インプラント治療後に噛み合わせが悪くなる原因
まずは、インプラント治療後に噛み合わせが悪くなってしまう原因を詳しく紹介します。噛み合わせが悪くなるのには、いくつかの原因があります。
- 骨の量が不十分
- 口腔ケアが不十分
- 歯科クリニックでのケアが疎か
- 生活習慣
原因を詳しく見ていきましょう。
骨の量が不十分
インプラントは骨の量が不十分だと、グラグラと安定しなかったり、抜け落ちてしまったりします。とはいえ、骨の量が不十分なだけであれば、骨移植をすることでインプラント治療は可能です。
しかし、治療前にしっかりとした診断ができていなければ、不適切な治療を行ってしまい、トラブルのもととなります。
インプラント治療を行う場合は、事前にしっかりと診察を受けてから治療のプランを詳しく決めていきましょう。
口腔ケアが不十分
口腔ケアが不十分だと、プラーク(歯垢)が付着して歯石となり、それが歯周病の原因につながります。歯周病になると、インプラントがグラグラと安定しなくなってしまったり、抜けてしまったりする恐れがあります。
さらに、機能にも見た目にも影響が及び、清潔とはいえません。
インプラントの形は人それぞれです。歯科医師・歯科衛生士に相談をして、自分に適した歯ブラシできちんとケアをしましょう。また、歯間ブラシやフロスでお手入れをするのも、効果的な方法です。
歯科クリニックでのケアが疎か
セルフチェックだけでは、噛み合わせが悪くなっていることはわかりません。そのため、定期的にクリニックに足を運び、歯科医師に口腔内の状態を確認してもらいましょう。
定期検診は噛み合わせの問題を把握できるだけではなく、インプラントの状態もわかります。口腔内を健康に保つには、定期的に歯科クリニックでケアを行いましょう。
生活習慣
日常生活の癖が原因で、噛み合わせが悪くなることがあります。具体的な例として、次のようなものが挙げられます。
- 頬杖
- 食いしばり
- 舌を前に出す癖
- 歯ぎしり・食いしばり
- 爪を噛む癖
これらの癖は、歯・顎を歪める原因となります。舌を歯に押し付けているだけでも、歯は歪みます。これらの癖に思い当たりのある方は、噛み合わせの悪化を防ぐためにも気をつけましょう。
嚙み合わせが悪いことによるリスク
噛み合わせが悪くなると、体にさまざまな影響が及びます。具体的な影響としては、主に以下の7つです。
- インプラントの寿命を短くする
- 顎関節症になる
- 歯周病の原因になる
- 胃腸に負担をかける
- 睡眠の質が下がる
- 肩こりの原因になる
- 顔がゆがむ
噛み合わせ悪いことによるリスクを詳しくみていきましょう。
インプラントの寿命を短くする
噛み合わせが悪いと歯に汚れが溜まりやすくなり、歯周病・虫歯のリスクが上がります。実際、歯並びが悪い方は歯磨きがしにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。
正しい噛み合わせであれば、口腔内を清潔に保つことができるため、インプラントの寿命も長くなります。フロスや歯間ブラシを用いて、ケアをしていきましょう。
インプラントの寿命については「インプラントの寿命はどれくらいなのでしょうか?」をご覧ください。
顎関節症になる
インプラントに違和感があると、全体の歯で食べ物を噛むことに違和感が出て、無意識に片側だけで噛むようになります。その結果、顎のバランスが崩れて顎関節症になり、以下の症状が見られます。
- 口の開け閉めがしにくい
- 顎が痛い
- 顎が外れる
- 口を動かしにくくなる
これまで通りに食事ができなかったり、人と会話をする時にも顎が気になってしまったり、日常生活に支障が出てしまう恐れがあります。インプラント治療後しばらく経っても違和感がある場合は、すぐに歯科医師に診てもらいましょう。
歯周病の原因になる
インプラント治療は審美性にも硬度にも優れていますが、歯周病になるリスクがあります。
インプラント周りは隙間が空いているため菌が侵食しやすく、天然の歯に比べて歯周病になりやすいです。歯周病が進行するとインプラントが抜けてしまったり、グラグラしてしまったりして、口腔内を健康に保てません。
胃腸に負担をかける
噛み合わせが悪いと、食べ物をしっかりと噛むことができません。したがって、消化しにくいまま食べ物が胃に運ばれ、胃腸への負担が大きくなります。
睡眠の質が下がる
噛み合わせが悪いと、口呼吸になったり、歯ぎしりをしたりしてしまうため、睡眠の質が下がります。口呼吸は睡眠の質を下げるだけではなく、口の中を乾燥させて、虫歯菌や歯周病菌が残りやすくなる原因にもなります。
また、睡眠の質は心身の健康を左右するものでもあるため、噛み合わせに異常がみられたらすぐ歯科医師に診てもらいましょう。
肩こりの原因になる
顔が歪むことで全身の筋肉のバランスが悪くなり、肩こりを引き起こします。肩こりを放置すると、血流が悪くなって顔色が悪くなったり、肌の状態が悪くなったりします。
顔がゆがむ
片側だけの歯で噛んでいると、そちらの筋肉ばかり発達して、顔が歪んでしまいます。なるべく両側で噛むことを意識しましょう。
噛み合わせを改善する方法
噛み合わせを改善するには、写真やレントゲン撮影を用いて、咬合器を使って調整します。具体的には、噛み合わせを確認しながら正常な位置に戻すよう歯を削ったり、被せ物を調整したりする方法です。
最も、噛み合わせの改善には歯列矯正が最適ですが、口腔内の状態によっては歯列矯正を受けられないことがあります。さらにインプラントの歯には歯根膜がないため、歯列矯正で動かすことはできません。
ただし、重度の不正咬合であれば歯列矯正が効果的です。まずは専門医に相談してみましょう。
噛み合わせが悪くなることを防ぐために
噛み合わせは、生活習慣や食いしばりなどによって悪くなるものです。したがって、噛み合わせを悪くしないためには、頬杖や片側の歯だけで噛むのを辞めたり、舌を正しい位置に置いたりする必要があります。
正しい位置は、前歯のやや後ろのスポットにある上顎全体に舌が当たっている状態です。前歯を押していると、噛み合わせが悪くなるため注意してください。
噛み合わせを確認する方法
噛み合わせを確認するには、2つの方法があります。
- セルフチェック
- 歯科医師にチェックしてもらう
セルフチェックで確認する方法としては、上下左右・前後の噛み合わせ、歯茎の状態をチェックしましょう。正しい噛み合わせは、上の歯が少しだけ外側に向き、2mmほど噛み合っている状態です。反対に上下左右がズレている、2mm以上深く噛み合っている場合は、噛み合わせが悪い状態といえます。
さらに、歯茎が腫れている場合、放置していると噛み合わせに影響があるので要注意です。とはいっても、セルフチェックでは確認できない部分もあります。そのため、3ヶ月〜半年に1度は歯科検診を受けることをおすすめします。
インプラント治療後も良い噛み合わせを保つために、日頃のケアや生活習慣を見直そう
いかがでしたでしょうか?
インプラント治療後は生活習慣や口腔内の状態によって、噛み合わせが悪くなることがあります。正しい噛み合わせを保つためには、普段の口腔内ケア、生活習慣の見直しが重要です。
本記事を読んで、インプラント治療が気になった方もいるでしょう。インプラント治療が気になった方は、まずはカウンセリングを受けてみるのがおすすめです。
きぬた歯科では年間で、3,000本ものインプラント治療を行っています。
インプラント治療を検討されている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
この記事の監修者
日本歯科大学新潟生命歯学部を卒業後、インプラント治療に従事。現在では年間3000本以上のインプラント治療の実績がある。
日本でインプラント治療が黎明期だったころからパイオニアとして活躍し、インプラントメーカーのストローマン社やノーベルバイオケア社から公認インストラクターの資格を得た。
本の執筆やTV・雑誌などのメディア出演、自身のYouTubeチャンネルなどで情報発信を積極的に行っている。
<主な著書>
インプラント治療は史上最強のストローマンにしなさい!!
歯医者が受けたい!インプラント治療
あっそのインプラント、危険です!!
<YouTubeチャンネル>
八王子きぬた歯科
<外部サイト>
きぬた 泰和 Wikipedia