インプラント治療の概要
インプラント治療とは、顎の骨にチタンやチタン合金でできた人工歯根を埋め込み、そこに歯を設置する治療のことです。
インプラントはしっかりと埋め込まれているため、外れてしまうといった恐怖感がなく、天然の歯とほとんど変わらない使用感で話せます。また、見た目も天然とほとんど変わらず、違和感を覚えることも少ないです。
インプラント治療のメリット
インプラント治療には、主に以下の4つのメリットがあります。
- 周囲の歯への負担が少ない
- 高寿命
- 審美性に優れている
- 食べ物への制限がかかりにくい
インプラント治療は治療期間が長引いたり、高額だったりとデメリットもあります。しかし、しっかりとメンテナンスをすれば10年以上使用し続けることができ、見た目も天然の歯とほとんど変わらず、審美性に優れています。
噛む力も8割から9割程度回復すると言われており、食べ物への制限がかかりにくいです。自分の歯と同じように咀嚼できるのは、インプラントならではのメリットといえます。
ただし、見た目の仕上がりについてはクリニックによって技術の差がでるため、実績を確認したり、複数の場所でカウンセリングを受けたりして、しっかりと検討することをおすすめします。
インプラント治療が難しいケース
インプラントの治療が難しいケースは、以下が挙げられます。
- 骨が薄い
- 未成年
- 口腔内の疾病に罹患している
- 妊娠中
- 糖尿病に罹患している
- 血液透析を受けている
- ヘビースモーカー
これから紹介するケースを参考にして、自身がインプラント治療を受ける際の参考にしてください。
骨が薄い
骨が薄いとインプラント治療を受けるのが難しくなります。
そもそも、インプラントの人工歯根は歯茎の内側にある歯槽骨に埋め込みます。この際、しっかりとした歯槽骨がなければ埋め込むことができません。
仮にインプラントを埋め込んだとしても抜けてしまったり、折れてしまったりする恐れがあります。そのため、骨が薄かったり骨粗相症によって骨がもろかったりする場合は、インプラント治療を受けるのが難しくなります。
インプラント治療を行うためには、しっかりとした骨の厚さと高さが必要です。
未成年
18歳以下、もしくは20歳未満でインプラント治療を受けるのは困難です。
そもそもインプラント治療は顎の骨に穴を開ける治療です。その顎が成長段階であるときにインプラント治療をすると、かみ合わせや顔に影響が出る恐れがあります。
中には顎の成長次第で治療できるケースもありますが、ほとんどのクリニックでは18歳から20歳未満の治療は受け付けていません。
口腔内の疾病に罹患している
口腔内に虫歯があったり、歯周病があったりする場合は、インプラント手術で最近感染を起こす恐れがあります。
そのため、まずは虫歯・歯周病の治療をして、口腔内を健康にしてからインプラント治療を受ける流れになります。
また、虫歯や歯周病がないにしても、歯茎が下がっているケースも同様に治療を受けるのが難しいです。まず歯や歯茎を健康な状態に治療しましょう。
妊娠中
妊娠中の方は、インプラント治療を受けるのが難しくなるケースがあります。
理由としては、治療する際に手術や投薬が必要になり、身体に負担がかかるためです。
絶対にインプラント治療ができないと言うわけではありませんが、お母さんの健康やお腹の赤ちゃんへの影響を考えると、妊娠中の治療はおすすめできません。
そのため、体調が安定してからインプラント治療を検討しましょう。
糖尿病に罹患している
糖尿病を患っている場合は、インプラント治療を受けるのが難しい可能性があります。特に血糖値のコントロールが難しい場合は、治療を受けるのが難しくなります。
理由としては糖尿病で免疫力が低下して、傷口の回復が遅くなるためです。歯周病を引き起こすリスクも高く、インプラント歯周炎を発症する可能性もあります。
ただし、かかりつけ医が問題ないと判断をすれば、治療を受けることは可能です。まずはかかりつけ医と歯科医師に相談をしてみましょう。
血液透析を受けている
腎疾患によって血液透析を受けている場合も、インプラント治療を受けるのが難しくなります。
インプラント治療の手術は、傷ができて出血を伴うものです。免疫力が低い方は傷の回復に時間がかかるうえ、手術で臓器に細菌が回ってしまうリスクがあります。
さらに骨が薄い傾向にあることから、インプラント治療ではなく他の治療の検討をおすすめします。
ヘビースモーカー
タバコを吸う本数が多いヘビースモーカーは、インプラント治療が難しくなります。
これは、タバコにはニコチンやタールが含まれており、それらは体内・歯茎の低下させるほか、血管を収縮させる働きがあるためです。
血管が萎縮すれば体内は酸欠状態となり、インプラントと骨はうまく密着せず、結合しづらくなります。
結果としてインプラントが外れてしまったり、ぐらついてしまったりとトラブルに繋がります。
たとえインプラント治療をしたとしても、失敗する可能性が高いことからおすすめできません。
歯茎が下がっているとどうしてインプラント治療が難しいのか
歯茎が下がっていると、インプラント治療は難しくなります。
インプラントの結合部が露出して清掃性が低くなり、口腔内の健康に影響が及ぶためです。審美性にも影響が及ぶため、見た目も気になってしまうでしょう。
歯茎が下がる原因はさまざまですが、日ごろのブラッシングを意識したり、歯ぎしりの改善に取り組んだり、歯周病の予防に取り組むことである程度防げます。
歯茎が下がる原因
歯茎が下がるとインプラント治療が難しくなると言いましたが、歯茎が下がるにはいくつかの原因があります。具体的な原因としては以下の5つです。
- 歯周病
- 不適切なブラッシング
- かみ合わせ
- 矯正治療
- 歯並び
ここからは、それぞれの原因を詳しくみていきましょう。
歯周病
歯周病によって歯を支えている骨が溶け、それと同時に歯茎も下がります。歯周病は痛みがないため気付かない方が多いものの、実際に治療に取り組む段階で歯茎が下がったと感じる患者は多くいます。定期的に歯医者に訪れ、口腔内を健康に保つようにしましょう。
不適切なブラッシング
歯を磨くときに力を入れすぎると、歯茎が傷ついて下がってしまいます。
歯をきれいに保ちたいからといって、必要以上に力を入れたブラッシングは逆効果となるため、注意してください。
特に歯ブラシが硬い方は、歯茎を傷つけてしまう可能性があり要注意です。
噛み合わせ
噛み合わせが悪いと、一部の歯に大きな負担がかかり歯茎が下がる原因となります。
過蓋咬合(かがいこうごう)と呼ばれる深い噛み合わせや、上下の歯が正しく噛み合わないオープンバイト、いわゆる出っ歯と言われる上顎前突の場合は、歯に大きな負担がかかります。
噛み合わせの悪さに心当たりがある方は、一度矯正歯科に訪れてみることをおすすめします。
矯正治療
歯列矯正は歯並びを綺麗にして、噛み合わせを正しくするものですが、歯を動かす過程で歯茎が下がることがあります。
ただし、矯正治療したすべての人の歯茎が下がるわけではありません。
すでに歯槽骨が薄い、しっかりと歯磨きができていない、逆に過度なブラッシングなど、さまざまなことが原因で歯茎が下がってしまいます。
丁寧なブラッシングを意識して、衛生管理をしっかりとすれば、歯茎を健康に保つことが可能です。
どうしても気になるようならば、歯科医院で相談をしてみるのがおすすめです。ワイヤーの位置調整やブラッシングの指導を受けられます。
歯並び
歯並びに問題があると、特定の歯茎に負担がかかります。その結果、歯茎に炎症が生じて歯茎が下がります。
また、歯並びによっては歯ぎしりや食いしばりが起こりやすくなり、これらも歯茎が下がる原因の1つです。
歯茎が下がっている場合の治療法
歯茎が下がっている場合の治療法は、主に以下の3つです。
- ヒアルロン酸を歯茎に注入する治療法
- 歯茎の移植
- 歯茎組織再生法
1つ目のヒアルロン酸に関しては、注射後一定の期間効果はありますが、時間の経過とともに体内に吸収されて元の状態に戻ってしまいます。そのため定期的な注入が必要です。
2つ目の歯茎の移植に関しては、奥歯に使われることの多い治療法です。
3つ目の歯茎組織再生法とは、歯肉を切開して薬剤を塗り、再生を促す治療法になります。
適している治療は口腔内の状態によって異なるため、まずは歯科医師に相談してみることをおすすめします。
インプラント治療を行う前に歯茎の状態を確認しておこう
いかがでしたでしょうか?
歯茎が下がっているとインプラント治療が難しくなります。それ以外にもヘビースモーカーや口腔内の疾患がある方も、インプラント治療が難しいケースが多くなります。
ただし、歯科医師の判断によっては治療を受けられるケースもありますので、まずはカウンセリングに行ってみるのがおすすめです。
きぬた歯科では年間で、3,000本ものインプラント治療を行っています。
インプラント治療を検討されている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
この記事の監修者
日本歯科大学新潟生命歯学部を卒業後、インプラント治療に従事。現在では年間3000本以上のインプラント治療の実績がある。
日本でインプラント治療が黎明期だったころからパイオニアとして活躍し、インプラントメーカーのストローマン社やノーベルバイオケア社から公認インストラクターの資格を得た。
本の執筆やTV・雑誌などのメディア出演、自身のYouTubeチャンネルなどで情報発信を積極的に行っている。
<主な著書>
インプラント治療は史上最強のストローマンにしなさい!!
歯医者が受けたい!インプラント治療
あっそのインプラント、危険です!!
<YouTubeチャンネル>
八王子きぬた歯科
<外部サイト>
きぬた 泰和 Wikipedia