インプラント治療とホワイトニングの順番
インプラント治療とホワイトニングを受けるときに、どちらから受けたほうがよいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。
結論から申し上げますと、どちらから行っても問題はないのですが、私のおすすめはインプラント治療の前にホワイトニングをすることです。
なぜなら、残っている天然歯をホワイトニングしてから、天然歯の色に合わせてインプラントの人工歯を作るほうが自然な見た目に仕上がるからです。
ただし、1度に多くの歯を失ってしまった場合や、すぐにインプラント治療をする必要がある場合は、ホワイトニングをあとで行うケースもあります。
また、インプラント治療と同時にホワイトニングをすることや、インプラント治療のあとにホワイトニングをすることも可能なため、状況に合わせて歯科医師に相談をしましょう。
ホワイトニングの種類
ホワイトニングには、自宅で行うホームホワイトニング、歯科医院で行うオフィスホワイトニング、ホーム・オフィスでの施術を併用するスペシャルホワイトニングなど、いくつかの種類があります。それぞれの特徴やメリット・デメリットについてご紹介します。
ホームホワイトニング
ホームホワイトニングは、その名の通り自宅で行うホワイトニングです。まず、歯科医院で歯型をとり、ホワイトニング用のマウスピースを作成してもらいます。漂白効果のあるホワイトニングジェルをマウスピースに入れ、自宅で1日数時間ほど装着し、歯を白くしていきます。
【メリット】
- 自宅で好きな時間にホワイトニングができる
- 通院頻度が少なくて済む
- 低濃度の薬剤を使用するので刺激が比較的弱い
- ホワイトニング効果が長続きしやすい
- オフィスホワイトニングよりもコストを抑えられる
【デメリット】
- 短期間ではホワイトニング効果を実感しにくい
- 根気よく継続する必要がある
【ホームホワイトニングに向いている方】
- 忙しくて歯科医院へ通院する時間がなかなか取れない方
- なるべく費用を抑えてホワイトニングを行いたい方
- 歯並びの問題で、オフィスホワイトニングの光照射が難しい方
オフィスホワイトニング
オフィスホワイトニングは、歯科医院で受けるホワイトニングです。歯科医院専用のホワイトニングジェルを歯に塗布し、特殊な光を照射して歯を白くしていきます。
【メリット】
- 1回の施術でも効果を実感しやすい
- プロに任せることができる
- 自分でケアする手間が不要
【デメリット】
- 施術の度に歯科医院に通う必要がある
- 漂白力の高い薬剤を使用するため、歯がしみることがある
- 比較的コストが高い
- 色戻りしやすい
【オフィスホワイトニングに向いている方】
- 成人式や結婚式など、大切なイベントを直近に控えている方
- 自宅でホワイトニングする時間がとれない、あるいは面倒に感じる方
スペシャルホワイトニング
スペシャルホワイトニングとは、ホームホワイトニングとオフィスホワイトニングを併用して歯を白くしていく方法で、デュアルホワイトニングとも呼ばれています。
それぞれのメリットが得られ、かつデメリットが補われることから、短期間で高いホワイトニング効果を実感できるとされています。理想の白さを長期間キープしたい、芸能人のような白い歯を目指したい方に特におすすめです。
ただし、ホーム・オフィスでの施術を同時に行っていくため、費用が高くなりやすい点に注意が必要です。
インプラント治療とホワイトニングを同時に行う場合の3つの注意点
インプラント治療とホワイトニングを同時に行う場合は、いくつか注意点があります。
ここからは、インプラント治療と同時にホワイトニングをする場合の注意点を3つ紹介します。
注意点①仕上がりに個人差がでる
ホワイトニングでは、必ずしも歯を希望どおりの白さにできるとは限りません。
理由としては、着色前の歯の状態や歯の質によって仕上がりに個人差があるため、実際にホワイトニングを行ったあとの仕上がりの白さを予測することは難しいからです。
そのため、インプラント治療とホワイトニングを同時に行った際には、天然歯とインプラントで色が違って見える可能性があります。
できるだけ見た目の差を少なくしたい場合は、インプラント治療の前に天然歯のホワイトニングを行い、天然歯の色に合わせた人工歯を作る方法がよいでしょう。
注意点②テトラサイクリン系の抗生物質で歯が変色した方には効果がない
抗生物質の1つであるテトラサイクリンは、昭和40年代に風邪薬として使われていました。
テトラサイクリンは、歯のカルシウムと結合することで色素の沈着を起こし、歯を茶色や縞模様に変色させます。
もとの天然歯が大きく変色してしまっている場合は、ホワイトニングで完全に白くすることは難しいでしょう。
注意点③詰め物や人工歯にはホワイトニングできない
冒頭でご説明したとおり、インプラントの人工歯をホワイトニングすることはできません。
ホワイトニングの際に使用する薬剤は人工物に効果がなく、天然歯のみに効果があります。
そのため、インプラントや詰め物を白い状態に長く保ちたい場合は、もとから白く審美性に優れたオールセラミックやジルコニアの素材のものを選ぶことがおすすめです。
オールセラミックやジルコニアは色素の沈着が起きない素材のため、長期間白さを保てます。
ただし、インプラントや詰め物の素材はクリニックによって異なるため、事前に歯科医師に確認しましょう。
ホワイトニング後の4つの注意点
ホワイトニングを行うことで歯を白くすることができますが、実は効果は長期間続くものではありません。
ホワイトニングを受けたあと、どのように生活するかによって、ホワイトニングの効果の持続時間が変わります。
ここからは、ホワイトニングを受けたあとの注意点を4つ紹介します。
注意点①定期的なメンテナンスをする
ホワイトニングを行ったあとは、定期的に歯科医院でメンテナンスをしてもらいましょう。
ホワイトニングの効果は長期間持続するものではなく、食べ物や飲み物の影響で再び色素が沈着していくため、メンテナンスをしないと人工歯との見た目に差が出てしまいます。
歯磨きなどの日々のケアをきちんと行っていても、およそ6か月でホワイトニングの効果は薄くなるため、クリニックでのメンテナンスを忘れないようにしましょう。
注意点②色の濃い食べ物を控える
ホワイトニングをした直後から1週間は、色素の濃い食べ物や飲み物を摂取しないように注意しましょう。
通常、天然歯は色素の沈着を防ぐための膜に覆われていますが、ホワイトニングに使われる薬剤を塗ることで膜が剥がれてしまいます。
ホワイトニングの直後は色素が沈着しやすくなっている状態なので、色素の濃い食べ物や飲み物は控えましょう。
具体的には、以下のような食べ物や飲み物を摂取したときは、すぐに歯磨きを行うことをおすすめします。
ホワイトニング直後に控えたほうがよい食べ物や飲み物
- カレー
- コーヒー
- ワイン
- 紅茶
ほかにも、タンニンやイソフラボンなどのポリフェノールが含まれる食べ物や、酸性の強い食べ物はホワイトニングの効果を弱めてしまうため、なるべく控えましょう。
注意点③喫煙は避ける
煙草に含まれるタールという物質は、歯の黄ばみの原因になります。
特にホワイトニングの直後は、歯の表面が剥きだしになっているため、普段より色素が沈着しやすくなっています。
そのため、ホワイトニングのあとは喫煙を控えましょう。
また、煙草に含まれる成分は歯ぐきに影響をおよぼし、歯周病を引き起こしやすくするといわれています。
よって、インプラント治療を受けたあとも、できるだけ喫煙はしないほうがよいでしょう。
注意点④こまめな歯磨きを心がける
ホワイトニングのあとは、こまめな歯磨きを心がけましょう。
ホワイトニング直後の歯は色素が沈着しやすい状態のため、歯の表面に食べ物や飲み物の色素が長時間触れないようにする必要があります。
歯磨きを行うことで歯の表面についた色素を落とせるため、飲食をしたあとは早めに歯磨きをしましょう。
歯の磨き方は通常どおりでかまいませんが、歯の磨き方に不安がある方は、ホワイトニングを受ける際に歯科医師に歯の磨き方の指導をしてもらうことをおすすめします。
インプラント治療のあとでもホワイトニングは可能だが注意点が多い
いかがでしたでしょうか。
インプラント治療のあとでも、ホワイトニングは可能です。
ただし、インプラント治療で被せる人工歯には、ホワイトニングができません。
天然歯と人工歯の見た目の差がなくなるため、ホワイトニングはインプラント治療前に行うことがおすすめです。
インプラント治療と同時か、または治療のあとにホワイトニングをすると、人工歯の白さと天然歯の白さが合わず、見た目の違いが生まれる可能性があります。
きぬた歯科では無料のカウンセリングを行っていますので、インプラント治療への不安やインプラント治療の不明点がある方は、ぜひ当院にご相談ください。
この記事の監修者
日本歯科大学新潟生命歯学部を卒業後、インプラント治療に従事。現在では年間3000本以上のインプラント治療の実績がある。
日本でインプラント治療が黎明期だったころからパイオニアとして活躍し、インプラントメーカーのストローマン社やノーベルバイオケア社から公認インストラクターの資格を得た。
本の執筆やTV・雑誌などのメディア出演、自身のYouTubeチャンネルなどで情報発信を積極的に行っている。
<主な著書>
インプラント治療は史上最強のストローマンにしなさい!!
歯医者が受けたい!インプラント治療
あっそのインプラント、危険です!!
<YouTubeチャンネル>
八王子きぬた歯科
<外部サイト>
きぬた 泰和 Wikipedia