インプラント治療は痛いの?
まずインプラント治療中に痛みを感じることはほとんどありません。
治療中は局所麻酔を用いますし、歯科医院によっては静脈内鎮静法や笑気麻酔に対応していることもあります。
もし治療中に麻酔の効果が低くなった場合は、その都度、追加で麻酔を投与しますので不安はないでしょう。
そもそもインプラントを埋め込む顎の骨は、痛みを感じる神経が存在しないため、埋入の際に痛みを感じることはありません。
ただし麻酔が切れた後に痛みが感じられることはあります。
顎の骨には痛覚がありませんが、切開される歯茎には痛覚があるためです。
しかし治療後は痛み止めを処方しますので、服用していただければ強い痛みは和らぎます。
したがってインプラント治療における痛みは、それほど強いものではありません。
インプラント治療で痛いと感じる場面
「インプラントは痛いのでは?」と不安を感じている方に向けて、痛みを感じやすい場面を解説します。
手術中・手術後・インプラント周囲炎・数年後と、4つのシーンについて見ていきましょう。
場面1:手術中
手術中に痛みを感じることはほとんどありません。
先に解説したように、麻酔が効いてから切開を行いますし、顎の骨には痛覚がないためです。
インプラントの手術には骨の移植、歯茎の移植、骨造成なども含まれますが、いずれも麻酔科で行われます。
しかし局所麻酔は歯茎に注射を打つため、針が入る際の痛みは感じるはずです。
静脈内鎮静法も針を使用するため、注射の痛みは避けられません。
針の痛みも気になる方は、鼻から吸収するタイプの笑気麻酔を取り扱っている歯科医院を選ぶことをおすすめします。
また表面麻酔を塗って、注射の際の痛みを軽減させる措置を取っている歯科医院でも良いでしょう。
いずれにしても手術中は、麻酔を打つ際の痛み以外はほとんど感じられないはずです。
場面2:手術後
手術をした後は、麻酔が切れた時点で痛みを感じることがあります。
最もインプラントが痛いと感じやすい場面でしょう。
インプラント治療では歯茎を切開し、顎の骨に穴を開けます。
そのためどうしても治療後の痛みが生じやすいものです。
しかし手術が終わった後は痛み止めが処方されるはずです。
術後の痛みはとても強いものではないため、痛み止めを服用すれば抑えられるでしょう。
痛みは2~7日程度続きます。
また中にはインプラント手術後の抜糸を痛いと言われる方もいます。
違和感がある程度の方もいますが、抜糸をしているときにチクチクとして痛いと訴える方がいるのも事実です。
また抜糸後に患部に衝撃が加わることで痛みがあることもあります。
手術中よりも、手術後の方が痛みを感じやすい傾向です。
場面3:インプラント周囲炎
手術後に痛みを感じた場合、インプラント周囲炎になっていることがあります。
インプラント周囲炎とは、細菌感染によって引き起こされる歯周病のようなものです。
もし患部の周りの粘膜が腫れていたり、出血していたり、膿が出ていたりするならすぐに歯科医院に相談してください。
インプラントは感染症に侵されやすく、炎症が起きると進行が早いのが特徴です。
もし術後、術後に粘膜の腫れや痛みが現れたら、インプラント周囲炎かもしれません。
場面4:数年後に痛みが出る可能性
稀に数年後に痛みが出てくるケースもあります。
インプラント手術の後、特に痛みや違和感もなく過ごしてきたのに数年経ったら痛みだしたというケースです。
もししばらく経ってから痛みが感じられた場合も、インプラント周囲炎だと考えられるでしょう。
最初はインプラント周囲粘膜炎とされますが、症状が進行すると顎の骨の吸収が起こり始めます。
参照:JSTAGE:(PDF)インプラント周囲疾患の新分類の理解と活用
痛みをそのまま放置すると、顎の骨が吸収され、インプラントが抜け落ちてしまうこともあります。
前項でも解説しましたように、すぐに歯科医院に相談をしてください。
インプラント治療で痛みや腫れが出やすい期間
インプラント治療で痛みは腫れが出やすいのは、術後2~3日です。
ただし個人差があるため、中には1~2週間ほど腫れが治まらない方もいます。
2週間を過ぎてもまだ腫れが残る場合は、細菌感染の可能性があるため歯科医院を受診してください。
多くの方は2~3日で痛みや腫れが治まります。
インプラント治療で痛みを軽減する方法
インプラント治療では術後に痛みを感じやすいと解説してきました。
しかし術後のケアによっては痛みを軽減できます。
インプラント治療で痛いと感じにくくするためには、次のような4つのポイントを意識することが大切です。
方法1:喫煙・飲酒を避ける
まずは喫煙と飲酒を避けることです。
アルコールは血流を促すため、傷口の治りを遅くしてしまいます。
そしてタバコは口の中の粘膜に影響を及ぼし、免疫力を低くすることからインプラント周囲炎のリスクを高めるものです。
参照:JSTAGE:(PDF)インプラント周囲炎に関連する全身的リスクファクター
さらに顎の骨の治りを遅くさせる作用もあるため、インプラント治療をするなら禁煙をするのが原則となっています。
インプラントの痛みは、傷口が治っていないことにより生じるものです。
アルコールとタバコは傷口に対して悪影響を及ぼすため、痛みを軽減させるには禁酒・禁煙を心がけましょう。
方法2:やわらかいものを食べるようにする
なるべくやわらかいものを食べるようにすることも大切なポイントです。
術後、患部に衝撃が加わると痛みを感じやすいもの。
また硬いものを噛んだ衝撃によって、患部が傷つけられたり、炎症が悪化したりすることもあります。
おせんべいやかりんとう、ナッツ類、フランスパン、乾物など、歯ごたえのあるものはしばらく控えるようにしましょう。
傷口が完全に治るまでは、なるべくやわらかいものを食べるようにしてください。
方法3:患部に歯ブラシを当てないようにする
セルフケアは重要ですが、術後は患部に歯ブラシを当てないようにしましょう。
歯ブラシも傷口に対して刺激となり、傷口の回復を遅らせるものです。
ともすると歯ブラシがあたったときの刺激によって、傷口が開いてしまったり、出血が起きたりすることもあります。
また洗口液も使用を控えたほうが良いでしょう。
うがいも思い切りするのではなく、軽く口の中をゆすぐ程度にしたほうが刺激になりません。
ブラッシングをするときは歯磨き粉をつけずに、やわらかな歯ブラシで控えめに磨くようにすると傷口を守れます。
抜糸をするまでは直接歯ブラシを当てないようにして、優しく磨くことがポイントです。
方法4:軽いシャワーのみにする
インプラントを痛いと感じないための最後のポイントは、入浴を避けて軽くシャワーをするだけにすることです。
入浴はアルコールと同じく、血流を促します。
傷口から出血しやすくなるだけでなく痛みが増す可能性もあるので、術後はシャワーだけで済ませましょう。
入浴できるようになるのは、手術から2~3日後です。
しかし人によってはまだ腫れや痛みが残っている時期でもあります。
そのため目安としては、腫れや痛みが引いてきたと思うころから入浴をするようにしてください。
インプラント治療で痛みが出たときの対処法
それでは最後に、インプラント治療で痛いと感じたときの対処法について解説します。
術後の痛みはゼロではありません。
個人差がありますが、どのような方でもわずかな痛みや違和感を抱くのではないでしょうか。
そのようなとき、次のような対処法をとれば痛みを和らげられるはずです。
対処法1:痛み止めを飲む
痛みがつらいときは、まず痛み止めを飲むようにしてください。
痛み止めを飲めば、インプラントの痛みは大抵治まります。
ほとんどの歯科医院で処方されるはずですが、市販薬でも構いません。
ロキソプロフェンやアセトアミノフェンなど、薬局やドラッグストアには多くの痛み止めが並んでいます。
もし歯科医院で処方されなかった場合は、薬局に行って購入し、服用してみてください。
インプラント手術後の痛みはすぐに和らぐはずです。
薬を服用して術後の痛みを乗り切りましょう。
対処法2:患部を冷やす
もし痛み止めを飲んでも痛いと感じるなら、インプラント患部を冷やすのも効果的です。
冷やすと患部の血流が滞るため、痛んだり出血したりしにくくなります。
ただし直接冷やすと悪化する恐れがあります。
痛みを感じる部分の頬の上から、タオルで包んだ保冷剤や水で濡らしたタオルを当てる程度にしてください。
患部を冷やす場合は、冷やしすぎないことが大切です。
対処法3:耐えられない痛みは歯医者に相談する
痛み止めを飲んでも、患部を冷やしても耐えられないほどの強い痛みがあるなら、歯科医院に相談しましょう。
もしかすると炎症が起きて、インプラント周囲炎になりかけているのかもしれません。
炎症が起きているなら、できる限り早めに処置をすれば回復も早まるはずです。
インプラント手術後の痛みはそれほど強くはありません。
痛くて我慢できないほどであれば、すぐに歯科医院を受診してください。
インプラントが痛いときは適切な対処を
いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでいただくことで、インプラントの痛みについてご理解いただけたと思います。
インプラント手術は痛いものではありませんが、術後に痛みが感じられることがあります。
しかし適切な対処をすれば、すぐに治まる程度の痛みです。
きぬた歯科ではウイルス・感染への対策を万全にしており、インプラント周囲炎のリスクを最小限に減らしています。
施術時間の短さにより術後の回復が早いことも強みですので、痛みへの不安がある方も、ぜひきぬた歯科までご相談ください。
この記事の監修者

日本歯科大学新潟生命歯学部を卒業後、インプラント治療に従事。現在では年間3000本以上のインプラント治療の実績がある。
日本でインプラント治療が黎明期だったころからパイオニアとして活躍し、インプラントメーカーのストローマン社やノーベルバイオケア社から公認インストラクターの資格を得た。
本の執筆やTV・雑誌などのメディア出演、自身のYouTubeチャンネルなどで情報発信を積極的に行っている。
<主な著書>
インプラント治療は史上最強のストローマンにしなさい!!
歯医者が受けたい!インプラント治療
あっそのインプラント、危険です!!
<YouTubeチャンネル>
八王子きぬた歯科
<外部サイト>
きぬた 泰和 Wikipedia