ジルコニアインプラントとは?

「ジルコニアインプラント」とは、金属を一切用いないインプラントのことです。
通常では金属であるチタンが用いられますが、ジルコニアインプラントはすべての部品がジルコニアと呼ばれるセラミックでできています。

チタンはアレルギーの不安が少ない金属だと言われています。
一般的にはニッケルやクロム、コバルトなどに比べると症状の発症が少なく、インプラントに適した金属です。
しかしチタンでアレルギーが引き起こされることもゼロではありません。

そのため安全性の高い材質を用いた、「インプラントジルコニア」が登場しました。

参照:JSTAGE:(PDF)医療用チタン材およびその表面処理

通常のセラミックとの比較

ジルコニアはセラミックの一種ですが、通常のセラミックと比較して硬さに優れています。
セラミックの中で最も硬いとされるのがジルコニア。
金属とおなじくらいの強度を持つ材質であり、奥歯など、咀嚼による力が強くかかる部分にも安心して使えるでしょう。

チタンインプラントとの違い

チタンインプラントとの違いは、やはり金属であるかどうかです。
金属でない素材であれば、金属アレルギーが引き起こされる心配はありません。

また金属は電磁波を集める性質があるとされるため、スマートフォンなどから発せられる電磁波の影響を抑えられる可能性もあるでしょう。
電磁波は頭痛や疲労、ストレス、睡眠障害、ドライアイなどの原因ともされています。

特にチタンは電磁波を集める力が高いと言われる金属です。
アレルギーだけでなく、その他の健康障害も引き起こしにくいことがジルコニアとの違いと言えます。

ジルコニアインプラントの寿命はどのくらい?

ジルコニアインプラントの寿命は、10~15年後に90~94%程度残るとの報告があり、15年以上と考えて良いでしょう。
具体的には上顎で約90%、下顎で約94%の割合で残っていたとのことです。

参照:厚生労働省:(PDF)歯科インプラント治療のためのQ&A

 

基本的にチタンインプラントとジルコニアインプラントの寿命は変わりません。
ただし抜歯をした後にすぐにインプラントを埋入したり、骨移植を行ったりすると寿命は短くなります。
それでも10~15年後に87~92%のインプラントが残ると報告されており、その他の義歯治療と比べると寿命は長い治療方法です。

ジルコニアインプラントのメリットとデメリット

それでは続いて、ジルコニアインプラントのメリットとデメリットについて見ていきましょう。
ジルコニアインプラントは優れていると解説してきましたが、デメリットがないわけではありません。
治療を検討されているなら、まずはメリットとデメリットの両方について把握しておいてください。

メリット

まずはジルコニアインプラントのメリットからご紹介します。

【メリット】

  • 歯茎が下がっても審美性に支障がない
  • チタンよりもインプラント周囲炎になりにくい
  • 強度が高い
  • 金属アレルギーの方でも治療が受けられる
  • 電磁波や微弱電流を受ける不安がない

チタンインプラントの場合、歯茎が下がると金属が見えることがありますが、ジルコニアであれば問題ありません。
ジルコニアは白色であり、たとえ埋入した部品が見えてしまっても違和感がないでしょう。
そしてインプラント周囲炎になりにくいことも大きなメリットのひとつです。
傷や歯垢がつきにくい材質なので、炎症が起こりにくく、インプラント周囲炎のリスクが軽減されます。

また強度が高いこと、アレルギーの不安がないこと、電磁波や微弱電流を受ける不安がないこともジルコニアのメリットです。
金属でないということは、チタンを使うことによる不安をトータルで解消してくれるでしょう。

デメリット

次にジルコニアインプラントのデメリットについて解説します。

【デメリット】

  • 費用が高額になりがち
  • 症例によっては対応できない
  • 顎の骨への負担が大きい

ジルコニアインプラントはチタンインプラントに比べて費用が高額になりがちです。
また症例によっては対応できないことがあるため、ジルコニアを希望していても、使用が難しいことがあります。

また顎の骨への負担が大きいのもデメリットです。
強度に優れていることから、咀嚼の際の柔軟性がなく、結果的に顎の骨にかかる負担が大きくなります。
もし顎の骨が薄かったり少なかったりする場合は、ジルコニアは使えないかもしれません。

ジルコニアインプラントの費用相場と負担を軽減するポイント

ジルコニアインプラントは費用が高額になりがちだと解説しました。
しかし費用の負担を軽減させる方法はあります。
それでは治療にかかる費用の相場と、負担を軽減するためのポイントについて見ていきましょう。

ジルコニアインプラントは基本的に保険適用外

治療の前に知っておいていただきたいのが、ジルコニアインプラントは基本的に保険適用外であることです。
インプラント治療自体は平成24年度に、一部の症例が保険適用となりました。
しかし保険適用となる素材は決まっています。

ジルコニアは保険適用外の素材であるため、もし保険適用条件を満たす症例であっても自費診療となってしまいます。
ジルコニアインプラントの治療費が高額となりがちなのは、保険が適用されない素材であることも一因です。

参照:JSTAGE:(PDF)保険診療で行うインプラント治療:補綴的立場からの現状と展望

費用相場

一般的な費用の相場は、1本あたり380,000円~460,000円程度です。
もちろんクリニックにより変わりますし、症例ごとにかかる金額は上下するでしょう。

しかしジルコニアインプラントでは、チタンインプラントに比べて100,000円ほど高いと考えてください。

費用を抑えるポイント

それでは費用を抑えるためのポイントをご紹介します。

【費用を抑えるには】

  • 医療費控除を活用する
  • クレジットカードで支払う
  • デンタルローンで1回分の支払負担を軽減させる
  • オールオン4にする
  • オーバーデンチャーにする
  • 複数の歯科医院に見積もりを依頼する

ジルコニアインプラントの費用を抑えるには、まず医療費控除を活用することが基本です。
医療費控除とは1月1日から12月31日までに支払った医療費が、一定額以上になった場合に所得税控除が受けられる仕組みのこと。
年間の総所得が200万円以上であれば、医療費の金額から保険金で補填される金額と100,000円を差し引いた金額が対象です。
200万円未満の所得の方は、総所得金額の5%を医療費控除として申請できます。
さらにクレジットカード払いにしてポイントを得たり、デンタルローンで1回の支払負担を減らしたりする方法が考えられます。

参照:国税庁:No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)

 

治療費自体を抑えたいなら、オールオン4やオーバーデンチャーを検討しましょう。
複数の歯科医院に見積もりを依頼して、適正な治療費を提示したクリニックを選ぶことも大切です。
ご紹介した方法を組み合わせれば治療費を抑えられますので、費用面で不安な方はぜひ参考にしながら実践してください。

ジルコニアインプラントは強度・審美性・安全性に優れる

いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでいただくことで、ジルコニアインプラントとはどのような治療法であるかご理解いただけたと思います。

ジルコニアは強度と審美性に優れた素材で、さらに金属アレルギーの方でも不安がありません。
ただし費用が高くなること、症例によっては対応できないことなどのデメリットがあることも忘れないでください。

きぬた歯科は25年間のインプラント施術経験を持ち、年間3,000本の埋入実績があります。
もしインプラント治療について不安がありましたら、お気軽にきぬた歯科までご相談ください。

この記事の監修者

日本歯科大学新潟生命歯学部を卒業後、インプラント治療に従事。現在では年間3000本以上のインプラント治療の実績がある。

日本でインプラント治療が黎明期だったころからパイオニアとして活躍し、インプラントメーカーのストローマン社やノーベルバイオケア社から公認インストラクターの資格を得た。

本の執筆やTV・雑誌などのメディア出演、自身のYouTubeチャンネルなどで情報発信を積極的に行っている。

<主な著書>
インプラント治療は史上最強のストローマンにしなさい!!
歯医者が受けたい!インプラント治療
あっそのインプラント、危険です!!

<YouTubeチャンネル>
八王子きぬた歯科

<外部サイト>
きぬた 泰和 Wikipedia