「インプラントは絶対だめ」と言われる理由

インプラント治療に対する否定的な意見には、いくつかの理由が存在します。
これらの理由は、治療過程やその結果に関するリスク、難易度に起因しているのです。

ここでは、具体的な理由を詳しく説明します。

  • 外科手術のリスクがあるから
  • 再治療が難しいから
  • 適さない症例があるから
  • 治療費用が高いから
  • 治療期間が長いから
  • メンテナンスが大変だから
  • インプラント周囲炎や口臭のリスクがあるから
  • 歯科医の技術に差があるから

順番に見ていきましょう。

外科手術のリスクがあるから

インプラント治療は外科手術を伴い、さまざまなリスクが考えられます。
例えば、歯茎を切開し、顎骨にインプラントを埋め込む過程では、神経や血管を損傷する可能性があります。
これにより、感覚の喪失や持続的な痛み、さらに細菌感染のリスクが生じるかもしれません。

手術前に詳細な画像診断を実施し、精密な手術計画を立てることでリスクを最小限に抑えられますが、それでも完全にリスクを排除するのは難しいです。

再治療が難しいから

インプラント治療が失敗した場合、再治療は技術的にも経済的にも困難です。
再治療は、既存のインプラントの除去や骨の再生手術が必要となり、新たなインプラントの埋め込みが必要です。

特に骨の量が減少している場合、再治療はさらに複雑になるでしょう。
初回治療の成功率を高めるには、適切な診断と計画が不可欠なのです。

また、万が一再手術が必要になった場合に備え、早めに歯科医師に相談しなければいけません。

適さない症例があるから

インプラント治療は、すべての患者に適用できるわけではありません。
例えば、高血圧や糖尿病などの持病を持つ患者は、合併症や感染症のリスクが高いため、治療が難しい場合があります。

また、顎骨の量が不足している場合、インプラントの埋め込みが困難となり、周囲の神経や血管を圧迫するリスクが。

しかし、持病が適切に管理されている場合や、顎骨を再生する手術を併用することで治療が可能になるケースもあります。
最終的には、個々の症例に応じて歯科医師と相談しながら判断して進めます。

治療費用が高いから

インプラント治療は高額な費用がかかるため、多くの人にとって負担となります。
インプラント自体のコストに加え、外科手術に必要な高度な設備や材料、そして熟練した歯科医師の人件費が合計されることで、治療費が膨らみます。

さらに、インプラント治療は保険適用外である場合がほとんどで、全額自己負担を想定しておかなければいけません。
しかし、インプラントは長寿命であり、審美性と機能性を兼ね備えているため、コストパフォーマンスが高いと考えることもできます。

治療期間が長いから

インプラント治療は、ブリッジや入れ歯と比べ治療期間が長くなる傾向があります。
一般的に、インプラントが顎の骨としっかり結合するまで数ヶ月かかり、その間に骨の再生やインプラントの安定を待つ必要があります。

特に、骨量が不足している場合や複雑なケースでは、さらに治療期間が延びる場合も。
このため、長期間の治療を見込んで計画を立てる必要がありますが、最終的な結果は非常に満足のいくものとなるでしょう。

メンテナンスが大変だから

インプラントを長持ちさせるには、定期的なメンテナンスが不可欠。
自宅での丁寧な口腔ケアに加え、数ヶ月ごとの歯科検診や専門的なクリーニングが必要です。

これらのメンテナンスを怠ると、インプラント周囲炎などのトラブルが発生するリスクが高まります。
適切なケアを続けることで、インプラントの寿命を大幅に延ばせるため、メンテナンスを負担と感じるかどうかは重要なポイントとなります。

インプラント周囲炎や口臭のリスクがあるから

インプラント周囲炎は、インプラントの周囲に炎症が起こる症状であり、進行するとインプラント自体が脱落する恐れがあります。
これは、インプラント版の歯周病とも言える状態。
インプラント周囲炎は自覚症状が少なく、気づいた時には深刻な状態になっている場合が多いため、治療後も定期的なメンテナンスが必要なのです。

また、不適切な口腔衛生はインプラント周囲に細菌が繁殖し、悪臭を引き起こすケースも。

これを防ぐには、日々の口腔ケアの徹底と、定期的なクリーニングが必須。
適切なメンテナンスでリスクを最小限に抑えられますが、絶対に避けられるわけではないため、インプラント治療を敬遠する理由の一つとなっています。

歯科医の技術に差があるから

インプラント治療の成功は、施術する歯科医師の技術と経験に大きく依存します。
高度な専門知識と技術が必要とされるこの治療法は、歯科医師によって結果に大きな差が出るケースも。

熟練した歯科医師による治療は高い成功率を誇りますが、経験の浅い歯科医師の場合、手術がうまくいかないリスクが増します。
そのため、信頼できる実績のある歯科医師を選ぶ必要があるのです。

医師の選定に慎重を期し、事前にしっかりと情報収集しましょう。
信頼性の高い歯科医師に治療を任せるのが、インプラント治療の成功を左右する鍵と言えます。

インプラントに適した症例とは?

インプラント治療は、歯の喪失ケースに対応できる治療法です。
審美性や機能性を維持しながら、失った歯を回復するための選択肢として、多くの患者に適用されています。

ここでは、具体的な症例ごとにインプラント治療の適応について説明します。

  • 前歯1本だけを失った場合
  • 奥歯1本だけを失った場合
  • 数多くの歯を失った場合
  • 顎骨が足りない場合

以下に当てはまる場合は、インプラント治療を検討してみても良いでしょう。

前歯1本だけを失った場合

前歯を一本失った場合、インプラント治療は効果的です。
ブリッジ治療では、隣接する健康な歯を削る必要がありますが、インプラントでは他の歯に影響を与えずに治療が可能です。

インプラントはチタン製の人工歯根を顎骨に埋め込み、その上に自然な見た目のクラウンを装着するため、審美性も非常に高いのです。
結果として他の歯を守りつつ、美しい笑顔を取り戻せるでしょう。

奥歯1本だけを失った場合

奥歯を一本失った場合、噛む力が低下し、食事の楽しみが損なわれてしまいます。
インプラント治療は、失った奥歯を補完し、噛む力を回復させるのにおすすめの治療法と言えるでしょう。

チタン製のインプラントは非常に耐久性があり、天然の歯と同等かそれ以上の咬合力を提供します。
食事の際の不便さを解消し、快適な日常生活を送れるはずです。

数多くの歯を失った場合

多数の歯を失った場合でも、インプラント治療は有効です。
複数のインプラントを使用し、ブリッジや入れ歯の代わりにしっかりと固定された歯を提供してくれます。

例えば、顎骨に4~5本のインプラントを埋め込み、その上に連結した人工歯を装着することで、全ての歯を失った場合でも総入れ歯を避けられます。

顎骨が足りない場合

上顎や下顎の骨量が不足している場合でも、インプラント治療は可能です。
上顎の奥歯を失ったケースでは、上顎洞と呼ばれる空洞が広がり、骨の量が減少することがあるのです。

このような場合でも、上顎洞底をリフトアップし、インプラントを適切に埋め込む技術が発展しています。
骨量が少なくても適切な処置を施せば、安定したインプラントを実現できるでしょう。

インプラントのメリット

インプラント治療は、他の歯科治療法と比べ多くのメリットを持つ先進的な治療法です。
審美性や機能性、耐久性など、さまざまな面で優れており、多くの患者さんに選ばれています。

  • 審美性が高い
  • 周囲の歯への負担が小さい
  • 咬合力が高い
  • 寿命が長い

以下で、インプラント治療の主なメリットについて詳しく解説します。

審美性が高い

インプラント治療の大きな魅力は、審美性の高さでしょう。
インプラントは顎の骨に埋め込まれた人工歯根の上にクラウンを装着するため、見た目が非常に自然なのです。

クラウンの材質や色調は患者の歯に合わせて調整されるため、周囲の歯と調和し、まるで自分の歯のように見えます。
そのため、他人から見てもインプラントだとは気づかれにくく、美しい笑顔を保てるでしょう。

周囲の歯への負担が小さい

インプラント治療は、周囲の健康な歯に負担をかけない点も大きなメリット。
ブリッジ治療では隣接する歯を削る必要がありますが、インプラントは独立して顎の骨に固定されるため、他の歯に影響を与えません。

また、入れ歯のようにクラスプ(留め具)で周囲の歯を支える必要もないため、歯全体の健康を維持できます。
これにより、長期的に見て周囲の歯の寿命を延ばせるのです。

咬合力が高い

インプラントは天然歯と同等の咬合力を持つため、しっかりと噛めます。
食事の際にも違和感なく、硬い食べ物でも問題なく咀嚼できるため、食事の楽しみを損なうことはありません。

入れ歯やブリッジと比較しても、インプラントの咬合力は非常に高く、日常生活での快適さを大いに向上させます。

寿命が長い

インプラントは適切なケアで長持ちします。
一般的には10年以上の耐久性があり、条件が良ければ40年以上使用するのも可能です。

定期的なメンテナンスと適切な口腔ケアで、インプラントの寿命をさらに延ばせるでしょう。
長期的なコストパフォーマンスを考えると、インプラントは優れた選択肢と言えます。

インプラントを検討する際の注意点

インプラント治療を考える際は、事前に知っておくべきポイントがいくつかあります。

  • 治療目的を明確にする
  • 複数の歯科医の治療実績を調査する
  • 事前のカウンセリング
  • 他の治療法と比較する

ここでは、インプラントを検討する際に重要な注意点について詳しく説明します。

治療目的を明確にする

インプラント治療を開始する前に、自分の治療目的を明確にしましょう。
失った歯を補う理由は、人それぞれ異なります。

審美的な改善を求めるのか、機能的な回復を重視するのか、あるいはその両方を期待するのかはっきりさせましょう。
これにより、歯科医とのカウンセリングがスムーズに進み、適切な治療計画を立てられます。

複数の歯科医の治療実績を調査する

インプラント治療の成功には、歯科医の技術と経験が大きく影響します。
そのため、治療を受ける前に複数の歯科医の実績を調査しましょう。

各歯科医院の治療例や患者の口コミを参考に、自分に合った歯科医を見つけるのが大切。
信頼できる歯科医を選ぶことで、安心して治療を受けられます。

事前のカウンセリング

インプラント治療を成功させるには、事前のカウンセリングが不可欠。
カウンセリングでは、歯科医と一緒に治療計画を立て、治療の流れや必要な期間、費用などについて説明してもらいます。

また、自分の健康状態やライフスタイルを考慮し、最適な治療法を選択するためのアドバイスを受けられるでしょう。
疑問や不安を解消するために、積極的に質問しましょう。

他の治療法と比較する

インプラント治療だけでなく、他の治療法も検討すべきでしょう。
ブリッジや入れ歯など、他の選択肢と比較し、自分に最適な治療法を見つけてください。

それぞれの治療法にはメリットとデメリットがあるため、自分のニーズや状況に合った方法を選べるようにしましょう。
歯科医と相談し、各治療法の詳細を理解した上で決定してください。

インプラントはおすすめできる施術

いかがでしたでしょうか?インプラントが「絶対だめ」と言われる理由についてお分かりいただけたかと思います。

外科手術のリスクや適さない症例、費用の高さなどがその主な要因です。
しかし、適した症例やメリットを理解することで、インプラント治療が有効な選択肢であることも、お分かりいただけたでしょう。

きぬた歯科は、豊富な実績を誇る信頼できるクリニックです。
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ぜひ一度ご来院いただき、安心して治療をご検討ください。

この記事の監修者

日本歯科大学新潟生命歯学部を卒業後、インプラント治療に従事。現在では年間3000本以上のインプラント治療の実績がある。

日本でインプラント治療が黎明期だったころからパイオニアとして活躍し、インプラントメーカーのストローマン社やノーベルバイオケア社から公認インストラクターの資格を得た。

本の執筆やTV・雑誌などのメディア出演、自身のYouTubeチャンネルなどで情報発信を積極的に行っている。

<主な著書>
インプラント治療は史上最強のストローマンにしなさい!!
歯医者が受けたい!インプラント治療
あっそのインプラント、危険です!!

<YouTubeチャンネル>
八王子きぬた歯科

<外部サイト>
きぬた 泰和 Wikipedia