インプラント治療の段階に応じた痛み
インプラント治療は「抜歯」「抜歯後」「インプラント手術」の3つのステップに分かれています。
インプラント治療は無歯状態で行うため、虫歯や歯周病などで自歯が再生不能な場合は、まず抜歯します。
治療箇所が無歯であれば、もちろん、抜歯というプロセスはないので、インプラント手術中から読んでいただいて結構です。
抜歯が必要な方は、抜歯と抜歯後の痛みについてもお読みください。
抜歯
抜歯時には局所麻酔が使われます。
歯が削られる感覚や、患部が押される感覚などはありますが、麻酔が効いているので痛みは生じません。
麻酔が効きにくい体質の方には、別途で麻酔薬を歯茎に塗って表面の感覚を麻痺させる表面麻酔や、麻酔薬の投与量を増やすなど、さまざまな対策が講じられています。
抜歯後
抜歯直後は麻酔の効果が続いているため痛みを感じませんが、時間の経過にともない麻酔の効果が弱まると、患部にチクチクとした痛みを感じます。
処方される痛み止めを服用して、2~7日程度安静にすれば自然に痛みは治まるのでご安心ください。
ただし、患部を強い力でブラッシングしたり、固いものを噛んだりすると、痛みや腫れが長引く可能性があるので注意が必要です。
また、通常は抜歯後に歯茎や骨を回復させるための期間を要しますが、抜歯後すぐにインプラントを埋入する手術もあります。
インプラント手術中
インプラント手術では、局所麻酔を注入してから、顎の骨にインプラント体を埋め込みます。
歯茎に局所麻酔を注射する際にはチクッとした痛みを感じますが、手術中には痛みを感じません。
そのため、痛みに弱い方でも安心です。
インプラント手術の痛みについては「インプラント手術で痛みを感じることはありますか?」をご覧ください。
インプラント治療の流れ
次に、インプラント治療の流れについて解説します。
歯科医院や治療方法によって違いはありますが、手術までの流れと手術の手順は、以下のとおりです。
手術までの流れ
- 歯科医院でカウンセリングを受ける
- 口内の健康状態や顎の骨密度を検査する
- 検査結果をもとに治療計画を立てる
手術の手順
- 歯肉を切開して、顎の骨に穴を開ける
- 顎の骨にインプラント体を埋め込み、歯肉を縫合する
- 顎の骨とインプラント体が結合するまで待機する
- インプラント体を埋め込んだ患部を切開する
- インプラント体にアバットメントを連結させる
- 歯肉を縫合して、アバットメントに人工歯を装着する
インプラントの費用については「インプラントを10本入れる際の費用を教えてください」をご覧ください。
インプラント治療の種類
インプラント治療は、大きく「抜歯即時埋入法」「抜歯待時埋入法」の2種類に分かれています。
どちらもメリット・デメリットがあるため、歯科医師とよく相談のうえ、ご自身にとって無理のない方法を選びましょう。
抜歯即時埋入法(1回法)
まず紹介する「抜歯即時埋入法」は、インプラント体とアバットメントそれぞれの埋入を、1回の外科手術で同時に行う治療方法です。
「1回法」ともよばれます。
治療にかかる期間が短く、身体への負担が少ない点がメリットです。
ただし、アバットメントが歯茎の表面に出ている状態で縫合するので、細菌感染が生じるリスクは高まります。
抜歯待時埋入法(2回法)
続いて「抜歯待時埋入法」を紹介します。
こちらは「2回法」ともよばれていて、インプラント体とアバットメントの埋入を2回に分ける方法です。
1回目の手術で傷口を完全に縫合するので、細菌感染は起こりにくくなります。
また、顎の骨に厚みがない方でも、別途で骨造成手術を受ければ治療できる点も特徴の1つです。
ただし、この治療方法は手術を2回に分けるので、治療期間は長期にわたります。
麻酔をともなう外科手術も2回行われるため、抜歯即時埋入法よりも身体への負担が大きい点がデメリットです。
インプラント手術の1回法と2回法の違いについては「インプラント手術の1回法は、2回法と何が違う?」をご覧ください。
手術中の不安を抑える方法
手術に対して恐怖心がある方や、痛みを心配される方には、通常の麻酔薬だけではなく、不安感をやわらげる「静脈内鎮静法(セデーション)」という麻酔法を組み合わせます。
この方法を組み合わせることで、精神的な緊張が軽減し、リラックスした状態で治療を受けられます。
インプラントの手術後や抜歯後の痛みを抑えるためのポイント
インプラントの手術や抜歯後の痛みを少しでも抑えるには、以下で挙げるポイントを意識してみてください。
ポイント①飲酒を避ける
まず気をつけることは、飲酒です。
アルコール類には、血流を促進させる作用があります。
血流が速くなると血が固まりにくくなり、結果的に痛みや腫れが長引いてしまいます。
手術後や抜歯後は、最低でも2週間~1か月程度は飲酒を控えてください。
ポイント②激しい運動を避ける
ウエイトトレーニングやジョギング、水泳などの激しい運動も、血流を促進させるので避けたほうがよいです。
最低でも、1~2週間程度は控えてください。
どうしても身体を動かしたい方は、身体に負担の少ないウォーキングやヨガなどがおすすめです。
ポイント③長時間入浴しない
お風呂に入ると、血管が広がって血の巡りが速くなるため、長時間の入浴も控えましょう。
患部の痛みや腫れが長引くだけでなく、一度落ち着いた症状が再発することもあります。
入浴はシャワーのみ、あるいは短時間で済ませると安心です。
ポイント④固い食べ物を避ける
患部に負担をかけるので、固い食べ物や、噛みきりにくい食べ物も極力食べないほうがよいでしょう。
痛みや腫れが続く原因になるので、施術から2~3週間程度は固い食べ物を避け、スープや、柔らかく煮たうどんなど、柔らかいものを中心とした食事をとりましょう。
インプラント手術や抜歯中に痛みはないが、施術後には痛みを感じる可能性がある
今回は、インプラントの手術の方法や、インプラント治療の痛みについて解説しました。
インプラント治療による痛みは、不安ですよね。
ですが、インプラントの手術や抜歯の際は、麻酔を施し、痛みを感じることなく治療しますので、ご安心ください。
麻酔が切れると、徐々に痛みが出てきますが、安静にしていれば2~7日程度で治まります。
きぬた歯科では、インプラント治療を実施しております。
歯の機能性や審美性を取り戻したいとお考えの方は、お気軽にご相談ください。
この記事の監修者
日本歯科大学新潟生命歯学部を卒業後、インプラント治療に従事。現在では年間3000本以上のインプラント治療の実績がある。
日本でインプラント治療が黎明期だったころからパイオニアとして活躍し、インプラントメーカーのストローマン社やノーベルバイオケア社から公認インストラクターの資格を得た。
本の執筆やTV・雑誌などのメディア出演、自身のYouTubeチャンネルなどで情報発信を積極的に行っている。
<主な著書>
インプラント治療は史上最強のストローマンにしなさい!!
歯医者が受けたい!インプラント治療
あっそのインプラント、危険です!!
<YouTubeチャンネル>
八王子きぬた歯科
<外部サイト>
きぬた 泰和 Wikipedia