静脈内鎮静法で治療を受けるとどのような状態になる?

静脈内鎮静法でインプラント治療を受ける場合、完全に意識がなくなることはないものの、中枢神経の働きが弱まるため、眠っているようなリラックスした状態になります。

局部麻酔だけで治療を受けると、麻酔をした部分の痛みは感じませんが、意識ははっきりとしたままです。
そのため、手術中の音が聞こえたり振動を感じたりしてしまい、治療に対して恐怖心を抱くかもしれません。

しかし、静脈内鎮静法は半分眠っているという状態になるので、音や振動をほとんど感じることはなく、ストレスなく治療を受けられます。
実際に静脈内鎮静法を受けた患者様のなかには、眠っているあいだに治療が終わり、治療中の記憶が残っていないという方も多くいらっしゃいます。

静脈内鎮静法と全身麻酔の違い

静脈内鎮静法と全身麻酔の大きな違いは、治療中の意識の有無です。

そもそも、全身麻酔は開頭手術や開腹手術などの規模が大きい手術のときに用いられることが多いので、インプラント治療ではほとんど使用されません。
インプラント治療で全身麻酔を使ったときは、患者様の意識が完全になくなるので人工呼吸器が必要です。

また、全身麻酔は回復するまでに時間がかかるため、手術後に入院をしなくてはなりません。
しかし、静脈内鎮静法は治療後の回復時間が全身麻酔よりも早いので、意識が戻れば治療当日に自宅に戻れます。

静脈内鎮静法のメリット

静脈内鎮静法は、安心してインプラント治療を受けるために有効な麻酔法です。
ここからは、静脈内鎮静法で治療を受けることで得られる3つのメリットを紹介します。

メリット①ストレスを感じずに治療を受けられる

局所麻酔と静脈内鎮静法を併用することで、治療に対する不安や恐怖心を和らげられストレスを軽減させた状態でインプラント治療に臨めることがメリットです。

実際に手術を受けるとなると、不安や恐怖心を抱えてしまう方もいらっしゃいます。
過度な不安や恐怖心を抱えてしまうと、麻酔が効きづらくなるということもあります。

そのため、手術への恐怖心が強い方はインプラント治療を受けるときに、局部麻酔と静脈内鎮静法を併用することがおすすめです。

メリット②治療中の音や振動の記憶が残りづらい

静脈内鎮静法は、一定期間の記憶を忘れさせる健忘効果があるため、インプラント治療中の記憶を残さないことが期待できます。
治療中の音や振動による嫌な記憶が残らないため、歯科治療がトラウマになるといった事態を防げます。

完全に意識がなくなるわけではないので、治療中に何か聞かれたときに反応することはできますが、治療後はその記憶すらもないといったケースがほとんどです。
また、時間を正確に把握する感覚も鈍くなるので、気づいたら治療が終わっていると感じる方もいらっしゃいます。

メリット③インプラント治療の安全性が上がる

一般的に、静脈内鎮静法でインプラント治療を行う場合、麻酔医が患者様の脈拍数や酸素飽和度、血圧などを常に確認します。
麻酔医が患者様の全身管理を行うので、治療中に容体が変化したとしても、すぐに適切な対処をすることが可能です。

また、静脈内鎮静法で不安や恐怖心を和らげてリラックスできることにより、自然と血圧や心拍数が安定する傾向にあります。
そのため、落ち着いた状態でインプラント治療を受けられる可能性が高いでしょう。

静脈内鎮静法のデメリット

静脈内鎮静法により、安心してインプラント治療を受けられる一方、さまざまなデメリットもあります。
以下で、静脈内鎮静法の3つのデメリットを紹介します。

デメリット①費用が高くなる

静脈内鎮静法は、局部麻酔のみでインプラント治療を受ける場合よりも費用が高くなります。
なぜなら、静脈内鎮静法で治療を受けるときは、麻酔医の付き添いや全身管理のための機材などさまざまな準備が必要であり、その分費用がかかるからです。
また、静脈内鎮静法には保険が適用されないことも、理由の1つです。

静脈内鎮静法の費用の目安は約10万円ですが、歯科医院によってはさらに費用がかかることもあるため、事前に確認しておくことをおすすめします。

デメリット②多少のリスクがある

静脈内鎮静法は、全身麻酔のように完全に意識がなくなったり人工呼吸器が必要になったりするわけではありませんが、多少のリスクはともないます。

場合によっては、血圧や呼吸の状態に影響が出ることもあります。
ただし、容体が急変した場合でも麻酔医が常に全身管理を行ってくれているので、すぐに適切な対処をしてもらうことが可能です。

また、静脈内鎮静法で使用する薬剤により副作用が出るケースもありますが、麻酔医が酸素飽和度や血圧などを常に確認しながら、投与する薬の量を調節していきます。
そのため、過度に心配する必要はないでしょう。

デメリット③治療の当日は安静にする必要がある

静脈内鎮静法でインプラント治療を受けた場合、入院の必要はありませんが、しばらく眠気を帯びた状態になります。
意識が薄くなるので、回復するまでに2時間ほどかかるといわれています。
そのため、治療後は仕事や運動などを避けて、安静に過ごさなくてはなりません。

また、治療後は車や自転車の運転、アルコールの摂取も控える必要があります。
このように、治療が終わったあとは安静に過ごさなければならないという点は、静脈内鎮静法のデメリットの1つだといえます。

静脈内鎮静法はインプラント治療で用いられることの多い麻酔法の1つ

いかがでしたでしょうか?

静脈内鎮静法は、点滴で静脈内に鎮静薬や麻酔薬を入れる麻酔法で、インプラント治療では局部麻酔と併用して用いられることが多いです。

静脈内鎮静法を使うことにより不安や恐怖心を和らげて、リラックスした状態で治療を受けられます。
また、治療中の音や振動の記憶が残らないため、手術に対するトラウマを防ぐこともできます。

ただし、局部麻酔のみで治療を行うよりも費用がかかる点や、多少のリスクがともなう点は、デメリットだともいえるでしょう。

きぬた歯科では 、静脈内鎮静法を用いてインプラント治療を行っています。
インプラント治療を検討している方は、年間3,000本の治療実績を持つきぬた歯科にお任せください。

この記事の監修者

日本歯科大学新潟生命歯学部を卒業後、インプラント治療に従事。現在では年間3000本以上のインプラント治療の実績がある。

日本でインプラント治療が黎明期だったころからパイオニアとして活躍し、インプラントメーカーのストローマン社やノーベルバイオケア社から公認インストラクターの資格を得た。

本の執筆やTV・雑誌などのメディア出演、自身のYouTubeチャンネルなどで情報発信を積極的に行っている。

<主な著書>
インプラント治療は史上最強のストローマンにしなさい!!
歯医者が受けたい!インプラント治療
あっそのインプラント、危険です!!

<YouTubeチャンネル>
八王子きぬた歯科

<外部サイト>
きぬた 泰和 Wikipedia