前歯と奥歯(臼歯)との違い

そもそも、前歯と奥歯は違う役割を担っています。中心から数えて3番目までの歯を指す前歯は、先端が平べったく、食べ物を噛み切る役割があります。さらに、前歯は目立つため、歯の印象を大きく左右する歯でもあります。

中心から数えて4番目から後ろの歯を指す奥歯は、食べ物をすりつぶして細くしたり、切り裂いたりする役割を担っています。
また、奥歯には噛み合わせを安定させる役割もあり、バランスが悪いと姿勢が悪くなったり、噛む力が入らなかったりします。

このように歯にはそれぞれの役割があり、いずれも重要です。

前歯のインプラント治療が行えないケース

冒頭でも述べたように前歯のインプラント治療は可能です。しかし、以下に当てはまる場合は、治療を行うことができません。

  • 既定の年齢に満ちていない
  • 全身疾患をお持ち・妊娠中である
  • 虫歯・歯周病がある

ここでは、それぞれの治療が行えないケースを詳しく紹介します。

既定の年齢に満ちていない

18歳未満の方は、インプラント治療を行うことができません。これは、歯の変わりは12歳前には終了するものの、18歳位までは下顎が成長するためです。

顎の成長が終わっていないにもかかわらず、インプラント治療を行ってしまうと、噛み合わせや顔に影響を及ぼす可能性があります。ただし、発達には個人差があるため、最終的な判断は歯科医師が行います。困ったら、まずは歯科医師に相談してみてください。

全身疾患をお持ち・妊娠中である

特定の全身疾患をお持ちの方や、薬を服用していたり、妊娠中の方は、インプラント治療ができない可能性があります。全身疾患の具体的な例は、高血圧、糖尿病、骨粗相症などです。

ただし、薬の服用を休んだり、体調管理を徹底したりすれば、インプラント治療を受けられるケースもあります。全身疾患をお持ちの方や、妊娠中の方でインプラントを受けたい方は、かかりつけの医師と歯科医師のどちらにも相談しましょう。

また、妊娠中の場合は赤ちゃんへの影響を防ぐためにも、出産後に体調が安定してからインプラント治療を行うことをおすすめします。

虫歯・歯周病がある

虫歯や歯周病がある方はインプラント治療ができません。歯や歯茎の健康状態が良くないままインプラント治療を行うと、細菌感染を起こす可能性があるためです。
仮に治療をしないままインプラント治療をしたとしても、痛みやインプラントの脱落によって再治療になるリスクがあります。
まずは虫歯や歯周病の治療をしてから、インプラント治療に移ります。

前歯のインプラント治療を行うメリット

前歯のインプラント治療を行うメリットは、主に以下の4つです。

  1. 審美性に優れている
  2. 高い咬合力を実現できる
  3. 周囲の歯への負担を軽減できる
  4. 高寿命である

インプラント治療を受けようか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

メリット①審美性に優れている

インプラント治療の最大のデメリットとも言えるのが、審美性の高さです。
特に前歯は歯の中で最も目立つ部分であるため、不自然な見た目は会話のときに気になってしまう方も多くいるでしょう。

しかし、インプラントであればブリッジや入れ歯といった他の治療法よりも、天然の歯に近い仕上がりであるため、見た目を気にする方でも安心です。
インプラントの仕上がりは歯科クリニックによって多少の差はあるものの、見た目を重視する方であればインプラントがおすすめです。

メリット②高い咬合力を実現できる

インプラントは審美性に優れているだけではなく、噛む力が強いのもメリットの1つです。インプラントには人工歯根があり、残った歯が支えとなるブリッジよりも噛む力が強くなります。

具体的な噛む力としては、失った歯の8割から9割程度回復できるといわれています。
噛む力が強くなれば、食事に制限がかからなくなり、美味しく食事が可能です。さらに顎の筋肉の発達、お口全体の健康維持にも効果があります。

メリット③周囲の歯への負担を軽減できる

インプラントは他の歯に負担をかけることがほとんどありません。ブリッジや入れ歯といった治療法は、両隣の健康な歯を削るケースが多く、歯への負担が挙げられます。

一方、インプラントは顎の骨にチタン製の人工歯根を埋めて歯を装着するため、周囲の歯への負担はほとんどありません。歯列全体の健康を考える方は、インプラント治療を検討してみましょう。

メリット④高寿命である

最後のメリットは、寿命が長いことです。一般的に保険治療の部分入れ歯は5年保てば良い方だと言われており、ブリッジの場合でも7年から8年程度が平均的な寿命です。一方、インプラントは適切なメンテナンスを行えば、10年以上使用し続けることが可能です。

90%以上のインプラントが、10年以上問題なく使い続けられているとのデータもあります。
定期的なメンテナンスが必要となるものの、しっかりと歯医者に通っていれば、15年、20年と長持ちするのはインプラントならではのメリットといえるでしょう。

前歯のインプラント治療を行うデメリット

前歯のインプラント治療には高い咬合力を実現できたり、高寿命であったりとさまざまなメリットがある一方で、デメリットもあります。具体的なデメリットとしては以下の3つです。

  1. 高額である
  2. 審美性を担保できない場合がある
  3. 治療を行えないケースもある

メリットだけではなく、ここで紹介するデメリットを踏まえたうえで、インプラント治療を受けるか考えてみましょう。

デメリット①高額である

インプラントは審美性に優れており、高寿命とのメリットもあるものの、どうしても高額になりがちです。
インプラント治療は事故や先天的な病気で歯や顎を失い、一部保険適用になるケースを除いて、一般的には自費診療です。

インプラントの料金はクリニックによって異なりますが、おおよそ30万円から50万円程度となっており、これに加えて手術の追加料金がかかります。
骨造成や歯肉の移植で10万円前後の費用がかかり、手術の方法によっては20万円から30万円の費用になります。

このように部分入れ歯やブリッジに比べて費用が高いため、インプラント治療を受けるのは難しいと感じる方も多いでしょう。

デメリット②審美性を担保できない場合がある

インプラントは審美性が高いのがメリットですが、一方で担保できない場合もあります。そもそも前歯のインプラントは骨や歯茎が薄く難易度が高いものです。それに加えて仕上がりの美しさも求められ、より高い技術が必要になります。

満足したインプラント治療を受けるためには、前歯のインプラント実績を確認したり、歯科技工士との協力体制をチェックしたりするのが重要なポイントです。

デメリット③治療を行えないケースもある

インプラントは18歳未満だったり、全身疾患を持っていたりすれば治療を行うことができません。人によって治療を受けることができないのは、デメリットと言えるでしょう。ただし、医師の判断のもとで受けられるケースもあるため、まずは相談してみましょう。

前歯のインプラント治療にかかる期間

前歯のインプラント治療にかかる期間は、短い場合で3から4ヶ月ほどです。長くなれば、9年から1年を超えることもあります。これは、顎の骨や厚みによって治療期間が左右されるためです。
顎の骨が足りなければ顎の骨を作り、そこからインプラントを埋入するため、最終的には1年を超えます。
まずはカウンセリングを受けてみるのがいいでしょうか。

前歯のインプラント治療にかかる費用

前歯のインプラント治療は、奥歯のインプラント費用よりも高額になるケースが多いです。理由としては手術を行うケースが多いためです。
手術で10万円から30万円、さらにインプラント1本で30万円〜50万円前後かかります。インプラントに保険が適用されるケースは稀であり、基本的には全額負担です。
しっかりと検討してから信頼できるクリニックで治療を受けましょう。

インプラントとは

前歯のインプラント治療を行う前にまずはカウンセリングを受けてみよう

いかがでしたでしょうか?
前歯のインプラント治療は高額であったり、治療を行えないケースがあったりとデメリットがある一方で、審美性に優れていて高寿命とのメリットもあります。

ただし、どうしてもセラミック治療を受けられないケースもあり、仕上がりはクリニックによって左右されてしまいます。
そのため、まずはカウンセリングを受けてみて、実績を確認してみるのがおすすめです。

きぬた歯科では年間で、3,000本ものインプラント治療を行っています。
前歯のインプラント治療を検討されている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

日本歯科大学新潟生命歯学部を卒業後、インプラント治療に従事。現在では年間3000本以上のインプラント治療の実績がある。

日本でインプラント治療が黎明期だったころからパイオニアとして活躍し、インプラントメーカーのストローマン社やノーベルバイオケア社から公認インストラクターの資格を得た。

本の執筆やTV・雑誌などのメディア出演、自身のYouTubeチャンネルなどで情報発信を積極的に行っている。

<主な著書>
インプラント治療は史上最強のストローマンにしなさい!!
歯医者が受けたい!インプラント治療
あっそのインプラント、危険です!!

<YouTubeチャンネル>
八王子きぬた歯科

<外部サイト>
きぬた 泰和 Wikipedia