「インプラントは絶対だめ」と言われる12の理由
インプラント治療を受けることに不安を覚える方も少なくありません。その背景には、治療に伴う心身の負担、治療期間の長さ、費用の問題、症例により適応が異なる点など、さまざまな要因が挙げられます。以下に、一般的に挙げられる12の理由をまとめました。
- 顎の骨が弱い・少ないと別途治療が必要だから
- 外科手術のリスクがあるから
- 再治療が難しいから
- 適さない症例があるから
- 治療費用が高いから
- 治療期間が長いから
- 喫煙者は禁煙・減煙が必要だから
- メンテナンスが大変だから
- 金属アレルギーのリスクがあるから
- インプラント周囲炎や口臭のリスクがあるから
- 体質によって異常が生じることがあるから
- 歯科医の技術に差があるから
これらの理由を踏まえ、治療の可否や必要性について検討することが大切です。
理由①顎の骨が弱い・少ないと別途治療が必要だから
顎の骨が薄い、または量が足りない場合は、インプラント埋入に必要な強度を確保できないことがあります。
インプラントは顎の骨に孔を開けて土台を固定する治療であり、十分な骨量が必要です。
骨の量が不足していると判断された場合は、骨造成手術を追加することがあります。処置が追加されることで身体的負担や費用が増え、治療をためらう方もいるようです。
理由②外科手術のリスクがあるから
インプラント治療では歯茎を切開するため、術後に痛みが出る場合があります。
また、外科手術を伴うため以下のリスクが考えられます。
関連記事:インプラント治療にもリスクはありますか?
細菌感染のリスク
ひとつめのリスクは細菌感染です。
歯茎を切開すると傷口ができ、術中や術後に細菌が付着すると炎症が起こる可能性があります。持病や口腔内の衛生状態によっては、感染が生じやすくなる場合があります。
神経損傷のリスク
もうひとつは、インプラント手術中に神経損傷が起きるリスクがあることです。
切開の際に誤って神経を傷つけてしまう可能性は完全には否定できません。
下顎には多くの神経が走っていて、埋入の際に傷つけてしまうと麻痺や痛みなどが長期的に残ることがあります[1]。
神経損傷が起きた場合、術後18か月時点でも半数近くの方に障害が残っていたとの報告もあります[1]。
後遺症が残るおそれがある点から、インプラントは絶対だめだと考える方もいるようです。
理由③再治療が難しいから
再治療が難しい点も、治療をためらう理由のひとつと考えられます。
治療が想定どおりの結果とならなかった場合でも、再度の処置は簡単ではありません。
既存のインプラントを除去したり骨を再建したりする必要があり、技術的にも高度で、身体的な負担や費用が増す傾向にあります。
そのため、再治療に対する不安から治療を控える方も少なくありません。
理由④適さない症例があるから
インプラント治療は、すべての方に適応するわけではありません。
次のような症例では治療が難しい場合があります。
【適さない症例[2]】
- 糖尿病
- 高血圧
- 骨粗鬆症
- 貧血
- 喫煙者
- 顎骨の不足
上記に該当する方は、インプラント治療を受けられない場合があります。
合併症や感染症のリスクが高まること、インプラント埋入が困難であることなどが原因です。
何らかの疾患がある場合は、治療を受けられない可能性がある点を把握しておきましょう。
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理由⑤治療費用が高いから
「インプラントは絶対だめ」と言われる理由のひとつとして、治療費用が高い点も挙げられます。
治療にかかる費用の全国平均は、1本あたり328,000~399,000円と報告されました[3]。
もし複数本のインプラントを埋入するのであれば、本数分の費用が加算されていきます。
インプラント治療は特別なケースを除いて、基本的に保険適用外です。
全額自己負担となるため治療費が高く、金銭的な負担も大きくなります。
理由⑥治療期間が長いから
治療期間が長いため、インプラント治療を避けるべきだと言う方もいらっしゃいます。
ブリッジや入れ歯などの治療と比べると、インプラントの治療期間は長くなる傾向があります。
埋入手術を終えた後に3~4ヶ月の治癒期間が必要であり、さらに二次手術の後に1~2週間の治癒期間を必要とします。
そして治癒が確認してから上部構造の製作に入るため、製作のための期間も加味して考えなければなりません。
もちろん本数や症状、歯科医院の治療計画によって治療期間は変わります。
ただし、ブリッジや入れ歯に比べると治療期間が長くなる傾向は避けられません。
関連記事:インプラントの治療期間はどれくらいかかるのでしょうか?
理由⑦喫煙者は禁煙・減煙が必要だから
喫煙者の方が「インプラントは絶対だめ」と考える背景には、禁煙や減煙が必要となる点があるのかもしれません。
インプラント治療における禁忌のひとつが「喫煙」です。
タバコに含まれる成分は傷の治癒を遅らせるだけでなく、骨の結合にも悪影響を及ぼすとされています[2]。
また治療が無事に終わったとしても、インプラント周囲炎のリスクが高まるため[2]、治療を受けるなら禁煙が求められるでしょう。
禁煙や減煙が負担に感じられ、インプラント治療を避けたいと考える方は少なくありません。
理由⑧メンテナンスが大変だから
インプラント治療が敬遠される理由のひとつに、メンテナンスの大変さがあります。
歯科医院により違いますが、一般的に3〜6か月に1回の通院が必要とされます。
インプラントを長く使い続けるには、メンテナンスは必要不可欠です。
保証が付いている場合でも、歯科医院でのメンテナンスを継続することが条件となるケースがあります。
しかし通院を負担に感じてしまい、インプラントはやめるべきと考える方もいます。
理由⑨金属アレルギーのリスクがあるから
中には金属アレルギーのリスクがあることから、インプラントは絶対だめとの考えもあります。
多くのインプラントはチタンと呼ばれる金属で作られており、金属が体内に埋め込まれることによりアレルギー発症の原因となるリスクがあるためです。
しかしチタンは金属の中でも安定性が高く、アレルギーの原因になることはほとんどありません[4]。
ただし絶対ではなく、過去にはインプラントに使用されたチタンによって、金属アレルギーが発症した事例も報告されています[4]。
確率は低いものの、金属アレルギーのリスクがあることは確かです。
理由⑩インプラント周囲炎や口臭のリスクがあるから
インプラント周囲炎や口臭のリスクも理由のひとつでしょう。
インプラント周囲炎とは、インプラント治療を受けた方に生じる歯周病に似た症状で、進行するとインプラントが脱落する場合があります。
症状が進行すると細菌が繁殖し、悪臭を引き起こしてしまうことも。
もちろん口腔内が不衛生になった場合も同じです。
インプラントを敬遠する方の中には、口腔トラブルや口臭を不安に感じる方もいます。
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理由⑪体質によって異常が生じることがあるから
インプラントが絶対だめとされるのは、体質によって異常が生じるリスクがあることも理由であると考えられます。
たとえば高血圧の方であれば、手術により血圧が上昇し、脳出血や心筋梗塞のリスクが高まる可能性があります。
糖尿病の方は傷の治癒が遅く、細菌感染が起こりやすい傾向です。
そもそも、前述のような体質の方には治療は禁忌とされていますが、ご自身で気づかずに受けてしまうケースも考えられます。
体質によっては異常が起こるリスクもあるため、その点を理解しておくことが大切です。
理由⑫歯科医の技術に差があるから
最後に、歯科医の技術に差があることについてです。
インプラント治療は歯科治療の中でも難易度が高く、成功するかどうかは医師の技量にかかっていると言っても過言ではありません。
経験が浅い歯科医が担当した場合は、手術が成功しない可能性が高まることがあります。
しかしこれから治療を検討する方にとって、インプラント治療の技術に長けた歯科医院を見つけることは簡単ではないでしょう。
担当医師の技術に差があることから、歯科医院選びが難しい点も理由のひとつです。
「絶対だめ」ではないインプラントのメリット
インプラント治療は、他の歯科治療法と比べ多くのメリットを持つ先進的な治療法です。
審美性や機能性、耐久性など、さまざまな面で優れており、多くの患者さんに選ばれています。
- 審美性が高い
- 周囲の歯への負担が小さい
- 咬合力が高い
- 顎の骨の萎縮を防ぐことができる
- 発音や味覚への影響が少ない
- 寿命が長い
以下で、インプラント治療の主なメリットについて詳しく解説します。
審美性が高い
インプラント治療の大きな魅力は、審美性の高さでしょう。
インプラントは顎の骨に埋め込まれた人工歯根の上にクラウンを装着するため、見た目が非常に自然なのです。
クラウンの材質や色調は患者の歯に合わせて調整されるため、周囲の歯と調和し、まるで自分の歯のように見えます。
そのため、他人から見てもインプラントだとは気づかれにくく、美しい笑顔を保てるでしょう。
関連記事:多くの芸能人にインプラントが選ばれる理由はなんですか?
周囲の歯への負担が小さい
インプラント治療は、周囲の健康な歯に負担をかけない点も大きなメリット。
ブリッジ治療では隣接する歯を削る必要がありますが、インプラントは独立して顎の骨に固定されるため、他の歯に影響を与えません。
また、入れ歯のようにクラスプ(留め具)で周囲の歯を支える必要もないため、歯全体の健康を維持できます。
これにより、長期的に見て周囲の歯の寿命を延ばせるのです。
咬合力が高い
インプラントは天然歯と同等の咬合力を持つため、しっかりと噛めます。
食事の際にも違和感なく、硬い食べ物でも問題なく咀嚼できるため、食事の楽しみを損なうことはありません。
顎の骨の萎縮を防ぐことができる
インプラント治療を受けることで、顎の骨の萎縮を防ぎやすくなります。
顎の骨に接していない入れ歯やブリッジを使い続けていると、顎の骨に刺激が伝わらず、骨が萎縮してしまいがちです。
しかしインプラントは天然歯のように顎の骨と癒着しており、咀嚼のたびにしっかりと骨に刺激が伝わります。
刺激を受けた骨は萎縮しにくく、長期にわたり健康な状態を保ちやすくなります。
顎の骨の萎縮は顔の変化にもつながるため、インプラント治療におけるメリットは大きいと考えられます。
発音や味覚への影響が少ない
インプラントの大きなメリットのひとつに、発音や味覚への影響が少ない点が挙げられます。
顎の骨にしっかり固定されるため、発音のしやすさに支障をきたすことも少なく、義歯としての違和感も感じにくいのが特徴です。
味覚も従来どおり保たれやすく、日常生活に大きな影響を与える心配はあまりありません。
一方、入れ歯は口の中でずれてしまうことがあり、それが発音のしにくさや食べにくさにつながる原因となります。
発音や味覚への干渉が少なく、これまでどおりの食事や会話を楽しめる点は、インプラントならではの大きな魅力といえるでしょう。
入れ歯やブリッジと比較しても、インプラントの咬合力は非常に高く、日常生活での快適さを大いに向上させます。
寿命が長い
インプラントは適切なケアで長持ちします。
一般的には10年以上の耐久性があり、条件が良ければ40年以上使用するのも可能です。
定期的なメンテナンスと適切な口腔ケアで、インプラントの寿命をさらに延ばせるでしょう。
長期的なコストパフォーマンスを考えると、インプラントは優れた選択肢と言えます。
関連記事:インプラントの寿命はどのくらい?インプラントの寿命を決める要素や寿命を長くするポイントなどを詳しく解説
インプラントで失敗しない為のポイント
インプラント治療を考える際は、事前に知っておくべきポイントがいくつかあります。
- 治療目的を明確にする
- 複数の歯科医の治療実績を調査する
- 事前のカウンセリング
- ブリッジなどの他治療と比較する
ここプラントを検討では、インする際に重要な注意点について詳しく説明します。
治療目的を明確にする
インプラント治療を開始する前に、自分の治療目的を明確にしましょう。
失った歯を補う理由は、人それぞれ異なります。
審美的な改善を求めるのか、機能的な回復を重視するのか、あるいはその両方を期待するのかはっきりさせましょう。
これにより、歯科医とのカウンセリングがスムーズに進み、適切な治療計画を立てられます。
複数の歯科医の治療実績を調査する
インプラント治療の成功には、歯科医の技術と経験が大きく影響します。
そのため、治療を受ける前に複数の歯科医の実績を調査しましょう。
各歯科医院の治療例や患者の口コミを参考に、自分に合った歯科医を見つけるのが大切。
信頼できる歯科医を選ぶことで、安心して治療を受けられます。
事前のカウンセリング
インプラント治療を成功させるには、事前のカウンセリングが不可欠。
カウンセリングでは、歯科医と一緒に治療計画を立て、治療の流れや必要な期間、費用などについて説明してもらいます。
また、自分の健康状態やライフスタイルを考慮し、最適な治療法を選択するためのアドバイスを受けられるでしょう。
疑問や不安を解消するために、積極的に質問しましょう。
関連記事:インプラント治療のカウンセリングで聞かれることはなんでしょうか?
ブリッジなどの他治療と比較する
インプラントは絶対だめとの意見が気になるなら、ブリッジや入れ歯など、他の治療法と比較してみましょう。
治療法にはそれぞれメリット・デメリットがあります。
もしかするとインプラントよりも、他の治療法のほうがご自身のニーズに合っているかもしれません。
治療法を比較する際は、歯科医院に相談するのが適切です。
比較・検討したうえで、ご自身に合った治療法を選びましょう。
【関連記事】
インプラントとブリッジの違いは何ですか?
インプラントと入れ歯はどう違うのでしょうか?
インプラントはおすすめできる施術
いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでいただくことで、インプラントは絶対だめと言われる理由がご理解いただけたと思います。
絶対だめというわけではありませんが、リスクや費用、適用症例を理解したうえで治療を受けるかどうか判断することが大切です。
きぬた歯科では、年間4,000本のインプラント埋入実績を誇っております。
もし治療を受けるべきか悩んでいる、歯科医院に相談したいとお考えでしたら、お電話やフォームからお気軽にご相談ください。
[1]
参照:JSTAGE:(PDF)インプラント治療に必要な解剖学
[2]
[3]竹本和代ほか著. 「いい歯科インプラント治療医」を選ぶ!2013. 朝日新聞出版 2013; 188
[4]
参照:JSTAGE:(PDF)チタンアレルギーを発症した1例
この記事の監修者
日本歯科大学新潟生命歯学部を卒業後、インプラント治療に従事。現在では「インプラント治療のきぬた歯科」を開業し年間3000本以上のインプラント治療の実績がある。
日本でインプラント治療が黎明期だったころからパイオニアとして活躍し、インプラントメーカーのストローマン社やノーベルバイオケア社から公認インストラクターの資格を得た。
本の執筆やTV・雑誌などのメディア出演、自身のYouTubeチャンネルなどで情報発信を積極的に行っている。
<主な著書>
インプラント治療は史上最強のストローマンにしなさい!!
歯医者が受けたい!インプラント治療
あっそのインプラント、危険です!!
<YouTubeチャンネル>
八王子きぬた歯科
<外部サイト>
きぬた 泰和 Wikipedia