インプラントにおける規格とは

インプラントはメーカーごとに規格が異なります。
規格とは、各メーカーで決めている製品の形状や寸法、材質などの条件のことです。

そのため、違うメーカー同士の製品を組み合わせて使うことができません。

メーカーの違いによる私たちへの影響

インプラントのメーカーごとに規格が違うということは取り扱いの方法も異なるということです。
そのため、既に装着しているインプラントのメンテナンスは同じメーカーを扱っている歯科医院で行う必要があります。

基本的には、治療を行った歯科医院でメンテナンスも行うものですが、ご自身のお引越しや歯科医院の閉院などが理由で転院が必要になることもあるでしょう。
そのようなときは同じメーカーを扱っている歯科医院を探せばよいのですが、大変なのはマイナーなメーカーのインプラントを使っている場合です。

マイナーなメーカーのインプラントはそれだけ普及も少ないということなので、取り扱いの経験のある医師もなかなか見つからないことが考えられます。
そのため、インプラント治療をご検討されているのであれば、できるだけシェアの多いメーカーを採用している歯科医院を選びましょう。

このほかにもインプラントにおける歯科医院の選び方のポイントはいくつかあります。
詳しくはこの記事の後半で解説します。

インプラントの世界四大メーカー各社の特徴

インプラントのメーカーにはさまざまなものがありますが、ここでは、なかでもシェアの高い世界四大メーカーを紹介します。

メーカー①ストローマン

ストローマン社は、世界シェアNo.1のインプラントメーカーで、日本でも多く採用されています。インプラントはチタン製で、骨との結合性を高めるために独自の表面処理が施されています。同社の治験結果では、骨結合までの期間が短縮されたとしています。

メーカー②ノーベルバイオケア

ノーベルバイオケア社は、世界で初めてインプラントを発明したメーカーで、45年以上にわたって世界中で採用されています。

幅広い症例に対応できる製品の豊富さと、インプラントのロット番号などが記載できる独自の治療記録カードを発行している点が特徴です。

メーカー③ジンヴィ(旧ジンマー・バイオメット・デンタル)

ジンヴィ社は、アメリカで高いシェア率を誇るメーカーです。同社のインプラントは、骨が柔らかい、骨量が不足しているなど、骨の状態が良くない場合にも有効とされています。従来は難しかった症例にも対応しやすいと言えるでしょう。

メーカー④アストラテック

アストラテック社は、スウェーデンのメーカーです。同社のインプラントは、周辺組織への負担が比較的少ないとされ、インプラントを埋め込んだ後の骨吸収が起こりにくいことが特徴です。これにより、審美性の高い状態が長続きすると言われています。

世界4大メーカーのインプラントが選ばれる理由

上記でご紹介したインプラントメーカーは、世界4大メーカーとも呼ばれ、世界各国の歯科医師が採用しています。インプラントメーカーは数百社以上あるとも言われていますが、この4社が選ばれる最大の理由は、豊富な臨床実績に裏付けされた、品質と安全性の高さにあります。

インプラントシステムは、あごの骨の中に人工的な部品を埋め込んで、失った歯の機能を補うものです。大掛かりな手術を伴うため、患者様の負担は決して軽いものではなく、破損のたびに手術を繰り返すことは難しいでしょう。体の一部となって、毎日使い続けていくものだからこそ、信頼のおけるインプラントメーカーを選ぶことが大切です。

また、4大メーカーのインプラントシステムは、日本の歯科医院でも多く用いられています。もしも、引っ越しなどの事情で、インプラント治療を行った歯科医院に通い続けることが難しくなってしまっても、転居先の地域で同じインプラントシステムを取り扱っている歯科医院を見つけられる可能性が高いでしょう。歯科医院が変わっても、インプラントの治療やメンテナンスを続けやすいことも魅力と言えます。

どのインプラントメーカーの製品を採用するかは、歯科医院や医師の判断により異なります。気になる場合は、カウンセリングの際に使用メーカーを聞いてみてもよいかもしれません。

インプラントの違い

一口にインプラントといっても、構造や形状、使用される素材はさまざまです。ここからは、各インプラントの違いや特徴について解説します。

①構造による違い

インプラントは、あごの骨に埋め込む部分である「インプラント体」、人工歯として目に見える部分である「上部構造」、それらを繋ぐ「アバットメント」という3つのパーツで成り立っています。インプラント体とアバットメントが一体となったものを「ワンピースタイプ」、分かれているものを「ツーピースタイプ」と呼びます。

【ワンピースタイプの特徴】

・手術が1回で済むため、患者様への負担が少ない

・治療期間が短い

 ・部品が少ないのでコストが抑えられる

・インプラントを埋め入れる場所・骨の状態によっては適用できないケースがある

・衝撃を全てインプラント体が受け止めることになるため、破損や炎症のリスクがある

・不具合があった場合、土台ごと撤去する必要がある


【ツーピースタイプの特徴】

・あごの骨が足りない方も含め、多くの人に対して適用できる

・アバットメント・人工歯の選択肢が多く、より患者様にマッチするものを選べる

・手術は2回行うことが多いものの、1回法もある

・アバットメントが衝撃を受け止めるため、インプラント体へのダメージが比較的少ない

・治療期間が長くなりやすい</li>  <li>・ワンピースタイプと比べるとコストがかかる

②材料による違い

ほとんどのインプラント体は、金属の一種であるチタンでできています。一方、アバットメントや人工歯の部分は、チタンだけでなくジルコニアなどの非金属が使われることもあります。各材料の特徴と違いをみていきましょう。

【チタンの特徴】

チタンには骨と結合する性質があり、これがインプラントの素材として採用される最大の理由です。通常、金属などの異物が入ると、体は排除しようと反応しますが、チタンは異物として認識されにくいのが特徴です。また、金属アレルギーを起こしにくく、体の中でも物質的に安定した状態を保つことができます。

さらに、軽くて強度に優れているため、かみ合わせた時に力がかかっても破損しにくいと言われています。

純チタン、またはチタン合金として、あごの骨に埋め入れるインプラント体のほか、アバットメントにも用いられます。

【ジルコニアの特徴】

ジルコニアは、人工ダイヤモンドと呼ばれることもある、非常に硬い素材です。非金属なので、アレルギーを引き起こす心配がないのが特徴です。

白色で審美性が高いため、アバットメントのほか、人工歯の部分に用いられます。ジルコニア製のインプラント体もありますが、日本ではまだ認可が下りていません。

③表面処理による違い

インプラントは、骨との結合性を高めるため、あえて表面をザラザラした状態に加工しています。表面の状態が、骨が結合するまでのスピードを左右するとされています。加工にはいくつかの種類がありますが、複数の方法を組み合わせることが一般的です。ここでは、主な処理方法をご紹介します。

【ブラスト処理】

表面に微粒子を吹き付けて凸凹を形成し、粗面に加工します。サンドブラストとも呼ばれる方法です。

【酸処理】

塩酸、硫酸、フッ酸などの酸性物質にインプラント体を曝露させて加工する、化学的な処理方法です。酸エッチングとも呼ばれ、ブラスト処理に比べて、表面のキメが細かいのが特徴です。

【陽極酸化処理】

電解質溶液の中にインプラントを入れて通電し、厚い酸化皮膜を作る処理方法です。骨とチタンの結合をより促進するとされています。

【機械研磨処理】

表面を機械で研磨する処理方法です。従来は、表面をなめらかに磨き上げたほうがよいと考えられてきましたが、ザラザラ面にしたほうが骨との結合がよいとわかったため、現在はほぼ用いられていません。

④形状による違い

歯根部分となるインプラント体の形状は、大きく分けて4種類あります。現在は、このうち2つのタイプが主流となっています。それぞれの特徴をチェックしてみましょう。

【スクリュータイプ】

スクリュータイプは、ネジのような形状で、現在もっとも主流となっているタイプです。埋め込むための穴が小さくて済むため患者様の負担が軽い、表面積が大きいので初期固定しやすい、などのメリットがあります。

先端の形状により、さらに細かく分類することもでき、先端が細くなっているルートタイプと、先端まで直径が変わらないストレートタイプがあります。

【シリンダータイプ】

シリンダータイプは、表面がなめらかな円筒形のインプラントで、こちらも主流のタイプです。ネジのように溝がついていないため、埋め込みは比較的容易にできますが、スクリュータイプより初期固定が弱いとされます。手術を2回行う場合に向いていると言われています。

【バスケットタイプ】

バスケットタイプは、スクリュータイプによく似た形状のインプラントです。スクリュータイプと異なり、中は空洞になっていて、側面にも穴があります。

インプラントの内側にも骨が入り込むため、高い結合性を得られるとされていますが、高度な技術が必要になるため、近年はあまり用いられていません。

【ブレードタイプ】

ブレードタイプは、Tを逆さにしたような、板状の歯根が特徴のインプラントです。骨の幅が狭い場合にも使うことができますが、破損や骨吸収が起こりやすいとされており、現在ではほぼ採用されていません。

インプラントのメーカーや歯科医院選びで気をつけたいポイント

歯科医院ごとに扱っているインプラントのメーカーは異なるため、インプラントをご検討されている際は歯科医院選びと同時にメーカー選びも行う必要があります。
以下の3つのポイントを押さえて、メーカーおよび歯科医院を選びましょう。

ポイント①有名なメーカーを選ぶ

数あるインプラントのメーカーのなかから、有名なメーカーを選ぶということは大前提です。
これには2つの理由があります。

1つは、有名なメーカーであればあるほど広く普及しており、扱っている歯科医院も多いためです。
インプラント治療は、完了までに最短でも2~3か月という期間がかかり、その後も6か月ごとに定期健診を行う必要があります。
もし、そのあいだにライフスタイルの変化などがきっかけで転院することになった場合も、有名なメーカーの製品を使用していればすぐに転院先が見つかるため安心です。

そしてもう1つの理由は、有名なメーカーであるということはそれだけ実績が豊富であるといえるためです。
インプラント治療を受けられる患者様のお口の状態は人によってさまざまで、なかには症状が複雑な方やあまり一般的ではないケースに当てはまる方もいらっしゃいます。
そのような場合も、実績が豊富な大手メーカーであれば、さまざまな症例のデータがあるため、近い症例のデータを参考に治療方法や治療後の経過を確認できます。

ポイント②各メーカーの特徴で比較する

有名なメーカーを選ぶことは前提として押さえておきたいポイントですが、とはいえ有名なメーカーもいくつかあるため、各メーカーの特徴を比較して選ぶことがおすすめです。

とはいえ、各メーカーの細かな特徴は現場の医師でなければわからないことも多いため、気になることがあれば医師に相談してみるとよいでしょう。

ポイント③インプラント治療の実績が多い医師を選ぶ

実績の多いメーカーを選ぶことも大切ですが、同時に担当医師自身の実績を見ることも大切です。
ホームページを見て、これまでに行ったインプラント治療の件数や担当医師のプロフィールを確認しましょう。

インプラントはメーカーごとに規格が違うため、広く普及している有名メーカーを選ぼう

今回は、インプラントのメーカーが違うことでどのようなことが起こりえるのか、メーカーの選び方とともに解説しました。

インプラントはメーカーごとに規格が違うため、複数のメーカーを組み合わせることができません。
また、メンテナンスの際も同じメーカーを扱っている医師が行う必要があるという点からも、インプラント治療の際は広く普及している有名メーカーを選びましょう。

きぬた歯科では、世界四大インプラントメーカーの1社であるストローマンのインプラントを使用しており、ストローマン社からは実績について表彰も受けております。

インプラント治療をご検討されている方はぜひ、きぬた歯科までご相談ください。

インプラントの費用について気になる方はぜひ、「インプラントの費用の基礎知識と1本あたりの費用について」をご覧ください。

監修者情報

日本歯科大学新潟生命歯学部を卒業後、インプラント治療に従事。現在では年間3000本以上のインプラント治療の実績がある。

日本でインプラント治療が黎明期だったころからパイオニアとして活躍し、インプラントメーカーのストローマン社やノーベルバイオケア社から公認インストラクターの資格を得た。

本の執筆やTV・雑誌などのメディア出演、自身のYouTubeチャンネルなどで情報発信を積極的に行っている。

<主な著書>
インプラント治療は史上最強のストローマンにしなさい!!
歯医者が受けたい!インプラント治療
あっそのインプラント、危険です!!

<YouTubeチャンネル>
八王子きぬた歯科