インプラント治療を検討している方の中には、「治療後に顔が変わるのではないか」と不安を感じる方もいるでしょう。
インプラントは失った歯を補う治療であり、骨格そのものを大きく変えるものではありません。
ただし、歯が補われたり噛み合わせが変わったりすることで、口元や笑顔の印象が変化する場合があります。
また、手術直後は頬や顎周辺が一時的に腫れることもあるでしょう。
本記事では、インプラントで顔が変わるといわれる理由や影響が出やすいケース、術後の腫れ、治療時の注意点を解説します。
インプラント治療で顔は変わる?
インプラント治療を受けても、通常は鼻や顎などの骨格が大きく変わり、別人のような顔になるわけではありません。
一方、歯の欠損が補われることで唇や頬を内側から支える状態が変化したり、噛み合わせによって口周りの使い方が変わったりすると、顔全体の印象に違いを感じる場合があります。
まずは、インプラント治療で顔が変わるのかについて解説します。
美容整形のように顔の骨格そのものを変える治療ではない
一般的なインプラント治療では、顎の骨にインプラント体を埋め込み、その上に人工歯を装着して失った歯の機能を補います。
そのため、輪郭を形成する顎骨を美容目的で削ったり移動させたりする治療とは目的も方法も異なるものです。
ただし、人工歯の位置や形によって唇の支え方が変われば、口元の印象に多少の変化が現れる可能性があります。
「インプラントを入れると必ず小顔になる」などと考えず、変化には個人差があると理解してください。
口元や笑顔の印象が変わることはある
前歯など目立つ場所の歯を失っていると、笑った時に歯が見えなかったり、唇の内側を支える部分が不足したりして、口元の印象が変化する場合があります。
また、インプラントによって適切な位置へ人工歯を補えば、歯の見え方が整い、笑った時の印象が治療前とは異なることがあるでしょう。
ただし、見た目は人工歯だけで決まるものではなく、唇の位置や歯ぐきの状態、骨格などにも左右されます。
インプラントで顔が変わったと感じる主な理由
インプラント治療後に顔が変わったと感じる理由としては、失った歯を補うことで口元の形が変化することや、噛み合わせが回復して左右の歯を使いやすくなることなどが挙げられます。
また、多数の歯を失っていた場合は、人工歯によって歯の高さや口元の支えが回復し、治療前より印象の変化を感じやすくなるかもしれません。
以下では、顔が変わったと感じる理由について解説します。
失った歯が補われて口元の見え方が変わる
歯を失うと、その部分には本来存在していた歯冠がなくなるため、笑った時の歯の見え方や唇を内側から支える状態が変化します。
特に複数の前歯を失っている場合は、口元が内側へ入ったように見えることもあるでしょう。
インプラント治療で人工歯を補うと、欠損部分の形態が回復するため、治療前より唇や口元の印象が整ったと感じる場合があります。
ただし、得られる変化は歯を失った本数や場所によって大きく異なります。
噛み合わせが変わって口周りの使い方が変化する
歯を失っていると、欠損した側を避けて反対側ばかりで噛むなど、噛み方に偏りが生じる場合があります。
インプラントによって欠損部を補い、左右で噛みやすい状態になれば、咀嚼時に使う筋肉の使い方も治療前とは変わるかもしれません。
その結果として、本人が顔つきや表情の違いを感じるケースもあるでしょう。
ただし、インプラントを入れれば顔の左右差が必ず改善するとは限らず、骨格や筋肉など別の要因も関係します。
多数の歯を補うと口元の高さや支えが変わる場合がある
1本だけを補う場合より、多数の歯を失っていた状態からインプラント治療を行う場合のほうが、口元の見た目に変化を感じる可能性があります。
たとえば、広い範囲で歯を失って噛み合わせの高さが低下している場合、人工歯を適切に設計することで上下の顎の位置関係や唇の支え方が治療前と異なるものです。
特に多数歯欠損を対象とする治療では、機能面だけでなく歯の大きさや位置、口元との調和を確認することが重要です。
1本のインプラントでも顔つきは変わる?
失った歯が1本程度であれば、多数の歯を失っている場合と比べて、顔全体の印象が大きく変化する可能性は高くありません。
ただし、前歯のように笑った時に見えやすい部分では、人工歯の色や大きさ、形態によって口元の見え方が変わることがあります。
以下では、1本のインプラントを入れたことによる顔の変化の有無について解説します。
前歯では笑った時の印象が変わりやすい
前歯は会話や笑顔の際に見えやすいため、インプラントで補うと口元の印象に直接影響します。
人工歯の長さや幅、色、歯ぐきとの境目などが周囲の天然歯と調和していれば、自然な見た目に仕上がりやすくなるでしょう。
一方、歯を失ってから時間が経過して歯ぐきや骨が減っている場合は、人工歯だけでは自然な形態を再現しにくいこともあります。
そのため、前歯の治療では機能だけでなく審美性まで考慮した治療計画が重要です。
奥歯では外見より噛み合わせへの影響が中心になる
奥歯は通常の表情では見えにくいため、1本の奥歯へインプラントを入れても、前歯ほど直接的に口元の見た目へ影響しない場合が多いでしょう。
一方、奥歯には食べ物を噛み砕き、噛み合わせを支える役割があります。
欠損していた奥歯を補えば、反対側だけで噛んでいた状態などが変わり、食事のしやすさに違いを感じるかもしれません。
ただし、治療によって輪郭が必ず細くなるなど、外見の変化を目的として行うものではない点には治療が必要です。
インプラント手術後は一時的に顔が変わって見える場合がある
インプラントの手術後には、手術部位の反応によって頬や顎周辺が腫れ、一時的に顔が左右非対称になったように見える場合があります。
特に骨造成などを伴う手術では、通常のインプラント埋入のみの場合より腫れが生じやすくなることがあるでしょう。
ここからは、手術後の顔の変化の有無について解説します。
手術後2~3日ごろに腫れが強くなる場合がある
インプラントは外科処置を伴うため、手術後に歯ぐきや頬、顎周辺が腫れる場合があります。
術後の腫れや痛みは2~3日ほどで強くなり、その後1週間程度かけて落ち着いていくことが想定されます。
また、骨造成など手術範囲が広いほど腫れが目立つ場合があるでしょう。
手術直後の写真だけを見て「顔が変わった」と判断せず、経過を確認することが大切です。
腫れが強くなる・長く続く場合は歯科医院へ相談する
術後の腫れには個人差がありますが、時間の経過とともに落ち着いていくことが一般的です。
一方、腫れが次第に強くなる場合や、強い痛み、発熱などを伴う場合には、感染など別の問題が起きているかもしれません。
また、インプラント手術後には、まれに感染や縫合部の治癒不全などが生じる場合もあります。
自分で判断して様子を見続けず、通常と異なる経過がみられた場合は治療を受けた歯科医院へ相談してください。
インプラント治療後に顔が不自然に見えることはある?
インプラント治療後の見た目は、インプラント体の位置だけでなく、その上に装着する人工歯の形や大きさ、歯ぐきとの調和などによって決まります。
そのため、人工歯が周囲の天然歯より長い、前へ出ているなどの状態では、口元に違和感を覚えるかもしれません。
ここからは、顔が不自然に見えるか否かについて解説します。
人工歯の大きさや位置によって口元の印象が変わる
人工歯の形態は、噛み合わせだけでなく笑った時の印象にも関係します。
たとえば、前歯が周囲の歯より長すぎたり唇側へ出すぎたりすると、口元が以前より突出したように感じることがあります。
反対に、歯を内側へ設計しすぎれば唇を十分に支えられない可能性もあるでしょう。
自然な仕上がりを目指すには、人工歯だけを見るのではなく、歯列全体や唇、顔貌とのバランスを確認することが大切です。
骨や歯ぐきの状態によって仕上がりに差が出る
歯を失ってから時間が経過している場合は、歯を支えていた骨や歯ぐきの形態が変化していることがあります。
そのため、インプラントを埋入できても、以前と同じ歯ぐきの高さや形をそのまま再現できるとは限りません。
特に前歯では、人工歯だけでなく歯ぐきとの境界も見た目に影響します。
骨量が不足している場合には骨造成などを検討するケースもありますが、追加処置が必要かどうかはCTなどで骨の量や形態を確認して判断されます。
インプラントで顔が変わりやすいと感じるケース
顔つきの変化を感じやすいかどうかは、インプラントを入れる本数だけではなく、治療前の欠損状態によって異なります。
例えば、長期間にわたって複数の歯がない場合や、前歯を広い範囲で失っている場合は、人工歯によって口元の支えや歯の見え方が変わるため、印象の違いを感じやすいでしょう。
以下では、顔が変わりやすいと感じるケースを解説します。
複数の歯を長期間失っていた場合
複数の歯を失った状態が続いていると、噛み合わせや口元の支えが欠損前とは異なる状態になっている場合があります。
その状態から人工歯によって歯列を回復すると、治療前後で歯の高さや唇の支え方が変わり、本人が顔の印象の違いを感じることがあるでしょう。
特に上顎や下顎の多数歯を一度に補う治療では、1本のインプラント治療より見た目への影響が大きくなる可能性があります。
前歯を複数本失っていた場合
前歯は唇のすぐ内側に位置し、笑顔や横顔の印象にも関係するため、複数本を失っている場合は治療前後の違いが分かりやすくなることがあります。
人工歯によって前歯の位置や高さを回復すれば、笑った時に見える歯の量や唇の支え方も変化することがあるでしょう。
ただし、元の歯とまったく同じ状態に戻せるとは限りません。
骨や歯ぐきの状態も含めて治療できる範囲を確認し、完成後のイメージを歯科医師と共有しておきましょう。
インプラント治療で顔が変わるのが不安な時の対策
治療後の見た目が不安な場合は、手術を受ける前に「どのような歯の形にしたいか」「口元の印象をどの程度変えたくないか」まで歯科医師へ伝えることが重要です。
また、インプラントでは顎骨の量や神経などの位置を確認したうえで埋入位置を計画する必要があり、CTを用いた術前診断も安全な治療計画を立てるうえで役立ちます。
ここからは、顔が変わるのが不安な時の対策について解説します。
治療前に希望する口元のイメージを共有する
「自然に見えるようにしたい」「治療前から口元の印象を大きく変えたくない」など、希望する仕上がりがある場合はカウンセリングで具体的に伝えてください。
前歯では歯の色だけでなく、長さや幅、歯ぐきから見える位置なども印象を左右します。
また、多数歯を治療する場合は、噛み合わせの高さや人工歯の位置によって唇の支え方も変わる可能性があります。
完成後に認識のずれが生じないよう、治療前にどの程度の変化が予想されるか確認することが重要です。
CTなどで顎骨の状態を確認して治療計画を立てる
インプラント治療では、顎骨の幅や高さ、神経や上顎洞との位置関係などを確認したうえで埋入位置を決めます。
また、コーンビームCTを用いることで、顎骨の量や形態、神経などの位置関係を3次元的に把握し、より安全性に配慮した治療計画を立てやすくなります。
さらに、見た目だけを優先して治療するのではなく、安全性や噛み合わせまで含めた計画が必要です。
追加の骨造成が必要かどうかについても、検査結果を踏まえて説明を受けましょう。
仮歯の段階で見た目や噛み合わせを確認する
治療内容によっては、最終的な人工歯を装着する前に仮歯を使用し、見た目や噛み合わせを確認することがあります。
特に前歯や多数の歯を治療する場合は、口元から見える歯の長さや発音、噛みやすさなどを確認する機会になります。
ただし、仮歯を使用できる時期や方法は治療計画によって異なり、すべての症例で同じ対応ができるわけではありません。
治療後の顔や口元が気になる場合は、完成前に見た目を確認できる方法があるか相談してください。
まとめ|インプラントで顔の印象が変わる場合はあるが個人差がある
インプラント治療は失った歯を補う治療であり、顔の骨格そのものを大きく変えることが目的ではありません。
ただし、人工歯によって口元の支え方や歯の見え方、噛み合わせが変わり、顔の印象が変化したと感じる場合があります。
特に複数の歯や前歯を広く補うケースでは、変化を感じやすい傾向があるでしょう。
一方、頬のこけやほうれい線は複数の要因が関係するため、必ず改善するとは限りません。
また、手術後は一時的に腫れが出ることもあります。
見た目が気になる場合は、人工歯の色や大きさ、位置、唇とのバランスまで希望を伝え、機能性や審美性を含めた治療計画について十分な説明を受けましょう。
インプラントで顔が変わると聞いても、「本当に顔つきへ影響が出るのか」「老けて見えたり不自然になったりしないか」と不安を感じる方も少なくありません。
きぬた歯科では、歯を失った部分の機能回復だけでなく、口元の見た目や噛み合わせにも配慮したインプラント治療を行っています。
患者様一人ひとりの骨や歯ぐきの状態を確認し、自然な口元を目指した治療計画をご提案します。
インプラント治療による顔つきの変化や仕上がりについて不安がある方は、まずご相談ください。
この記事の監修者
日本歯科大学新潟生命歯学部を卒業後、インプラント治療に従事。現在では「インプラント治療のきぬた歯科」を開業し年間4000本以上、累計50,293本のインプラント治療の実績がある。
日本でインプラント治療が黎明期だったころからパイオニアとして活躍し、インプラントメーカーのストローマン社やノーベルバイオケア社から公認インストラクターの資格を得た。
本の執筆やTV・雑誌などのメディア出演、自身のYouTubeチャンネルなどで情報発信を積極的に行っている。
<主な著書>
インプラント治療は史上最強のストローマンにしなさい!!
歯医者が受けたい!インプラント治療
あっそのインプラント、危険です!!
<YouTubeチャンネル>
八王子きぬた歯科
<外部サイト>
きぬた 泰和 Wikipedia