インプラントは、失った歯を自然な見た目と噛み心地で再現できる治療法として人気があります。
しかし、費用が高額だと感じる方も少なくありません。

本記事では、インプラントが高額な理由を分かりやすく解説し、治療費を抑える方法も紹介します。

「なぜそんなに高いの?」「少しでも安くできる方法はある?」と気になる方は、ぜひ最後までご覧ください。

インプラントが高額な理由

インプラント治療は、失った歯を補う治療の中で最も費用がかかる方法です。
ここでは、インプラントの費用が高くなる5つの理由について解説します。

保険適用外であるため

インプラント治療は、基本的に保険が適用されない自由診療です。
健康保険の対象となるのは「最低限の機能回復を目的とした治療」に限られており、審美性や快適性を重視したインプラントは美容的治療として扱われます。

そのため、治療費はすべて自己負担となり、使用する材料や医師の技術料、設備維持費などがそのまま費用に反映される仕組みです。

事故や先天的な欠損による治療など、特別なケースでは保険が適用されることもありますが、一般的には自由診療として扱われています。

インプラント自体が高額なため

治療に使用されるインプラント(人工歯根)は、精密な設計と高い安全性が求められる医療機器です。
チタンやジルコニアといった生体親和性の高い素材が使われ、体への負担を最小限に抑えつつ、長期間安定して機能するよう作られています。

また、世界的に信頼性の高いメーカーのインプラントは、品質保証や長期的なサポート体制が整っており、その分コストも高くなります。
安全性と精度を確保するためのコストが、治療費の高さにつながっているのです。

高度な技術が必要となるため

インプラント治療は、歯茎を切開し顎の骨に人工歯根を埋め込む外科的手術を伴います。
そのため、歯科医師には豊富な経験と専門知識、そして精密な技術力が求められます。

さらに、骨の厚みや神経・血管の位置を正確に把握する必要があるため、専門的なトレーニングを受けた歯科医でなければ安全に治療できません。
このように、高度な医療技術を提供できる歯科医師の確保や育成にはコストがかかり、治療費にも反映されます。

設備や材料代がかかるため

インプラント治療を安全に進めるには、手術専用の清潔な環境と精密機器が必要です。
たとえば、骨の状態を三次元的に把握できる歯科用CTスキャンや、インプラント専用の手術機器、衛生管理を徹底したオペ室などが必要です。

これらの設備を維持するための管理費や消耗品費も、治療費に含まれています。
また、使用する人工歯やアバットメント(土台)などの歯科材料も高品質なものが選ばれるため、全体の費用が高くなるのです。

治療期間が長いため

インプラント治療は1日で完了するものではありません。
顎の骨に埋め込んだインプラント体がしっかりと骨と結合するまで、3〜6か月ほどの時間が必要です。

この間、経過観察や仮歯の調整など複数回の通院が発生し、工程ごとに費用がかかります。
さらに、骨が足りない場合は「骨造成」などの追加治療も必要で、治療期間や総費用がさらに増加します。

時間をかけて安全かつ確実に仕上げるため、結果的に費用が高額になるのです。

歯科医院によって治療の費用に差が出る理由

インプラント治療は自由診療のため、歯科医院ごとに費用が異なります。
その差は単なる価格設定の違いではなく、使用するインプラントのメーカー、治療技術、設備の精度、患者の口腔状態や追加処置の有無など、複数の要因が重なって生じています。

ここでは、インプラント費用に差が出る理由を見ていきましょう。

インプラントのメーカー

インプラントは世界中で多数のメーカーがあり、品質や価格が大きく異なります。
信頼性の高いメーカーの製品は、長年の臨床実績と研究に基づき、安全性・耐久性・適合性に優れています。

代表的なメーカーは「ストローマン社」や「ノーベルバイオケア社」などで、安定した結果が得られる一方でコストも高めです。

一方で、安価なメーカー製品は初期費用を抑えられるものの、長期的なサポートやパーツ供給に不安が残る場合もあります。
どのメーカーを採用しているかによって、治療の費用は大きく変わります。

手術箇所・治療の難易度

インプラントを埋め込む位置や骨の状態により、手術の難易度は異なります。
前歯のように審美性が求められる部位は、角度や位置の微調整が必要なため、費用が高くなる傾向です。

また、骨が薄い・神経が近いなどリスクの高いケースでは、より精密な治療計画と高度な技術が求められ、総費用が上がります。
治療の難易度に比例して手術時間や使用する設備も増えるため、費用に差が生じるのです。

被せ物に使用する素材

インプラントの上部に装着する人工歯(クラウン)は、使用する素材によって価格が変わります。
ジルコニアやオールセラミックなどの高品質素材は、審美性と耐久性に優れている一方、製作コストが高くなります。

一方で、ハイブリッドセラミックやメタルボンドなどは比較的リーズナブルですが、経年劣化や変色のリスクがあるでしょう。
また、人工歯を製作する技工士の技術や、CAD/CAMシステムなどの精密設備を導入しているかどうかも、仕上がりと費用に影響します。

骨造成術の有無

顎の骨の量や厚みが不足している場合、インプラントを安定させるために「骨造成(こつぞうせい)術」が必要になります。
治療にはGBR法、サイナスリフト、ソケットリフトなどいくつか方法があり、いずれも追加費用が発生します。

骨の状態が悪いほど治療が複雑になり、使用する人工骨材や治療期間も増えるため、結果的に費用が高くなります。

インプラントはなぜ高額でも選ばれるのか

インプラントは、入れ歯やブリッジより費用が高額にもかかわらず、多くの人に選ばれています。
その理由は、審美性や噛む力の再現性に加え、長期的な機能性と快適さにあります。

ここでは、高額であってもインプラントが支持される理由を見ていきましょう。

見た目が健康な歯と変わらないため

インプラントの最大の魅力は、天然歯に限りなく近い見た目を再現できる点です。
人工歯の色や形は、周囲の歯の質感や透明感に合わせ精密に設計されるため、装着後も違和感がほとんどありません。

入れ歯のように金属の留め具が見えることもなく、自然な笑顔を取り戻せます。
審美性が求められる前歯の治療では、周囲の歯と調和する美しい仕上がりが得られることから、インプラントを選ぶ人が増えています。

噛む力を維持できるため

インプラントは顎の骨に人工歯根を直接固定する構造のため、天然歯と同等の強い咀嚼力を発揮します。
硬い食べ物でもしっかり噛めるようになり、食事の満足度や栄養摂取の質が向上します。

入れ歯のようにズレたり外れたりしないため、会話や食事の際のストレスが大幅に軽減されるでしょう。
しっかり噛める安心感こそが、多くの人が高額であってもインプラントを選ぶ大きな理由です。

周囲の歯に負担がかからないため

インプラントは人工の歯根が自立しているため、隣の歯を削ったり支えにする必要がありません。
ブリッジ治療では両隣の健康な歯を削って固定しますが、インプラントは独立して機能するため、周囲の歯に負担をかけません。

その結果、口全体のバランスを長く維持でき、他の歯の寿命を削らずに済みます。
将来の歯の健康を守るという意味でも、インプラントは長期的に価値の高い治療法と言えるでしょう。

インプラントにかかる費用を抑える方法

インプラントは見た目や機能面で優れた治療法ですが、費用の高さがネックになる方も多いでしょう。
そこで、国の制度や支払い方法を上手に活用すれば、経済的な負担を減らせます。

ここでは、インプラント治療にかかる費用を少しでも抑えるための方法を見ていきましょう。

医療費控除を利用する

インプラント治療の費用は医療費控除の対象になります。
医療費控除とは、1年間(1月1日〜12月31日)に支払った医療費が10万円を超えた場合、確定申告することで所得税の一部が還付される制度です。

インプラント治療のほか、同じ年にかかった通院費や薬代なども合算して申請できるため、結果的に支出を抑えられます。
ただし、控除を受けるには自分で申告手続きする必要があるため、領収書や治療内容の明細をしっかり保管しておきましょう。

デンタルローンを利用する

インプラントのように高額な自由診療の場合、デンタルローンを利用すれば費用負担を分散できます。
デンタルローンとは、歯科治療費を信販会社や銀行が立て替え、患者が分割で返済する仕組みです。

金利は2.5〜8%程度と比較的低く、クレジットカードの分割払いよりも利息を抑えられるのが特徴です。
ただし、ローンの利用には審査が必要で、安定した収入がある成人でなければ利用できない場合もあります。

無理のない返済計画を立て、総支払額を把握したうえで検討しましょう。

分割払いで支払う

歯科医院によっては、独自の分割払い制度を設けている場合もあります。
一括で支払うのが難しい方でも、月々の支払い額を抑えながら計画的に治療を進められます。

ただし、すべての歯科医院が分割払いに対応しているわけではありません。
対応の有無や手数料の有無、支払い回数の上限などは事前に確認しておきましょう。

医院独自の制度をうまく活用すると、負担を軽くしながら質の高い治療を受けられるでしょう。

インプラント費用を理解し納得の治療を選ぶために

インプラントは高額な治療ですが、高度な技術や精密な設備、安全性を追求した素材の使用など、費用が高くなる正当な理由があります。
また、医療費控除やデンタルローンなどを活用すれば、経済的な負担を軽減できます。

費用面だけで判断せず、信頼できる歯科医院を選び、自分に合った支払い方法を検討しましょう。
安心して長く使えるインプラント治療を進めてください。

この記事の監修者

日本歯科大学新潟生命歯学部を卒業後、インプラント治療に従事。現在では「インプラント治療のきぬた歯科」を開業し年間3000本以上のインプラント治療の実績がある。

日本でインプラント治療が黎明期だったころからパイオニアとして活躍し、インプラントメーカーのストローマン社やノーベルバイオケア社から公認インストラクターの資格を得た。

本の執筆やTV・雑誌などのメディア出演、自身のYouTubeチャンネルなどで情報発信を積極的に行っている。

<主な著書>
インプラント治療は史上最強のストローマンにしなさい!!
歯医者が受けたい!インプラント治療
あっそのインプラント、危険です!!

<YouTubeチャンネル>
八王子きぬた歯科

<外部サイト>
きぬた 泰和 Wikipedia