インプラント治療を検討するなかで、「どのくらいの期間がかかるの?」「治療が長引くことはある?」と疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。
治療にかかる期間は、あごの骨の状態や治療方法など、さまざまな要因によって異なります。
本記事では、インプラントの治療期間の目安とともに、期間が長くなる場合の主な理由を解説します。
インプラント治療のスケジュール感を把握し、安心して治療を受けるための参考にしてください。
インプラントの治療期間の目安
インプラントの治療期間は、3か月〜1年程度が目安です。
あごの骨の状態が良好な場合は、3〜5か月程度で治療が完了します。
一方、あごの骨の量が不足している場合は骨造成手術などが必要となり、治療期間は7か月〜1年程度に延びることもあるでしょう。
また、上あごは骨の密度が低くやわらかいため、インプラントが骨と結合するまでに時間がかかり、下あごに比べて治療期間が長くなる傾向にあります。
歯がない期間はどのくらい?
多くのインプラント治療では、1回目の手術でインプラントを埋入し、一定期間を空けたあと、2回目の手術で人工歯を装着します。
そのため、「2回目の手術までは歯がない状態になるの?」と不安に思われる方もいらっしゃいますが、実際には仮歯を使用することが一般的です。
あごの骨の状態が良好でインプラントが安定している場合、1回目の手術直後に仮歯を装着できます。
一方、口腔内の状態や治療方針によっては、7~10日ほど経ってから装着するケースや、患部への影響を考慮して仮歯を使用しないケースもあります。
仮歯を使うことになる期間は、インプラントとあごの骨が結合するまでの2〜6か月程度が目安です。
仮歯によって見た目や機能が補われるため、日常生活に大きな支障が出ることはあまりありません。
インプラントの治療期間が長い理由
インプラント治療には3か月~1年ほどの期間を要することがわかりました。
本項では、インプラントの治療期間が長くなる主な理由を解説します。
インプラントと骨の結合に時間がかかるため
インプラントの治療期間が長くなるのは、インプラントとあごの骨が十分に結合するまでに時間を要するためです。
埋入直後のインプラントはまだ骨に定着しておらず、安定しているとはいえません。
そのため、あごの骨が再生しながらインプラントと一体化するまで、3~6か月ほどの期間を設ける必要があります。
この結合が不十分なまま次の工程に進むと、インプラントがぐらついたり脱落したりするリスクがあるため、十分な時間をかけて確実に進めることが大切なのです。
傷が治るまでに時間がかかるため
インプラントの手術では、あごの骨や歯茎に小さな傷が生じるため、術後はその回復を待つ期間も必要です。
傷口が治るまでには7〜10日ほど、状態によっては2週間程度かかることが一般的です。
このあいだに刺激が加わると、インプラントの安定性に影響が出たり、細菌感染のリスクが高まったりする可能性があります。
そのため、傷の治癒を確認してから次の治療に進む必要があり、結果として全体の治療期間が長くなります。
インプラント治療はどのように進む?
では、実際にインプラント治療を受ける場合、どのような流れで進められるのでしょうか。
ここでは、インプラント手術を2回に分けて行う「2回法」の治療の流れを解説します。
インプラント治療の流れ
- ステップ①治療計画を立てる
- ステップ②事前治療を受ける
- ステップ③インプラントを埋入する手術を受ける
- ステップ④インプラントが定着するまで期間を空ける
- ステップ⑤人工歯を装着する
ステップ①治療計画を立てる
インプラント治療ではじめに行われるのは、カウンセリングや精密検査を通して、治療計画を立てることです。
まずは口腔内の状態や噛み合わせ、あごの骨の量・質などを確認し、レントゲンやCT撮影などを通じて詳細なデータを取得します。
これらの情報をもとに、インプラントを埋入する位置や本数、治療期間などを総合的に判断し、患者様一人ひとりに適した治療計画を作成します。
ステップ②事前治療を受ける
治療計画が決まったあとは、必要に応じて事前治療を受けて、口腔内の環境を整えます。
具体的には、虫歯や歯周病の治療、噛み合わせの調整などです。
これらの治療を受けることで、細菌感染をはじめとする術後のトラブルを防ぎます。
また、あごの骨の量が不足している患者様は、骨造成手術を受ける必要があります。
その場合は、骨が安定するまで数か月待ってから、インプラント手術を受けることとなるでしょう。
骨造成手術はインプラントを長期的に安定させるために必要な施術なので、焦らずに治療を進めることが大切です。
ステップ③インプラントを埋入する手術を受ける
準備が整ったら、インプラントをあごの骨に埋め込む手術を受けます。
手術前には静脈内鎮静法で麻酔を受けるので、リラックスして、うたた寝しているような感覚になり、強い痛みを感じることはほとんどありません。
手術では、歯茎を切開し、あごの骨に小さな穴を開けてインプラントを埋め込みます。
そのあと、インプラントの上に「カバースクリュー」という部品を取り付けて、歯茎を縫合するという流れです。
手術にかかる時間は、埋入するインプラントの本数やあごの骨の状態によって異なりますが、1本あたり30分前後が目安です。
口腔内の状態が良ければすぐに仮歯を装着できるため、治療期間中でも長期間歯がない状態になることは避けられます。
ステップ④インプラントが定着するまで期間を空ける
手術後は、インプラントとあごの骨が結合するまで一定期間待ちます。
下あごの場合は2~3か月ほど、上あごの場合は4~6か月ほどかかるのが一般的です。
長く感じられるかもしれませんが、この期間を空けることで、安定した土台が形成されます。
ステップ⑤人工歯を装着する
インプラントとあごの骨が十分に結合したら、以下の流れで人工歯を装着します。
人工歯を装着するまでの流れ
- 歯茎を少し切開し、インプラントと人工歯をつなぐ「アバットメント」という部品を装着する
- 傷が癒えるまで3~7日程度空けてから、口腔内の型取りを行う
- 採取した型をもとに人工歯が作られるまで、1週間ほど待つ
- 完成した人工歯をアバットメントに装着し、違和感や痛みがないかどうかを確認する
治療後、人工歯を使用するなかで違和感や痛みが生じた場合は、担当医師に早めに相談しましょう。
インプラントの治療期間が延びる要因は?
インプラントの治療期間は最短で3か月程度ですが、長いと1年ほどかかる場合もあります。
ここでは、治療期間が延びる主な要因について解説します。
インプラントの治療期間が延びる要因
- 要因①追加治療の有無
- 要因②インプラントの本数や部位
- 要因③治療方法
- 要因④細菌感染
- 要因⑤喫煙
- 要因⑥虫歯・歯周病
要因①追加治療の有無
インプラント治療を受ける前に、虫歯や歯周病の治療や、骨造成手術などが必要になる場合があります。
このような追加治療を受けると、そのぶん全体の治療期間が延びます。
特にあごの骨の量が不足している場合は、骨造成手術を受けたうえで骨が安定するまで待つ必要があり、治療期間が4~7か月程度延びることが一般的です。
要因②インプラントの本数や部位
インプラントの本数や、治療する部位によっても期間は変わります。
1本の治療であれば比較的短期間で完了することが多いものの、本数が増えると手術や治癒にかかる期間は長くなります。
また、上あごの骨はやわらかく、インプラントと結合するまでに時間を要するため、下あごよりも治療期間が長くなるでしょう。
くわえて、奥歯などの手術が難しい部位や、神経・血管の近くの部位を治療する場合は、より慎重な処置が必要となるため、治療期間が延びることがあります。
要因③治療方法
インプラントの治療期間は、治療方法によっても異なります。
代表的な治療方法として、「1回法」と「2回法」があります。
1回法は、インプラントの埋入とアバットメントの装着を1回の手術で行う方法です。
手術が1回で済むため、比較的短期間で治療を進められるという特徴があります。
ただし、あごの骨の量・質が十分であることや、歯茎の状態が良好であることなど、適用できる条件が限られています。
一方、2回法は、1回目の手術でインプラントを埋め込んだあと、あごの骨と結合するのを待ってから、2回目の手術でアバットメントを装着する方法です。
治療期間が長くなる傾向にありますが、1回目の手術後に歯茎を閉じるため、骨と結合するまでのあいだの細菌感染リスクを抑えやすいというメリットがあります。
要因④細菌感染
インプラント治療が長引く要因の一つに、細菌感染も考えられます。
手術では、歯茎を切開してインプラントを埋め込むため、口腔内に傷口が生じます。
この傷口が細菌に感染すると、傷の回復が遅れたり、インプラントとあごの骨がうまく結合しなくなったりする可能性があるのです。
インプラントとあごの骨が十分に結合しなければ、次の工程に進めないため、治療を一時的に中断する必要が生じ、結果として治療期間が延びる場合があります。
こうしたリスクを防ぐためには、歯科医師の指示を守り、術後のセルフケアを徹底することが大切です。
要因⑤喫煙
喫煙も、インプラントの治療期間に大きく影響します。
タバコに含まれるニコチンは血流を悪化させるため、喫煙の習慣があると、歯茎に十分な酸素や栄養が届きにくくなります。
その結果、傷の治りが遅れたり、インプラントとあごの骨が十分に結合できなかったりして、治療期間が長引く原因となるのです。
本来の期間で治療を完結させるためにも、治療期間中は禁煙を心がけましょう。
要因⑥虫歯・歯周病
事前の検査で虫歯や歯周病が見つかった場合、これらの治療を優先する必要があります。
虫歯や歯周病がある状態でインプラントを入れると、細菌感染によって歯茎に炎症が起こり、「インプラント周囲炎」を発症するおそれがあるためです。
また、虫歯や歯周病の治療が完了したあとも、歯茎の状態が落ち着くまでには数週間から数か月かかることがあります。
そのぶん、インプラント治療を開始するまでの期間が長くなるのです。
インプラント治療を受けたあとはどのように過ごせばよいのか
インプラントの治療後は、傷口の回復を促して、インプラントを安定させるために、いくつかの注意点を守ることが大切です。
まず、手術当日はできるだけ安静に過ごし、激しい運動や長時間の入浴、飲酒などは控えましょう。
これらの行為は血流を促進し、出血や腫れを引き起こす原因となるためです。
食事は、麻酔が完全に切れて、唇や頬の感覚が戻ってから再開します。
傷口に負担をかけないよう、やわらかく刺激の少ないものを選ぶことが重要です。
さらに、口腔内を清潔に保つことも欠かせません。
歯科医師の指示に従って適切にケアすることで、細菌感染のリスクを抑えられます。
なお、患部を舌や指で触ったり、強くうがいをしたりすると、傷口の治癒を妨げる可能性があるため注意してください。
インプラントの治療期間は、一般的に3か月~1年程度
インプラントの治療期間の目安は3か月〜1年程度ですが、口腔内の状態や治療内容によって大きく変わります。
細菌感染や喫煙、虫歯・歯周病などが原因で治療が長引く可能性もあるため、トラブルなくにスムーズに治療を終えられるよう、日常生活での注意点はきちんと守りましょう。
きぬた歯科では、豊富な症例実績と精密な検査体制をもとに、患者様一人ひとりに合わせた治療計画を提案しています。
インプラントの治療期間や治療内容について不安のある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
この記事の監修者
日本歯科大学新潟生命歯学部を卒業後、インプラント治療に従事。現在では「インプラント治療のきぬた歯科」を開業し年間4000本以上、累計50,293本のインプラント治療の実績がある。
日本でインプラント治療が黎明期だったころからパイオニアとして活躍し、インプラントメーカーのストローマン社やノーベルバイオケア社から公認インストラクターの資格を得た。
本の執筆やTV・雑誌などのメディア出演、自身のYouTubeチャンネルなどで情報発信を積極的に行っている。
<主な著書>
インプラント治療は史上最強のストローマンにしなさい!!
歯医者が受けたい!インプラント治療
あっそのインプラント、危険です!!
<YouTubeチャンネル>
八王子きぬた歯科
<外部サイト>
きぬた 泰和 Wikipedia