インプラントの交換とは

ひと口にインプラントの交換と言っても、どのような治療が必要なのかは患部の状況によって変わります。

まずは歯科医院で、インプラントにどのようなトラブルが発生しているのかを、診てもらわなければなりません。
交換が必要であると判断された場合でも、人工歯(被せ物)のみを取り替えればよいケースや、インプラント全体を交換するケースなどによって、治療方法は異なります。

インプラントの交換が必要な場合

ここからは、インプラントの交換が必要な場合をみていきましょう。
インプラント治療を行った患部に、以下のような症状や状態が当てはまると、インプラントの交換が必要です。

インプラントの交換が必要な症状や状態

  • 噛み合わせに違和感がある
  • インプラントがぐらぐらする
  • 患部から血や膿が出ている
  • 歯茎が腫れている
  • インプラントが破損している
  • インプラント体やアバットメントが歯茎から見えている
  • インプラントが抜けた

患部の状態が現状よりも悪化しないように、できるだけ早く歯科医院を受診してください。

インプラントの交換が必要な状態で放置した場合

インプラントの交換が必要な方のなかには、患部の痛みや口内に違和感がある状態で放置してしまう方もいらっしゃるかもしれません。
交換が必要であるのにもかかわらず放置すると、口内全体のトラブルにつながるおそれがあります。

ここでは、インプラントの交換が必要な症状や違和感を放置した場合に発生する、2つのトラブルを紹介します。

トラブル①インプラント周囲炎が進行する

インプラントの交換が必要な状態で放置した場合、インプラント周囲炎が進行するかもしれません。

患部の歯茎とインプラントのあいだに細菌が侵入して、インプラント周囲炎を発症すると、炎症や腫れ、痛み、出血などの症状が現れます。
インプラント周囲炎は進行が早く、適切な処置を行わないと、周りの歯茎が腫れて健康な歯にも悪影響をおよぼしかねません。

また、歯茎だけでなく、インプラントを埋入している骨が細菌によって溶けてしまい、最悪の場合、インプラントが抜け落ちる可能性もあります。

トラブル②歯全体の噛み合わせが悪くなる

インプラントの交換が必要にもかかわらず、その状態を放置すると、歯全体の嚙み合わせが悪くなります。
天然歯と比べて噛む力が強いインプラントは、顎の骨に大きな負担をかけてしまうからです。

顎の骨の負担が大きくなると、身体全体の骨格に影響をおよぼすので、顔が歪んだり肩こりや腰痛が続いたりといった症状も現れます。

インプラントの交換にかかる費用

自由診療であるインプラントの交換にかかる費用は、歯科医院ごとに異なります。
歯科医院独自の保証やメーカー保証が設けられていることが多いので、保証期間内であれば無償で交換してもらえます。

また、インプラントを再利用できる場合は、交換の際に新しいインプラントを作らなくてもよいので、費用を抑えられるでしょう。

ただし、インプラント治療後は歯科医院でのメンテナンスを、定期的に受ける必要があります。
そのため「メンテナンスに通わなかったので、インプラント周囲炎が進行して交換が必要になった」といった場合には、保証は適用されません。

定期的に通院してメンテナンスを受けていれば、歯周病のリスクも抑えられるうえに、インプラントを交換する必要がなくなるので、ケアは怠らないようにしてください。

インプラントの交換に必要な期間

インプラントの交換にかかる期間は、部品によって異なります。

たとえば、被せ物だけを交換する場合は短く済みますが、それでも型取りや検査、治療には1~3か月程度かかります。
一方で、埋入したインプラント体(人工歯根)まで一式すべてを交換しなければならない場合は、3~7か月程度の期間が必要です。

また、インプラント周囲炎などで、顎の骨に厚みがなくなってしまい、骨移植手術や骨造成手術の治療が必要な場合には、5~12か月程度の期間を要します。

上記はあくまで目安であり、患部の状態によって治療期間は異なるので、まずは歯科医院で口内の状態を診てもらいましょう。

インプラントを交換する際の注意点

インプラントを交換する際は、保証の期間や条件を確認してください。
何年保証してくれるのか、また、保証が適用される条件を満たしているかなどを確認しておけば、交換が必要になった際の費用を抑えられるかもしれません。

なお、インプラントの交換は、インプラント治療を受けた歯科医院への相談が前提です。
しかし、インプラント治療が適切に行われなかった場合や、歯科医師の技術不足などが顕著な場合は、セカンドオピニオンを検討するのもよいでしょう。

安心して治療を受けるためにも、技術と実績のある歯科医院に任せることをおすすめします。

インプラントの保証期間については「インプラントには保証期間がありますか?」をご覧ください。

インプラントとは

インプラントの交換は可能だが交換の必要がないようにメンテナンスやケアを行うことが大切

いかがでしたでしょうか?

インプラントの交換が必要な場合、どのような治療を施すのかは患部の状況によって変わります。

インプラントの交換が必要な状態で放置すると、インプラント周囲炎や嚙み合わせが悪化してしまいます。
まずは歯科医院で、どのようなトラブルが発生しているのかを診てもらいましょう。

きぬた歯科では、インプラント治療後のメンテナンスやアフターフォローも充実しています。
インプラントの治療や交換を検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事の監修者

日本歯科大学新潟生命歯学部を卒業後、インプラント治療に従事。現在では年間3000本以上のインプラント治療の実績がある。

日本でインプラント治療が黎明期だったころからパイオニアとして活躍し、インプラントメーカーのストローマン社やノーベルバイオケア社から公認インストラクターの資格を得た。

本の執筆やTV・雑誌などのメディア出演、自身のYouTubeチャンネルなどで情報発信を積極的に行っている。

<主な著書>
インプラント治療は史上最強のストローマンにしなさい!!
歯医者が受けたい!インプラント治療
あっそのインプラント、危険です!!

<YouTubeチャンネル>
八王子きぬた歯科

<外部サイト>
きぬた 泰和 Wikipedia