ジルコニアとは
インプラントの構造は、上部分の人工歯と歯根部分のインプラント体、それら2つを接続するアバットメントの3つで成り立っています。
ジルコニアとは、インプラントの構造のすべてで用いることができ、セラミックの中で最も硬度に優れていて、金属を一切使用していない素材のことです。
歯を失った際に用いられるインプラント治療は、欠損した歯のあごの骨に穴を開けて、人工の歯根を埋め込みます。
これまでのインプラント治療では、歯根部分に骨と頑丈に結合するチタンやチタン合金を使用していましたが、まれに金属アレルギーを引き起こすリスクがありました。
しかし、ジルコニアは非金属性素材なので、金属アレルギーの方でも安心して使用できます。
チタンやチタン合金と同様に、骨と結合する性質を持っており、インプラント治療に適した素材です。
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ジルコニアインプラントを選ぶメリット
ここからは、インプラント治療に、ジルコニアを選択するメリットを解説します。
メリット①金属アレルギーでも治療できる
ジルコニアは非金属のため、金属アレルギーを引き起こす心配が一切ありません。
金属アレルギーを持っている方、もしくは金属アレルギーを引き起こすリスクがある方でも、安心して使用できるのがジルコニアの最大のメリットです。
インプラントの平均寿命は10~15年と長く、長期間使用するので安心できる素材でなければなりません。
チタンやチタン合金も金属アレルギーになるリスクが少ないと言われていますが、湿疹や頭痛などの、アレルギー症状を疑われる報告例はあります。
ジルコニアを選んだ際のインプラント治療では、手術に使用する器具もジルコニア製の物を使用するので、アレルギー体質の方も安心して治療を受けることができます。
メリット②骨と結合しやすい
インプラントを長期間使用するには、安定性が大切です。
人工の歯根が骨と結合しなければ、人工歯が抜け落ちるリスクやずれてしまう可能性があります。
チタンやチタン合金と同様に、ジルコニアも骨と結合する性質があり人体に異物と認識されにくく、歯根の役割を補うインプラントに最適です。
メリット③耐久性に優れている
ジルコニアは人工的に作られたダイヤモンドで、強度と耐久性に優れています。
そのため、硬い物を噛むときや歯ぎしりなどで破損するリスクがなく、安心して使用できるのが特徴です。
セラミック素材の場合は、顔に強い衝撃を受けた際に割れる可能性があります。
たとえば、野球やサッカーなどの試合中に、ボールが顔に当たった場合などです。
その点、ジルコニアであれば、強い衝撃を受けても割れる心配がほとんどありません。
メリット④歯垢が付着しにくい
ジルコニアの表面はなめらかで、プラークとよばれる歯垢が付着しにくく、かつ汚れは簡単に落とせるという特徴があります。
プラークは、歯に付着した細菌が繁殖したかたまりで、虫歯や歯周病の原因の1つです。
インプラント治療を行ったあとは、人工歯にプラークが付着して「インプラント歯周炎」を引き起こすリスクがあります。
インプラント歯周炎とは、細菌感染によりインプラントの周辺の組織が炎症を起こす病気です。
人工歯は、天然歯と比べて抵抗力が弱いので、細菌感染を起こしたときの進行が早く、重症化するリスクが高いのが難点です。
しかし、ジルコニアは汚れが簡単に落とせるので、歯周炎のリスクも相対的に低くなります。
メリット⑤審美性に優れている
将来、加齢により歯茎の位置が下がると、インプラントの金属部分が露出して目立ってしまうおそれがあります。
ジルコニア歯根であれば、白色で目立ちにくく、経年劣化による変色もほとんどありません。
近年の技術では、天然歯と同様の透明度や色の表現が可能で、ジルコニアを選択すると違和感のないきれいな歯を手に入れられます。
ジルコニアインプラントを選ぶデメリット
耐久性や審美性に優れているインプラントですが、デメリットもあります。
ここでは、インプラント治療でジルコニアを選択した場合のデメリットを解説します。
デメリット①費用が高額になる
ジルコニアは、チタンやチタン合金と比べて材料費が高額です。
インプラント治療も保険が適用されない自由診療で、高い治療費がかかります。
また、ジルコニアのインプラントは日本国内では承認されていないので、クリニックが海外から材料を取り寄せているのが実情です。
こうしたいくつもの要因が重なり、ジルコニアインプラントの費用を押し上げています。
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デメリット②研磨が難しく調整しづらい
人工歯を取り付けるときは、歯の形にぴったりと合わせる必要があります。
天然歯と人工歯の形が合わず、すき間が生じると、虫歯のリスクをともないます。
ジルコニアは非常に硬い素材でできていて、研磨が難しく、天然歯と形を合わせるための調整ができません。
また、材料の追加も難しく、不具合が起こったときに調整ができず、作り直しとなるケースもあります。
デメリット③チタンよりも歴史が浅く予後のデータがない
ジルコニアは、チタンやチタン合金と比べて歴史が浅いので、症例が少なく、予後のデータもありません。
しかし、使用者の数は年々増加しており、歯科医療の先進国ではジルコニアが採用されている実績が多くあります。
手術法も通常のインプラント治療とほとんど変わらず、ジルコニアを選択したことによる手術への影響も聞かれません。
国内のクリニックも、ジルコニア使用のインプラントの治療実績のあるのがベストですが、そうでない場合も相談に親身に乗ってくれるクリニックを探したいところです。
非金属性素材のジルコニアにはさまざまなメリットがある
いかがでしたでしょうか。
インプラントにジルコニアを選択すると、金属アレルギーを引き起こすリスクがなく、安心して使用できるようになります。
ジルコニアは骨と結合する性質を持ち、安定性があり長期間の使用が可能です。
しかし、日本国内では実績があるクリニックが少なく、費用が高額になるというデメリットもあります。
ジルコニアを用いたセラミック治療を行う場合は、ジルコニアを取り扱っているか、費用はどれくらいなのかを、事前にクリニックに確認してみてください。
きぬた歯科では、年に平均3,000本のインプラントの施術実績があります。
インプラント治療を検討している方や、治療に不安を持っている方は、ぜひご相談ください。
インプラント治療のきぬた歯科
この記事の監修者
日本歯科大学新潟生命歯学部を卒業後、インプラント治療に従事。現在では年間3000本以上のインプラント治療の実績がある。
日本でインプラント治療が黎明期だったころからパイオニアとして活躍し、インプラントメーカーのストローマン社やノーベルバイオケア社から公認インストラクターの資格を得た。
本の執筆やTV・雑誌などのメディア出演、自身のYouTubeチャンネルなどで情報発信を積極的に行っている。
<主な著書>
インプラント治療は史上最強のストローマンにしなさい!!
歯医者が受けたい!インプラント治療
あっそのインプラント、危険です!!
<YouTubeチャンネル>
八王子きぬた歯科
<外部サイト>
きぬた 泰和 Wikipedia