インプラントのオールオン4とは

インプラントのオールオン4とは、インプラント治療の一つであり、4～6本のインプラント体を埋め込むだけで、上顎もしくは下顎すべての歯を作ることができる治療方法です。

通常のインプラント治療ですべての歯を作ろうとすると、片顎だけでも8～14本程度のインプラント体を入れる必要があり、身体への負担と費用が大きくなってしまいます。

その点、オールオン4は、埋め込むインプラント体の本数が従来の半分で済むため、通常のインプラント治療と比べて身体への負担と費用が少なく済みます。
またオールオン4であれば、骨の量が少ないという理由で通常のインプラント治療が受けられない患者様でも、施術が可能です。

さらには、オールオン4の治療期間は約半年程度であり、通常のインプラント治療と比べて期間を大幅に短縮できるという点もオールオン4の優れた点です。

総入れ歯と比較したオールオン4のメリット

通常のインプラント治療と比べても優れている点が多いオールオン4ですが、総入れ歯と比較するとどのようなメリットがあるのでしょうか？
まずは、オールオン４のメリットを紹介します。

オールオン４のメリット

  • 高い咬合力を実現できる
  • 審美性に優れている
  • 寿命が長い
  • アンチエイジング効果を期待できる

インプラントのオールオン4は総入れ歯と比較して、噛む力や見た目の美しさに優れており、寿命も長いという点が魅力です。

また嬉しいポイントとしては、オールオン4の治療によって、アンチエイジング効果が期待できるという点が挙げられます。
オールオン4は、総入れ歯と比べて食べ物をしっかりと咀嚼することができるため、これによって咬筋や表情筋が鍛えられます。
そのため、結果として若々しい見た目を維持できることにつながるのです。

総入れ歯と比較したオールオン4のデメリット

では反対に、インプラントのオールオン4にはどのようなデメリットがあるのでしょうか？

オールオン４のデメリット

  • 費用が高額になる
  • 外科手術を行う必要がある
  • 治療期間が長期間にわたる

総入れ歯と比較した場合、オールオン4は自由診療のため費用が高くなる傾向があります。またオールオン4は外科手術を行う必要があり、それに伴い治療期間が長くなるという点がデメリットとして挙げられます。

総入れ歯とは

歯の多くを失ってしまった場合の治療方法として、総入れ歯を想像された方も多いのではないでしょうか。
総入れ歯治療とは、歯を失った場所に、着脱式の入れ歯を取り付けることで疑似的に歯を使える状態にするという治療方法です。

総入れ歯は、「床」と呼ばれるプラスチック製の人工歯茎と、人工歯の2つのパーツからできており、これを歯を失った部分に被せて使用します。
総入れ歯の着脱は毎日、患者様ご自身で行っていただく必要があり、はずしたあとの洗浄や適切な保管といった日々のメンテナンスが欠かせません。

オールオン4と比較した総入れ歯のメリット

インプラントのオールオン４と比較した場合、総入れ歯には以下のようなメリットがあります。

総入れ歯のメリット

  • 費用が安い
  • 外科手術を行わないので、リスクがほとんどない
  • 治療期間が短い

総入れ歯は医療保険の適用対象であり、治療費が安く抑えられることが最大の魅力です。
また、総入れ歯治療は手術を行わず身体への負担が無いことや、最短で当日に治療を完了できるため、治療期間が短いことも大きなメリットです。

オールオン4と比較した総入れ歯のデメリット

反対に、総入れ歯にはどのようなデメリットがあるのでしょうか？

総入れ歯のデメリット

  • 咬合力が弱く、はずれてしまうことがある
  • 寿命が短い
  • 装着とメンテナンスの手間がかかる

総入れ歯は、咬合力が本物の歯の10％程度と弱く、また寿命もインプラントのオールオン4に比べてかなり短いというデメリットがあります。
また、衛生面の観点から毎日の着脱と洗浄を欠かすことができず、メンテナンスの手間が発生してしまいます。

インプラントのオールオン4と総入れ歯の違い

ここからは、インプラントのオールオン4と総入れ歯の費用や寿命の違いを比較します。

違い①費用

まずは、インプラントのオールオン4と総入れ歯の気になる費用を比較してみましょう。

インプラントのオールオン4の場合、費用の相場は片顎で200万～400万円程度です。
インプラント治療は医療保険が適用されない自由診療であり、外科手術を行う治療方法となるため、入れ歯治療と比べて費用は高額になる傾向があります。

なお、具体的な費用は人工歯の素材がプラスチックか、セラミックかによって異なります。
プラスチック製と比べて、セラミック製の人工歯は費用が高いものの、審美性や耐久性に優れているという特徴もあるので、ご予算に応じてクリニックと相談してみましょう。

一方で総入れ歯の場合、費用の相場は片顎3,000～2万円程度です。
総入れ歯は保険適用の治療であるため、インプラントのオールオン４と比べて費用が抑えられます。
しかし、総入れ歯は数年ごとの作りなおしが必要ですので、その点を踏まえて長期的な視点で費用の計算をすることをおすすめします。

なお、一般的なレジン製の入れ歯は保険適用の治療ですが、強度や審美性の向上を目的としたチタン製やゴールド製の入れ歯もあり、これらは保険適用外の治療となります。
その場合の費用の相場は、片顎で20万～150万円程度です。

インプラントの費用について気になる方はぜひ、「インプラントの費用の基礎知識と1本あたりの費用について」をご覧ください。

違い②寿命

次に、インプラントのオールオン4と総入れ歯の寿命を比較してみましょう。

インプラントのオールオン4の場合、寿命は一般的なインプラント治療と同様で、平均で15年程度といわれています。
上記はあくまでも平均年数であり、インプラント治療のなかには40年以上もった症例も報告されています。インプラントの寿命については「インプラントの寿命はどれくらいなのでしょうか？ 」の記事でも詳しく解説しております。

一方で総入れ歯の場合、寿命は3～5年程度です。
これは長く入れ歯を装着していると、歯茎や顎の骨が痩せてしまうので、患者様のお口に適合した入れ歯を数年ごとにつくりなおす必要があるからです。

また、レジンと呼ばれる入れ歯の素材自体の経年劣化も避けられず、数年ごとに取り換える必要があります。

インプラントと総入れ歯のケア

どちらを選ぶにせよ、ケアは必要です。
ここではインプラントと総入れ歯、それぞれのケア方法について解説します。

インプラントのケア

インプラントをした場合、歯は自分の天然の歯のように扱うことができます。
そのためブラッシング（歯磨き）やデンタルフロスを利用し、歯や歯茎を清潔に保ちましょう。
人工歯だからといってケアを怠っていると、虫歯にこそならないものの、インプラント周囲炎と呼ばれる歯周病と同じ症状が現れる可能性もあります。

またインプラント治療が完了していても、歯科医院で定期検診をしてもらい、問題がないかや口の中の状態をチェックしてもらうことも大切です。

総入れ歯のケア

総入れ歯をした場合、天然の歯以上のケアが必要となります。
毎食後と就寝前に入れ歯を取り外し、水とブラシを使って汚れを取ったのち、場合によっては入れ歯専用の洗浄液につけ置きします。

しっかりケアしているつもりでも入れ歯にトラブルが発生することはめずらしくなく、ケアを怠っていると装着中に違和感が出てきたり、口の中でトラブルを起こしたりすることがあります。

また長年に渡って同じ入れ歯を使用すると、歯茎が下がるといった退縮で入れ歯そのものが合わなくなってしまうため、歯科医院で定期的に診てもらいましょう。

インプラントのオールオン4と総入れ歯には費用と寿命に大きな違いがあります

いかがでしたでしょうか？

インプラントのオールオン4と総入れ歯には、費用と寿命に大きな違いがあり、またそれぞれのメリットとデメリットも異なります。

費用の相場は、オールオン4が片顎で200万～400万円程度、総入れ歯は片顎で3,000～2万円程度です。
また、寿命はオールオン４が平均15年程度、総入れ歯が3～5年程度と言われています。

費用と寿命だけではなく、それぞれの治療方法のメリットとデメリットを知ったうえで患者様のご希望に沿った治療方法をお選びください。

当きぬた歯科は年間3,000本と、インプラント治療において国内最多の実績があります。
もしインプラント治療について悩まれていらっしゃるのであれば、お気軽にご相談ください。

この記事の監修者

院長

きぬた 泰和　
YASUKAZU KINUTA

日本歯科大学新潟生命歯学部を卒業後、インプラント治療に従事。現在では年間3000本以上のインプラント治療の実績がある。

日本でインプラント治療が黎明期だったころからパイオニアとして活躍し、インプラントメーカーのストローマン社やノーベルバイオケア社から公認インストラクターの資格を得た。

本の執筆やTV・雑誌などのメディア出演、自身のYouTubeチャンネルなどで情報発信を積極的に行っている。

＜主な著書＞
インプラント治療は史上最強のストローマンにしなさい!!
歯医者が受けたい!インプラント治療
あっそのインプラント、危険です!!

＜YouTubeチャンネル＞
八王子きぬた歯科

＜外部サイト＞
きぬた 泰和 Wikipedia