歯を失った場合の治療法

歯を失った場合の治療法はさまざまにあります。
主な治療方法は次のとおり、インプラント、ブリッジ、入れ歯、矯正治療の4種類です。

治療法1:インプラント

顎の骨にインプラント体を埋め込み、義歯を固定させる治療方法です。
保険適応外であるため治療の費用が高く期間も長くかかりますが、機能性・審美性に優れており、天然歯と遜色がありません。

治療法2:ブリッジ

失われた周囲の歯を土台として、針金で義歯を装着させる治療方法です。治療のための期間が短く、費用も抑えられますが、針金をかけるために健康な歯を削らなければならないことがデメリットとなります。

治療法3:入れ歯

入れ歯には総入れ歯と部分入れ歯の2種類があり、 1本だけ歯が失われた場合でも部分入れ歯を装着できます。
入れ歯もブリッジと同じように、失われた両隣の歯に金具をかけて土台にし、義歯を装着する治療方法です。

治療法4:歯列矯正

歯が失われたとき、歯列矯正の治療を行えることがあります。
歯列矯正であれば歯の位置を調整することにより、すべてご自身の歯のみで治療を完結させられることがメリットです。
しかし失われた歯の本数や状況により、歯列矯正治療では難しいこともあります。

インプラントとは?

歯を失ったときの選択肢のひとつであるインプラント治療とは、顎の骨に人工的な歯根を埋め込み、義歯を装着する治療方法です。
人工歯根はいずれ顎の骨と結合するため、しっかりとした土台が得られます。
そのため咀嚼力や発音に支障が出にくく、機能性に優れており、天然歯と同じように使えることが特徴です。

ただし保険適応外の治療となるため高額であり、治療期間も長くなります。
また顎の骨に穴を開ける外科的手術が必要となる点が大きな特徴です。

ブリッジとは?

ブリッジ治療は3本以上の連結した義歯をかけて失った歯を補う治療方法です。
失われた両隣の歯を削って土台として、義歯を装着します。
義歯は被せ物となり、顎の骨とは結合されません。

インプラントに比べて手軽に治療が受けられ治療費が安く、治療期間が短いため受けやすい治療です。
また外科的手術も必要なく手軽に受けられます。
義歯となる被せ物で歯を一列につなげるため、入れ歯に比べると審美性は高く感じられるでしょう。

インプラントのメリットとデメリット

インプラントとブリッジは、根本的に治療方法が異なります。
それではインプラントにはどのようなメリットとデメリットがあるのか、詳しく見ていきましょう。

インプラントのメリット

まずはメリットからご紹介します。

【メリット】

  • 審美性が高く見た目に義歯であることがわかりにくい
  • 天然歯と同等の咀嚼力が得られる
  • 健康な歯に負担をかけずそのまま残せる
  • 歯を削らなくても義歯を装着できる
  • ブラッシングしやすい

大きなメリットであるのが、見た目が自然であることと、高い咀嚼力が得られることです。
またブリッジのように健康な歯を削る必要もないため、歯を残したい方にとっては嬉しい治療方法となるでしょう。
自宅でのケアが簡単であるため、日々のストレスにもなりません。

インプラントのデメリット

続いてはインプラントのデメリットです。

【デメリット】

  • 外科的手術が必要となり恐怖心を感じる
  • 治療費が高額となる
  • 治療期間が長い

インプラントは歯科治療の中でも、大掛かりな手術が必要となる治療方法です。
恐怖心を感じる方も少なくなく、手術のための高額な治療費も必要となります。
また治療期間が長いため、完了するまでに1年ほどかかることもあるでしょう。

ブリッジのメリットとデメリット

それでは次に、ブリッジのメリットとデメリットも見ていきましょう。

ブリッジのメリット

ブリッジのメリットは次のとおりです。

【メリット】

  • 外科的手術が不要で気軽に治療を受けられる
  • 保険適応外の治療では高い審美性が得られる
  • 天然歯と近い咀嚼力が得られる
  • 治療費を抑えられる
  • 治療期間が短い

インプラントのような外科的手術は不要で、治療費用を抑えられることがメリットです。
入れ歯よりも咀嚼力が高く、素材によっては審美性も悪くありません。
治療期間も1~3か月と短いため、通院へのストレスも軽減されます。

ブリッジのデメリット

ブリッジにはメリットとともに、次のようなデメリットもあります。

【デメリット】

  • 問題のない歯を削らなければならない
  • 土台となる歯が弱りやすい
  • 骨の吸収で顎の骨が弱ることがある
  • 毎日のケアが難しい
  • インプラントに比べて咀嚼力が低くなる

ブリッジの大きなデメリットとなるのが、健康な歯へのダメージです。
失われた歯の両隣の歯を削らなければならず、さらに土台となることから負担が大きくなります。
顎の骨への連結がないため、骨が弱ってしまうこともあるでしょう。
インプラントに比べるとケアが難しく、咀嚼力も低くなります。

インプラントとブリッジの特徴を比較

インプラントとブリッジのどちらにしようかと迷っている方に向けて、それぞれの特徴をわかりやすく比較していきます。

インプラント ブリッジ
治療費 1本あたり32.8~39.9万円[1] 1本あたり1.0~26.4万円
治療期間 3~12か月 1~3か月
保険適応の有無 一部の症例を除きなし 基本的には保険適応
手入れのしやすさ ブラッシングしやすい ブラッシングしにくい
健康な歯への負担 なし あり
咀嚼力 高い インプラントに比べると低い
治療の簡単さ 外科的手術が必要 気軽に受けられる

両者の治療方法を比較すると、やはり治療費用や治療期間の差が目立ちます。
また手入れのしやすさや健康な歯への負担も両極端であり、コストの低さか機能性のどちらを選ぶかによって選択は変わるでしょう。

インプラントかブリッジかを選ぶ基準

インプラントとブリッジの違いについて解説しました。
しかしやはりどちらを選ぶべきか、決めきれない方もいるのではないでしょうか。
そこでケース別にどちらを選ぶべきか、4つのパターンでご紹介します。

ご自身の希望に近いケースをチェックし、選ぶべき治療方法を判断してください。

基準1:健康な歯を残したい

もし「健康な歯を残したい」との思いが強いのであれば、インプラントをおすすめします。

ブリッジは土台となる両隣の歯を削らなければ治療を行えません。
また土台となった歯は義歯の日常使用において、継続的に負担がかかり続けることになります。

しかしインプラントは顎の骨に直接義歯を装着させるため、周囲の歯の健康を守られるメリットがあります。
残っている歯の健康を重視するなら、インプラントを選ぶべきです。

基準2:金属アレルギーがある

金属アレルギーがある方であれば、比較的インプラントの方がリスクが低いと言えます。
インプラントに使用される金属はチタンであり、金属アレルギーの症状が現れにくい金属だと言われているためです。

しかしチタンで金属アレルギーが100%引き起こらないわけではありません[2]。
また歯科医院によっては、金属を使用しないブリッジが使用されていることもあります。
一般的には金属アレルギーの方にはインプラントの方が向いているとされますが、ケースバイケースでブリッジの方が良いこともあるでしょう。

基準3:費用を抑えたい

治療費を抑えたいのであれば、ブリッジを選んだほうが満足度が高くなります。

インプラントは保険適応外の治療であり、義歯治療の中では最も高額です。
ブリッジであれば保険も適応され、インプラントに比べると大幅に治療費を抑えられるようになります。
費用を抑えることを第一の奥的とするなら、ブリッジの方を選びましょう。

基準4:高齢である

もし高齢で体力が低下しているなら、ブリッジ治療の方が適していると考えられます。
なぜならインプラントは、体力が低下している方だと治療自体を受けられない可能性があるためです。

インプラント治療では、顎の骨に穴を開ける外科手術が必要となります。
そのため体力が低下している方や、全身疾患を持っている場合は治療が受けられないかもしれません。

しかしブリッジであれば、体力が低下している方でも問題なく治療を受けられます。
手術に耐えられるだけの体力があれば、高齢の方でもインプラントは可能です。
しかし不安があるなら、ブリッジ治療を選んだほうが無難でしょう。

インプラントブリッジの選択は状況に応じて

いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでいただくことで、インプラントとブリッジの違いや選び方がご理解いただけたと思います。

インプラントとブリッジのどちらを選ぶかは、個人の希望や状況に応じて変わるものです。
ご自身が治療に何を期待するのかを明確にすれば、自ずとどちらにするべきかがわかるでしょう。

きぬた歯科はインプラントにおいても、技術力と良心的な価格のバランスの良さを求める歯科医院です。
費用を抑えた治療をご希望の方は、ぜひ一度ご相談ください。

[1]竹本和代ほか著. 「いい歯科インプラント治療医」を選ぶ!. 朝日新聞出版社 2013; 188
[2]参照:JSTAGE:(PDF)金属アレルギー患者に対するインプラント治療:チタン製修復物による暴露試験を行った1症例

 

きぬた歯科ではウイルス・感染への対策を万全にしており、インプラント周囲炎のリスクを最小限に減らしています。
施術時間の短さにより術後の回復が早いことも強みですので、痛みへの不安がある方も、ぜひきぬた歯科までご相談ください。

この記事の監修者

日本歯科大学新潟生命歯学部を卒業後、インプラント治療に従事。現在では年間3000本以上のインプラント治療の実績がある。

日本でインプラント治療が黎明期だったころからパイオニアとして活躍し、インプラントメーカーのストローマン社やノーベルバイオケア社から公認インストラクターの資格を得た。

本の執筆やTV・雑誌などのメディア出演、自身のYouTubeチャンネルなどで情報発信を積極的に行っている。

<主な著書>
インプラント治療は史上最強のストローマンにしなさい!!
歯医者が受けたい!インプラント治療
あっそのインプラント、危険です!!

<YouTubeチャンネル>
八王子きぬた歯科

<外部サイト>
きぬた 泰和 Wikipedia