インプラントのパーツ

インプラントは、主に以下の3つのパーツで成り立っています。

  • インプラント体(人工歯根)
  • アバットメント
  • 義歯

インプラントの基本的な部分を理解するために、まずはこれから紹介するパーツを押さえておきましょう。

インプラント体(人工歯根)

インプラント体とは、人工歯根のことで顎の骨に埋め込むパーツのことです。
歯根は歯を支えるもので、歯茎に覆われていて外からは見えません。
インプラント体のサイズは直径4ミリ前後、長さ10ミリ前後です。しかし実際に使用するサイズは、埋め込む位置や顎の状態などによって変わってきます。
したがって、インプラント体のサイズはさまざまです。

アバットメント

アバットメントとは、インプラント体の上に取り付けるパーツのことです。次に紹介する義歯とインプラントは体を接続する役割を担っています。口腔内の状態にあわせて、高さや角度を調整できます。審美的に目立ちやすいため、選択が重要です。

義歯

義歯とはアバットメントの上に取り付けるもので、失った歯の代わりになる部分のことです。最も目につく部分であるため、機能性だけではなく審美性も重要になります。
仕上がりはクリニックによって異なるため、実績を確認して、信頼できる歯科医師に依頼しましょう。

インプラントに使われる素材

インプラントに使われる素材は主に以下の3つです。

  • チタン合金(チタニウム)
  • セラミック
  • ジルコニア

それぞれ特徴やデメリットがあります。これからインプラント治療を受ける方はぜひ参考にしてください。

チタン合金(チタニウム)

インプラント治療で最も一般的なのが、チタン合金です。チタンを顎の骨に埋め込むと、歯の代謝によって骨とインプラント体がしっかりと結合されます。これによって、まるで自分の歯のように使うことができます。また金属が錆びず、軽くて加工しやすいといったのもチタンのメリットです。チタンは歯科以外に医療で幅広く使用されており、調整用のワイヤーや心臓ペースメーカーなどにも用いられています。

セラミック

セラミックには、以下の4種類があります。

  • ジルコニアセラミック
  • オールセラミック
  • ハイブリッドセラミック
  • メタルボンド

細かいメリットとデメリットはそれぞれのセラミックで異なります。
メタルボンドを除いて、それ以外の一般的にセラミックは審美性が高く、周囲の歯と合わせやすくなっています。
ただし、割れる可能性があるため、注意が必要です。

メタルボンドに関しては、自然の歯に近い白さを再現でき、中身が金属であるため耐久性にも優れています。
ただし、金属アレルギーの方は注意が必要です。どのセラミックが合っているかは人によって異なるため、カウンセリングで相談して決めるとよいでしょう。

ジルコニア

ジルコニアはセラミックの1つで人工ダイヤモンドとも言われており、セラミック系素材の中で、最も丈夫で審美性に優れています。
金属が使用されていないため、金属アレルギーの方でも安心して使用できるのが特徴です。
体への影響を考えたり、見た目が気になったりする方、口内を清潔に保ちたい方におすすめの素材です。

ジルコニア製インプラントのメリット

ジルコニア製インプラントのメリットは主に以下の4つです。

  • 高寿命
  • 生体親和性が高い
  • 強度が高い
  • 歯周炎リスクを下げられる

先ほどもジルコニア製インプラントのメリットを軽く紹介しましたが、さらに詳しく見ていきましょう。
強度が高い素材、見た目が気になるといった方は、ジルコニア製インプラントが適している可能性があります。

高寿命

ジルコニア製インプラントは、人工ダイヤモンド白い金属と呼ばれるほど強度があり、割れたりかけたりするのは稀です。
食べ物への制限もかかりにくく、食事を楽しみたい方にも最適です。さらに、歯垢などのプラーク汚れも付着しにくく、口腔内を清潔に保つことが可能です。

生体親和性が高い

ジルコニア製インプラントは、生体親和性が高いのも魅力の1つです。
そもそもジルコニアはセラミックであり、金属ではありません。そのため、金属アレルギーの方でも安心して使用できます。

クリニックによっては人工歯根にチタン製を使用し、アバットメントをジルコニアにする治療方法もありますが、なかには人工歯根も全てジルコニア製にしているところもあります。
そのようなクリニックであれば、金属アレルギーの方でも安心して治療を受けることが可能です。

強度が高い

ジルコニア製インプラントは、人工ダイヤモンドと呼ばれるほど強度があり、割れたりかけたりするのは稀です。自分の歯のように扱うことができるため、食事も楽しめるでしょう。

歯周炎リスクを下げられる

インプラントを入れている方はメンテナンス・歯磨きが不十分だと、インプラントが歯周病と同じ状態になり、インプラント歯周炎を引き起こす恐れがあります。
インプラント歯周炎は悪化すると骨を溶かし、埋め込んだインプラントも抜け落ちてしまいます。しかし、ジルコニアであれば強度が高く傷がつきにくいため、汚れが付着しにくく、口腔内を清潔に保つことができます。
その結果、歯周炎リスクを下げ、インプラントを長持ちさせることが可能です。

ジルコニア製インプラントのデメリット

ジルコニア製インプラントは高寿命だったり、強度が高かったりと、さまざまなメリットがあると紹介しました。しかし、一方でデメリットもあります。
具体的なデメリットとしては、以下の2つです。

  • 費用がかさむ
  • 硬度ゆえに咬合時に負担がかかるケースもある

メリットだけではなく、デメリットも踏まえたうえで、ジルコニア製インプラントを検討しましょう。

費用がかさむ

インプラント治療の費用相場は、1本あたり30万円から50万円といわれています。クリニックによって金額は異なるものの、ジルコニア製インプラントは50万円〜はみておくといいでしょう。手術をするとなると、さらに金額は高くなります。基本的にインプラント治療は自由診療であり、保険適用がされるのは稀です。そのため、どうしても費用がかさんでしまいます。

硬度ゆえに咬合時に負担がかかるケースもある

ジルコニア製インプラントは強度が高く、しっかりと噛めるのがメリットの1つですが、それだけ顎への負担が大きくなります。
顎の状態によっては歯を痛める恐れがあるため、顎の状態を見たうえでの治療になります。

ジルコニア製インプラントの費用

ジルコニア製インプラントは50万円〜はみておきましょう。
ただし、顎の状態によっては手術が必要になり、そうなると10万円〜30万円前後の料金が発生するケースもあります。
事故や先天性の病気によって保険適用されるケースもありますが、多くの方は自由診療が一般的です。

現在埋入しているインプラントからジルコニア製に変えられる?

結論から述べると可能です。実際、インプラント治療後に痛みが出たり、ぐらぐらしてしまったりすることが原因で、インプラントの付け替えを行うケースはあります。
特に現在埋入しているインプラントに違和感があるにもかかわらず、そのまま使い続けていると噛み合わせが変わってしまったり、インプラント歯周炎が進行してしまったりします。
もしも違和感があると思ったら、すぐにクリニックに相談しましょう。

インプラントとは

自分に合った種類のインプラントを選ぼう

いかがでしたでしょうか?
ジルコニア製インプラントは強度が高く、審美性にも優れています。一方で費用がかさむほか、硬度ゆえに咬合時に負担がかかるデメリットがあります。メリットもあれば、デメリットもありますので、両方を踏まえたうえで検討しましょう。

人によってどのセラミックが適しているかは異なるため、まずはカウンセリングを受けてみるのがおすすめです。
きぬた歯科では年間で、3,000本ものインプラント治療を行っています。
インプラント治療を検討されている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

日本歯科大学新潟生命歯学部を卒業後、インプラント治療に従事。現在では年間3000本以上のインプラント治療の実績がある。

日本でインプラント治療が黎明期だったころからパイオニアとして活躍し、インプラントメーカーのストローマン社やノーベルバイオケア社から公認インストラクターの資格を得た。

本の執筆やTV・雑誌などのメディア出演、自身のYouTubeチャンネルなどで情報発信を積極的に行っている。

<主な著書>
インプラント治療は史上最強のストローマンにしなさい!!
歯医者が受けたい!インプラント治療
あっそのインプラント、危険です!!

<YouTubeチャンネル>
八王子きぬた歯科

<外部サイト>
きぬた 泰和 Wikipedia