インプラントの骨造成の種類と費用

インプラント治療に伴う骨造成の費用は、治療方法によって異なります。
まずはそれぞれの治療方法ごとの費用について、一覧で見ていきましょう。

種類 費用相場 概要
ソケットリフト 30,000~100,000円 上顎の骨の高さが足りない場合に用いられる
サイナスリフト 150,000~300,000円 上顎の骨が薄い場合に用いられる
GBR法 30,000~150,000円 顎の骨の厚み・高さが足りない場合に用いられる
遊離骨移植 55,000~110,000円 歯茎が足りない場合に用いられる移植法
ソケットプリザベーション 50,000~100,000円 骨が薄くなることを防ぐための治療法

 

治療方法によって金額の開きが多いことがおわかりいただけるはずです。
しかし、手術方法によって対応できる症例は異なります。
費用を理由として、その他の方法を選べないこともあるでしょう。

それではそれぞれの術式について、概要と費用を含めてさらに詳しく解説していきます。

種類1:ソケットリフト

ソケットリフトの費用は30,000~100,000円が相場で、インプラントに伴う骨造成治療の中では費用が控えめです。
骨補填材を用いて上顎の骨を再生させる治療方法であり、骨の厚みが5mm以上確保されている場合に適用されます。

6~7mm程度の厚みであれば、年齢や体の状態を考慮したうえで採用するかどうかが判断される治療法です。
もし適用可能であれば、インプラント体を入れる部分に穴を開けたうえで、骨補填材を注入して骨の再生を促します。
ご自身の骨を入れる場合もあるでしょう。
ただし上顎以外には行えないので、下顎の骨量が足りない場合は他の治療方法が採用されます。

種類2:サイナスリフト

サイナスリフトは150,000~300,000円と、ソケットリフトよりも費用が高くなります。
ソケットリフトでは骨造成が難しい程度にまで骨量が減っている場合に採用される治療方法です。
そのため骨の厚みが5mm以下の場合に適用されます。

シュナイダー膜を持ち上げて人口骨を移植して、上顎の骨の量を確保する治療を行い、約半年後、骨が再生されたことが確認されたらインプラント治療を行う流れです。
規模の大きな手術であるため体への負担は大きいものの、骨の量が少ない方には適しています。

種類3:GBR法

GBR法は別名、「骨誘導再生法」と呼ばれます。
必要となる費用はおよそ30,000~150,000円です。
骨の厚みだけでなく幅が足りないときにも採用されるため、幅広いケースで適用されます。

骨が足りない部分に人工骨や移植用の骨を埋め込み、人工膜で覆うことにより骨造成を行います。
ご自身の骨を使う場合には最低2回の手術が必要となりますが、人工代用骨を使うならインプラント埋入を同時に行うことも可能。
手術回数のことも含めて、主治医に相談したうえでどのような骨造成治療を行うか選択してください。

種類4:遊離骨移植

遊離骨移植は、55,000~110,000円とインプラントの骨造成手術の中では比較的費用が抑えられます。
顎の骨が大幅に足りないときや、インプラントのための骨量が不足しているときに採用される治療法です。
ご自身の骨を採取して、不足している部分に移植することで顎の骨を再生させます。

骨が再生されて定着した後にインプラント埋入が可能となります。
そのため時間はかかりますが、歯周病などで顎の骨の量が少ないケースで役立つでしょう。

種類5:ソケットプリザベーション

将来的な骨の不足を防ぐために行うのがソケットプリザベーションです。
抜歯をした後は、歯を抜いたところに穴が空きます。
穴が開いたところに骨補填材を入れると、顎の骨が吸収されるのを防げるため将来的な骨の不足を予防可能です。

つまり将来的な骨の量を維持するための治療と言えます。
骨が形成されるまでには10か月ほどかかることがあるため、骨造成後すぐのインプラント埋入はできません。
今すぐにインプラント治療が必要ではないというときに役立つ骨造成術です。

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インプラントの骨造成の費用が高額な理由

インプラントで骨造成の費用が高額な理由は次のとおりです。

【高額になる理由】

  • 健康保険の適用外治療であること
  • 材料費が高額であること
  • 治療に必要となる技術と知識が高度であること
  • 治療を受けられるクリニックが限られていること

インプラントに伴う骨造成治療の費用が高額になることには、上記の4つの理由があります。

まずは健康保険の適用外であること、そして材料費が高額であることがあげられるでしょう。
健康保険が適用されれば3割負担となりますが、骨造成治療に関しては全額自己負担です。
治療に必要となる骨補填材や人工骨は価格が高く、治療費を高額にする理由のひとつとなります。

また骨造成に関して技術や知識が必要となること、治療を受けられるクリニックが限られていることも治療費が高くなる原因です。
どこででも受けられる治療ではないため、自然と治療費が高くなります。
以上のようにインプラント治療における骨造成手術は、さまざまな理由で費用が高くなりがちです。

インプラントの骨造成治療で保険が適用となるケースはある?

基本的にインプラントの骨造成治療は保険適用外であり、費用の全額を自己負担しなければなりません。
健康保険は「身体を健康に維持するため」の治療で適用され、審美目的の治療には適用されないためです。
インプラントでは骨造成治療も含め、審美目的の治療とされます。

しかし実際にインプラントの骨造成治療にて保険適用が認められ、費用が安価になるケースもあります。
どのようなケースで保険適用となるのか、先天的理由・後天的理由と2つの観点から見ていきましょう。

先天的な理由

先天的な理由でインプラント骨造成治療が保険適用となるのは、次のようなケースです。

【先天的理由】

  • 顎の骨が1/3以上連続して失われている
  • 顎の骨が形成不全である
  • 先天性欠如歯が6本以上ある
  • 先天性欠損歯が4本以上連続している

先天的に顎の骨や歯が不足している場合は、医療的措置が必要であるとして保険が適用されることがあります。
しかし上記の条件に当てはまったら必ず保険適用となるわけではありません。
適用される基準を問題なく満たしたとされるときのみ適用となります。

後天的な理由

後天的な理由であっても、以下の場合では保険適用の治療となる可能性があります。

【後天的理由】

  • 疾患によって顎の骨が1/3以上連続して失われた
  • 事故などで顎の骨が1/3以上連続して失われた
  • 骨移植にて顎の骨が再建された

主に疾患や事故によって顎の骨が失われたケースが該当します。
上記のような理由で保険適用の治療を希望するなら、診断書を発行してもらわなければなりません。
場合によっては、診断書を発行してもらったとしても、保険適用外となる可能性があります。
インプラントの骨造成治療では保険が適用されることも稀にありますが、特殊なケースに限られるのが現状です。

骨造成治療にかかる費用を抑える方法

インプラントの骨造成治療にかかる費用を抑えるには、医療費控除を利用してください。
医療費控除とは年間の医療費が一定以上になったとき、次年度の所得控除を受けられる仕組みのことです[2]。
世帯全体の医療費が対象となり、下記の計算式によって控除対象額が決まります。

  • 医療費控除対象金額 = 支払った医療費の合計 – 保険金などでの補填分 – 100,000円

もし保険を利用しない場合、医療費が年間100,000円以上の場合に利用できる制度です。
総所得が200万円未満であれば、総所得金額の5%が対象金額となります。

骨造成治療には高額な費用がかかる傾向があります。
医療費控除の条件を満たすケースが多いため、上手に活用して骨造成治療の費用を抑えましょう。

 国税庁:No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)

インプラントの骨造成治療を受けるメリット

インプラントの骨造成治療には費用がかかりますが、その分メリットも多い治療法です。
一体どのようなメリットがあるのか、3つの観点から見ていきましょう。

メリット①審美性が高まる

まずメリットとして、審美性が高まることがあげられます。
骨量を増やすことにより、インプラントと歯茎とのバランスが整うためです。
インプラントは本物の歯のような自然な見た目が得られるとされています。
しかし口元の美しさは、歯と歯茎とのバランスが良くてこそ、ではないでしょうか。

骨造成治療を行ったうえでインプラントを施すことで、歯肉の自然な形状を保ちやすくなります。
治療完了後の歯茎の後退も避けられるため、長期的にも、審美性の高い口元を維持しやすくなると考えられています。

メリット②トラブルを予防できる

骨造成治療はトラブルを予防するためにも役立ちます。
安全に治療を終えるには、十分な骨の量がなければなりません。
骨の量が不足した状態でインプラントを埋入すると、部品が歯茎を突き破ったり、骨の吸収が進行したりする可能性があります。
骨造成治療で十分な量の骨を確保すれば、インプラント治療に関するトラブルを防ぎやすくなります。

メリット③インプラントが長持ちする

インプラントが長持ちしやすくなることも、骨造成治療を受ける大きなメリットです。
前項で解説したように、骨量不足によるさまざまなトラブルを予防できれば、インプラントは長持ちしやすくなります。

治療完了後でも、なんらかのトラブルが発生すれば除去や再手術を行わなければなりません。
たとえばインプラントが抜け落ちてしまう、歯茎を突き破ってしまった、グラグラするようになってしまったなどのケースです。
トラブルが起きる原因はさまざまですが、骨量不足や歯槽骨の後退が原因となることもあります。
骨の量を確保することは、インプラントを長期的に安定させるためにも必要なことです。

インプラントの骨造成治療を受けるデメリット

骨造成治療を受けることにはメリットがあると解説しました。
しかしメリットばかりではありません。
インプラントの骨造成治療には費用面も含め、次のようなデメリットがあります。
これからインプラント治療を受けようとされているなら、メリットとデメリットの両方を把握しておきましょう。

デメリット①痛みを感じることがある

まずは痛みを感じることがある点についてです。
外科手術である以上、治療後に痛みが残ることは十分に考えられます。
手術中は麻酔により痛みは感じられないでしょう。
しかし治療後は10日程度痛みが残ることも珍しくありません。
また感染症に罹患するリスクもあります。
以上のように痛みやリスクがあることを知ったうえで、治療を受けるようにしてください。

デメリット②高額になりやすい

ふたつめのデメリットは、骨造成治療によりインプラント全体の費用が高額になることです。
解説してきましたように、骨造成治療には決して安くはない費用がかかります。
保険適用となるケースもごく稀です。
そのためインプラント治療費に加え、骨造成治療費が必要となり、トータルでの出費が高額になってしまうデメリットがあります。

デメリット③治療にかかる期間が長引く

骨造成治療を受けることにより、インプラントの治療期間が長引くこともデメリットのひとつです。
インプラントと骨造成治療を別々に実施する場合、半年から1年ほど治療期間が延びてしまいます。
なぜなら顎の骨が再建されるのを待つ期間が必要となるためです。

ただしインプラント治療と骨造成治療を同時に行えるケースもあります。
同時に行えるならそれほど治療期間が延びることはありません。
ただしどちらの治療法になるかは、顎の骨の状態により変わります。
もし骨の量が極端に少ない場合は、治療期間が長引く可能性が高くなるでしょう。

デメリット④治療が受けられない場合もある

治療が受けられない場合がある点も、デメリットのひとつです。
身体状況によっては、骨造成治療を行うこと自体にリスクがあると判断されることがあります。
たとえば1型糖尿病の方や心臓疾患のある方、顎の骨に放射線治療を受けている方などです。
インプラント治療を強く希望していたとしても、骨造成治療もインプラント治療も受けられないケースがあることを知っておいてください。

インプラントの骨造成治療を受けたあとに気をつけること

骨造成治療を受けた後は、次のようなことに気をつけてください。

【注意点】

  • 数日間は入浴せずシャワーのみにする
  • 2~3日は激しい運動を控える
  • 飲酒・喫煙・刺激物・熱い飲食物を控える
  • 舌や手、歯ブラシで刺激をしない
  • 処方された薬を飲み切る

患部に刺激が加わると、痛みや炎症が引き起こされることがあります。
運動や入浴など血行が促されることも控え、安静にすることが大切です。

インプラントの骨造成治療を受ける際のポイント

インプラントにおける骨造成治療を受けるときは、次のようなポイントに注意しましょう。

【ポイント】

  • 費用の詳細を確認する
  • 健康状態が良くない方は主治医に相談する
  • 衛生管理がしっかりしていて設備が整った歯科医院を選ぶ

インプラントで骨造成治療を受けるなら、まずは費用の詳細を確認しましょう。
後にトラブルに発展しないよう、最初に納得がいく説明を受けることが大切です。
全身疾患がある方は主治医に相談することも必要です。

そして最も重要なのは、衛生管理体制と設備が整った歯科医院を選ぶことでしょう。
治療後の感染症リスクを避けるためにも、その後のインプラント治療のためにも、口腔内をすべて任せられると思う歯科医院を選んでください。

インプラントの骨造成に関するよくある質問

これからインプラント治療を検討している方に向けて、骨造成に関するよくある質問にお答えしていきます。
疑問や不安があって治療に踏み切れない方は、以下のQ&Aもぜひ参考にしてください。

Q1.保険は適用されますか?

A.骨造成手術では保険は適用されません。

前述したとおり、インプラントの骨造成手術には保険が適用されず、治療費用は全額自己負担となります。
またインプラント治療自体にも、原則的に保険は適用されません。

Q2.入院は必要ですか?

A.骨造成手術で入院は不要です。

骨造成手術では入院は不要で、日帰りで手術を行えます。
手術では施術部位が小さく、全身麻酔も行いません。
そのため日帰りで手術を受けられます。

Q3.失敗することはありますか?

A.失敗がないとは言い切れません。

手術はかなり難易度が高く、失敗する可能性がないとは言い切れません。
インプラント手術でも同様のことが言えます。
しかしインプラント手術の実績が多い歯科クリニックを選ぶことで、失敗のリスクは軽減できるでしょう。

インプラントとは

インプラントに伴う骨造成手術は費用が高額に

いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでいただくことで、インプラント治療に伴う骨造成手術の費用についてご理解いただけたと思います。

骨造成手術の費用は決して安くありません。
費用は手術の種類によって異なります。
しかし、どうしてもインプラントのための骨の量が足りなければ行わなければならない治療です。

きぬた歯科ではインプラント治療はもちろん、骨造成手術でも費用の負担が少なくなるよう、良心的な価格を徹底的に追求しています。
もしインプラント治療を検討しているものの費用面で不安があるなら、ぜひきぬた歯科までお気軽にご相談ください。

この記事の監修者

日本歯科大学新潟生命歯学部を卒業後、インプラント治療に従事。現在では年間3000本以上のインプラント治療の実績がある。

日本でインプラント治療が黎明期だったころからパイオニアとして活躍し、インプラントメーカーのストローマン社やノーベルバイオケア社から公認インストラクターの資格を得た。

本の執筆やTV・雑誌などのメディア出演、自身のYouTubeチャンネルなどで情報発信を積極的に行っている。

<主な著書>
インプラント治療は史上最強のストローマンにしなさい!!
歯医者が受けたい!インプラント治療
あっそのインプラント、危険です!!

<YouTubeチャンネル>
八王子きぬた歯科

<外部サイト>
きぬた 泰和 Wikipedia