インプラントの除去とは?

インプラントは、口の中でなにかしらのトラブルが生じた場合、あごの骨から除去することがあります。

インプラントによるトラブルを放置してしまうと、口の中の状態や体調にまで悪影響をもたらすため、場合によってはインプラントを除去しなければならないかもしれません。
しかし、毎日のケアや定期的なメンテナンスを行うことでトラブルを防ぐことも可能です。

また、トラブルのなかには、保証制度を利用してインプラントを除去できるものもあります。
ただし、インプラント治療後の保証期間や保証制度の内容などは、クリニックによって異なるため、治療を受ける前に確認することをおすすめします。

インプラントの除去が必要になる3つの状況

ここからは、インプラントの除去が必要になる3つの状況を解説します。

状況①インプラント周囲炎を発症している

インプラントの除去が必要になる状況として、インプラント周囲炎を発症していることが挙げられます。

インプラント周囲炎とは、埋め込まれたインプラントの周辺の組織が、歯周病のような症状を発症する疾患のことです。
インプラント周辺の歯茎に、口の中で繁殖した細菌が入り込むことで感染し、歯茎の腫れによる痛みや出血が症状として現れる可能性が高いです。

さらにインプラント周囲炎が進行すると、インプラントを支えているあごの骨が溶かされていき、インプラントがグラグラと不安定な状態になっていきます。
インプラント周囲炎は自覚症状が少ないことから進行が早く、治療を行っても症状が改善しない場合があります。
重症で回復の見込みがない場合は、インプラントの除去が必要です。

ただし、インプラント周囲炎は、毎日のケアと定期的なメンテナンスを行えば発症を防ぐことが可能です。
そのため、毎日のケアは歯ブラシと合わせてデンタルフロスを使用することや、定期的なメンテナンスを半年に1回程度受診することをおすすめします。

状況②インプラント手術によって細菌の感染が引き起こされている

インプラント手術によって細菌の感染が引き起こされている場合も、インプラントの除去が必要です。

インプラント手術は外科手術をともなうため、口の中を徹底的に清潔に保つことがなによりも大切です。
しかし、クリニックのなかには通常の虫歯治療を行う場所で、インプラント手術も行うクリニックもあり、その場合は飛沫感染などのリスクが存在します。

細菌の感染が引き起こされると、歯茎の腫れによる痛みや膿が発生します。
治療を行っても症状が改善しない場合は、インプラントを除去しなければならないこともあるため注意しましょう。

インプラント治療を受ける際には、安心して治療を受けるためにも、インプラント専用の個室があるような、衛生管理が整っているクリニックを選ぶことが望ましいです。

なお、きぬた歯科では、専用の治療室を3部屋ご用意しているため、安心して治療を受けていただけます。

状況③インプラントが破損している

インプラントが破損しているときは、インプラントの除去が必要かどうかを確認するために、クリニックをできるだけすぐに受診しましょう。

インプラントは、人工の歯根であるインプラント体と、連結部分であるアバットメント、そして被せ物にあたる人工歯の3つに分かれています。
人工歯が破損した場合は、補修や作り直しすることで再び使えるようになることもありますが、インプラント体が破損した場合はインプラントを除去しなければなりません。

インプラントの破損は、噛み合わせの問題や製造上の問題といった、さまざまな原因があるため、放置せずにクリニックを受診することが大切です。

状況④インプラント手術後の神経麻痺

ごくまれなケースではありますが、インプラント手術後に神経麻痺が起こることがあります。下あごには、下顎管といって、血管や神経が通ったトンネルのようなものがあり、下顎管に近い場所、もしくは触れる場所にインプラントが埋入されると、歯ぐきや唇に知覚異常を感じてしまいます。

術後しばらく経っても、しびれや感覚の鈍りなどがある場合は、埋入したインプラントの影響が疑われます。このような場合にも、インプラントの除去が必要になる可能性があります。インプラント埋入後、あご周辺の皮膚や唇に違和感があれば、速やかに医師に相談しましょう。

状況⑤インプラント治療後に金属アレルギーになった場合

インプラントには、金属の中でもアレルギーを起こしにくい「チタン」という素材が使われており、金属アレルギーが起きる可能性は非常に低いと言えます。

しかし、これまで金属アレルギーを持っていなかった方でも、インプラントという形で長期間口の中に金属が存在すると、アレルギーを発症してしまうことがあります。さまざまな検査を経て、アレルギーの原因がインプラントにあると判明した場合、症状によってはインプラントを除去しなければなりません。

この場合、再度インプラント手術を受けることは難しくなりますので、ブリッジや入れ歯など、別の方法での治療を検討します。

インプラントの除去を受けられる施設

基本的にインプラントの除去は、インプラント治療を行うクリニックや大学病院でも受けられます。
なぜなら、インプラント治療を行うクリニックや大学病院であれば、インプラントを除去するための器具も揃えられていることがほとんどであるためです。

しかし、埋め込まれたインプラントの製品情報がわからないときには、除去が難しい場合や時間がかかってしまう場合があります。

そのため、インプラント治療を受けた医療機関から製品情報を確認しておくことをおすすめします。

インプラントの除去にかかる費用

インプラントの除去にかかる費用は、保険適用の有無で変動します。
そこでここからは、インプラントの除去にかかる費用を、保険適用の場合と保険適用外の場合に分けて解説します。
インプラントの費用については「インプラント治療の費用はいくら?1本あたりの費用について」もご覧ください。

保険適用の場合

前提として、インプラントの除去にかかる費用を保険適用にするためには、インプラント治療を受けた医療機関以外のクリニックや大学病院を、利用しなければなりません。
くわえて、インプラント治療前のレントゲン画像を提出する必要があります。

一般的な人工歯根のタイプで、自己負担が3割の患者様の場合、インプラント1本の除去に対して1,500円程度の費用がかかります。
そのほかに、初診料やレントゲン撮影などの費用は別途かかることがあるため、除去を検討している医療機関に事前に確認しましょう。

保険適用外の場合

インプラント治療を受けた医療機関でインプラントを除去する場合は、保険適用外になることから、基本的にはすべて自己負担です。
なお、インプラント治療は自由診療であるため制限がなく、費用は医療機関の規定によって異なります。

しかし、医療機関によっては保証制度があるため、無償や一部負担だけで済む場合もあります。
保証が適用される期間が決められている場合や、インプラントの部品ごとに保証される範囲が限られている場合もあるため、事前に確認しておくと安心でしょう。

また、禁煙指示がある場合は指示に従っていることや、定期的なメンテナンスを受診していることなどの条件も満たす必要があります。

【関連記事】
インプラント治療には保険が適用されるのでしょうか?

インプラントの除去は口の中でトラブルが生じた場合に起こりうる

いかがでしたでしょうか?

インプラントの除去が必要になる状況として、インプラント周囲炎を発症していることや、インプラント手術で細菌が感染していることが挙げられます。
どちらの場合も、細菌の感染によって歯茎の腫れによる痛みが症状として現れ、治療を行っても症状が改善しない場合は、インプラントを除去しなければならないこともあります。

また、インプラントが破損しているときは、インプラントの除去が必要かどうかを確認するためにクリニックをできるだけすぐに受診しましょう。

きぬた歯科では、治療後の10年保証や無料の定期的なメンテナンスを設けています。
安心してインプラント治療を受けたいという方は、お問い合わせください。

この記事の監修者

日本歯科大学新潟生命歯学部を卒業後、インプラント治療に従事。現在では年間3000本以上のインプラント治療の実績がある。

日本でインプラント治療が黎明期だったころからパイオニアとして活躍し、インプラントメーカーのストローマン社やノーベルバイオケア社から公認インストラクターの資格を得た。

本の執筆やTV・雑誌などのメディア出演、自身のYouTubeチャンネルなどで情報発信を積極的に行っている。

<主な著書>
インプラント治療は史上最強のストローマンにしなさい!!
歯医者が受けたい!インプラント治療
あっそのインプラント、危険です!!

<YouTubeチャンネル>
八王子きぬた歯科

<外部サイト>
きぬた 泰和 Wikipedia