インプラント手術後の腫れのピークはいつ?

インプラント手術後の腫れは、一般的に術後2~3日目でピークを迎えます。

この期間は、頬の膨らみや患部の違和感として腫れを感じやすくなります。術後5~7日目を迎えると、腫れもほとんど目立たない程度になるでしょう。

腫れは自然な反応ですが、1週間以上経過しても腫れが引かず、強い痛みや発熱を伴っている場合は、なんらかのトラブルを引き起こしているかもしれません。

インプラント周囲炎や細菌感染に発展するおそれがあるため、「そのうち治まるでしょう」と放っておかずに、早めにクリニックへ相談することが重要です。

インプラント手術後に腫れる理由

腫れのピークがいつ頃なのかを知る前に、まずは患部が腫れる主な理由を見ていきましょう。

インプラント手術後は、主に以下の理由で患部に腫れが生じます。

インプラント手術後に腫れる理由

  • 免疫反応
  • 骨造成による影響
  • 血流の変化

免疫反応

インプラント手術では、歯肉を切開してあごの骨に穴を開け、人工歯根を埋め込む手術が行われます。

手術によって歯茎や骨にダメージが加わると、体はこれらの組織を回復させようと免疫反応を起こします。この免疫反応によって患部周辺の血管が広がり、白血球や抗体が集まると腫れが生じるのです。

つまり、インプラント手術後の腫れは異常とは限らず、手術による刺激に対して体が回復しようとしているサインでもあります。

ただし、腫れが長引く場合や強い痛みを伴う場合は、早めにクリニックへ相談しましょう。

骨造成による影響

骨造成を行った場合は、通常の手術よりも腫れが強く出ることがあります。

骨造成は、インプラントを埋め込むために不足している骨を補う処置です。人工骨や自家骨などを用いて骨量を補うため、通常のインプラント手術よりも歯茎の切開範囲が広くなり、処置に時間を要してしまいます。それに伴い、患部への刺激が強くなり、術後の腫れが目立ちやすくなるのです。

ただし、腫れは体が回復しようとする過程で起こる反応であり、薬を服用し、安静に過ごすことによって徐々に引いていきます。

血流の変化

インプラント手術による血流の変化も、腫れにつながることがあります。

術後は患部の治癒に伴って、血流が活発になります。体が治癒を進めるなかで血管から水分や血液成分がにじみ出て、腫れが生じるのです。

このように、インプラント手術後の腫れは血流の増加によって起こることもあり、多くの場合は時間の経過とともに落ち着きます。

インプラント手術後の腫れを抑える方法

インプラント手術によって、ある程度の腫れは生じるものです。

ただし、術後の過ごし方を工夫することで、腫れをできるだけ抑えられます。

腫れを抑える方法

  • 処方された薬は歯科医師の指示通りに服用する
  • 口内を清潔に保つ
  • 喫煙・飲酒は控える
  • 患部を刺激しない
  • 運動や長時間の入浴は避ける

処方された薬は歯科医師の指示通りに服用する

歯科医師から処方された薬は、指示通りに服用することが大切です。

インプラント手術後は、歯科医師から抗生物質や痛み止めなどの薬を処方されることがあります。これらの薬を正しく服用することで、術後の腫れや痛みを抑えられるのはもちろん、感染症の予防にもつながります。

また、腫れや痛みが引いてきたからといって途中で中断せず、処方された分は必ず飲みきるようにしましょう。自己判断で服用を中断してしまうと、腫れや痛みが長引いたり、感染症のリスクが高まったりするおそれがあるためです。

処方された薬は腫れや感染を防ぐために必要なものと考え、歯科医師の指示に従って服用しましょう。

口内を清潔に保つ

インプラント手術後は、切開した患部から細菌が入りやすくなっているため、口内を清潔に保つことも欠かせません。

患部を傷つけないために、歯ブラシはヘッドがやわらかめのものや、小さいものを選びましょう。そのうえで、患部に直接当てないようにやさしく磨くことが大切です。外出先ですぐに歯磨きができないときは、コップ1杯程度の水で口をゆすいで、口内を清潔に保ちましょう。

喫煙・飲酒は控える

喫煙・飲酒は、インプラント手術後の腫れを長引かせる可能性があるため、控えることが重要です。

タバコの煙に含まれる有害物質には血管を収縮させる作用があり、患部に必要な酸素や栄養が行き届かなくなります。その結果、腫れが強まるだけでなく、インプラント周囲炎のリスクが高まるおそれもあります。

一方、飲酒は血流を促進させる作用があり、腫れや出血が生じやすくなるものです。

また、抗生物質や痛み止めなどの薬を服用している場合は、薬の作用に影響する可能性もあるため、注意が必要です。

インプラント手術後は歯科医師の指示に従い、一定期間は喫煙や飲酒を控えましょう。

患部を刺激しない

患部に舌や歯ブラシが強く当たると、傷口が刺激され、腫れが悪化することがあります。

そのため、術後しばらくは患部に触れないように注意しましょう。

また、術後は少しでも刺激を避けるために、硬い食べ物や辛い食べ物は控えることが大切です。患部への負担を減らすことで、腫れの悪化を防ぎやすくなります。

激しい運動や長時間の入浴は避ける

激しい運動や長時間の入浴を避けることも、腫れを抑えるうえで重要です。というのも、これらによって血流が活発になると、腫れが強まるだけでなく、出血や痛みにつながるおそれがあるためです。そのため、術後1週間程度はジョギングやジムでのトレーニングなどの激しい運動は控えましょう。

長時間の入浴は血流を促進し、痛みや腫れが悪化することもあるため、術後48時間以内はシャワーで済ませることが推奨されます。

腫れがひどいときの対処法

患部の腫れが気になるときは、余計な刺激を与えず、安静に過ごすことが大切です。

本項では、腫れがひどいときの対処法を2つ紹介します。

安静に過ごす

インプラント手術後は、腫れや出血を悪化させないためにも安静に過ごしましょう。

術後の患部は傷口が塞がりきっておらず、刺激に対して敏感です。その状態で激しく動くと、血流が促進されて腫れが強まるかもしれません。そのため、手術当日から3日程度は安静に過ごし、腫れの程度を見ながら少しずつ普段の生活に戻すことが大切です。

患部をやさしく冷やす

強い腫れが続いている場合は、患部を冷やすのも一つの方法です。

濡らしたタオルで頬を軽く押さえたり、冷却シートを貼ったりして安静に過ごすことで、患部の腫れを和らげやすくなるでしょう。ただし、腫れを早く抑えたいからといって長時間冷やすと、血流が滞り、傷の治りが遅くなる可能性があります。15~20分程度を目安に、冷やし過ぎないように注意してください。

冷やしても腫れが引かない場合や痛みが強まる場合は、早めにクリニックへ相談してください。

腫れが長引いている際に考えられるトラブル

1週間以上経過しても腫れが引かない場合は、以下のようなトラブルが起こっているかもしれません。

腫れが長引いているときに考えられるトラブル

  • インプラント周囲炎
  • 細菌による感染症の発症
  • 骨の結合不良

インプラント周囲炎

腫れが長引いている場合は、インプラント周囲炎を発症している可能性があります。

インプラント周囲炎とは、インプラントの周りの歯茎や骨に炎症が起こる病気のことです。歯垢や細菌の蓄積によって、発症しやすくなります。

初期段階では歯茎の腫れや出血がみられ、進行すると膿(うみ)が出るほか、埋入したインプラントがぐらつくおそれがあります。放置するとインプラントの維持が難しくなるため、早めの受診が重要です。

毎日の丁寧な歯磨きに加えて、クリニックで定期的なメンテナンスを受けることがインプラント周囲炎の予防につながります。

当院ではインプラント治療後も長く快適に使っていただくために、定期検診を行っています。定期健診では歯のクリーニングに加え、日頃のケアが適切に行えているかの確認や、実際の使用感についてのヒアリングも実施しています。インプラントは治療後のケアによって寿命が左右されるため、継続的なチェックが重要です。

細菌による感染症の発症

インプラント手術後は、感染症によって腫れが長引くこともあります。

口内には多くの細菌が存在しており、手術部位の清掃が不十分だったり、処方された抗生物質を自己判断で中断したりすると、患部に炎症が起こりやすくなります。通常、インプラント手術後の腫れは術後2~3日目にピークを迎えるのが一般的です。ただし、3~5日を過ぎても腫れが引かない、熱感や強い痛み、膿(うみ)がある場合は感染症を発症しているサインかもしれません。

悪化を防ぐためにも、症状が長引くときは自己判断せず、クリニックで状態を確認してもらいましょう。

骨の結合不良

腫れが長引く原因の一つに、インプラントと骨との結合不良も考えられます。

インプラントはあごの骨としっかり結合することで安定しますが、骨量や骨の質、細菌感染などの影響で結合がうまく進まない可能性があります。腫れの症状のほかに、食べ物を噛むとズキンとした痛みを感じる、インプラント体がグラグラするといった症状がみられるときは結合不良が起きているかもしれません。

違和感が強いまま放置すると治療計画に影響する可能性も考えられるため、気になる症状があれば次回の通院を待たずに相談することが大切です。

再受診が必要な腫れ以外の症状

腫れのほかに以下の症状もみられる場合は、早急に再受診することが重要です。

再受診が必要な症状

  • 痛みが続いている
  • 出血がみられる
  • 口元に痺れ・麻痺の症状がみられる

痛みが続いている

一般的に、インプラント手術後の痛みは鎮痛剤を服用することで和らぎます。

しかし、鎮痛剤を使用しても痛みが引かない場合や、1週間以上経っても強い痛みが続く場合は、感染症や組織のトラブルを起こしている可能性があるため注意が必要です。

痛みを我慢しつづけると回復が遅れるおそれがあるため、痛みが続いている場合は早めにクリニックに連絡しましょう。

出血がみられる

インプラント手術後は、当日から翌日にかけて少量の出血がみられます。

唾液に血が混ざる程度であれば、問題ないケースがほとんどです。ただし、ガーゼで圧迫しても血が止まらない場合や、数日経っても鮮血が続く場合は、再受診を検討したほうがよいでしょう。腫れとともに出血もみられる際は、傷口の開きや炎症が関係している可能性があります。

出血が続いているときは患部を強く触らず、早めに診察を受けることが大切です。

口元に痺れ・麻痺の症状がみられる

口元の痺れや麻痺がみられる場合は、注意が必要です。

あごの骨の近くには神経が通っており、下唇やあご、頬の感覚が鈍い状態が続くと、神経への刺激や圧迫が関係している可能性が考えられます。インプラントの腫れは徐々に落ち着くケースが多い一方、痺れや麻痺は歯科医師による慎重な確認が必要な症状です。

感覚の違和感が長引く場合は、クリニックで早めに状態を確認してもらいましょう。

インプラント手術後の腫れは2~3日がピーク

今回は、インプラント手術後の腫れのピークと対処法について紹介しました。

インプラント手術後は、歯茎の切開や骨造成によって腫れが生じることがあります。

腫れは術後2~3日をピークに徐々に治まりますが、今回ご紹介した対処法を試しても腫れが続いている、激しい痛みや出血を伴っている場合は注意が必要です。

こうした状態がみられる際は、早めにクリニックを受診しましょう。

きぬた歯科では施術時間を短縮するための高い技術や、衛生的な設備を活用することによって腫れをできるだけ抑えられるよう、丁寧な治療を心がけています。

腫れの不安がある方は、ぜひきぬた歯科までご相談ください。

この記事の監修者

日本歯科大学新潟生命歯学部を卒業後、インプラント治療に従事。現在では「インプラント治療のきぬた歯科」を開業し年間4000本以上、累計50,293本のインプラント治療の実績がある。

日本でインプラント治療が黎明期だったころからパイオニアとして活躍し、インプラントメーカーのストローマン社やノーベルバイオケア社から公認インストラクターの資格を得た。

本の執筆やTV・雑誌などのメディア出演、自身のYouTubeチャンネルなどで情報発信を積極的に行っている。

<主な著書>
インプラント治療は史上最強のストローマンにしなさい!!
歯医者が受けたい!インプラント治療
あっそのインプラント、危険です!!

<YouTubeチャンネル>
八王子きぬた歯科

<外部サイト>
きぬた 泰和 Wikipedia