インプラント治療とは?
インプラント治療とは、歯を失った際に歯根の代わりとなる人工歯根を顎の骨に埋め込む治療法です。
人工歯根には、骨としっかり結合するチタンなどの素材が使われ、安定した土台を形成するため、強い噛む力が得られるのが特徴。
通常の義歯やブリッジと異なり、周囲の歯に影響を与えず、1本単位での治療が可能です。
また、見た目も天然の歯に近い仕上がりとなり、機能面と審美性の両方に優れています。
デメリットとしては、外科手術を伴うため治療のハードルがやや高く、さらに健康保険が適用されないため、費用面での負担が大きい点が挙げられるでしょう。
しかし、しっかりとした咀嚼力や美しい見た目を取り戻せるため、多くの人に選ばれている治療法です。
インプラントの治療中や治療後の痛みと期間
インプラント治療は外科手術に分類されますが、治療中は麻酔が効いているため基本的に痛みはありません。
ただし、人によっては治療中や治療後に痛みを感じる場面が存在します。
痛みが出るタイミング | 痛みの期間 |
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治療後2〜3日間(1週間続く場合もある) |
どのタイミングでどのような痛みが発生するかは個人差がありますが、麻酔や術後のケアにより、ほとんどのケースで痛みは軽減可能です。
痛みの原因や強さ、また痛みがどの程度続くのかは、手術の内容や患者の体質に大きく影響されます。
治療中
インプラント治療中は、局所麻酔が施されるためほとんどの方は痛みを感じません。
しかし、麻酔の効き具合には個人差があり、施術中に痛みを感じることが稀にあります。
特に長時間の手術では、麻酔が切れかかってくると、軽い痛みや違和感を覚える可能性があります。
その際は、歯科医に知らせることで追加の麻酔が施され、痛みが再び軽減されます。
麻酔の注射自体に対する恐怖感や痛みがある方は、表面麻酔を施すことで針の痛みを和らげることも可能です。
治療後
治療後の痛みは手術の種類や範囲によって異なりますが、一般的には麻酔が切れてから2〜3日ほどは痛みを感じることがあります。
歯茎を切開して顎の骨にインプラントを埋め込む外科手術であるため、術後の炎症や腫れが原因となるものです。
痛み止めを処方してもらえば、基本的に快適に過ごせるはずですが、痛みが1週間以上続いたり強い痛みが発生するなら、再度歯科医に相談しましょう。
また、術後のケアが適切でない場合、感染症などによって痛みが増してしまうため、口内は清潔に保つようにしましょう。
インプラント治療中の痛みを軽減させる方法
インプラント治療を受ける際に感じる痛みを軽減するには、準備や治療方法について詳しく知っておきましょう。
- 技術や知識が豊富な歯科医院を選ぶ
- 痛みが少ないインプラント治療を受ける
- 歯茎の切開を最小限に抑えてもらう
- 日頃から口内ケアを徹底する
技術力の高い歯科医師による施術や、治療の進め方を工夫することで、患者が感じる痛みをできるだけ少なくできます。
また、日常の口腔ケアも術後の痛みを軽減させるために必須です。
痛みを軽減させる具体的な4つの方法を見ていきましょう。
技術や知識が豊富な歯科医院を選ぶ
インプラント治療の痛みを減らすため、技術や知識の豊富な歯科医師を選びましょう。
経験豊富な歯科医師は、手術中の麻酔の管理や、歯肉の切開を最小限に抑えるなど、痛みを抑える工夫を的確にしてくれます。
例えば、麻酔の注入量やタイミングを調整することで、手術中に痛みを感じにくくすることが可能。
また、痛みが少ない治療法を熟知している歯科医師であれば、患者にとって快適な治療体験を提供できます。
痛みが少ないインプラント治療を受ける
インプラント治療にはさまざまな術式があり、痛みの感じ方も手術の方法によって異なります。
歯肉を切開せずに行う「フラップレスインプラント」は、通常のインプラント手術よりも侵襲が少なく、術後の痛みや腫れが軽減されるとされています。
また、抜歯を同時に行う術式など、歯茎や骨への負担を最小限にする治療方法を選べば、手術後の不快感を大幅に軽減できるかもしれません。
歯茎の切開を最小限に抑えてもらう
インプラント手術で感じる痛みの一つは、歯茎の切開に伴うものです。
歯科医が、必要以上に大きな切開をせず、最小限の処置でインプラントを埋入できれば、術後の痛みや腫れを軽減できます。
サージカルガイドを使用した治療など、精密な計画に基づいた手術が有効的でしょう。
歯茎の切開を最小限に抑えることで治癒のスピードも早まり、患者が感じる痛みも軽減されます。
日頃から口内ケアを徹底する
インプラント手術後の痛みを軽減するには、日常的な口腔ケアが非常に重要です。
治療後に口内を清潔に保つことで、感染症のリスクを減らし、痛みや腫れを抑えられます。
歯磨きやデンタルフロスなどの基本的なケアを徹底するだけでなく、定期的に歯科医院を訪れ、プロによるクリーニングを受けることも、術後の痛みを防ぐための効果的な方法。
口内の清潔を保つことが、インプラント治療を成功させるための重要なポイントとなります。
インプラント治療後の痛みを和らげるポイント
インプラント治療後に痛みを軽減し、スムーズに回復するには適切なケアと注意が必要です。
術後の痛みや腫れを最小限に抑えるため、日常の生活習慣や口内ケアに気を配ることが重要です。
ここでは、治療後の痛みを和らげるために押さえておきたいポイントを4つご紹介します。
- 柔らかい食べ物を食べる
- 患部を刺激しない
- 喫煙を控える
- 口内環境を整える
順番に見ていきましょう。
ポイント①柔らかい食べ物を食べる
インプラント治療後の数週間は硬い食べ物を避けて、柔らかいものを食べるよう意識してください。
硬い食べ物は治療箇所に負担をかけてしまい、回復が遅れる原因となります。
柔らかい食べ物であれば、治癒が進むまでの期間、治療部位への負担を減らせるためです。
また、食事中はできるだけ治療した側で噛まず、反対側で咀嚼するよう心がけましょう。
ポイント②患部を刺激しない
治療後の数日間は、患部が非常に敏感な状態。
そのため、強い刺激を与えないように意識しましょう。
歯ブラシやデンタルフロスを使う際は、治療部位に直接触れないように気をつけるべきです。
また、強いうがいや歯磨きは控え、優しく口内を洗浄する程度に留めましょう。
日常生活のちょっとした意識が術後の痛みや炎症を抑え、早期回復を促進します。
ポイント③喫煙を控える
喫煙はインプラント治療後の回復に悪影響を及ぼします。
タバコに含まれる有害物質が免疫力を低下させ、血液循環も悪くなることで、治癒が遅れるだけでなく炎症や感染症のリスクも高まるのです。
治療後は少なくとも一定期間、禁煙または減煙を心がけましょう。
傷口が正常に治りやすくなり、痛みも軽減できるはずです。
ポイント④口内環境を整える
インプラント治療後、口内の清潔さを保つのは痛みや腫れを抑えるために欠かせません。
口内が不衛生な状態になると、細菌感染が起こりやすくなり、それが原因で痛みや炎症が悪化する可能性があります。
適切な口腔ケアで清潔な環境を維持することで、術後の回復をスムーズにし、痛みの予防につながるでしょう。
定期的な歯科受診やプロによるクリーニングも、口内環境を整えるための重要なポイントです。
インプラント治療後に痛みが出た際の対処法
インプラント治療後に痛みが出た場合、正しい対処法を知っておくことで、症状を緩和し早期に回復を促せます。
ここでは、治療後に痛みを感じた際に自宅でできる対処法についてご紹介します。
- 痛み止めを飲む
- 患部を冷やす
- 治療を担当した主治医に相談する
- 口腔内を清潔に保つ
- ツボを押す
いずれも応急処置として役立ちますが、痛みは我慢せずに早めに歯科医院で診察を受けましょう。
対処法①痛み止めを飲む
インプラント治療後に痛みが強くなる場合、市販の痛み止めを服用すれば症状を一時的に緩和できます。
手元にある鎮痛薬を使用する場合は、用法・用量を守って服用しましょう。
例えば、ロキソニンやイブ、バファリンなどは、痛みを抑えるのに広く知られた鎮痛剤です。
ただし、薬の効果が一時的であるため、翌日には必ず主治医に相談しましょう。
対処法②患部を冷やす
術後の腫れや痛みを感じる場合、患部を冷やすことで血流を抑え、炎症を軽減できます。
冷却する際は保冷剤や冷たいタオルを使い、直接肌に当てないよう注意しながら頬の外側から優しく冷やしましょう。
冷やしすぎないようにするのもポイントで、15〜20分間隔で冷却するのが効果的です。
対処法③治療を担当した主治医に相談する
痛みが長引いたり、痛み止めを服用しても症状が改善しない場合は、すぐに治療を担当した主治医に相談しましょう。
痛みや腫れが数日経っても引かない場合や、出血が止まらない場合は、何らかの合併症が発生している可能性があるため、早急に歯科医で診察を受けてください。
対処法④口腔内を清潔に保つ
インプラント手術後は、口腔内の清潔さを保ちましょう。
不衛生な状態が続くと、傷口が感染するリスクが高まります。
術後は強いうがいや歯磨きを避け、軽く口をすすぐ程度に留め、できるだけ治療部位を刺激しないよう気をつけてください。
適切な口腔ケアが痛みや炎症の進行を防ぎます。
対処法⑤ツボを押す
歯の痛みを緩和するために、ツボを押す方法も応急処置として有効です。
おへその両脇にある「労宮」や、小指側をたどり骨がある部分「神門」などのツボは、歯痛に効果があると言われています。
これらのツボを軽く押すことで痛みが和らぐ場合がありますが、あくまで一時的な対処法として使用してください。
痛みが治まらない場合は、速やかに歯科医に相談しましょう。
インプラント治療後に痛みが出た場合に避けるべきこと
インプラント治療後に痛みが生じた際、適切な対処とともに、いくつかの行動を避けることで症状の悪化を防ぎ、回復をスムーズに進められます。
- 患部をいたずらにさわる
- 飲酒
- 刺激物の摂取
- 激しい運動
- 長時間の入浴
治療後は患部を保護し、何よりも負担をかけないことが大切。
ここでは、痛みが出た際に避けるべき具体的な行動について説明します。
患部をいたずらにさわる
治療直後の患部は非常にデリケートな状態です。
気になって指や舌で触れると、細菌感染のリスクが高まるだけでなく、傷口の治りが遅れる原因にもなります。
無意識に患部を触らないよう注意しましょう。
特に手で触れるのは、細菌を口内に持ち込む可能性があるため避けるべきです。
飲酒
治療後は飲酒を控えましょう。
アルコールは血流を促進させる作用があり、術後の出血や腫れが増すケースがあります。
飲酒によって体内の水分が失われることで、唾液の分泌量が減少し口腔内の自然な防御機能が低下することも考えられます。
したがって、痛みが治まるまでの間は、飲酒は避けるのが賢明でしょう。
刺激物の摂取
辛い食べ物や酸味の強い食品などの刺激物は、術後の患部に直接的な影響を与え、痛みや炎症を悪化させる可能性があります。
術後の数日間は麺類やおかゆなど、刺激が少なく柔らかい食べ物を選ぶよう心がけると良いでしょう。
硬いものやスパイシーな食事は避け、回復をサポートする食生活を送りましょう。
激しい運動
運動は体全体の血流を促進させるため、インプラント治療後に激しい運動をするのは、出血や腫れを引き起こす原因となります。
術後数日は、ストレッチや軽いウォーキングなども含め、体を休めることが重要。
無理をせず、安静に過ごすことが、痛みを軽減し治癒を早めるためのカギとなります。
長時間の入浴
長時間の入浴やサウナに入るのは、体温を上昇させ血行が良くなりすぎることで、術後の痛みや腫れを悪化させる可能性があります。
インプラント治療後の数日間はシャワー程度に留め、湯船に長く浸かるのは避けたほうが良いでしょう。
血行の促進による影響を最小限に抑えるため、温度も低めに設定することをおすすめします。
インプラント治療の痛みは解決できる
いかがでしたでしょうか。
インプラント治療中は、麻酔のおかげで痛みを感じることはほとんどありませんが、治療後は麻酔が切れた後や抜糸の際に痛みを感じることがあります。
適切なケアと信頼できる歯科医を選べば、治療後の痛みを和らげられるでしょう。
きぬた歯科では、年間3,000本以上のインプラント治療実績があり、短時間かつ精度の高い施術で、痛みや腫れを最小限に抑えています。
ご興味のある方はぜひご相談ください。
この記事の監修者
日本歯科大学新潟生命歯学部を卒業後、インプラント治療に従事。現在では年間3000本以上のインプラント治療の実績がある。
日本でインプラント治療が黎明期だったころからパイオニアとして活躍し、インプラントメーカーのストローマン社やノーベルバイオケア社から公認インストラクターの資格を得た。
本の執筆やTV・雑誌などのメディア出演、自身のYouTubeチャンネルなどで情報発信を積極的に行っている。
<主な著書>
インプラント治療は史上最強のストローマンにしなさい!!
歯医者が受けたい!インプラント治療
あっそのインプラント、危険です!!
<YouTubeチャンネル>
八王子きぬた歯科
<外部サイト>
きぬた 泰和 Wikipedia