オールオンフォーとは

歯がすべてない、またはほとんど残っていない場合に施すインプラント治療方法の一種を、オールオンフォーと言います。
4本のインプラントを片あごに埋め込み、歯と歯茎が連結した状態になっている人工歯を取りつけます。
使用するインプラントが4本だけで済むため、手術時間も短くなり、費用も抑えられるのが特徴です。

おおまかな治療の流れは、以下のとおりです。

オールオンフォーの治療の流れ

  1. 残っている歯を抜歯して口内を洗浄する
  2. インプラント体を埋入して歯の型を取る
  3. 休憩を挟んで仮歯を取りつける
  4. インプラント体とあごの骨の結合期間を設ける
  5. 3~6か月後に最終的な人工歯を取りつける

その日のうちに仮歯を装着するので、すぐに噛む力を取り戻せます。
審美性にも優れており、美しい歯を手に入れられるという点も魅力です。

また、インプラント体が骨と結合するので、総入れ歯に比べて骨が痩せるのを防げるうえに、天然の歯と変わらない力で噛めるようになります。

オールオンフォーの費用相場

冒頭でもお伝えしたとおり、オールオンフォーの費用相場はおよそ200万~400万円です。
治療費の内訳は以下のようになっています。

オールオンフォーの治療費の内訳

  • 診察費・精密検査費
  • インプラント代
  • 仮歯代
  • 人工歯代
  • 外科手術代
  • 術後の消毒・診察費

人工歯の素材によって費用が変わり、レジンがもっとも安く、セラミック、ジルコニアの順に高くなります。
強度や見た目の美しさ、人工歯が完成するまでの期間などもそれぞれ異なるので、予算や目的に合わせて選ぶとよいでしょう。

オールオンフォーと通常のインプラント治療の費用の比較

オールオンフォーと、すべての歯をインプラント治療する場合の費用を比較してみると、オールオンフォーのほうがお得だとわかります。
以下の表に、上あご14本を治療した場合の費用の差をまとめてみました。

オールオンフォーと通常のインプラント治療の費用

歯1本あたりの費用 合計
オールオンフォー 14万~28万円ほど 200万~400万円ほど
通常のインプラント治療 30万~40万円ほど 420万~560万円ほど
費用の差 12万~16万円ほど 100万~220万円ほど

歯1本あたりの治療費には12万~16万円ほどの差があり、総額では100万~220万円ほど、オールオンフォーのほうが安くなります。
歯がすべてない方、またはほとんどない方は、すべての歯をインプラントにするよりも、オールオンフォーのほうが費用を抑えられます。

オールオンフォーが費用を抑えられる理由

オールオンフォーは、なぜ通常のインプラント治療に比べて安いのでしょうか?
それには3つの理由があります。

理由①インプラントの本数が少ないため

オールオンフォーという名前のとおり、治療にはインプラントが4本しか必要ないので、そのぶん費用を抑えられます。

一般的なインプラント治療ですべての歯を治療する場合は、片あごに8~12本のインプラント体を埋め込まなければなりません。
費用がかかるだけではなく、手術時間も長いので、身体に負担がかかってしまいます。
そこでオールオンフォーという治療方法が開発され、現在では歯がほとんどない方の治療方法として広く普及しています。

理由②骨造成しないケースが多いため

インプラント治療を受けるためには、あごの骨に十分な厚みが必要です。
歯がない状態の方のあごの骨は痩せている場合が多く、治療箇所によっては骨造成とよばれる骨を増やす手術を施さなければなりません。

しかし、オールオンフォーでは骨が少なくなっている部分を避けて、厚みがある部分にインプラント体を埋め込むことができます。
そうすれば骨造成にかかる費用を減らせるので、通常のインプラント治療に比べて費用を抑えられます。

骨造成については「インプラント治療で聞く「骨造成」とはなんでしょうか?」をご覧ください。

理由③手術・通院回数が少ないため

オールオンフォーは外科手術をともないますが、日帰りなので入院費がかかりません。
通院回数も、初回のカウンセリングと精密検査、手術後の人工歯の取りつけのみで済むので、診察費も安く抑えられます。

通常のインプラント治療で片あごすべての歯を治療しようとすると、外科手術を2~3回に分ける必要があります。
そのたびに費用がかかるため、オールオンフォーのほうが経済的といえるわけです。

オールオンフォーの治療費をさらに抑える方法

オールオンフォーは通常のインプラント治療に比べて安いとはいえ、保険が適用されません。
そこで、少しでも費用を抑えるための2つの方法を紹介します。

方法①デンタルローンを組む

すぐにまとまった金額を用意できないものの、早めにオールオンフォーを受けたいという方は、デンタルローンの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
デンタルローンは、金融機関が提供している歯科治療専門のローンです。
信託会社や金融機関に歯科治療費を立て替えてもらって先に治療を受け、その後分割払いで治療費と利息を返済する仕組みです。

金利は年5%前後と、金利が14%前後のカードローンに比べて低めに設定されています。
ただし、契約手続きが複雑である点や、変動金利の場合、返済中に金利が上がる可能性があるなどの点には留意しておきましょう。

デンタルローンの概要については「デンタルローンとは?インプラント治療の費用をローンで支払えるのは本当ですか?」をご覧ください。

方法②医療費控除を利用する

オールオンフォーは、医療費控除の対象です。
医療費控除とは、その年の1月1日から12月31日までのあいだにご本人と配偶者や家族のために支払った医療費が一定金額を超えると、所得控除を受けられる制度のことです。
一定金額は、総所得金額が200万円以上の方は10万円、200万円以下の方は、総所得金額の5%と定められています。

医療費控除の対象額は、以下の計算式によって算出が可能です。

「1年間で実際に支払った医療費の合計金額-保険金で補填された金額-10万円」

総所得金額が200万円以下の方は、10万円の部分を「総所得金額の5%の金額」に変えて計算します。

オールオンフォーの治療後にかかる費用

オールオンフォーの治療後は、メンテナンスを受ける必要があり、1回につき3,000~1万円ほどの費用がかかります。

メンテナンスでは、噛み合わせの確認と調整、歯のクリーニング、お手入れ方法のレクチャーなどを行います。
インプラントを快適に長く使いつづけるためには、噛み合わせを調整して破損を防ぎ、歯周病を予防することが大切です。

オールオンフォーの治療費が安すぎるクリニックには要注意

オールオンフォーの費用相場である、200万円を下回る金額で治療を行っているクリニックには注意しましょう。
危険である理由として、以下の3つが挙げられます。

理由①信頼できるメーカーのインプラントではないため

オールオンフォーの治療費が相場と比べて安すぎる理由として、インプラント自体の値段が関係している場合があります。

インプラントのメーカーでは、スイスのストローマン社やノーベルバイオケア社、スウェーデンのアストラテック社などが世界的に有名です。
これらのメーカーは性能が優れているぶん、値段も高くなります。

そこで、マイナーなメーカーの安いインプラントを使用するクリニックも存在します。
性能と価格が比例するとは言い切れませんが、あまりにも安いと粗悪品である可能性も否定できません。
粗悪品のインプラントは骨との結合性が悪く、治療後に脱落する懸念があります。

オールオンフォーの値段が安すぎるときは、使用するインプラントのメーカーをたずねてみたうえで、ほかのクリニックも検討するとよいでしょう。

理由②一部の治療費のみを提示しているため

一般的にオールオンフォーの治療費は、精密検査や手術、インプラント、仮歯などにかかる料金をすべて合わせた金額で提示されます。

治療費が安い場合は、これらすべての金額ではなく、手術費や材料代など一部の金額のみを提示している可能性があります。
最終的に相場よりも高い治療費を請求されるケースも考えられるため、治療を受けるクリニックを決める前に内訳をあらかじめ確認しておくと安心です。

理由③精密検査・治療計画の作成を省いているため

オールオンフォーの前には必ず精密検査を行い、現在の歯とあごの骨の状態を確認してから治療計画を綿密に立てなければなりません。
この工程を省くと、治療後にインプラントがあごの骨に定着せずに脱落するケースや、噛み合わせに問題が生じるなど、トラブルが発生する危険性があります。

オールオンフォーの再手術には時間も費用もかかるので、治療費の安さで選ぶのではなく、安全性で選ぶほうが、長い目でみたときのトータルコストを抑えられます。

インプラントとは

オールオンフォーの費用相場を念頭に置いて安心・安全なクリニックを選びましょう

オールオンフォーの費用相場は使用する素材によって異なり、およそ200万~400万円です。
歯がほとんどない方にとっては、1本ずつインプラントを埋め込むよりも安く済み、総額では100万~220万円ほど安くなります。

ただし、オールオンフォーの治療費が安すぎるクリニックは、精密検査を省いているか、粗悪品のインプラントを使っている可能性があるので十分に気をつけましょう。

きぬた歯科では、精密検査で歯とあごの骨の状態を確認し、患者様一人ひとりに合った治療方法をご提案しております。
インプラント治療のきぬた歯科では無料カウンセリングを受け付けておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。

この記事の監修者

日本歯科大学新潟生命歯学部を卒業後、インプラント治療に従事。現在では年間3000本以上のインプラント治療の実績がある。

日本でインプラント治療が黎明期だったころからパイオニアとして活躍し、インプラントメーカーのストローマン社やノーベルバイオケア社から公認インストラクターの資格を得た。

本の執筆やTV・雑誌などのメディア出演、自身のYouTubeチャンネルなどで情報発信を積極的に行っている。

<主な著書>
インプラント治療は史上最強のストローマンにしなさい!!
歯医者が受けたい!インプラント治療
あっそのインプラント、危険です!!

<YouTubeチャンネル>
八王子きぬた歯科

<外部サイト>
きぬた 泰和 Wikipedia