インプラントは虫歯にならない?

冒頭でご説明したように、インプラントは虫歯にはなりません。
なぜならインプラントは、人工の歯根と歯冠によって作られているためです。

なぜ、インプラントは虫歯にならないのか、まずは通常の歯が虫歯になる仕組みから理解していきましょう。
結論から申し上げますと、虫歯は酸によって歯が溶けてしまうことによって起こります。

口内にはつねに約1,000億~6,000億もの細菌が存在しており、なかには虫歯や歯周病などを誘発する細菌もいます。

細菌のなかでもミュータンスという細菌が、チョコレートや飴などの砂糖を含んだものを食べると、活発に働く特性を持っています。
砂糖を含んだ食べ物を食べたあと、口内に残った歯垢の中で酸が作られてしまうのです。
そしてミュータンスが作り出した酸が、歯を溶かすことで虫歯になってしまう、という仕組みです。

通常の歯であれば、細菌の働きによって歯が溶けることで虫歯になりますが、インプラント治療では人工的な歯を埋め込むため、酸に溶けることがありません。
そのため、インプラントが虫歯にならないという結果になるのです。

インプラント治療後のトラブル

インプラントは人工歯なので、埋めさえすればケアやメンテナンスは必要ないと思っている方も少なくありません。

虫歯にこそなりませんが、ケアやメンテナンスを怠ることによって、インプラント治療後のトラブルにつながる可能性があります。

ここではインプラントを埋め込んだ後のトラブルについて解説します。

①インプラント周囲炎

インプラント治療後に起こるトラブルの一つが、歯周病と似たような症状が特徴の「インプラント周囲炎」。

インプラント周囲炎とは、埋め込んだインプラントの周囲にある歯肉や組織に炎症ができることで、腫れや出血が起こる疾患のことです。

症状が進むと痛みが伴う虫歯とは違って、周囲炎は痛みを伴わないことが多く、自覚症状が出づらい疾患です。

知らず知らずのうちに症状が進行しているので、重症な場合、歯茎が痩せてしまいインプラントを固定するのも難しくなってしまいます。

虫歯にならないとはいっても、日々の歯磨きやうがいなどのケアは行うことが大切です。

②インプラント周辺の歯の虫歯

人工歯であるインプラントそのものは虫歯にならないものの、インプラント周辺の歯には歯垢が付着します。

歯垢が付着したままだと、インプラントはさておき、周辺の歯が虫歯になる可能性があるのです。

デンタルフロスや歯間ブラシ、歯ブラシなどを使い、インプラントはもちろん、他の歯も念入りにケアしましょう。

磨き残しが多いといわれるのは、歯間や歯と歯茎の間などです。せっかく高額な費用を経て手に入れたインプラントですが、その周りの歯も同時に大切にできたらよりよいですよね。

③歯茎の腫れ

インプラント治療後に、歯茎の腫れが起こりうることがあります。

インプラント周囲炎ではない場合、インプラント治療によるパーツのゆるみや周辺の歯の炎症から波及している可能性も。

またそのほかにもどこかしらから、細菌感染しているケースもあります。
インプラント治療は外科手術を伴っているからこそ、あらゆる原因が考えられるため、放っておくことは禁物です。

放置していても腫れが自然とおさまることはまずないので、腫れが確認できたら速やかに歯科医に相談してください。

④インプラントの歯損

インプラント治療後に、歯が破損してしまうことも稀にあります。

例えば不慮の事故で強い衝撃を受けた場合、インプラントを破損してしまうといったケースです。そのほか固いものを思いっきり噛んだときや無意識に歯ぎしり・食いしばりをして欠けてしまうこともあります。

インプラントは人工歯ですが、どんな衝撃にも打ち勝てるというわけではありません。
天然歯のように慎重に大切に扱う必要があります。

インプラント治療は、受けるときに保証に入るのが一般的です。

定期的なメンテナンスを受けており、自宅でもセルフケアをしていた場合、一定の期間内であれば無償で歯を交換してくれることもあるので、歯科医院が提供している保証内容をよく確認しておくと良いでしょう。

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インプラントでも歯周病になりますか?

インプラントのメンテナンス方法

最後に、インプラントをメンテナンスする際の5つのポイントを紹介します。

ポイント①歯磨きを丁寧に行う

インプラントも、通常の歯と同様に歯磨きをする必要があります。
ただし、なにも考えずに簡易な歯磨きをしてしまうと、磨き残しが出てくる可能性が高いです。

そのため、歯を丁寧に磨くことはもちろんですが、歯周炎にならないように歯茎も適度に磨くことが大切です。
力強くブラシを当てると歯茎が傷ついてしまうため、20回程度を目安として軽い力で歯茎を磨きましょう。

ポイント②喫煙を控える

タバコの煙は、歯周炎になる歯茎に悪い影響を与えます。

喫煙をしない人と比べて喫煙をする人のほうが、周囲炎になるリスクが高いといわれています。
必ず禁煙しなければならないというわけではありませんが、できるだけ1日にタバコを吸う本数を少なくすることや禁煙の努力をすることなどの工夫は必要だといえるでしょう。
タバコを1本でも吸う人は、周囲炎になるリスクがゼロになることはありません。

目先のことではなく、10年後もインプラントを長持ちさせられるように日々の行動を意識しましょう。

ポイント③健康管理を行う

インプラント周囲炎は口内の清潔状態だけではなく、体内の疾患状況によっても悪化しやすいです。

たとえば、糖尿病や骨粗しょう症などのように、全身に広がるような疾患があると、よりインプラント周囲炎の症状が悪化しやすくなってしまいます。
そのため、つねに健康を維持できるように、健康管理には気をつけなければなりません。

もし、すでに疾患がある方は、少しでも改善できるように努めましょう。
疾患を悪化させないようにコントロールすることが大切です。

ポイント④噛み合わせをコントロールする

噛み合わせの力が強すぎると、インプラントだけではなく骨にも圧力がかかります。
骨に圧力がかかると、あごの骨が少しずつ傷ついてしまい、インプラント自体が壊れてしまう可能性もあるのです。

特に、歯ぎしりをよくするという自覚がある方は、マウスピースをつけることや歯科医院に相談することなど、工夫をしましょう。

ポイント⑤歯科医院で定期検診を受ける

インプラントを埋め込んだあとは、定期的に歯科医院で検診を受けましょう。
定期健診では、口内の健康状態の確認やレントゲン検査、ブラッシングの指導やクリーニングなどのメンテンナンスを行ってもらえます。

自分の歯磨きは磨き残しがないのか、またインプラントの状態はよいのかなどを、プロの目線で確認してもらうことで、インプラントを長く使うためのアドバイスになります。

定期健診の費用は歯科医院によって異なりますが、5,000円程度です。
どのくらいの費用になるのかは、担当医師に確認しておくことをおすすめします。

【関連記事】
インプラントのメンテナンスについて

インプラントは虫歯にはならないが周囲炎になる可能性がある

いかがでしたでしょうか?

インプラントは通常の歯と違って、歯垢に含まれている細菌の酸に溶けないため虫歯になることはありませんが、周囲炎という炎症になる可能性があります。

周囲炎にならないためには、口内を清潔に保つことがもっとも大切です。
インプラントを長く使えるように、歯磨きを丁寧に行うことや喫煙を控えることなど、個人でのケアも行いましょう。
また、費用はかかりますが、プロの目線で確認してもらえるので定期的に検診を受けることをおすすめします。

インプラント治療に圧倒的な実績を持つきぬた歯科では、アフターメンテナンスも充実しています。
日々のメンテナンスだけでは不安な方でも、ぜひご相談ください。

インプラントの費用について気になる方はぜひ、「インプラントの費用の基礎知識と1本あたりの費用について」をご覧ください。

この記事の監修者

日本歯科大学新潟生命歯学部を卒業後、インプラント治療に従事。現在では年間3000本以上のインプラント治療の実績がある。

日本でインプラント治療が黎明期だったころからパイオニアとして活躍し、インプラントメーカーのストローマン社やノーベルバイオケア社から公認インストラクターの資格を得た。

本の執筆やTV・雑誌などのメディア出演、自身のYouTubeチャンネルなどで情報発信を積極的に行っている。

<主な著書>
インプラント治療は史上最強のストローマンにしなさい!!
歯医者が受けたい!インプラント治療
あっそのインプラント、危険です!!

<YouTubeチャンネル>
八王子きぬた歯科

<外部サイト>
きぬた 泰和 Wikipedia