骨造成手術とは

骨造成手術とは、骨の高さや厚みなどの骨の量を増やすために行う手術のことです。
冒頭で説明したように、骨造成手術には3種類あるため、それぞれ分けて解説します。

骨造成については「インプラント治療で聞く「骨造成」とはなんでしょうか?」をご覧ください。

GBR法

GBR法は、骨誘導再生法とよばれる、骨造成手術の1つです。
治療は、以下のような流れで進みます。

GBR法の治療の流れ

  1. 患部の歯茎を切開して自家骨や骨補填材を充填する
  2. メンブレン膜で患部を覆う
  3. 歯茎を縫合する
  4. 骨が生成されるまで待ち、インプラント体を埋入する

GBR法は、インプラント治療を受けるにあたり、患部の骨の厚みや高さが不足していると歯科医師が判断した場合に用いられる治療法です。
インプラント体を埋入できる状態にもっていくために、骨が少ない患部に自家骨(自分の骨)や骨補填材を充填して、骨の再生を促します。

インプラント体を埋入する前に、手術後4~6か月程度の骨を生成する期間を要するため、患部を刺激しないよう過ごす必要があります。

GBR法で施術を行う場合の痛みや腫れについては「インプラント治療でGBR法を行った際に、腫れや痛みは起きますか?」をご覧ください。

サイナスリフト

続いて、サイナスリフトという骨造成手術を説明します。
サイナスリフトは、上顎奥歯の骨の厚みが5ミリ以下のケースに適用されます。

治療の流れは以下のとおりです。

サイナスリフトの治療の流れ

  1. 患部の歯茎を切開する
  2. 上顎洞およびシュナイダー膜を持ち上げて、自家骨や骨補填材を充填する
  3. 歯茎を縫合する
  4. 骨が生成されるまで待ち、インプラント体を埋入する

自家骨や骨補填材を充填して骨の生成を待つ工程はGBR法と同じですが、上顎洞の内部にあるシュナイダー膜という粘膜を持ち上げて骨を造る点で違いがあります。
骨が生成されるまで6か月程度待ってからインプラント治療に移るので、GBR法同様、長期にわたる治療となります。

ソケットリフト

ソケットリフトは、上顎奥歯の骨の厚みが6ミリ以上の場合に適用されます。
ソケットリフトの治療の流れは、以下のようになっています。

ソケットリフトの治療の流れ

  1. 患部の歯茎を切開する
  2. 上顎洞を専門の器具で押し上げる
  3. 押し上げた部分に、自家骨や骨補填材を充填すると同時に、インプラント体を埋め込む
  4. 歯茎を縫合する
  5. 骨の生成とインプラントの定着を待つ

ソケットリフトは、患部の骨の生成と、インプラント体の骨への定着を同時に待つ治療法のため、ほかの2つの方法よりも治療にかかる期間が短いです。

上顎奥歯の骨の厚みが6ミリ未満の場合は治療が受けられないため、注意しましょう。

骨造成手術にかかる費用の相場

骨造成手術にかかる費用の相場は、以下の表に記載したとおりです。

骨造成手術にかかる費用の相場

手術の種類 費用の相場
GBR法 3万~10万円程度
サイナスリフト 5万~35万円程度
ソケットリフト 3万~5万円程度

方法によって、費用に大きな差があります。
ほかの手術の方法に比べて、サイナスリフトに費用がかかる理由は、手術範囲がほかの治療法よりも大きく、難しい術式のためです。
ただし、これらの費用の相場はあくまで一例であり、歯科医院や患部の状態によって費用は変わってきます。
そのため、インプラント治療で骨造成手術が必要な場合は、歯科医師と方法や費用などをよく相談してください。

骨造成手術を受けたあとの注意点

手術後に気をつけていただきたい、3つの点を説明します。
これらの点を押さえておくだけでも、術後の経過が変わってきます。

注意点①手術直後は頻繁なうがいを避ける

まず、手術後3日間は、必要以上にうがいをしないようにしてください。

骨造成手術では、歯茎を切開する外科手術を行うので、手術直後の傷口からは出血や腫れなどの症状が表れやすいです。
頻繁にうがいをすると、傷口を刺激して治りが遅くなり、出血が止まらないなどの症状が起きる可能性があります。

注意点②歯ブラシや舌で患部を刺激しない

患部を歯ブラシでブラッシングすることや、舌で触れることは控えましょう。
傷口の治りが遅れるだけでなく、歯ブラシや舌に付着している細菌が、傷口に入り込む原因にもなります。

患部以外のブラッシングであれば、問題ありません。
口内を清潔に保つことは、患部の細菌感染の予防につながるので、傷口に十分気をつけながら、やさしくブラッシングしてください。
どうしても、患部を避けたブラッシングが難しい場合は、マウスウォッシュやうがい薬の使用をおすすめします。

注意点③食事の際は患部に触れないようにする

食事の際も患部に刺激を与えないように、傷口から離れた歯で食べ物を噛んでください。
できれば、しばらくのあいだはゼリーやおかゆ、スープなどの柔らかい食べ物を摂取するようにしましょう。

からいものや熱いものなどは、患部に刺激を与えるため避けたほうがよいです。

インプラントとは

インプラント治療における、GBR法などの骨造成手術にかかる費用は方法や患部の状態によって異なる

今回は、インプラント治療で骨造成手術を行う場合の費用などを解説しました。

骨造成手術にかかる費用は、治療の方法や患部の状態によって異なるので、それぞれに適した方法で治療を行う必要があります。

骨造成手術にはそれぞれ適合、不適合があるので、歯科医師と相談したうえで、ご自身の患部の状態に適した治療法をみつけましょう。

当院では、患者様の患部の状態に合わせて最適な治療方法を提案し、納得していただけるような費用の説明を行っています。
インプラント治療や骨造成手術に不安をお持ちの方は、ぜひ当院にご相談ください。

この記事の監修者

日本歯科大学新潟生命歯学部を卒業後、インプラント治療に従事。現在では年間3000本以上のインプラント治療の実績がある。

日本でインプラント治療が黎明期だったころからパイオニアとして活躍し、インプラントメーカーのストローマン社やノーベルバイオケア社から公認インストラクターの資格を得た。

本の執筆やTV・雑誌などのメディア出演、自身のYouTubeチャンネルなどで情報発信を積極的に行っている。

<主な著書>
インプラント治療は史上最強のストローマンにしなさい!!
歯医者が受けたい!インプラント治療
あっそのインプラント、危険です!!

<YouTubeチャンネル>
八王子きぬた歯科

<外部サイト>
きぬた 泰和 Wikipedia