喫煙者でもインプラント治療を受けられる?
タバコを吸っているからという理由だけで、必ずしもインプラント治療を受けられないというわけではありません。
ただし、喫煙はインプラントの定着や傷の治りに影響を与える可能性があるため、タバコを吸わない方に比べて、治療後にトラブルが起こるリスクが高くなります。こうしたリスクは喫煙量が多くなるほど高まることから、1日に20本以上(1箱以上)タバコを吸う方は、治療が難しいと判断されるケースもあります。
喫煙者がインプラント治療を検討する際は、喫煙によるリスクを理解したうえで、担当医と十分に相談しながら治療計画を立てることが大切です。
タバコがインプラント治療に及ぼす影響
ここからは、喫煙がインプラント治療にどのような影響を及ぼすのかを見ていきましょう。
タバコがインプラント治療に及ぼす影響
- インプラントとあごの骨が結合しにくくなる
- インプラント周囲炎を発症しやすくなる
- 術後の傷の治りが遅くなる
- インプラントが脱落するリスクが高まる
インプラントとあごの骨が結合しにくくなる
治療中に喫煙すると、インプラントとあごの骨が結合しにくくなります。
インプラントを長く安定して使用するためには、人工歯根とあごの骨がしっかりと結合することが大切です。そのためには、骨の修復や再生に必要な酸素や栄養が十分に供給されなければなりません。
しかし、タバコを吸うと、ニコチンの作用で血管が収縮し、血流が悪くなります。その結果、あごの骨に酸素や栄養が届きにくくなり、インプラントが十分に定着しなくなる可能性があります。
インプラント周囲炎を発症しやすくなる
喫煙を続けると、インプラント周囲炎の発症リスクが高まります。インプラント周囲炎とは、インプラントの周囲で細菌感染が起こり、歯茎やあごの骨に炎症が生じる病気です。
タバコを吸うことで、口腔内の細菌に対する抵抗力が低下しやすくなります。
さらに、喫煙は唾液の分泌量も減少させます。唾液には口腔内の細菌や食べかすを洗い流す自浄作用や、細菌の増殖を抑えるはたらきがあり、分泌量が減ると細菌が増殖しやすくなるのです。
このように、喫煙によって細菌感染が起こりやすい口腔環境になることが、インプラント周囲炎を引き起こす一因になります。
術後の傷の治りが遅くなる
喫煙により、術後の傷の治りが遅くなることもあります。
手術後の傷口の治癒には、十分な酸素や栄養が行き渡ることが大切です。しかし、喫煙によってそのはたらきが妨げられると、傷の回復に時間がかかりやすくなるのです。
また、傷が治るまでの期間が長引くと、細菌感染や炎症を引き起こしやすくなります。
インプラントが脱落するリスクが高まる
治療中や治療後に喫煙すると、将来的にインプラントが脱落するリスクも高まります。
喫煙により人工歯根とあごの骨の結合が妨げられ、インプラントが安定しにくくなるためです。
また、インプラント周囲炎を発症すると、炎症が歯茎だけでなく、あごの骨にまで広がることがあります。炎症が進行すると、あごの骨が徐々に失われ、インプラントを十分に支えられなくなり、最終的にインプラントが抜けてしまうおそれがあるのです。
加熱式タバコや電子タバコはインプラントに影響する?
「加熱式タバコや電子タバコなら、インプラント治療にあまり影響しないのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、どちらも治療前後は使用を控えることが望ましいとされています。
以下で、それぞれがインプラント治療に与える影響について解説します。
加熱式タバコの場合
加熱式タバコは、タバコの葉を加熱して発生した蒸気を吸う製品です。紙巻きタバコと同様に、ニコチンを含んでいます。
そのため、加熱式タバコであっても、人工歯根とあごの骨が結合しにくくなったり、傷の治りが遅れたりする可能性があります。
電子タバコの場合
電子タバコは、専用の液体を加熱して発生した蒸気を吸う製品です。日本国内で販売されている電子タバコには、ニコチンが含まれていません。
しかし、電子タバコから発生する蒸気には有害物質が含まれていることがあり、健康への影響が懸念されています。そのため、ニコチンを含まない製品であっても、インプラント治療への影響がまったくないとは言い切れません。
インプラント治療前後の禁煙期間の目安
インプラント治療では、手術の前後に一定期間の禁煙が推奨されています。ただし、必要な禁煙期間は口腔内の状態や喫煙習慣などによって異なるため、担当医の指示に従いましょう。
ここでは、一般的な禁煙期間の目安を紹介します。
手術前
手術の少なくとも2〜3週間前から禁煙することが推奨されています。喫煙本数が多い方や、すぐに禁煙することが難しい方は、1〜2か月前から少しずつ取り組み始めるとよいでしょう。
手術前の禁煙によって血流が改善されると、人工歯根とあごの骨が結合しやすくなるほか、術後の傷の回復にも良い影響を与えます。
手術後
手術後は、1〜3か月程度を目安に禁煙を続けましょう。
術後すぐに喫煙を再開すると、インプラントの定着が妨げられたり、傷の治りが遅れたりする可能性があります。また、細菌感染のリスクが高まることも考えられます。
インプラントを長く使用するためにも、禁煙を継続することが大切です。
喫煙者がインプラントを長く使用するためのポイント
喫煙者でも、適切な対策を行うことで治療後にトラブルが起こるリスクを軽減できます。
ここでは、インプラントを長く使用するためのポイントを紹介します。
喫煙者がインプラントを長く使用するためのポイント
- 手術前後は禁煙を徹底する
- 禁煙外来を実施している医療機関を利用する
- 口腔内を清潔に保つ
- 定期的にメンテナンスを受ける
- 栄養バランスの良い食事を心がける
手術前後は禁煙を徹底する
先述の通り、手術前後の禁煙は、治療後のリスクを抑えるうえで重要です。
喫煙習慣がある場合は、担当医へ事前に相談しましょう。喫煙本数や喫煙歴に応じて、適切な禁煙期間や治療計画を提案してもらえます。
禁煙外来を実施している医療機関を利用する
ご自身で禁煙することが難しい場合は、禁煙外来を実施している医療機関を利用するのも一つの方法です。
禁煙外来では、医師や看護師によるアドバイスを受け、必要に応じて禁煙補助薬を使用しながら禁煙を進めます。禁煙補助薬には離脱症状を和らげるはたらきがあるため、禁煙の継続をサポートすることが期待できます。
まずは、担当の歯科医師に相談し、ご自身に合った禁煙方法を検討してみましょう。
口腔内を清潔に保つ
インプラント周囲炎を予防するためには、口腔内を清潔に保つことが大切です。
毎日の歯磨きにくわえ、歯間ブラシやデンタルフロスも活用し、口腔内の細菌や汚れを丁寧に取り除きましょう。
セルフケアだけでは落としきれない汚れもあるため、クリニックで定期的なクリーニングを受けることが重要です。
定期的にメンテナンスを受ける
インプラントを長く使用するためには、治療後のメンテナンスも欠かせません。
メンテナンスでは、インプラントと周囲の歯茎の状態を確認します。異常が見つかった場合は、早期に適切な処置を受けることが可能です。
なお、きぬた歯科では、インプラント治療を受けた方を対象に定期健診を無料で実施しています。インプラントを長く快適にご使用いただけるよう、継続的なメンテナンスをサポートしています。
栄養バランスの良い食事を心がける
治療後には、栄養バランスの良い食事を意識する必要があります。
特に、カルシウムやビタミンDは、あごの骨の健康を維持するために欠かせない栄養素です。カルシウムは乳製品や大豆製品に、ビタミンDは魚類やきのこ類に多く含まれているため、これらの食品をバランス良く取り入れましょう。
また、糖分の多い食べ物や飲み物を過剰に摂取すると、口腔内の細菌が増え、インプラント周囲炎の発症リスクが高まる可能性があります。甘い物は適量に抑えることも大切です。
インプラント治療のクリニック選びで確認したいポイント
治療後にトラブルが起こるリスクを抑えるためには、禁煙やセルフケアへの取り組みだけでなく、クリニック選びも重要です。ここでは、クリニックを選ぶ際に確認したいポイントを解説します。
インプラント治療のクリニック選びで確認したいポイント
- インプラント治療の実績は豊富か
- 治療に必要な設備が整っているか
- 治療内容やリスクについて丁寧に説明してくれるか
- 定期的にメンテナンスを受けられるか
インプラント治療の実績は豊富か
インプラント治療には、専門的な知識にくわえ、豊富な経験と高度な技術が求められます。特に喫煙者は治療の難易度が高くなる場合があるため、インプラント治療の実績が豊富なクリニックを選ぶことが大切です。
クリニックを選ぶ際は、ホームページで症例数や治療実績などを確認しましょう。くわえて、インプラントに関する学会への所属状況や資格の有無なども見ておくと、クリニックを比較する際の参考になります。
治療に必要な設備が整っているか
安全性の高い治療を受けるためには、歯科用CTを導入しているクリニックを選ぶことが重要です。歯科用CTを用いることで、あごの骨の状態や神経・血管の位置を立体的に把握でき、より精密な治療計画を立てられます。
きぬた歯科でも、歯科用CTによる精密検査を行い、安全性に配慮した治療計画の立案につなげています。
治療内容やリスクについて丁寧に説明してくれるか
治療前のカウンセリングで、治療内容やリスクについて丁寧に説明してくれるクリニックを選びましょう。喫煙者の場合は、喫煙がインプラントの定着に与える影響や、インプラント周囲炎のリスクについても十分に理解しておくことが大切です。
なお、きぬた歯科では、患者様一人ひとりに合わせた複数の治療方法をご提案し、それぞれの費用や治療期間についてもわかりやすくご説明します。患者様にご納得いただいたうえで治療を進められるよう、丁寧なカウンセリングを行っています。
定期的にメンテナンスを受けられるか
治療後の定期的なメンテナンスに対応しているクリニックを選ぶことも重要です。
特に喫煙者はインプラント周囲炎の発症リスクが高いため、治療後も口腔内のチェックやクリーニングを受けることが欠かせません。
治療後のフォローアップ体制にくわえ、無理なく通院できる立地や診療時間であるかも確認しておきましょう。
きぬた歯科では、定期健診の際に日頃のセルフケアの状況を確認し、インプラントの使用感についてもお伺いしています。お口の状態に合わせたアドバイスを行っていますので、気になることやお困りのことがあればお気軽にご相談ください。
インプラント治療はタバコを吸う人でも受けられる
喫煙者でも、適切な対策を行うことで、インプラント治療を受けられます。
ただし、喫煙はインプラントの定着や傷の治りなど、治療後の経過にさまざまな影響を及ぼします。
治療後にトラブルが起こるリスクを抑えるためには、治療前後は禁煙に取り組むとともに、日頃のセルフケアを徹底し、定期的なメンテナンスを受けることが大切です。
「喫煙しているけれど、インプラント治療を受けたい」とお考えの方は、きぬた歯科にご相談ください。患者様のお口の状態や喫煙状況、全身の健康状態などを確認したうえで、一人ひとりに合わせた治療計画をご提案しています。治療内容やリスクについてもご説明しますので、まずはお気軽にご相談ください。
この記事の監修者
日本歯科大学新潟生命歯学部を卒業後、インプラント治療に従事。現在では「インプラント治療のきぬた歯科」を開業し年間4000本以上、累計50,293本のインプラント治療の実績がある。
日本でインプラント治療が黎明期だったころからパイオニアとして活躍し、インプラントメーカーのストローマン社やノーベルバイオケア社から公認インストラクターの資格を得た。
本の執筆やTV・雑誌などのメディア出演、自身のYouTubeチャンネルなどで情報発信を積極的に行っている。
<主な著書>
インプラント治療は史上最強のストローマンにしなさい!!
歯医者が受けたい!インプラント治療
あっそのインプラント、危険です!!
<YouTubeチャンネル>
八王子きぬた歯科
<外部サイト>
きぬた 泰和 Wikipedia