インプラントの手術時間と施術の流れ

インプラント治療では、顎の骨にインプラント体を埋め込む手術が必要です。
手術に要する時間は治療法や条件によって変わるので、ケースごとに見ていきましょう。

1回法の場合

まず、1回法という術式を適用する場合の、手術の流れから解説します。
1回法は、外科手術が一度で済む方法で、身体的な負担が軽い点や短時間で施術が完了する点がメリットです。

具体的な流れは、以下のとおりです。

１回法の手術の流れ

    1. 局所麻酔を打ち、歯茎を切開する
  1. 顎の骨にドリルで穴を空けてインプラント体（人工歯根）を埋入する
  2. インプラント体にアバットメント（連結部分）を取りつける
  3. アバットメントの上部が歯肉の上に露出している状態にして、歯茎を縫合する
  4. 顎の骨とインプラント体が結合するまで３～６か月の安静期間を設ける
  5. 結合の状態を確認後、上部構造（人工歯）を装着する

５番目の工程にあるように、インプラント体を埋入してから数か月の安静期間が必要になりますが、手術自体はインプラント１本あたり15～25分程度で完了します。

2回法の場合

インプラント手術には、2回法という手術の方法もあります。
2回法は、外科手術を二度行う術式で、顎の骨が少ない方にも適用できるうえに、感染症のリスクも抑えられます。

施術の流れは、下記のとおりです。

2回法の手術の流れ

  1. 局所麻酔を打ち、歯茎を切開する
  2. 顎の骨にドリルで穴を空けてインプラント体（人工歯根）を埋入する
  3. インプラント体にアバットメント（連結部分）を取りつけずに歯茎を縫合する
  4. 顎の骨とインプラント体が結合するまで３～６か月の安静期間を設ける
  5. 結合の状態を確認後、再び歯茎を切開する
  6. 以前埋入したインプラント体にアバットメントを取りつける
  7. 上部構造（人工歯）を装着する

2回法では、インプラント体を埋入する一次手術に1本あたり10～15分程度、アバットメントを連結し人工歯を取りつける二次手術に10分ほどかかります。
トータルの施術時間は1回法とあまり変わりませんが、通院の時間も考慮すると1回法よりも時間が必要です。

All on 4の場合

上顎と下顎のどちらか片方、または両方のすべての歯をインプラントに変えるケースでは、All on 4という治療法を用います。
All on 4では、たった4本のインプラント体を埋入するだけで、一度に10～12本分のインプラント治療が可能です。

施術の流れは1回法とおおむね同じで、その日のうちに仮の上部構造を取りつけるので、1日で健康な歯を取り戻せます。
手術時間の目安は、上顎か下顎のどちらか一方につき60分程度です。

インプラントの埋入と骨造成を同時に行う場合

インプラント手術は、顎の骨に十分な厚みがなければ行えません。
そのため、顎の骨が少ない患者様は骨を補う「骨造成」という治療を、施術前または施術と同時に受ける必要があります。

骨造成の手術時間の目安は、インプラント手術を受ける前に行う場合で30～40分程度です。
ただし、顎の骨を移植するケースでは75～90分程度、身体のほかの部分から骨を移植するケースでは90～180分程度の時間がかかります。

一方で、インプラント手術時に骨造成を行う場合は、10～20分程度と短時間で施術が終了します。

インプラント手術に痛みはともなう？

手術となると「痛みがあるのかどうか気になる……」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
インプラント手術に関する痛みは、手術中と手術後で異なるので以下で解説します。

手術中の痛み

手術時は局所麻酔を打つため、ほとんど痛みはありません。

意識がある状態で手術を受けることに抵抗を感じる場合は、「静脈内鎮静法」という選択肢もあります。
鎮静剤の投与によって半分眠ったような状態になれるので、恐怖心を軽減しながらリラックスして手術を受けられます。

手術後の痛み

インプラント手術では、歯茎を切開して骨に穴を空けるため、術後にはどうしても痛みをともないます。
できるだけ痛みを抑えるには、麻酔が切れる前に処方された痛み止めを飲んでおきましょう。

一般的に術後2～3日の痛みがもっとも強く、その後1～2週間程度で落ち着いていきます。

インプラント手術で痛みを感じるタイミングについては「インプラント手術で痛みを感じることはありますか？」をご覧ください。

インプラントとは

インプラントの手術時間や施術の流れはケースによって異なる

いかがでしたでしょうか？

インプラントの手術に必要な時間は、治療法や条件によって変わります。

1回法と2回法では手術の流れが異なりますが、手術自体はインプラント1本につき15～25分程度で完了します。

All on 4であれば、上顎か下顎のどちらか片方で60分程度必要です。
骨造成はインプラント手術前に行うと30～40分程度かかる一方で、手術と同時であれば10～20分しかかかりません。

きぬた歯科では、安心して手術を受けられるよう静脈内鎮静法のオプションも用意しております。
インプラント治療をお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

この記事の監修者

院長

きぬた 泰和　
YASUKAZU KINUTA

日本歯科大学新潟生命歯学部を卒業後、インプラント治療に従事。現在では年間3000本以上のインプラント治療の実績がある。

日本でインプラント治療が黎明期だったころからパイオニアとして活躍し、インプラントメーカーのストローマン社やノーベルバイオケア社から公認インストラクターの資格を得た。

本の執筆やTV・雑誌などのメディア出演、自身のYouTubeチャンネルなどで情報発信を積極的に行っている。

＜主な著書＞
インプラント治療は史上最強のストローマンにしなさい!!
歯医者が受けたい!インプラント治療
あっそのインプラント、危険です!!

＜YouTubeチャンネル＞
八王子きぬた歯科

＜外部サイト＞
きぬた 泰和 Wikipedia