インプラント治療・ブリッジ治療・入れ歯治療それぞれの特徴

前歯が抜けてしまったときの治療法は主に3つありますが、それぞれどのような特徴があるのでしょうか。
特徴を知り、自身に合った治療法を選びましょう。

インプラント治療

インプラント治療とは、歯を失った部分に対して人工歯根であるインプラントを埋め込む治療法です。
インプラントの寿命は10~15年程度であり、ほかのどの人工歯よりも長持ちすることが特徴です。

インプラントとは?メリット・デメリットや他の治療との違い

最大の特徴としては、見た目をきれいに仕上げられることが挙げられます。
インプラントは審美性が高く、埋め込んだ人工歯を治療する人の歯の色に極限まで近づけられ、かつ変色しにくいという特性があります。

ただし、治療費が高いことはインプラント治療のデメリットだといえるでしょう。
基本的には保険が適用されない自由診療として扱われるため、高額になる傾向があります。

インプラントの治療費用

ブリッジ治療

ブリッジ治療とは、歯を失った場所の両隣の歯に対して、義歯となるブリッジを橋渡しのように被せる治療法です。
ブリッジの寿命は7~8年程度なので、インプラントと比較すると長持ちはしません。

ブリッジ治療のメリットは、保険が適用されるため治療費を抑えられることです。
また、歯を削って義歯を取りつけるだけで治療が完了するので、手術をする必要がないというメリットも挙げられます。

ただし、ブリッジを被せるためには、歯の表面の一部を削る必要があるため、失った歯の両隣の健康な歯を削らなくてはならないことはデメリットです。

インプラント治療とブリッジ治療ってなにが違うのでしょうか?

入れ歯治療

入れ歯治療とは、歯が欠損した部分に対して取り外し可能な、人工歯を取りつける治療法です。

入れ歯の種類には、上下どちらかの歯をすべて欠損している場合に使われる総入れ歯と、欠損した部分だけに対して使われる部分入れ歯があります。
また、入れ歯の寿命は3~5年程度であり、ほかの人工歯と比べると寿命が短いことがデメリットです。

一方で、ブリッジ同様に保険適用される治療法であることは、入れ歯治療のメリットだといえるでしょう。
また、治療期間は2週間~1か月であり、比較的短期間で治療を終えられます。

インプラントと入れ歯はどう違うのでしょうか?

前歯のインプラント治療は難易度が高い

SNSや口コミ等でよく目にするのが「インプラント治療の中でも前歯は高い…」「前歯をインプラント治療したいが難しいといわれた…」といった声。

前歯のインプラント治療が難しいといわれるにはいくつかの理由があります。

理由は大きく分けて3つです。

  • 歯茎は下がると見た目が悪くなる
  • あごの骨が薄い
  • 費用が高額

ここでは前歯のインプラント治療は難易度が高い!といわれる理由について細かく解説していきます。前歯のインプラント治療を検討している方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

歯茎は下がると見た目が悪くなる

前歯の顎骨は痩せやすく、土台となる骨が痩せてしまうと、歯茎下がりという現象が起きやすくなります。

もしこのとき前歯にインプラント治療を施している場合、痩せた骨や歯茎からインプラントの一部が透けて見えてしまうことがあるのです。

透けて見えるのはインプラント本体と人工歯を繋げている部分で、通常金属でできているパーツです。

機能的には問題なくとも、インプラントの魅力の一つである審美性の高さに影響を及ぼしてしまいます。歯と馴染んでいるように見えればさほど気にならないものの、金属部品なので、目立ってしまうことも。

特に前歯は歯の中でもよく見える箇所なので、歯を出して笑いにくくなる方もいるようです。

歯茎下がりの対策として、ブラッシングの際あまり圧をかけないことやマッサージが効果的なので実践してみるのもおすすめです。

あごの骨が薄い

もともと前歯の顎骨は下顎などに比べると薄いため、歯科医院によっては骨を増やす治療「骨造成」を取り入れているところもあります。

骨を増やすことで、土台部分を手厚くし、インプラントを埋め込めるだけのスペースを確保するという仕組みです。

前歯は薄い上に痩せやすいという特徴も併せ持っていることから、インプラント治療そのものの難易度を上げてしまっているのです。

また顎骨が薄いということになると骨造成が行われ、インプラント治療ができるまで骨が増えたとなればもう一度再手術をして、インプラント埋め込みといった流れになります。

あごの骨が薄いという特性が、必然的に前歯のインプラント治療を難しくしています。

費用が高額

前歯に限らず、インプラント治療そのものがとても高額な治療です。

ただでさえ外科手術を伴い、なおかつ骨の薄さが問題で難易度が高くなる治療は、費用もかさみます。

先述したように前歯の骨が薄く、インプラント治療するには骨が足りないとなった場合、さらに骨の再生治療が別途かかるため、費用は増します。

医院によっても費用は異なりますが、インプラント治療が1本20~40万円ほどかかったとして、それに骨を増やす骨造成の治療は1本あたり10万円ほどかかるので、予算が大きく変わってしまう可能性もあるのです。

また骨造成の量によっても費用は変わるため、前もって確認するのが安心といえます。

前歯をインプラントにするメリット・デメリット

ここからは、前歯をインプラントにするメリット・デメリットを紹介します。

前歯をインプラントにするメリット

前歯をインプラントにするメリットの1つは、審美性を手に入れられることです。
前歯は、ほかの歯のどの部分よりも人目に触れやすいので、見た目の印象をよくするには、前歯はきれいであったほうがよいといえるでしょう。

一方で、保険が適用されるブリッジは金属の上にプラスチックを貼りつけて作るので、周囲の天然歯の色に合わせることが難しいです。
また、部分入れ歯には金属のバネが使用されており、前歯の場合は特に目立ちます。

噛む力が強くなることもまた、前歯をインプラントにするメリットです。
ブリッジや入れ歯は、噛む際に両隣の歯に負担がかかるため、噛む力が弱くなるという特徴があります。
ただし、インプラントの場合は、インプラントがあごの骨にしっかりと固定されているので噛む力がほかの人工歯よりも強くなります。

前歯をインプラントにするデメリット

反対に、前歯をインプラントにするデメリットは、治療期間が長いことと、治療に保険が適用されないことです。

治療期間は最長で6か月かかり、ブリッジ治療や入れ歯治療と比較すると長いです。
また、基本的に保険が適用されるブリッジ治療や入れ歯治療に対して、インプラント治療には保険が適用されず治療費が高くなる傾向があります。

治療期間や治療費の詳細は以下の項目で解説するので、より詳しく知りたい方は参考にしてみてください。

前歯をインプラントにする際にかかる治療期間

前歯をインプラントにする治療期間は、あごの骨の量や質、歯茎の状態などによって左右します。

まず、あごの骨の量や質が治療に問題なく、歯茎も正常である場合の治療期間は3~5か月程度です。
一方で、あごの骨の量が足りない場合は、インプラント手術のほかにもあごの骨の量を増やすための手術をしなくてはなりません。
そのため、治療期間は4~6か月と少々長くなります。

前歯のインプラント1本あたりの費用

前歯のインプラント1本あたりの費用は、あごの骨を増やす手術を行うかどうかで異なります。

あごの骨の状態が良好で、骨を手術する必要がない場合は、前歯のインプラント1本あたり35~45万円程度です。
一方で、あごの骨の量を増やす手術が伴う場合は、前歯のインプラント1本あたり50~60万円程度となります。

費用は歯科医院によっても異なるので、前もっておおよその見積もりを取っておくとよいでしょう。

前歯をインプラントにする際のメリットは審美性の高さを手に入れられること

いかがでしたでしょうか。

前歯が抜けてしまったときには、インプラント治療とブリッジ治療、入れ歯治療の3つから治療法を選べます。

特に前歯は人目に触れる部分の歯であるため、見た目の美しさは非常に重要です。
そのため、審美性を追求するのであればインプラント治療がよいでしょう。
さらに、インプラントであればほかの人工歯よりも噛む力が強いので、治療費は少々高くなりますがインプラント治療をおすすめします。

きぬた歯科は、インプラントの埋入本数が国内最多の実績のある歯科医院です。
前歯をインプラント治療したいという方は、ぜひご相談ください。

この記事の監修者

日本歯科大学新潟生命歯学部を卒業後、インプラント治療に従事。現在では年間3000本以上のインプラント治療の実績がある。

日本でインプラント治療が黎明期だったころからパイオニアとして活躍し、インプラントメーカーのストローマン社やノーベルバイオケア社から公認インストラクターの資格を得た。

本の執筆やTV・雑誌などのメディア出演、自身のYouTubeチャンネルなどで情報発信を積極的に行っている。

<主な著書>
インプラント治療は史上最強のストローマンにしなさい!!
歯医者が受けたい!インプラント治療
あっそのインプラント、危険です!!

<YouTubeチャンネル>
八王子きぬた歯科

<外部サイト>
きぬた 泰和 Wikipedia