インプラントでもブラッシングやフロスが必要なワケ

インプラントでも、ブラッシングやフロスは必要です。歯ブラシには歯の表面の汚れを落とす役割がありますが、歯と歯の間に入り込むのは困難です。
実際、しっかりと歯磨きをしても、約40%の磨き残しがあるとのデータが出ています。

そこで磨き残しをなくすのに効果的なのが、フロスです。フロスを使えば、歯垢除去率が約20%もアップするとのデータが出ています。口腔内を清潔に保つためにはブラッシングだけではなく、フロスを日課にするのが理想です。

インプラント治療後にブラッシングやフロスを行わないリスク

インプラント治療後にブラッシングやフロスを行わないと、以下のリスクがあります。

  • インプラントの寿命を縮める
  • インプラント歯周炎に罹患する

どのようなリスクがあるのか、具体的に解説します。

インプラントの寿命を縮める

口腔内が不潔になると、インプラントの寿命を縮める原因となります。もともと、インプラントの寿命は一般的に10年から15年と、高寿命です。定期的にメンテナンスをしていれば、20年使用し続けることも可能です。

しかし、口腔内が不衛生になっていると、次に紹介するインプラント歯周炎になるリスクがあります。結果、インプラントがグラグラしたり、抜けてしまったりします。インプラントはもともと寿命が長いものの、口腔内が衛生的に保たれているのが前提です。

インプラントの寿命については「インプラントの寿命はどれくらいなのでしょうか?」をご覧ください。

インプラント歯周炎に罹患する

口腔内が不衛生な状態になっていると、歯周病菌が増殖して、インプラント歯周炎を引き起こします。インプラント歯周炎になると歯槽骨と呼ばれる部分が溶けて、インプラントが抜けやすくなったり、グラグラしたりします。溶けてしまった歯槽骨が元に戻ることはありません。

インプラントを長持ちさせるためには、ブラッシングとフロスを用いてケアをすることが重要です。さらに、定期的にクリニックで定期検診を受けるようにしましょう。

インプラント歯周炎とは

インプラント歯周炎とは、炎症が歯槽骨にまで広がった状態のことです。炎症は歯茎の赤み・腫れから始まり、ブラッシングをすると出血します。
さらに放置していると、炎症が歯槽骨にまで広がり、骨が溶けていきます。歯槽骨がもとに戻ることはありません。そして歯槽骨が溶け続けると、インプラントを支えるのが困難になり、最終的に抜けてしまいます。

インプラント歯周炎と歯周病の違い

インプラント歯周炎と歯周病の違いは、進行速度と重症化するリスクです。インプラントは天然の歯よりも重症化しやすく、進行は3倍と言われています。これはインプラントには歯根膜がなく、隙間があり、細菌が入りやすい状況であるためです。

天然の歯であれば歯根膜があるため、細菌が入りにくい状況となっています。さらに、インプラント歯周炎の場合は治療を行っても効果を得るのが難しくなっています。進行が早いため、日頃のメンテナンスが重要です。

インプラントが歯周病になる原因については「インプラントでも歯周病になりますか?」をご覧ください。

インプラント歯周炎の症状

インプラント歯周炎の症状は、主に以下のとおりです。

  • 歯茎の腫れ・出血
  • 歯茎から膿が出て口臭が発生する
  • 歯茎が下がり、インプラントが露出する
  • インプラントが不安定になる

インプラント歯周炎は、初期の段階で自覚できないのが特徴です。しかし、インプラント歯周炎が進むと膿が出たり、骨に炎症ができたりするため、違和感を覚えるでしょう。そのまま放置し続けるとインプラントが抜け落ち、最終的には除去しなければなりません。

関連記事:インプラントの治療に失敗したらやり直しはできますか?

インプラント歯周炎のリスクを防ぐには、ブラッシング・フロスをするようにしてください。また、喫煙習慣もインプラント歯周炎を引き起こすリスクがあるため、禁煙するのが理想です。

フロスの種類

フロスには、大まかに以下の3つの種類があります。

  • ホルダータイプF字
  • ホルダータイプY字
  • 糸巻きタイプ

それぞれのメリットとして、ホルダータイプF字は前歯の歯垢を取り除くのに適しており、扱いやすいのが特徴です。ホルダータイプY字は、奥歯の歯垢を取り除くのに適しており、F字同様、初心者でも使いやすくなっています。

糸巻きタイプは、歯全体の歯石を取り除くことができ、使い捨てで衛生的です。ただし、使い方が難しく慣れるまで時間を要します。また、糸巻きタイプにはワックスの有無、素材の違いなどもあります。

フロスの正しい使い方

フロスの正しい使い方を以下の2つに分けて紹介します。

  • ホルダータイプ
  • 糸巻きタイプ

ホルダータイプは、ゆっくりと横に動かしながら、歯と歯の間に入れるだけです。歯ぐきの奥まで入れたら、横に動かしながら取り出してください。

糸巻きタイプは40cmの長さで切り、左右の中指に2〜3回ほど巻き付けます。そして横に動かしながら歯と歯の間に入れます。上下に動かして、歯垢を落としてください。力任せに挿入すると、歯茎を傷つけるため注意してください。

また、フロスをうまく外せない場合は、歯と歯の間に歯石・虫歯がある可能性があります。もしくは詰め物が合っていない可能性がありますので、歯科医院で相談してください。

半年に一回は歯科クリニックでのチェックも欠かせない

日頃セルフケアをきちんとしていたとしても、半年に一回は歯科クリニックでチェックをしましょう。普段磨けているかのチェックをしてくれるうえ、虫歯や歯周病の早期発見にも繋がります。

さらに歯石を取り除きもしてくれるため、口腔内を清潔に保つことができ、口臭予防にも繋がります。定期検診は保険が適用されますので、最低でも半年に一回はクリニックでチェックするようにしましょう。

インプラントとは

インプラント治療後もしっかりと日々のケアをしよう

いかがでしたでしょうか?
インプラント治療後も、ブラッシングはもちろん、フロスをして口腔内を清潔に保つようにしましょう。そして、最低でも半年に一回は歯科クリニックでチェックするようにしてください。

口腔内が不衛生だとインプラント歯周炎になり、歯茎が炎症し、さらに重症化するとインプラントが抜け落ちてしまいます。ですので、インプラントを長持ちさせるためにはしっかりとケアをしましょう。

インプラント治療で悩みがある方は、きぬた歯科へご相談ください。
きぬた歯科では年間で、3,000本ものインプラント治療を行っています。
インプラント治療を検討されている方も、ぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

日本歯科大学新潟生命歯学部を卒業後、インプラント治療に従事。現在では年間3000本以上のインプラント治療の実績がある。

日本でインプラント治療が黎明期だったころからパイオニアとして活躍し、インプラントメーカーのストローマン社やノーベルバイオケア社から公認インストラクターの資格を得た。

本の執筆やTV・雑誌などのメディア出演、自身のYouTubeチャンネルなどで情報発信を積極的に行っている。

<主な著書>
インプラント治療は史上最強のストローマンにしなさい!!
歯医者が受けたい!インプラント治療
あっそのインプラント、危険です!!

<YouTubeチャンネル>
八王子きぬた歯科

<外部サイト>
きぬた 泰和 Wikipedia