オールオン4治療とは?

オールオン4治療は、連結した12本の人工歯を使った、インプラント治療の一つです。

通常の治療では、失った歯に対して1本ずつインプラントを埋入します。
仮に、歯を10本失っている方の場合、10本分入れる必要があるわけです。
オールオン4治療であれば、たった4本のインプラント体で12本の人工歯を固定できるので、身体への負担だけでなく、期間や費用も抑えることができます。

オールオン4とオーバーデンチャーの違い

オーバーデンチャーは、あごの骨に埋め込んだインプラント体とアバットメントの先端に、直接入れ歯を差し込む治療法です。
オールオン4治療でもインプラント体を埋入するので、一見、同じ方法に見えますが、インプラントを取り外しできるかどうかという点が一番の違いです。

オールオン4治療では、あごの骨に埋め込んだインプラント体に人工歯を固定するので、患者さま自身でインプラントを取り外すことはできません。
一方、オーバーデンチャーでは、入れ歯のように自由に取り外すことが可能です。

両者の特徴を理解したうえで、ご自身の希望に合う方法をお選びください。

オールオン4治療のメリット

オールオン4の概要を押さえたところで、具体的にどのようなメリットがあるのかを確認していきましょう。

メリット①人工歯を装着するまでの期間が短い

オールオン4の構造上、インプラント体を埋入した当日に仮の人工歯を固定できるので、その間の期間を短く済ませられます。

ここで、一般的なインプラント治療(2回法)と、オールオン4治療のプロセスを比較しましょう。

インプラント治療とオールオン4治療の流れ

インプラント治療(2回法) オールオン4治療
➀あごの骨に穴を開けてインプラント体を埋め込む

②2~6か月間、骨と結合するのを待つ

③アバットメントと人工歯を装着する

➀あごの骨に穴を開けてインプラント体を埋め込み、術後は一定時間安静に休む

②同日、仮の人工歯を被せる

③3~6か月後、最終的な人工歯を装着する

上記の一般的なインプラント治療の流れだと、インプラント体を埋め込んでから、人工歯を被せるまでに、6か月間かかることもあります。
オールオン4治療であれば、これらの工程をわずか1日で済ますことができるのです。
完了までのトータルの期間は大きく変わりませんが、インプラント体を埋入したその日に仮の人工歯を被せるので、日常生活に大きく支障が出ることもありません。

メリット②身体への負担を軽減できる

患者さまの身体の負担を減らせるという点も、オールオン4治療のメリットです。

どのような方法を選んだとしても、インプラントの埋入には、必ず外科手術がともないます。
仮に複数本の歯を失った場合、一般的なインプラント治療であればあごの骨にインプラントの本数分穴を開けてインプラント体を埋入する必要があります。
また、あごの骨の量が少ない方は、骨を増やす骨造成手術も行わなければなりません。

その点、オールオン4治療で埋入するのは、4本のインプラント体のみなので、あごの骨に開ける穴の数を抑えられます。
さらに、骨の量が十分にある場所を選ぶので、骨造成手術を行わずに治療できるケースがほとんどです。

結果として、外科手術の時間が短くなり、身体的負担の軽減につながるというわけです。
身体的な負担を理由に諦めていた方でも、オールオン4であれば歯を取り戻せるかもしれませんよ。

メリット③痛みや腫れが出にくい

オールオン4治療のメリットには、術後に痛みや腫れが出にくいという点も挙げられます。

外科手術の時間が長くなるほど、身体にかかる負担は大きくなり、そのぶん腫れや痛みも増してしまうものです。
オールオン4治療では、あごの骨に埋め込むインプラント体の数が少ないからこそ、身体的負担が軽減されるのはもちろん、痛みや腫れも出にくくなります。

また、入れ歯と違って、歯茎と人工歯のあいだに食べ物が挟まることがほとんどないので、口内の痛みにストレスを感じることなく、日常生活を送ることができますよ。

メリット④審美性に優れている

連結した人工歯を一度に装着できるオールオン4治療は、美しい見た目の歯列が手に入る点もメリットとして挙げられます。
歯の色や歯茎の膨らみなどは、天然歯と遜色ない仕上がりです。

また、あごの骨にインプラント体を埋め込むので、天然歯と同じ力で噛むことができます。
これにより、あごの骨が痩せてしまうのを防ぎ、年齢を重ねても、若々しい口元の維持につながります。

オールオン4治療のデメリット

歯を失った数が多い方や、できるだけ負担を減らしたいと考えている方にとって、メリットの多いオールオン4治療ですが、デメリットがあるのも事実です。
メリットだけを確認して治療を受けて後悔することがないように、以下で紹介するデメリットも押さえたうえで、検討しましょう。

デメリット①残っている歯を抜歯する必要がある

オールオン4治療では、残っている天然歯を抜歯しなければなりません。
装着する側のあごに歯が残っていると、連結した人工歯を入れることができないので、健康な歯であったとしても、抜歯する必要があるのです。

残っている歯が健康であった場合、抜歯は避けたいですよね。
しかし、歯周病や虫歯などにかかっており、状態が悪い歯なのであれば、抜歯してオールオン4に変えることは、中長期的な観点で見て良い結果につながるはずです。

デメリット②治療できるクリニックが限られる

インプラント治療を提供していても、オールオン4治療は提供していないクリニックは少なくありません。
これは、通常のインプラント治療とはまた異なる専門的な技術や知識が必要になるためです。
くわえて、クリニックに経験豊富な歯科医師が在籍しているだけでなく、クリニック内の設備や機器も整っている必要があります。

なお、オールオン4治療後も、メンテナンスのために定期健診を受けるので、治療を受けるクリニックとは、それなりに長い付き合いになります。
通いやすいクリニックを選ぶためにも、自宅から近いクリニックがオールオン4治療に対応しているのかどうかは、事前に確認しておきましょう。

デメリット③治療費が高い傾向にある

オールオン4治療は、保険適用外ですので、費用は基本的に高額です。
健康保険が適用される治療と比べると、費用が高くなるのは避けられないデメリットです。

たとえば、保険適用の総入れ歯を選んだ場合、3,000~2万円程度で治療を受けられます。一方、オールオン4治療には、片あごで200万~400万円程度の費用がかかるので、その差は一目瞭然です。

オールオン4治療は、耐久性や審美性には優れる反面、保険適用の治療と比べると、費用が高くなるという点を考慮したうえで、ご検討ください。

オールオン4治療の費用については「インプラントのオールオン4治療の費用の目安を教えてください」をご覧ください。

デメリット④治療を受けられないことがある

患者さまの身体の状態によっては、オールオン4治療が受けられないことがあります。
そのケースを、以下にまとめました。

オールオン4治療が受けられない可能性が高いケース

  • あごの骨の成長が止まっていない未成年
  • 全身疾患を患っている方
  • 喫煙者
  • アルコール依存症の方
  • 金属アレルギーの方
  • 天然歯を抜歯したくない方
  • こまめなセルフケアが苦手な方

ただし、上記に当てはまっている場合でも、治療が受けられるケースはあるので、まずはクリニックにご相談ください。

オールオン4治療のステップ

ここからは、オールオン4治療を受ける場合の、全体の流れを紹介します。

➀カウンセリング

まずは、カウンセリングにて、オールオン4をご検討されている理由や、歯を失ったことでご自身が抱えているお悩みをご相談ください。
日常生活で不便に感じていることや、困っていること、ご希望などを詳細にお話しいただくことで、より適したご提案が可能となります。

②精密検査

カウンセリング後は、歯やあごの骨の状態を確認するために、精密検査が行われます。
精密検査の内容は、クリニックによって異なりますが、「歯周検査」「口腔内の写真撮影」「CT撮影」「レントゲン撮影」などの検査を行うことがほとんどです。

③治療方針の決定

精密検査の結果も考慮して、具体的な治療方針を決定します。
費用や期間、進め方なども、このときに説明がありますので、不明点があれば必ず確認しましょう。

④手術

オールオン4治療の手術は、インプラント体の埋入から始めます。
人工歯と結合させるためのアバットメントも装着し、一度切開した歯茎を縫合したのち、仮の人工歯を取りつけたら、手術は完了です。

⑤人工歯の取り付け

仮の人工歯を取りつけて噛み合わせの確認などを行ったら、6か月程度様子を見て、最終的な人工歯を装着します。
これで、オールオン4治療は終了です。

人工歯を装着したあとも、インプラントを長持ちさせるために、定期健診を受ける必要があるので、適切な頻度でメンテナンスを受けましょう。

オールオン4治療に向いている方

オールオン4治療は、片あごの歯をすべて取り替えることになるので、「1~2本だけ変えたい」とお考えの方には向いていません。
では、具体的にどのような方が向いているのか、具体的な条件は以下の通りです。

オールオン4治療に向いている方の具体的な条件

  • 総入れ歯を使っている方
  • 費用を抑えたい方
  • あごの骨の量が少ない方
  • 多くの抜歯が必要な方
  • 口元の美しさにこだわりたい方

オールオン4の特徴を踏まえると、上記で挙げた方におすすめできます。
費用面と身体面の負担を減らしながらも、機能も優れているオールオン4治療を検討してみてはいかがでしょうか。

インプラントとは

オールオン4は、4本のインプラント体で12本の人工歯を装着する治療法

いかがでしたでしょうか?

オールオン4治療の最大の特徴は、連結した12本の人工歯を4本のインプラント体で支えるので、片あごすべての歯を一気に取り替えることができる点です。
費用面と身体面の負担を減らせるメリットがある一方で、残っている天然歯を抜歯する必要があり、身体状況によっては治療が受けられないというデメリットもあります。

トラブルを防ぐためにも、実績の豊富なクリニックを選びましょう。

きぬた歯科では、年間3,000本のインプラントを埋入しており、その実績は国内最多です。
もちろん、オールオン4のご相談も受けておりますので、インプラント治療を検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事の監修者

日本歯科大学新潟生命歯学部を卒業後、インプラント治療に従事。現在では年間3000本以上のインプラント治療の実績がある。

日本でインプラント治療が黎明期だったころからパイオニアとして活躍し、インプラントメーカーのストローマン社やノーベルバイオケア社から公認インストラクターの資格を得た。

本の執筆やTV・雑誌などのメディア出演、自身のYouTubeチャンネルなどで情報発信を積極的に行っている。

<主な著書>
インプラント治療は史上最強のストローマンにしなさい!!
歯医者が受けたい!インプラント治療
あっそのインプラント、危険です!!

<YouTubeチャンネル>
八王子きぬた歯科

<外部サイト>
きぬた 泰和 Wikipedia