【インプラントの種類】構造で分類

インプラントはインプラント体とアバットメント、そして人工歯という3つの部品を組み合わせた構造になっています。
あごの骨に埋め込んでインプラント全体を支える部分がインプラント体です。
これの上にアバットメントと呼ばれるものを取り付けることで、失った歯の代わりとなる人工歯と接続するような構造になっています。

大まかな構造は上記のとおりですが、細分化すると2つの種類に分けられます。

アバットメントの役割と種類については「インプラント治療でよく聞くアバットメントとはなんでしょうか?」をご覧ください。

1ピースタイプ

1ピースタイプと呼ばれるものは、インプラント体とアバットメントがはじめから合体しているかたちのものです。
部品が合体されているので治療費を抑えられ、かつ手術の回数が1回で済ませられます。
一方で、あごの骨が薄い場合には使用できないという欠点もあります。

2ピースタイプ

インプラント体とアバットメントが別々になっているかたちのものが、2ピースタイプと呼ばれるものです。
2ピースタイプは、あごの骨の状態にかかわらず幅広いケースで使えます。
ただし、部品が別々になっているため1ピースタイプよりも治療費がやや高く、手術を2回行う必要があるという点には注意が必要です。

インプラントの構造については「インプラントはどんな構造をしているのでしょうか?」をご覧ください。

【インプラントの種類】形状で分類

インプラントの種類はインプラント体の形状によっても分類が可能です。
ここからは、4つの形状別にその特徴を紹介します。

スクリュータイプ

スクリュータイプは、現在多くのインプラント手術で使用されているタイプのインプラント体です。
ネジのような形をしていて、手術時には回転させながらあごの骨に埋め込まれます。

また、スクリュータイプは骨と接する面積が大きいため、埋め込んだ際に初期固定が得られやすいです。
初期固定とは、インプラント体をあごの骨に入れ込んだときに、負荷をかけてもあごの骨にしっかりと固定されていることです。

初期固定が弱すぎると、インプラントに負荷がかかったときに抜け落ちるリスクが高くなってしまいます。
反対に、強すぎる場合には血流障害を起こしてインプラントが抜け落ちやすくなるという問題があります。

スクリュータイプは、この初期固定が適切な力で行われるため、安定性が高いという点が特徴です。

シリンダータイプ

スクリュータイプと同様に、インプラント手術においてよく使われるものにシリンダータイプと呼ばれる形状のインプラント体があります。
ネジが円筒形になっており、手術時にはハンマーで打ちながらあごの骨に埋入されます。
この作業自体は簡単にできるものの、シリンダータイプはスクリュータイプと比べると表面積が小さいため、初期固定が弱めです。

バスケットタイプ

バスケットタイプのインプラント体は、中が空洞になっていて、側面にはいくつか穴が空いている形状をしたものです。
この穴はインプラント体の中に骨が入り込めるようにできているため、インプラント体と骨の接触面積が広くなり結合力が高くなります。
しかし、上手く入り込まないと結合力が弱くなる結果、強度が弱くなりインプラント体が折れるというリスクもあります。

ブレードタイプ

現在ではあまり使われてはいませんが、以前はブレードタイプと呼ばれる板状のインプラント体が広く使われていました。
板状で幅が狭く細いため、主に使われていたのは骨の幅が狭い部分での治療です。

ブレードタイプは、現在多くの場面で活用されているスクリュータイプと比較すると、インプラントの一部に力が集まるため壊れやすいという問題点が指摘されます。
また、周辺に痛みや腫れが生じたり、骨が炎症を起こしたりするという身体面での影響もあります。
この理由により、ブレードタイプは現在あまり使われていないのです。

【インプラントの種類】手術方法で分類

インプラント治療においては手術方法もいくつかあり、その方法ごとに使われるインプラントの種類も異なります。
ここからは、手術方法別の分類について解説します。

ザイゴマインプラント

通常のインプラントはあごの骨や歯槽骨に埋め込むのに対して、ほおの骨(ザイゴマ)に埋めるタイプのものがザイゴマインプラントです。
ほおの骨から歯茎にかけて埋め込まれるため、形状が細長くなっています。
この治療を行う対象は多くの歯を失った方となり、数本程度の歯を失っている方に対しては治療できません。

また、通常は骨が不足していてインプラントを埋め込められない場合、骨移植手術をすることで治療ができるようになりますが、手術回数が多くなり治療期間が長期化します。
しかし、ザイゴマインプラント手術は基本的に1回で済むため、治療期間を短縮させるためにこの手術方法を選ぶ方もいらっしゃいます。

オールオン4インプラント

オールオン4インプラントとは、4本程度のインプラントで複数の歯を補うという仕組みのものです。
少ない本数しか使われないため、一つひとつがしっかりと固定されるように工夫されています。

また、手術の回数が少なく済み、治療期間も短くなることがメリットとして挙げられます。
それに伴い、治療費も抑えられることもメリットとして挙げられるでしょう。

【関連記事】
インプラントのオールオン4と総入れ歯では、どれぐらい費用が違いますか?

インプラントにはさまざまな種類があり患者様の状況ごとに使い分けられる

いかがでしたでしょうか。

インプラントには構造や形状、手術方法によってさまざまな種類があります。
患者様の骨の状態や健康状態によってその種類を使い分けしています。
治療する場合、自身の治療ではどの種類のものが使われているのかをしっかりと把握しておきましょう。

きぬた歯科は八王子にある歯科医院です。
インプラント治療に関心のある方は、ぜひご相談ください。

インプラントの費用について気になる方はぜひ、「インプラントの費用の基礎知識と1本あたりの費用について」をご覧ください。

この記事の監修者

日本歯科大学新潟生命歯学部を卒業後、インプラント治療に従事。現在では年間3000本以上のインプラント治療の実績がある。

日本でインプラント治療が黎明期だったころからパイオニアとして活躍し、インプラントメーカーのストローマン社やノーベルバイオケア社から公認インストラクターの資格を得た。

本の執筆やTV・雑誌などのメディア出演、自身のYouTubeチャンネルなどで情報発信を積極的に行っている。

<主な著書>
インプラント治療は史上最強のストローマンにしなさい!!
歯医者が受けたい!インプラント治療
あっそのインプラント、危険です!!

<YouTubeチャンネル>
八王子きぬた歯科

<外部サイト>
きぬた 泰和 Wikipedia