ジルコニアインプラントとは
ジルコニアインプラントとは、ジルコニアと呼ばれるセラミックスを使って作られるインプラントのことです。
一般的にインプラントは、純チタンやチタン合金で作られます。
チタンは骨と結合しやすい性質を持つためです。
しかし、ジルコニアも骨と結合しやすい素材であるため、ジルコニアでインプラントが作られることもあります。
それではなぜチタンではなくジルコニアでインプラントを作る必要性があるのでしょうか?
ジルコニアの特徴から紐解いていきます。
ジルコニアの特徴
ジルコニアには強度に優れていて、陶器のような美しい見た目である特徴があります。
そのため人工歯としてしようしても問題がない強度があることと、天然歯とほぼ同等の美しさが得られることが特徴です。
しかし、セラミックと比べると透明感が低いことから、前歯ではなく奥歯で使用されることが多いでしょう。
また、人工ダイヤモンドと同等の強度があることから、天然歯と変わらない強度を持つことも特徴のひとつです。
奥歯は咀嚼の際に大きな力がかかるため、奥歯のインプラントには適した素材だと言えます。
ジルコニアインプラントのメリット
ジルコニアのインプラントには、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?
6つのメリットについて解説します。
メリット①強度が高い
まずは強度が高いことがメリットとしてあげられます。
人工ダイヤモンドと呼ばれるほどの強度を誇るジルコニアは、咀嚼でかかる強い力にも負けません。
他のインプラントでは破折してしまうような状況でも、ジルコニアインプラントであれば耐えられるでしょう。
したがって長期間使用できるため、インプラントを安定して使い続けたいと思われている方に適しています。
メリット②審美性に優れている
美しい白色のジルコニアは、審美性に優れる素材でもあります。
天然歯と見た目が似ているので、人工歯と知られないようなインプラントをしたいというケースにおすすめです。
また、長期にわたり使用していても、美しい状態が続くこともメリットのひとつです。
汚れがつきにくいため、何年経っても美しい状態をキープできるでしょう。
メリット③歯垢(プラーク)が付着しにくい
歯垢が付着しにくいこともメリットのひとつです。
金属であるチタンは、ジルコニアに比べて歯垢が付着しやすいとされています。
ジルコニアは天然歯のエナメル質よりも表面が滑らかで、歯垢が付着しにくい素材です。
また、たとえ付着してしまったとしても、ブラッシングにて落としやすい傾向があります。
歯垢はインプラント周囲炎の原因ともなるため、インプラントを長期にわたり維持するためにはジルコニアインプラントが効果的です。
メリット④人体との相性が良い
インプラントの素材の中でも、人体との相性が良いのがジルコニアです。
骨と結合しやすく、拒絶反応も起こりにくいため体への負担がかからず効率的に治療を進められます。
チタン製のインプラントでは、長期に渡る使用で歯茎が下がってしまうことがあります。
しかし、ジルコニア製であればその心配も軽減されるでしょう。
人体との相性が良く、体に負担をかけない素材であるのがジルコニアです。
メリット⑤電磁波の影響を抑制できる
ジルコニアインプラントは電磁波の影響も抑制できます。
インプラントによく使われているチタンは、電磁波を集める性質がある金属です。
しかし、ジルコニアは金属ではなく電磁波を集める性質もありません。
そのため電磁波過敏症になる恐れもなく、体の不調が引き起こされる心配もないでしょう。
メリット⑥金属アレルギーの心配をしなくてよい
最後に、金属アレルギーの心配がないことも大きなメリットです。
チタンは金属アレルギーを引き起こしにくい金属であると言われています[1]。
しかし、全く発症されないわけではなく、チタン合金や純チタンでもアレルギー反応が起こったとの報告はなされました[1]。
しかし、ジルコニアインプラントでは金属アレルギーが起こりません。
なぜならジルコニアは金属ではないためです。
金属アレルギーが不安であれば、チタン製よりもジルコニア製を選んだほうが心配ありません。
ジルコニアインプラントのデメリット
ジルコニアインプラントにはさまざまなメリットがあると解説しました。
しかし、メリットばかりではありません。
デメリットもあるので、デメリットも含めてジルコニアにすべきか、チタンにすべきかを検討してください。
デメリット①治療費が高額になる
第一のデメリットは、治療費が高額になることです。
一般的に使われているチタン製よりも、ジルコニア製インプラントのほうが治療費が高額になります。
ジルコニアのほうが材料費が高くなるためです。
もしもできる限り費用を抑えながら治療を受けたいと考えるなら、チタン製のほうが良いかもしれません。
予算と実際の治療費を比べて、金銭的な負担がかかりすぎないように注意したいものです。
デメリット②顎の骨にかかる負担が大きい
顎の骨にかかる負担が大きいこともデメリットと言えるでしょう。
ジルコニアは耐久性が高い分、硬い材料です。
硬すぎて、咀嚼の際に顎の骨への負担が大きくなることがあります。
骨の状態によっては、適応できない症例もあります。
状態を慎重に見極めてから、ジルコニアを選ぶべきかを検討してください。
インプラントに使われるほかの素材
インプラントに使われるのはジルコニアだけではありません。
他の素材が使われることもあります。
ジルコニアのデメリットが気になるようであれば、次のような素材のインプラントを選ぶのもひとつの方法です。
チタン合金(チタニウム)
まずはチタン合金です。
チタニウムとも呼ばれます。
チタン合金は整体結合性が良く、骨に活着しやすいことが特徴です。
そのためまるで天然歯のように不便なく使え、さらに軽量で加工が施しやすいことがデメリットです。
インプラントにて一般的に広く使われるのがチタンです。
金属アレルギーの可能性はゼロではありませんが、チタンはアレルギー反応が起こりにくい金属だと言われています。
心臓ペースメーカーにも利用されており、医療分野での実績が豊富な金属です。
費用を抑えながらインプラント治療を受けたいと思われているなら、チタン合金をおすすめします。
セラミック
続いてはセラミックです。
セラミックは白く美しいため、見た目を気にする方にとっておすすめの素材。
主に4つの種類があり、ジルコニアもセラミックの中のひとつです。
いずれも金属ではないため、金属アレルギーの不安がありません。
金属ではなく陶器であるため白く、見た目も美しいことがメリットです。
ただし、強度の低いタイプのセラミックであれば割れてしまうこともあります。
ジルコニアはセラミックの中でも、最も強度の高い素材です。
強度を重視しながらセラミックを選ぶなら、ジルコニアが良いでしょう。
埋入済みのインプラントをジルコニアに変えられる?
埋入済みのインプラントでもジルコニアに変えられます。
そもそも治療が終わった後のインプラントでも、グラつきや痛みが出ることは考えられるでしょう。
不具合が起きたときに、インプラントを付け替えるケースは少なくありません。
もしチタン製インプラントで金属アレルギーの症状が現れたり、何か不具合が起きたりした場合は、ジルコニアに変えてみてください。
もちろん特に症状がなくても、見た目の美しさなどを重視してジルコニアに変えるのも問題ありません。
ジルコニア製のインプラントにすると、日々の生活が驚くほど快適になるかもしれません。
ジルコニアインプラントにはさまざまなメリットが
いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでいただくことで、ジルコニアインプラントについてご理解いただけたと思います。
ジルコニアインプラントは金属アレルギーの不安がなく、かつ咀嚼力に耐えられる強度を持ちます。
これからインプラントを検討されている方、もっと快適なインプラントを求めている方におすすめです。
きぬた歯科は年間3,000本ものインプラント治療を行っています。
さまざまなご相談に対応していますので、快適性の高いインプラントをお求めならぜひきぬた歯科までご相談ください。
[1]
参照:JSTAGE:(PDF)金属アレルギー患者に対するインプラント治療:チタン製修復物による暴露試験を行った1症例
この記事の監修者
日本歯科大学新潟生命歯学部を卒業後、インプラント治療に従事。現在では年間3000本以上のインプラント治療の実績がある。
日本でインプラント治療が黎明期だったころからパイオニアとして活躍し、インプラントメーカーのストローマン社やノーベルバイオケア社から公認インストラクターの資格を得た。
本の執筆やTV・雑誌などのメディア出演、自身のYouTubeチャンネルなどで情報発信を積極的に行っている。
<主な著書>
インプラント治療は史上最強のストローマンにしなさい!!
歯医者が受けたい!インプラント治療
あっそのインプラント、危険です!!
<YouTubeチャンネル>
八王子きぬた歯科
<外部サイト>
きぬた 泰和 Wikipedia