インプラント治療とは?

インプラント治療とは、歯を失った方や先天的に歯がない方が、歯を補うために受ける歯科医療のことです。
あごの骨に人工歯根を埋め込み、上から人工歯を装着することで、美しい見た目と歯の機能を取り戻すことができます。

部分入れ歯やブリッジのように歯槽骨が減ってしまう心配や、隣接する歯を削る必要がありません。
そのため、健康な歯への負担を最小限に抑えて治療できるのは、インプラント治療ならではの魅力です。
また、審美性に優れているだけではなく、噛み心地が天然歯と同様なので、今まで通り食事を楽しめます。

一方で、インプラント治療には、麻酔を使用する外科手術が含まれますので、身体に大きな負担がかかります。
できるだけ負担を軽減させるためにも、インプラント治療の実績が豊富な歯科医師のもとで治療を受けると安心です。

インプラント治療の概要については「インプラントとは?メリット・デメリットや他の治療との違い」をご覧ください。

奥歯のインプラント治療を行う重要性

奥歯は口内や身体の健康維持のために不可欠なので、奥歯を失った際は、治療を受けることが重要です。

奥歯を失ったとしても「他人から見える位置ではないし、そのままでもいいかな」と思われるかもしれませんが、奥歯は食事や発音などで重要な役割を担っています。

奥歯を失ったまま放置しておくと、虫歯や歯並びの乱れなどの口内環境の悪化を招くほか、生活習慣病や認知症のリスクも高まります。
噛むという動作が困難になると、血糖値のコントロールや脳の活性化がされなくなってしまうのです。

奥歯の治療は、インプラントのほかに部分入れ歯やブリッジでも可能ですが、一番奥の歯や両隣の歯の状態によっては、治療が難しいこともあります。
口内や身体を健康に保つためにも、奥歯を失った際は、インプラント治療を検討するとよいでしょう。

【項目別】奥歯2本のインプラント治療にかかる費用の相場

インプラント治療は基本的に自由診療ですので、歯科医院ごとに治療費が変動します。
治療費が高いという印象があるかもしれませんが、その相場はどのくらいなのでしょうか。

ここからは、奥歯2本のインプラント治療にかかる費用の相場を、項目ごとに解説していきます。

精密検査料・診断料

精密検査料と診断料を合わせた費用の相場は、2万~5万円程度です。

インプラント治療を受ける際は、まず、歯周病検査や噛み合わせの確認、歯科用CTを使用した精密検査を行います。
この検査結果をもとに、治療の適否を判断し、治療計画を立てていきます。

インプラントは専門性の高い治療分野なので、精密検査や診察にもそれ相応の技術や知識が必要です。
さらに、血管の位置やあごの骨の量など細かな検査を行うため、精密検査料や診断料は高くなる傾向にあります。

手術費用

奥歯2本のインプラント治療の手術にかかる費用の相場は、30万~70万円程度です。
この手術費用には、インプラントの埋め込みに必要な工程がすべて含まれています。

このほかに、骨造成や歯肉移植などの追加治療や、静脈内鎮静法のような追加麻酔が必要な場合は、別途料金が加算されます。

インプラント治療を受ける前に、追加治療の有無や治療内容を確認し、最終的な費用を知っておくと安心です。

人工歯の費用

奥歯2本分の人工歯の費用の相場は、10万~40万円程度です。

インプラント治療で用いる人工歯は、セラミックで作られたものが一般的です。
セラミックの人工歯にもいくつか種類があり、それぞれ費用が異なります。

以下の表に、セラミックの人工歯の種類とメリット・デメリットをまとめました。
ご自身に合う人工歯を知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

セラミックの人工歯の種類とメリット・デメリット

セラミックの人工歯の種類 メリット デメリット
ジルコニアセラミック ・強度が高い

・劣化しにくい

・ほかのセラミックよりも高価
オールセラミック ・審美性が高い

・汚れがつきにくい

・強い力が加わると割れやすい
ハイブリッドセラミック ・素材が安価なので費用を抑えられる ・強度や審美性が低い

このように人工歯とひと口に言っても、素材の種類によって費用は変動するため、ご自身が重視する目的に沿って人工歯を選ぶとよいでしょう。

インプラントとセラミックの違いについては「インプラントとセラミックってなにが違うのでしょうか?」をご覧ください。

インプラント治療の費用を抑える方法

インプラント治療は歯科医院によって治療費が変わるものの、それなりに費用はかかります。
それゆえに「少しでも安く受けたい!」と思う方もいらっしゃいますよね。

ここでは、インプラント治療の費用を抑える3つの方法を紹介します。

方法①複数の歯科医院を比較する

インプラント治療にかかる費用を抑えるには、複数の歯科医院を比較するのがおすすめです。

実際にカウンセリングや診察を受けるほか、治療内容や詳細な見積もりを出してもらい、ご自身に合う歯科医院かどうかを判断してみてください。

ただし、格安すぎる歯科医院には注意が必要です。
なぜなら、安価な治療の裏には、インプラント治療の経験が浅い歯科医師や総額の不記載など、なにか理由があるかもしれないからです。

低価格のインプラント治療がすべて悪いわけではありませんが、きちんと話を聞いたうえでほかの歯科医院と比較して、選択しましょう。

方法②医療費控除を利用する

医療費控除を利用することでも、インプラント治療の費用を軽減できます。
歯列矯正やセラミック治療と同じように、インプラント治療も医療費控除の対象です。

医療費控除とは、1年間の医療費が10万円を超えた場合に、その一部が還付金として戻ってくる制度のことです。
この制度を利用すると、インプラント治療以外の医療費とあわせて、数万~数十万円戻ってくることもあります。

患者様ご自身だけではなく、同一生計の家族も対象になるため、医療費控除を積極的に活用し、インプラント治療の費用を賢く節約するのもおすすめです。

方法③高額療養費制度を利用する

保険適用のインプラント治療を受ける場合のみですが、高額療養費制度を使用しても費用を抑えられます。

高額療養費制度とは、1か月間に一定以上の医療費を自己負担した場合に、払い戻しを受けられる公的な医療保険制度のことです。
自己負担の限度額は、年齢や収入などに応じて決められるため、個人によって金額が異なります。

インプラント治療に保険を適用するには、先天性の病気や事故によってあごの骨を欠損したり歯を失ったりした場合など、いくつかの条件があります。

ご自身のインプラント治療が、保険や高額療養費用制度の対象かどうかは歯科医師に確認してくださいね。

インプラント治療を受ける歯科医院を選ぶ際のポイント

せっかくインプラント治療を受けるのであれば、少しでも安く、質の高い歯科医院にお願いしたいものです。
歯科医院を選ぶ際には、費用以外にも注目しておきたいポイントがあります。

したがって、ここではインプラント治療を受ける歯科医院を選ぶ際のポイントを5つ紹介します。
インプラント治療で後悔しないためにも、ぜひ参考にしてみてください。

ポイント①豊富なインプラント治療の実績があるか

インプラント治療を受ける歯科医院を選ぶ際は、治療の実績が豊富で技術力の高い歯科医師がいるかどうかを確認するのがおすすめです。

インプラント治療では、人工歯根を埋入する位置や角度などの少しのズレが、治療後の結果に影響を及ぼすこともあるため、高い技術力が求められます。
また、さまざまな症例があれば、ご自身と似た症例を見つけられて、治療に対して安心感も得られますよね。

さらに、歯科医院の選択基準の一つとして、歯科医師のプロフィールの確認が挙げられます。
学会への所属やインプラント専門医としての勤務年数など、歯科医師の実績や信頼性がわかるものの記載がある場合は、優良な歯科医院の可能性が高いので覚えておきましょう。

ポイント②丁寧なカウンセリングを受けられるか

気になる歯科医院に足を運び、丁寧なカウンセリングを受けられるかどうかを知ることも重要です。

ご自身が受ける治療の内容をきちんと把握しておくためには、歯科医師による徹底的な説明が必要不可欠です。

カウンセリングの際は、インプラント治療のデメリットやインプラント以外の治療の選択肢などについても教えてもらいましょう。
そして、歯科医師から受けた説明で納得し、歯科医師を信頼できると感じた場合のみ、治療に同意してください。

患者様の不安をあおる言葉や専門用語を多用する歯科医師の説明で、治療に対して不安が高まった場合は、セカンドオピニオンを受けることをおすすめします。

ポイント③インプラント治療以外の知識もあるか

インプラント治療だけではなく、口内の総合的な治療に精通している歯科医院を選ぶことも大切です。

治療には、インプラントに特化した技術や知識が必要であると同時に、歯周病や噛み合わせなど歯科治療全体の知識も欠かせません。

特に、インプラント治療後は、適切な口内ケアができていないと「インプラント周囲炎」とよばれる歯周病のリスクが高まります。
インプラント周囲炎が進行すると、人工歯根が抜け落ちて治療の失敗につながってしまいます。

このようなことから、口腔内全体の治療の経験や知識に精通し、治療前後に不具合があったときにも対応できる歯科医師がいる歯科医院を選ぶと安心です。

ポイント④設備が充実しているか

設備の充実度も、歯科医院を選ぶ際に注目したいポイントの一つです。

インプラント治療前には、歯科医師が、精密検査で血管や噛み合わせの状態、骨の厚みなどを正確に把握しておく必要があります。
なぜなら、人工歯根を埋め込む位置と角度を的確に知らなければならないからです。
数ミリ単位のズレが治療経過に悪影響を及ぼす可能性があるため、歯科用CTや口内スキャナーなど、口内を立体的に把握できる機器がある歯科医院が望ましいです。

また、インプラント手術専用のオペ室を完備し、感染対策や衛生管理が行き届いているかどうかを確認しましょう。

歯科医院の治療設備は、基本的にホームページに掲載されているので、忘れずにチェックしてくださいね。

ポイント⑤患者様からの評価がよいか

実際にインプラント治療を受けた方からの評価は、歯科医院選びに役立ちます。

患者様からの評価には、歯科医院の雰囲気や歯科医師の対応、治療の満足度などさまざまな意見が寄せられています。

ただし、治療の感想には個人差があるため、あくまでも参考程度にとらえておくことが大切です。
高評価だからといって、必ずご自身に合う歯科医院であるとは言い切れません。

そのため、評価を鵜呑みにするのではなく、良い点と悪い点の両方を見て、ご自身が気になった歯科医院に話を聞きに行くのがおすすめです。

インプラントとは

費用だけに惑わされずに治療先を決めよう

いかがでしたでしょうか。

治療費は歯科医院によって異なりますが、奥歯2本のインプラント治療の費用の相場は、80万~100万円程度です。
治療費を抑えるには、複数の歯科医院を比較するほか、医療費控除を利用する方法もあります。
歯科医師による説明の丁寧さや、治療設備の充実度などを確認し、ご自身が納得できる歯科医院を選びましょう。

きぬた歯科には、年間3,000本以上のインプラント治療の実績があります。
3種類の人工歯ごとに、CT撮影や手術費を含めた費用が決まっています。
そのため、奥歯2本分の治療費が明瞭で、ご自身でもおおよその費用の算出が可能です。
インプラント治療を考えている方は、ぜひご相談ください。

この記事の監修者

日本歯科大学新潟生命歯学部を卒業後、インプラント治療に従事。現在では年間3000本以上のインプラント治療の実績がある。

日本でインプラント治療が黎明期だったころからパイオニアとして活躍し、インプラントメーカーのストローマン社やノーベルバイオケア社から公認インストラクターの資格を得た。

本の執筆やTV・雑誌などのメディア出演、自身のYouTubeチャンネルなどで情報発信を積極的に行っている。

<主な著書>
インプラント治療は史上最強のストローマンにしなさい!!
歯医者が受けたい!インプラント治療
あっそのインプラント、危険です!!

<YouTubeチャンネル>
八王子きぬた歯科

<外部サイト>
きぬた 泰和 Wikipedia