再生医療とは

再生医療とは、病気や事故、先天性なものが原因で失われた体の組織を再生する医療技術のことです。わかりやすくいうと、細胞を使って再生を目指す治療です。現在の再生医療では、体細胞や幹細胞の移植を行う細胞移植治療が取り入れられています。

他にもIPS細胞やES細胞がありますが、医療への適用が最も進んでいるのは体性幹細胞です。

実際、体性幹細胞はすでに多くの治療実績があり、関節痛や炎症を抑える効果があります。
将来的には、この再生医療によって治らないとされていた病気が治る可能性があるといわれています。

再生医療の歴史と現状

再生医療の原形となる行為は、輸血といわれています。輸血は15世紀末から行われていましたが、このころは輸血の効果が長期間続きませんでした。
その問題を解決したのが、骨髄移植です。骨髄移植は今や一般医療となっていますが、そもそも骨髄移植は再生医療の範疇に入ります。

そして1987年に米国にてティッシュエンジニアリングと呼ばれる、人工臓器の代わりとなる新しい治療法を生み出す技術という概念が提唱され、再生医療が発展していきます。
そして現在注目を集めているES細胞やIPS細胞などさまざまな細胞を用いた研究が行われています。
なお、iPSは臨床試験が行われていますが、ES細胞は倫理的問題が解決されていません。
また、再生医療はコストや細胞の変質リスクなどがあり、一般医療として普及はされていません。

歯の再生医療の種類

前提として、歯の再生医療は動物実験レベルにとどまっており、現段階で人の歯を再生する技術は存在しません。
ここでは、歯の再生医療について紹介します。歯の再生の取り組みは、主に以下の2つに分けられます。

体外培養法

体外培養法とは、実験動物を使わず、シャーレ内で歯を培養する方法です。最終的には、シャーレ内で育てた歯を口腔内に移植します。
現段階では、マウスの歯の一部を体外で再生できています。

体内培養法

体内培養法とは、現代において歯の再生法の主流です。
実験用マウスの歯胚の細胞で作られた人工歯胚を、実験動物の体の中に移植し、歯を成長させます。
移植場所は歯の成長に欠かせない、酸素や栄養の共有が期待できる顎の骨の中やお腹の中などです。

なお、人工歯胚の育て方は1つではありません。顎の骨の中に移植、もしくは先ほど紹介したように、動物体内の場所に移植する方法があります。
東京理科大学のグループが体内培養法に成功したという実例があります。

歯槽骨に異常がある場合の再生医療

ここでは、歯槽骨に異常がある場合の再生医療について紹介します。
歯を生やすことはできませんが、歯槽骨に異常がある場合は以下の再生医療があります。

  • 歯周組織再生療法
  • GTR法
  • エムドゲイン法
  • 自家歯牙移植

それぞれの再生医療を詳しくみていきましょう。

歯周組織再生療法

歯周組織再生療法とは、歯周病が進行し、歯の土台となる歯槽骨が溶けたときの治療法です。歯を失った場合はインプラント治療などがありますが、そもそもインプラント治療は歯槽骨が十分でないとできない治療法です。
したがって、歯周病の方だけではなく、インプラント治療を受けている方にも行われる治療となっています。

インプラントが歯周病になる原因については「インプラントでも歯周病になりますか?」をご覧ください。

GTR法

GTR法とは、骨を支えている歯槽骨が広い範囲で溶けた場合に使われる治療法です。
溶けた歯槽骨部分に特別な膜を貼ることで、骨が再生されます。さらにこの膜は体内に吸収されるため、除去手術も必要ありません。

エムドゲイン法

エムドゲイン法とは、歯槽骨の溶けた範囲が狭いときに行われる治療方法です。
動物から作られている特殊なゲルを使用して、骨を再生します。ゲルの含有成分はタンパク質と、身体に安全なものです。こちらも除去手術の必要はありません。

自家歯牙移植

自家歯牙移植とは、抜けた自分の歯を使って別の位置に移植する方法です。
もともとの自分の歯を移植するため、違和感が少なく馴染みやすいのがメリットです。
ただし、噛み合わせに影響のない歯や健康な歯であることが条件として挙げられます。したがって、誰でも行える治療というわけではありません。

歯の再生医療の未来

結論から述べると、歯の再生医療はまだまだ発展途上です。
現段階では動物の歯レベルにとどまっており、人間の歯を再生する技術はまだありません。しかし、歯の再生医療が実現する可能性は十分あります。
私達歯科医師としても、一日も早く患者さんに貢献できる治療法が進むことを願っています。

歯を失った場合の治療方法

すでに申し上げたように、抜けてしまった歯を再生する治療はありません。
しかし、それと変わってチタン・チタン合金でできた人工歯根を用いて義歯を設置するインプラント治療や、両隣の歯を支点とするブリッジ治療などもあります。

歯に問題があるかもと思ったら、すぐに歯科クリニックに足を運ぶようにしてください。1日でも早くトラブルを発見することで、大切な歯を残せる可能性が上がります。

インプラントとは

日頃から歯のケアを行い、定期的に歯科検診を受けよう

いかがでしたでしょうか?
現段階では抜けた歯を再生する方法はありませんが、近い将来実現する可能性は十分あります。現段階で自分の歯がある方は、日頃のケアを大切にして、定期的に歯科クリニックに足を運ぶようにしましょう。

すでに歯が失われてしまった方は、インプラント治療で自分の歯のように扱うことができます。ただし、インプラント治療は歯科クリニックによって技量が大きく異なります。

インプラント治療で悩みがある方は、きぬた歯科へご相談ください。
きぬた歯科では年間で、3,000本ものインプラント治療を行っています。
インプラント治療を検討されている方も、ぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

日本歯科大学新潟生命歯学部を卒業後、インプラント治療に従事。現在では年間3000本以上のインプラント治療の実績がある。

日本でインプラント治療が黎明期だったころからパイオニアとして活躍し、インプラントメーカーのストローマン社やノーベルバイオケア社から公認インストラクターの資格を得た。

本の執筆やTV・雑誌などのメディア出演、自身のYouTubeチャンネルなどで情報発信を積極的に行っている。

<主な著書>
インプラント治療は史上最強のストローマンにしなさい!!
歯医者が受けたい!インプラント治療
あっそのインプラント、危険です!!

<YouTubeチャンネル>
八王子きぬた歯科

<外部サイト>
きぬた 泰和 Wikipedia