜けた場合の治療方法

ここからは、歯が抜けた場合の治療方法を紹介します。
いくつか方法があるので、自分に合う方法を見つけるためにも参考にしてみてください。

治療方法①インプラント治療

インプラント治療は、歯を失った部分の根元にインプラントという人口の歯根部を埋め込んで土台を作り、なじませてから歯冠部を装着するという治療方法です。
嚙み心地も自分の歯とほとんど変わらず、審美性にも優れており、周りの健康な歯に負担をかけずに治療できることから、近年注目されてきています。

ただし、保険適用外の治療方法であるため、治療費が高額であることや、手術に時間がかかるという点には注意が必要です。
また、インプラントを長期的に使うためには、定期的にクリニックに通って、メンテナンスを受ける必要があるという点も覚えておきましょう。

インプラントとは?メリット・デメリットや他の治療との違い

治療方法②ブリッジ治療

ブリッジ治療は、抜けた部分の隣の歯を削って支えを作り、代用の歯をかぶせる治療方法です。
自分の歯を使える方法であるため、治療時間が短く、違和感も少なく済みます。

ただし、ブリッジ治療は自分の健康な歯まで削らなければならないという点が注意点として挙げられます。
また、健康な歯が生えていることが前提になるため、抜けている歯が多い場合はこの治療方法は受けられません。

治療方法③入れ歯治療

入れ歯治療は、人口樹脂で連結した義歯を、歯を失ってしまった部分のまわりの歯、または歯茎に固定する治療方法です。
手術が不要なので治療時間も短く済み、保険も適用されます。

ただし、入れ歯は、インプラントやブリッジに比べると噛む力が弱いという特徴があります。
また、お手入れに時間がかかるという点や、入れ歯を引っかけるツメの部分が隣の歯に当たるので、健康な歯まで傷つけてしまうことがあるという点には注意が必要です。

歯が抜けた場合は歯茎の止血や歯の保存など適切な応急処置を心がけましょう

いかがでしたでしょうか。

歯が抜けた状態を放置すると、口内だけではなく健康状態に被害が生じることもあるため、 口内の止血と抜けた歯の保存をしたうえで、速やかにクリニックを受診しましょう。
また、歯が抜けた場合の治療方法にもインプラントやブリッジ、入れ歯などの方法があるため、 自分に合った治療方法を選ぶことをおすすめします。

歯が抜けてしまった場合の治療方法にお悩みの方は、ぜひきぬた歯科までご相談ください。

インプラント治療における症例と技術は国内でも最高水準だと自負しておりますので、満足のいく治療を行います。

きぬた歯科では 、静脈内鎮静法を用いてインプラント治療を行っています。
インプラント治療を検討している方は、年間3,000本の治療実績を持つきぬた歯科にお任せください。

この記事の監修者

日本歯科大学新潟生命歯学部を卒業後、インプラント治療に従事。現在では年間3000本以上のインプラント治療の実績がある。

日本でインプラント治療が黎明期だったころからパイオニアとして活躍し、インプラントメーカーのストローマン社やノーベルバイオケア社から公認インストラクターの資格を得た。

本の執筆やTV・雑誌などのメディア出演、自身のYouTubeチャンネルなどで情報発信を積極的に行っている。

<主な著書>
インプラント治療は史上最強のストローマンにしなさい!!
歯医者が受けたい!インプラント治療
あっそのインプラント、危険です!!

<YouTubeチャンネル>
八王子きぬた歯科

<外部サイト>
きぬた 泰和 Wikipedia